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欧州原発事業、厳しい逆風 チェコの計画黄信号 収益性疑問視
SankeiBiz 2013.2.16 05:00
欧州の原発ビジネスが厳しい逆風にさらされている。地域の景気低迷に伴うエネルギー需要の激減で電力価格が急落。投資に見合う利益が得られないとして、原子炉の建設計画からの撤退が相次いでいるためだ。東京電力福島第1原発の事故以来広がる安全面での懸念と合わせ、域内の原発離れに拍車がかかる事態となっている。
米原子炉メーカーのウェスチングハウス・エレクトリックは、チェコ国営電力会社のCEZが保有する同国南部のテメリン原発の増設計画受注を目指し、チェコとロシアの合弁企業と争っている。原子炉2基を増設する同計画の契約額は欧州の原発事業としては過去最高の100億ドル(約9300億円)に達するが、ここへ来て計画の実現性に黄信号がともっている。
経済不振にあえぐ欧州ではエネルギー需要の縮小に加え風力、太陽光などの再生可能エネルギーの供給拡大によって電力価格が低下。原発の収益性を疑問視する声が市場関係者から上がるなか、チェコ政府が支援を打ち切るとの懸念が浮上しているからだ。
福島原発の事故以降、安全性の強化が叫ばれる原子炉の建設コストは増加の一途をたどっている。欧州では二酸化炭素(CO2)排出権の取引高も過去最低水準に落ち込むなど、化石燃料に対する原子力の優位性が失われつつある。
CEZの株主でチェコのJ&T銀行のエネルギー担当アドバイザーを務めるミハル・スノブル氏(プラハ在勤)は「現時点でテメリン原発をめぐる計画は市場原理にそぐわない。CEZにとってのみならず、チェコの国家全体にとっても極めてリスクが大きい」と警告する。
ドイツでは電力の卸売価格が2008年当時の2分の1以下にまで下落した。CEZのノヴァーク最高財務責任者(CFO)が先ごろ明らかにしたところによれば、原発への投資のリターンを確保したい同社は、最大株主のチェコ政府に対し将来にわたる電力買い取り価格の保証を求めている。
欧州ではすでにドイツ、スイス、イタリアが原発廃止の意向を表明。英国企業が出資を予定していた同国での原発新設計画も、コストが合わなくなったとの理由からこのほど停止に追い込まれた。このほかルーマニア、ブルガリアなど東欧諸国の計画も、資金不足から頓挫した状態が続いている。(ブルームバーグ Ladka Bauerova)
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