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福島市内を12kmにわたって練り歩いた大わらじ。
長さ12b。重さ2d。90人余の男たちが担いで信
夫山の羽黒神社に奉納した。
依然として高線量の福島市・信夫山で2月10、11の両日、伝統行事「暁まいり」が行われた。宅地除染が行われるなかを巨大なわらじが奉納され、若者が走る。参加者は口々に「放射線量を気にしていたら福島には住めない」と言い、主催者も「福島を盛り上げるためには何か動かないと」と話す。復興の向こう側に隠された被曝。誰もが被曝の危険性は認識しながらも、「しょうがない」と覆い隠す。二日間の行事を通し、被曝と復興のはざまでジレンマを抱える市民たちの苦悩が伝わってきた。
【「明るく前向きに考えよう」と祭りに参加する若者】
午前9時すぎ、長さ12b、重さ2dの大わらじが、90人余の担ぎ手に担がれ、信夫山麓の御山地区を出発した。目指すは山頂の羽黒神社。1月11日に、昨年奉納した大わらじを解体して約1カ月。「測定したが下限値以下だった」(御山敬神会)という稲わらを使って作り上げられた大わらじが、白装束の男たちの手で福島市内を練り歩く。
福島駅前などでは、天狗の神楽も披露された。休憩時には、多くのお年寄りなどがわらじに触れ、手を合わせた。関係者らは、300年とも400年とも言われる伝統を絶やすわけにはいかないと口々に言う。しかし一方で、出発地近くの「三本松」バス停で、手元の線量計は軽く1.0μSVを超した。信夫山周辺は、依然として高濃度汚染が続いているのが実情だ。
「みんな分かっているさ。関心ないような顔をしているけどね。」
御山地区に住む70代の男性は大きくうなずいた。
酒を飲み交わせば、放射能の話題になる。「除染は口封じなんじゃないか、アリバイ作りなんじゃないか、と誰もが頭に来ているよ」。特に信夫山周辺は、宅地除染をしても雨などで山から汚染物質が流れ込み、再び放射線量が高まることを知らない人はいない。この男性の自宅も、昨秋の時点で庭が1.8μSVもあったという。
しかし、担ぎ手として参加した男性らは、口々に被曝の危険を否定した。
「無関心ではないけれど、気にしても仕方ない。どうしようもないじゃないですか。明るく前向きに考えましょうよ」(27歳)。「飯坂に住んでいるけれど、いちいち測定して気にしていたら住めないよ。まあ、時間の経過でマヒしている部分もあるけどね」(50代)。
医療機関で働く30代の放射線技師も「浴びないに越したことはないけれど、洋服一枚で外部被曝を防げるレベルの低線量ですからね。気にしすぎる方が身体に良く相んじゃないですか。中国にもブラジルにも放射線量の高い地域があるけれど、早死にしているわけではありません。私が仕事で浴びている放射線量の方がよほど高いですよ」と笑顔で話した。
【自宅を新築しちゃったし…葛藤する母親】
大わらじは、信夫山のふもと、黒岩神社から先は、担ぎ手に加えて一般市民もロープを引きながら羽黒神社を目指した。「夫がわらじを担いでいるし、子どもも参加したいと言ったので来ました」。30代の母親は、幼稚園の年少と小学1年生の二人の息子と共に羽黒神社を目指した。「まだ放射線量が高いことは分かっています」と話す母親。「でも、自宅を新築しちゃったし、受け入れるしかないんですよ。もちろん、被曝は心配だから、子どもにはマスクをさせていますし、ドングリを拾わないように注意するようにしています。危険なポイントを避けながら生きて行くしかないですよ」
25年以上にわたって大わらじの奉納に参加し、「担ごう会」を復活させたという50代の男性は「羽黒神社に参拝するのは、足腰の丈夫を祈願するお年寄りが多いからね。子どもたちはそんなにいないでしょう。それに、今年は暁まいりの開催にあたって市が除染をしました。放射線量は下がっているはずです」と苦笑した。「山ですからね、除染しているといっても…」と市職員は話したが、森林除染の難しさは、実は多くの市民が分かっている。実際、麓の駒山公園のモニタリングポストは、依然として1.2μSVを超す数値を示し続けている。
大わらじの奉納が無事に終わると、担ぎ手たちは万歳三唱で締めくくった。集まった見物客らも両手を挙げて万歳をする。盛り上がる伝統行事の陰に隠れた高濃度汚染をしかし、忘れてはいけない。
【高線量下を走る女子中学生】
わらじが奉納された翌11日。雪が舞い、気温も0℃前後に下がった極寒の信夫山を、130人の男女が走った。
福島青年会議所(JCI)が主催した「第一回暁まいり 福男福女競走」。麓の黒沼神社から約1km先の羽黒神社を目指す。奇抜な衣装に身を包んだグループや、地元テレビ局の女性アナウンサーの姿もあった。開会式で、JCIの理事長は「われわれが楽しい事業をすることで、苦しんでいる子どもたちに夢や希望を持ってほしい」とあいさつした。
スタート前、伊達市の女性(22)は満面の笑みで「被曝?被曝したらしたでしょうがないですよ」と話した。「やっぱり福島を離れたくないんです。それに、福島の男性と結婚するとしたら、相手だって被曝している可能性があるわけでしょう?そしたら、もう考えてもしょうがないですよね」
エストニアから来日、福島の女性と結婚して福島市内で暮らしている男性(26)も「放射線?全然気にならないね。この程度の数値なら大して高いとは思わないよ」と首を振った。
39歳の男性は、3歳と6歳の二児の父親。「1.0μSVくらいで気にしていたら、福島市には住めないですよ」と苦笑する。「もちろん、子どもたちは被曝しないように注意はしています。以前、信夫山に遊びに来たこともあったけれど、線量が高いことを思い出してすぐに帰りましたしね。でも、全く外出させないわけにもいきません。ホットスポットには近づかないように気を付けて生活していくしかないんですよ」。
初代福男の座を射止めたのは、毎日のように信夫山を走っているという男性。そして、初代福女は中学生だった。閉会式で、自身も学生服姿で走った応援団員の学生が「頑張れ頑張れ福島」とエールを送った。会場のあちらこちらから「こういうイベント良いよね」「毎年やって欲しいね」という声が聞こえてくる。復興も大切だが、被曝回避も重要な問題。しかし、「がんばろう福島」のムードの中では、「被曝」などかき消されてしまう。
「まつり継承委員会」の委員長として今イベントの準備を進めてきた男子スタッフ(32)は「何もやらなければ何も変わらない」と話す。
「避難で子どもたちが減っていて、市のシンボルである信夫山の広場にも子どもたちが来なくなってしまいました。こういうイベントをやらなくても、部活動で子どもたちは信夫山を走っています。それならば、多くの人が集まり、メディアにも取り上げてもらえるイベントをやろうと思いました。開催すれば、否定的な意見も表に出てくるでしょう。そんなに人が集まるのなら除染をもっと進めようということにもなるでしょう。とになく、動かない事には仕方ないと思います」
福島市民を中心に130人が参加した「福男福女競走」。
放射線量が依然として高いなか、初代福女の座を射止めたのは女子中学生だった=黒沼神社
http://ameblo.jp/rain37/entry-11467397194.html
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