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緊急停止した減容化プラント
モデルプラントが連続して運転停止! 福島に建設中の高濃度セシウム汚泥減容化プラントに課題山積
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34998
2013年02月28日 伊藤 博敏「ニュースの深層」 :現代ビジネス
開いた口がふさがらない、とはこのことだろう。
山形県新庄市の脱水汚泥燃料化プラント(新庄プラント)が、2月23日、乾燥した汚泥を運搬するパケットエレベータのゴムチェーンの破断によって緊急停止した。
問題なのは、緊急停止が今年1月13日に続いて2度目であること。さらに問題なのは、新庄プラントが、現在、福島市堀河町終末処理場に建設中の高濃度セシウム汚泥減容化プラント(減容化プラント)のモデルプラントとして、関係者が最初の事故原因の究明に努めた矢先の事故であったことだ。
不具合や緊急停止で、セシウム汚泥が詰まったり漏れたりしたら、処理場の運転員、作業員の健康被害はもとより、近隣住民はパニックに陥りかねない。
いったい何があったのか。
■3社共同事業体の減容化モデルプラント
福島第一原発事故から約2年が経過したものの、ガレキ処理に除染に廃炉と、事故処理に絡む問題は山積したままである。
放射能に汚染された下水が集まる処理場の汚泥処理もそのひとつ。福島県内には31の下水処理場があり、多くがセシウムに汚染された状態で処理できず、袋詰めしてビニールハウスに保管する"緊急避難"が今も続き、総量は5万トンを超す。
福島市のJRA福島競馬場の近くに位置する堀河町終末処理場もそのうちのひとつ。毎日処理汚泥が6トン発生。今、1キログラム当たり5000ベクレル前後の放射性セシウムが検出されているが、事故から約50日後の2011年5月4日、44万6000ベクレルもの放射性セシウムが検出され、住民を不安に陥れた。
現在、処理場では場内のコンクリート反応層に袋詰め汚泥を保管。次々に反応槽はふさがっており、満杯は目前だ。
だから、減容化プラントが建設されることになった。反応槽内の袋をクレーンで吊上げ、自動開封装置で破り、汚泥圧送ポンプでプラントに運び、汚泥の水分を飛ばし、容積を5分の1にして、ドラム缶に詰め、再度、コンクリート反応槽に保管する。中間貯蔵施設が県内に設置されるまでは、この減容化でしのぐ方針である。
セシウム汚染廃棄物の処理基準は8000ベクレル。これ以上は「指定廃棄物」として国の処理が義務付けられる。
環境省は、減容化のモデルケースとして堀河町終末処理場を選び、昨年、公募して日本下水道事業団が統括、三菱総合研究所が放射性物質の対策、新日鉄住金エンジニアリングがプラントを建設するという3社共同事業体の案を採用した。
この減容化プラントは、環境省実施の放射性物質が含まれる下水汚泥の減容化としては国内初。それだけに環境省も実績を重んじ、新庄プラントで汚泥乾燥の経験のある新日鉄住金エンジニアリングに期待した。堀河終末処理場が市街地にあるため住民の不安も強いということで、福島市議会の建設水道常任委員会を中心とした視察団が、1月24日、新庄プラントを訪問している。
■システム全体に問題があるというしかない
最初の緊急停止は、その視察直前の1月13日に発生した。
環境装置メーカー幹部から、「もともと事故が多く、操業には技術とノウハウが必要なプラントだ。それを高濃度セシウム処理の現場に使って大丈夫か」という心配を聞いていた私は、事故後、すぐに新日鉄住金エンジニアリング広報部に、原因を問い合わせたところ、次のような回答が文書で寄せられた。
「(事故原因は)造粒乾燥汚泥を運搬するパケットエレベータのゴムチェーンの破断です。本年1月13日に発生、23〜24にチェーンの補修工事、1月26日よりプラントは運転再開。基本的には経年劣化が主原因と推定されますが、弊社も原因調査に協力していく予定です」
2月23日の緊急停止までわずか40日。今回は、さずがに「経年劣化」とはいえまい。といって、同じ場所だから同じ事故原因というのでもない。
新庄プラント関係者が心情を漏らす。
「いろんな意味で問題の多いプラントなんです。緊急停止時に、汚泥等の強制排出装置がありません。また、開放点検口が少な過ぎます。さらに、適正な粒径管理を行わないと、プラント内に乾燥汚泥が充満する恐れがあります。そんな扱いにくい装置を操業技術で乗り切ってきましたが、今年に入って2度の緊急停止は、システム全体に問題があるというしかありません」
それでも、新庄プラントの汚泥にはセシウムがない。故障の際、場合によっては人力で汚泥を掻き出し、灰を除去してきたのだが、それを高濃度セシウムの減容化プラントの現場でできるのか。
環境省廃棄物・リサイクル対策部の担当者は、2度の緊急停止にも動じていない。
「新庄プラントと福島の減容化プラントは別のシステムと認識しています。また、事故対応はしており、問題はないと考えています」
減容化プラントは、既に、40億円の予算が組まれ、1日に30トンを処理する装置が処理場内に組み立てられており、3月末に完成、4月から汚泥を投入しての試運転が実施される。
動き出した環境省の初事業を止めるわけにはいかないということだろうが、モデルプラントで発生した2度の緊急停止と同プラントの関係者が漏らす不安を、もっと真摯に受け止めるべきではないか。
3月中に実施される住民説明会で、厳しい質問が飛ぶのは必至だ。
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