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東電は、2011年末の政府による「事故収束宣言」、昨年7月の警戒区域解除などを理由に避難住民への「賠償打ち切り」に動いている。
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http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-18/2013021801_03_1.html
「しんぶん赤旗」 2013年2月18日(月)
東京電力 賠償打ち切り急ぐ/精神的損害を狭める
東京電力が、福島第1原発事故に伴う損害賠償打ち切りを急いでいます。福島県内の原発事故被害者からは「私たちの苦しみをわかっていない」と怒りの声が上がっています。
住民ら「除染も終わってないのに」
東電は1月31日、旧特定避難勧奨地点の福島県伊達市128世帯、同県川内村1世帯(昨年12月指定解除)に対する精神的損害賠償を3月末で打ち切る方針を発表しました。これは政府の原子力損害賠償紛争審査会が賠償の終点について「解除から3カ月が目安」としたことを受け、東電がそれから一歩も出ない対応をしたものです。
しかも、同地点の解除は、生活圏の除染もまだ行き届かない中で、住民への相談もなく、一方的に行われたものです。
また、東電は昨年12月5日には、政府による避難指示区域外の中通りと浜通り32市町村に対して、妊婦と18歳以下の住民の昨年1〜8月分の精神的賠償と、全住民の精神的損害以外の賠償の追加基準を示すとともに、9月分以降は一律賠償を打ち切るとしています。
これらの地域は今まで妊婦と18歳以下を除く住民の場合、一律8万円または4万円という低額の賠償しか行われていないのに、今回発表した4万円という定額の上乗せで賠償を終了することになります。
東電による追加賠償基準の説明の中で表面化したのが、精神的損害をめぐる問題です。
東電は追加賠償基準に基づく請求書で、妊婦と18歳以下を除く住民の精神的損害賠償の項目に斜め線を入れ、それを認めず、精神的損害の終点は2011年4月22日だったとしています。原発事故1カ月余しか精神的損害を認めないということです。
原発事故から2年近くたっても約6万人が福島県外に避難し、県内では放射能への不安を抱えた生活が続いています。進まない除染、子どもを中心にした健康被害の不安、放射線量の解釈の違いからくる住民間の緊張関係など、放射能の不安からくる精神的苦痛は今も続いているのです。
住民からは「除染も終わっていないのに賠償を終わるとは何事か」という声がでています。
原発事故による精神的損害とは、「放射能への不安」が根底にあり、原発事故が収束して安心して生活できる環境が整うまで続くものです。政府の避難指示区域住民に限定されるものでもありません。
しかし、原子力損害賠償紛争審査会の精神的損害の扱いは、「避難生活により日常生活が阻害されたことにより生じた精神的苦痛」(11年8月の中間指針)と「放射能への不安」という観点の弱いものになっています。東電はその指針にそった形で賠償の打ち切りを進めようとしています。
東電と政府は、苦難が続く住民の生活実態に合わない賠償打ち切りを中止し、精神的損害を広く認めて原発事故被害者に誠実に対応すべきです。
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