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<font size='4' color="#00084">子供の甲状腺検査、長崎など3市の結果が福島県と同じの疑問
福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果(速報)について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16419
によると、福島県での子供の甲状腺検査結果と長崎市、甲府市、弘前市との結果がほぼ同じだったという。
しかし、どうもこれは疑問だ。
まず、なぜこの時期に速報が出されたのかと言うことだ。まずTPP参加表明が近く行われるということで、それへの抵抗感をなくしたいということだろう。また3月10日に全国的に予定されている反原発デモに対するアナウンス効果、つまり、原発事故の影響はあまりないというアナウンス効果を狙ってもいるのだと思う。
次に、3市合計での結果が示されていることだ。たった4グループに分けただけなのだから、特に3市合同の結果にしなくてもそれぞれの市ごとのデータを出しても特に問題はなかったはずだ。そもそも、それぞれの市ごとに検査集計をしたのだから、市ごとのデータがそのまま出てくる方が自然ではないだろうか。
このことに関連して、「対象地域別の結果を含む詳細な調査結果については、3月下旬に公表」としていることも疑問だ。詳細にということは福島県での検査と同じ程度にと言う意味だろう。ところが、福島県での検査結果は大して詳細なものではないのだ。http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/koujyosen-ketuka2501.pdf に「甲状腺検査実施状況及び検査結果について」という文書がある。男女別でかつ5歳とか3歳の年齢階層ごとの集計と、結節やのう胞の大きさごとの人数集計程度だ。これと同じ分析をするというのなら、元のデータさえそろえば一人でも数日あれば作成できる程度の分析だと思う。また、長崎は昨年末に、甲府と弘前は今年になってから検査をやって来ているのだから、その日その日のデータを集計していれば速報など出さずに詳細分析が即日出せるのではないだろうか。
なぜ詳細データを出さなかったかと言えば、3市でかなりばらつきがあったか、または、甲状腺がんの疑いが出なかったことについての分析をつけるということではないだろうか。福島での検査では3名の甲状腺がんと7名の疑いが出ている。7名は細胞診の結果疑いがあるということなのでほぼ甲状腺がんであるはずで10名が甲状腺がんだ。これは平成23年の検査分で38000人を検査した結果だという。だから3800人に一人の割合でがんが出ていることになる。3800人は4500人とほぼ同じ人数だから、長崎などの4500人での検査で甲状腺がんが一人も発生していなくても、たまたまその一人がいなかっただけだという主張が可能だ。
本日発表されたこの比較対象のための検査で、B判定(20.1mm以上の結節、20.1mm以上ののう胞があったもの)が44名、1%出たことも、福島での検査での平成23年分0.5%、平成24年分0.6%を多少上回っていて、福島での検査結果が特に問題になるものではないと印象付けることになる。
しかし、どう考えてもこの検査結果は信頼できない。少なくとも福島第一原発事故に関連して事実はほとんど出てきていないのが事実だからだ。
福島第一原発事故では非常に多くの情報隠しが行われている。その原因は地震で原発が壊れたことと初期の放射能漏れがかなりあったからだと思われる。そう思わざるを得ないのは、東電やIAEAが設置していた監視カメラの映像がまったく公開されていないからだ。2007年の中越沖地震の時に被害を受けた柏崎刈羽原発の監視カメラ映像は一部ではあったが公開された。今回公開されず、監視カメラが付いていたということ自体が話題に上らないのは地震で原子炉本体がかなり壊れたとしか考えられない。常時リアルタイムでの監視の必要があるため、映像はオンラインで中央制御室やIAEAの支部などの福島第一原発の外部へ送られていたはずであり、バックアップ電源も付いていたはずなので、放射能が強くて映像が取れないとか、停電で動かなかったとは言えない。
そして、地震で原発が壊れ初期の放射能漏れがかなりあったと仮定するといくつもの疑問が解けるのだ。スピーディのシュミレーションデータが避難に生かされず、ベントや水素爆発での放射能漏れで多くの方が被曝されてしまったが、これはスピーディのシュミレーションを生かして避難がされてしまうと地震直後の放射能漏れでの被曝を隠せないからだろう。安定ヨウ素剤もほとんど配布されなかったが、水素爆発前に安定ヨウ素剤が服用されてしまうと、やはり、地震直後の被曝を隠せないからだ。スピーディのシュミレーション結果を伏せ、安定ヨウ素剤も服用させずにベントや水素爆発での放射能漏れで二重に被曝をさせることが行われたはずだ。
その他にもウソの発表が行われている、または故意に情報隠しが行われている事例を10や20は挙げることができる。
だから、今回の長崎市などでの甲状腺検査結果も信頼性はない。そもそも、どういった基準で対象者を選んだのかの発表もない。
更に、今回の検査結果が決して安全性を示してはいないと考えざるを得ない点がある。それは2000年に長崎県で行われた研究結果と比べるとかなりのう胞所有者の割合が高いからだ。2000年に長崎県で行われた研究結果については次のような記述がネット上にあった。
