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福島第1原発:ベント前 放射性物質の拡散 データは放置(毎日新聞)
毎日新聞 2013年02月22日 02時30分(最終更新 02月22日 02時42分)
http://mainichi.jp/select/news/20130222k0000m040137000c.html
福島県双葉町に残されたままの避難を呼びかけるアナウンス文書。緊張のためか、ほとんど判読できない=福島県双葉町で2013年2月8日、神保圭作撮影
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東京電力福島第1原発事故による放射性物質の拡散が、これまで考えられていたより早く11年3月12日早朝から始まっていたことが、福島県の観測データで裏付けられた。しかし、県がモニタリングポストの解析を終えたのは、政府や国会の事故調査委員会が最終報告書をまとめた後。現在進行している県民健康管理調査にも、このデータは反映されていない。被災者の健康に直結する「命のデータ」は事実上、放置されてきた。【神保圭作、栗田慎一】
県によると、津波で流されなかったモニタリングポスト20基のデータ回収を始めたのは、東日本大震災から約1カ月後の11年4月。19基を同7月までに回収し、一部の解析に着手した。しかし、残る1基を回収し全解析を終えたのは、最初の回収から約1年5カ月後の昨年9月下旬だったという。
この間、政府や国会の原発事故調査委員会が相次ぎ発足し、事故原因の究明にあたった。両委員会は昨年夏、最終報告書をまとめたが、県のデータの存在を把握しないまま解散したことになる。政府事故調の元メンバーで同県川俣町の古川道郎町長は「政府事故調で検証されなかった新事実だ。なぜ解析がこんなに遅れたのか。事故の検証は終わったとは言えない。継続的な検証態勢を整備すべきだ」と憤る。
一方、このデータは11年6月に始まった県民健康管理調査にも活用されていない。この調査は、県民から震災当時の行動記録の提出を受け、被ばく線量を推計する。今回明らかになったデータは、事故初期の「実測値」にあたるが、当時の線量はこれまで、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)で予測した線量が使われてきた。県立医大は「県の解析データを使うか使わないかは、議論している最中だ」としている。
県原子力安全対策課の担当者は毎日新聞の取材に「県内全域の放射線調査など他業務に忙殺され、結果的にデータ解析が後回しになった。大変申し訳なく、ただただ謝るしかない」と謝罪している。
これに対し、国会事故調に県民代表として参加した同県大熊町民の蜂須賀礼子さんは「県民の健康を真っ先に考えたならば、急いで解析されるべき『命のデータ』のはずだ。福島県の対応は(原発被害を受けた)県民として恥ずかしい限りだ」と話した。
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