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2013年2月5日午後5時38分
福井県美浜町で4日夜開かれた関西電力幹部との原子力懇談会は、原発と「共生」「共存共栄」を訴える住民代表らの大合唱となった。高経年化(老朽化)が進む美浜原発の再稼働は見通せず、運転開始後42年の美浜1号機を後継機に置き換えるリプレース構想も棚上げ状態。生活、雇用などの不安もあり、国への不信感を口にする出席者が目立つ一方、新産業創出を並行して考えるべきだとの声も出た。
議事録によると、出席者からは「福島の事故後、現在も原子力政策が定まらず、再稼働の見通しも立っていない。この2年間は異常な状況だ」との指摘や「国の将来のために原発を受け入れたが、国が決めたことを、やめたらどうかと言われているような気がする」と不満の声が飛んだ。
美浜1、2号機は運転開始後40年を超え、3号機は36年を経過した。原子力規制委員会は新安全基準骨子をまとめたが、適合には「相当の費用と時間がかかる」(原子力規制庁)。敷地内の断層調査もある。原則40年に制限する運転期間を、例外的に延長するか否かの判断基準は今後検討されるが、延長適用は相当困難とも言われ、再稼働への道のりは険しい。
懇談会後の記者会見で美浜町漁協の高橋治組合長は「福島の事故は想像を絶する。漁業は壊滅的被害を受けた。放射能汚染があると、沖に出られない小さな船は操業できず、廃業せざるを得ない」と被害の大きさと不安を口にしながらも、「7月にできる国の新基準でスピーディーに対応してほしい」と注文した。
背景には、原発に依存する地域経済や雇用、財政の不安がある。
わかさ東商工会の国川清副会長は、原発長期停止に伴うアンケートで美浜地区会員333人のうち65%が既に影響を受け、25%は今後影響が出ると答えたと紹介。「美浜3号機事故などで安全重視の要望はしてきたが、今は難局を乗り越えてほしい。長引けば町自体いろんなことを縮小しなければならない」と早期再稼働を強く望んだ。
美浜町観光協会の金森悦子会長も「定検作業員の民宿は空っぽで廃業したいとの声もある。電気代がアップすると二重の痛手」と語った。
ただ、懇談会では基準が厳しくなり、再稼働できるか不安だとして「古いものは廃炉にしてリプレースと言い続けたい」との要望も強かった。
一方、出席者の中には新産業創出、新エネルギー開発も提案すべきだとの意見もあったという。ある出席者は「原発一辺倒ではいつまでも変わらない。町のために原発と新産業の両にらみも必要ではないか」と語った。
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