http://savekidsjapan.blogspot.jp/2013/01/thyroid-test-and-silence-of-doctors.html より部分引用:
山下俊一氏は、2000年に長崎でも250人の児童の甲状腺調査をしており、この時のう胞を保有していた児童はわずか2人(0.8%)でした。さらに若い人については転移についての危険性も過去の論文で発表しています。これに対して医師らは、現在のエコー検査機器の画像は1mmあれば検出できるが、10年以上前のエコー検査の画像は粗いため、5mm以上でないと正確な比較ができないと言い逃れをしています。
以上部分引用終わり
http://ameblo.jp/naitomea93gc/entry-11360502927.html より部分引用:
【甲状腺嚢胞C】長崎の調査は5mm以上の甲状腺病変は陰性判定としています。これは、5mm以下のあまりに小さい病変は多すぎて、陽性にしてしまうと膨大な数になりえるからです。一方の福島の調査は5mm以下も全て拾っています。これは福島でベースラインまで調べるためと思われます
DrMagicianEARL 2012/09/19 18:01:51
訂正です
誤: 【甲状腺嚢胞C】長崎の調査は5mm以上の甲状腺病変は陰性判定としています。
正: 【甲状腺嚢胞C】長崎の調査は5mm以下の甲状腺病変は陰性判定としています。
以上部分引用終わり
上の文章は誤解を招きやすい。訂正個所があるからだ。訂正後の文章を念のために書きだすと次のようになる。
長崎の調査は5mm以下の甲状腺病変は陰性判定としています。これは、5mm以下のあまりに小さい病変は多すぎて、陽性にしてしまうと膨大な数になりえるからです。一方の福島の調査は5mm以下も全て拾っています。これは福島でベースラインまで調べるためと思われます。
上の二つの記事はほぼ正しい内容を述べていると思える。なぜなら、独立行政法人科学技術振興機構 (JST) が構築した「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE) と言うサイトに、山下教授を含む研究者の論文( https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj1993/48/5/48_5_591/_pdf )が載っていて、そこにのう胞が見つかった人数を2人(0.8%)としているからだ。
ともかく、2000年の長崎での検査では250人検査して、5o以上ののう胞が見つかったケースが2人(0.8%)であったということだ。しかし、福島県の甲状腺検査結果( http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/koujyosen-ketuka2501.pdf )によれば、20.1mm以上ののう胞が見つかったのは平成23年の検査で38000人中1人(0.003%)、同24年の検査では95000人で6人(0.006%)としている。このままでは比較ができないが、幸いなことに福島県の甲状腺検査結果にはのう胞の大きさ別の分析が載っている。
福島県の平成24年甲状腺検査結果によれば、のう胞の大きさ別の分布は次のようになっている。
のう胞の大きさ : 人数
なし :53536人
〜3.0o :23833人
3.1o〜5.0o :15166人
5.1o〜10.0o :2384人
10.1o〜15.0o :42人
15.1o〜20.0o :8人
20.1o〜25.0o :3人
25.1o〜 :3人
このデータから5o以上ののう胞が見つかった人数の割合を求めると、2440人で2.6%となる。つまり、2000年の長崎での検査0.8% と比べて福島県の平成24年の検査結果は3倍以上もの割合で5.0o以上ののう胞が見つかったことになる。そして、今回明らかになったように長崎市、甲府市、弘前市での結果も福島県と同じであるとするなら、やはり同様に2000年の長崎での検査の3倍程度ののう胞が見つかったことになる。これは、福島県の学童が健康であるというよりも、放射能汚染が全国へ広がっていて、全国的に甲状腺がんの発症リスクが高まっていると読むべきデータだ。
なお、どちらにしろ、2000年の長崎での検査結果と比較できるように福島県での検査や今回の検査をやる必要があり、長崎での検査ののう胞の大きさがどうだったのかの正式な情報公開が必要だ。2000年時の検査機器の性能が現代のものと比べて劣るとしても5oのものが見つけられなかったとは思えない。
最後に、福島県での甲状腺検査結果が憂慮するべきものである理由をもう一つあげておきたい。それは平成23年よりも平成24年の結果が悪化していることだ。甲状腺に異常がある割合が10%程度増加している。このような増加はチェルノブイリ原発事故でも観察されたということで、全国的な被曝調査が必要だということだ。少なくとも尿検査をしてセシウムの被曝量を調べるべきではないだろうか。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています<<1374>>TC:38595, BC:21320
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