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2013-03-08 06:58:18 生き生き箕面通信
おはようございます。
生き生き箕面通信1537(130308)をお届けします。
・「脱原発こそ最良の防御だ」と、朝日の社説が力説
「原発は、テロやミサイル攻撃から守れるのか」は、以前から気がかりな問題でした。日本の原発は大量の冷却水を必要とすることから、海水利用のためすべて海岸に造られました。だから、海からのミサイル攻撃などにほとんど無防備という弱点があったのは、誰にも分かることことです。ただ、簡単に答えが出せないため、例によって日本流の「この問題はないことにしよう」と、できるだけ考えないできたのです。
いや、実際にはアメリカまで行って、「原発の守り方」を勉強してきました。アメリカでは、レーザー銃で武装した警備隊があり、「9・11」の同時多発テロ後は国内104基の原発のさらなる警備を義務づけたそうです。しかし、それでも十分ではないのが、悩みの種。コンピューター内に侵入してかく乱するサイバー攻撃には、銃は全く役に立ちません。
朝日新聞の本日3月8日の社説は、「日本では、原発内で働く作業員の身元も精査されていない実態が報告された」と指摘。未確認情報ながら、北朝鮮の労働党幹部が「ミサイルで日本の原発を攻撃すれば、広島型原爆の320倍の爆発が起こる」と講演したとも伝えました。
そうした多くの弱点を持つ原発に対し、この社説は「どうすべきなのか」と問い、「やはり、原発をできるだけ早く減らしていくしかない」と、結論づけています。見出しは、「脱原発こそ最良の防御だ」。朝日は「テロやミサイル攻撃から原発を守るのは、簡単じゃないか。原発をなくせばいいんだよ。なんでそんな簡単なことが分からないの」と、いっているのです。
安倍首相は、脱原発の意味が分からないどころか、原発再稼働をもくろみ、新設さえほのめかしています。そのうえで、「国民の安心、安全を守るのが、政府の役割」と、しゃあしゃあといってのけます。ついでながら、前の野田佳彦(わるひこ)という首相も、「消費税を上げない」と公約しながら、しゃあしゃあと上げて、ウソつき首相の面目躍如でした。日本にかぎらず、権力を握ったものは、ウソをつくものです。国家権力に対しては性悪説の立場で監視する必要があります。
カギは、国民の草の根の力であり、有権者の民主主義を生かすパワーです。そのためには、少しめんどくさいのですが、立ち上がることが避けられません。自分の頭で考え、自分の足で立ち上がりましょう。それしか、権力者からこの国を守る方法はないですよね。
◇
テロとミサイル攻撃―脱原発こそ最良の防御だ
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi
2013年 3月 8 日(金)付 朝日新聞社説
原発テロを想定した訓練を請け負う会社が米国にある。
レーザー銃で「武装」した模擬部隊を編成し、実際に原発に突入する。迎え撃つのはやはりレーザー銃を持つ発電所の警備隊。レーザーが当たれば相手は倒れる想定だ。テロリストに原発が占拠されるか、警備隊が勝利して安全を守りきるか。
米原子力規制委員会(NRC)が最低3年に1回、原発で行う「フォース・オン・フォース」という訓練だ。
演習後、NRCは徹底的に発電所の成績を評価する。
2001年9月11日の同時多発テロ以来、米国では原発へのテロを警戒し、全電源喪失に備えた機材の追加と訓練の強化を104基の原発に義務付けた。
今、それでもテロ対策として十分ではないという声がある。福島第一原発の事故が敵に弱点をさらけ出したからだ。
バックアップ機能も破壊し水と電気を遮断すればテロリストは福島の危機を再現できる。
使用済み核燃料の貯蔵プールが原子炉格納容器の外にある原発は、安全確保が不十分である。米NGO「憂慮する科学者同盟」の上級研究員、エドウィン・ライマン氏は福島が示したアキレス腱(けん)をそう指摘する。
■次の脅威への備え
米国の原発は、脅威の大きさに応じて設計基準を見直す「DBT」(設計基礎脅威)という考え方をとる。
テロや事故で原発の弱点が明らかになれば脅威のレベルはあがり、基準が修正される。福島の事故の後、NRCは改善策の導入をすすめている。
サイバー攻撃への警戒も高まる。システムに侵入され、電源系統の遠隔操作によって冷却機能がまひする恐れもある。
9・11以後、施設の改善に業界全体で12億ドルをかけたという米原子力エネルギー協会(NEI)は「世界貿易センター(WTC)に比べて核施設は小さく、飛行機によるテロ攻撃は困難だ。サイバー対策はネットを外部から孤立させれば心配ない」と説明する。
しかしサイバーテロに詳しい米科学者連盟のチャールズ・ファーガソン会長は「USBメモリーを持ち込めば、システムをウイルス感染させることはできる。相手は表も裏もある人間なのだから」と警鐘を鳴らす。
高まる脅威にどこまで対策を打つか。国際テロの再発防止に大国の威信をかける米国ですら、見えない敵への対処法は暗中模索である。
■ジレンマの中の日本
2月、日本の原子力規制委員会の緊急事態対策監がNRCを訪ねた。7月に策定する原発の新安全基準の骨子を説明し、意見を求めるためだ。
新基準の柱の一つがテロ対策だ。航空機激突で全電源が喪失する。その時に備え、原子炉を冷却するため電源設備を分散して配置する。100メートル以上離れた所に第2制御室も必要――。
これらの過酷事故対策を、今までのように電力会社まかせにせず、法律で義務化する。
日本はすでに国際原子力機関(IAEA)の核物質防護勧告に基づき、立ち入り制限区域の設定や重要施設周辺の柵、カメラなどの設置を進めてきた。
だが、今月4日に開かれた規制委の核セキュリティーに関する検討会の初会合では、原発で働く作業員の身元も精査されていない実態が報告された。
日本は他国から核セキュリティー後進国とも指摘される現状を、まず認識する必要がある。
他方で、民間警備員も武装する米国方式をそのまま導入するのは無理がある。では、どんな危機対応が最適なのか。ジレンマの中にある。
■核燃料は特殊容器に
「ミサイルで日本の原発を攻撃すれば、広島型原爆の320倍の爆発が起こる」。北朝鮮の朝鮮労働党幹部がこう講演したと、韓国のネットメディアが昨秋、報じた。
真偽は定かではない。だが現実に日本海沿岸のものを含めて多くの原発が、北朝鮮の中距離弾道ミサイルの射程内に入る。
2007年、イスラエル空軍の戦闘爆撃機がシリアに侵入、東部の核施設を空爆したとされる。原発攻撃は、あり得ない話と切り捨てられない。
国内の原発などには1万数千トンの使用済み核燃料がある。原発を再稼働すれば、新たに使用済み核燃料が出てくる。
どうすべきなのか。100%の迎撃率を望めないミサイル防衛に命運はあずけられない。テロ対策を無限に拡大するわけにもいかない。
リスクを減らすには、やはり、原発をできるだけ早く減らしていくしかない。同時に、プールにある使用済み核燃料を空冷式の頑丈な容器に移し変えていくことも必要だ。
安倍政権は、民主政権の「30年代の原発ゼロ」の白紙化を強調する。再稼働にも前向きである。原発攻撃へのリスクをどう考えてのことだろうか。
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