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東京電力福島第一原発事故からまもなく二年。欧州では安全強化が建設コストを押し上げ、原発計画の見直しや凍結が相次いでいる。原発の経済性に疑問が浮上する中、それでも新規建設を着々と進める北欧フィンランド。その背景や、欧州への影響を現地で探った。 (フィンランド・オルキルオト島で、鈴木龍司)
◆巻き返し
首都ヘルシンキから北西に250キロ、ボスニア湾に浮かぶほぼ陸続きのオルキルオト島。一周12キロほどで、民家はほとんどない。記者が訪れた1月中旬、針葉樹の森は深雪に覆われていた。
島は、世界で初めて原発の使用済み核燃料など「核のごみ」を地中埋設する最終処分場「オンカロ」の建設地としても世界的な注目を集める。そのオンカロから西へ1キロ離れた海沿いでは、オルキルオト原発3号機(出力・160万キロワット)の建設が急ピッチで進む。
着工は2005年。8割ほど工事が進み、地上60メートルある巨大な外観がそびえる。1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で欧州の原発は逆風が続いただけに、建設を担う仏原子炉大手、アレバは「巻き返しの出発点にする」と鼻息が荒い。
◆運転先送り
同3号機は原子炉格納容器の壁を二重構造にするほか、電源喪失時でも原子炉を冷やす注水システムを採用するなど、テロや過酷事故(シビアアクシデント)対策を施した「世界一安全」が売り物。
ところが、新システムの開発などに手間取り、当初は09年だった運転予定が大幅に遅れ、そこへ福島事故が追い打ちをかけた。
現時点で、当初30億ユーロ(3,750億円)だった建設費用は、2倍の60億ユーロ(7,500億円)まで増える見通しだ。運営する国内最大手の電力会社、TVOの幹部は「福島事故を踏まえた安全基準や知見をすべて取り入れる」と、安全対策でさらに費用が膨らむ可能性を指摘。運転開始も早くても14年以降になる見通しで、幹部はビジネスの採算性についても「話せない」と言葉を濁す。
◆足並み乱れ
建設費の高騰は原発推進を掲げるフィンランド政府も揺さぶっている。連立与党の一角、緑の党党首も務めるニーニスト環境相は「原発はあまりに高い。その労力とカネをクリーンエネルギーにつぎ込むべきだ」と批判。今後、政権内で足並みの乱れが表面化する恐れもある。
同じ北欧でも、過去に原発建設を検討したデンマークは、再生可能エネルギーを選択。電力に占める風力発電の比率を現在の28%から30年には65%に増やす計画だ。リデゴー気候変動・エネルギー・建設相は「過去の試算で、原発コストは高いことが分かったからだ」と明快だ。
こうした見方にフィンランドのバパーブオリ雇用経済相は「原発は今でも重要な電源」と強調する。同国では、オルキルオト3号以外にも2基の新規原発を計画中。安定した電力供給体制を整えることで欧州各国から企業を誘致するほか、原発建設で国内の雇用を増やす狙いがある。
ただ、建設コストの高騰に不安を隠さず、こうも言う。
「電力会社は原発に投資を続けるべきか、判断を迫られることになるかもしれない」
2013年2月21日 東京新聞 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013022102000126.html
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