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「低線量被ばくの健康影響:国際機関の放射線安全概念を問う」
アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会 (2012.12.14)
(通訳の方の言葉をそのまま書き起こしています。間違いなど気づきがございましたらコメント欄からお知らせくださいませ。)
講演部分【文字おこし】@11:04〜
私にとって、ここで皆さんにお話することは、とても嬉しいことですし、この講演は私にとって大変重要なものであります。
私は生物学者であり、大統領に対する生物学担当官(?)でした。私は10年以上にわたってチェルノブイリ事故の影響について研究しています。そして私は日本にとってチェルノブイリの本当の影響がどういうものであったかということを知るのが非常に重要であるということがわかっています。
私のチェルノブイリに関する本は、最初ロシアのサンクトペテルブルグで、それからアメリカのニューヨーク、そしてウクライナのキエフで出版されました。そしてこの本が3ヶ月か4ヶ月後には、日本で岩波書店によって出版されるということをお伝えしております。
「チェルノブイリ」が示したのは、「低線量放射線というものが重要ではない」というふうに思われていましたけれども実際には非常に大きな意味を持つということです。
明日私はチェルノブイリの影響についてお話をしますが、今日ここでは低線量被曝についてお話をしたいと思います。
そして私がこれからお話しますことは、ニューヨークで出版される雑誌「health&solution」に掲載されることになっております。口上が長くなりましたけれども、これから私の報告をさせていただきます。
*** 福島とチェルノブイリに関して、なぜ原子力推進論者たちと普通のまともな人たちとの間に論争が起こっているのでしょうか?
原子力推進論者たちは、「1mSv/人/年という低線量被曝は人間にとって危険ではない」、と言っています。
そして日本においては、「20mSv/人/年でさえも危険ではない」、と言われているそうですが、これはもう気違い沙汰です。
実際のところは、公式に計測されたと言われている放射線量というものは計測不可能なものです。
そしてここに放射線量についての8つの前提が書かれております。
これから8つの前提の一つ一つに検討を加え、これが間違っているということを証明したいと思います。
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*** 資料の書き出し
2012年12月14日
低線量被曝の問題:公的な放射線安全概念の不正確さ
アレクセイ・ヤブロコフ ロシア科学アカデミー、モスクワ(yablokov@voxnet.ru )
●放射線安全に関する現在の制度は「実効線量」概念に基づいている。
国家の放射線安全基準は「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)と国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づく。
これらの組織は許容できる放射線レベル(1年間に100万人に一人の追加的死亡)を1mSv/人/年としている。
●放射線安全の基本的な線量の概念は、必ずしも満たされない いくつかの前提に依存している。
@ 個人の実効線量は全ての放射線核種から生じる内部被曝と外部被曝の合計である。
A 外部被曝レベルは、電離した環境において時間の経過により計算され、内部被曝は水・空気・食べ物を通じて体に入る放射線核種の量を通じて計算される。
B それぞれの放射線核種の影響は時間と空間において一定である。
C X線、すべてのγ放射体とβ放射体の生物学的効果は「1」、低速中性子「1」、α放射体と超高速中性子は「20」
D 相対的な放射線感受性:性腺の0.2から皮膚の0.001まで
E 20歳で体重70kgの健康な白人男性の平均的な体の均質のファントム(「仮定の人」)人体への放射線影響のモデリングを認める。
F 放射線量が高いほど、生物学的影響が高くなる。
G 低線量被曝に関する研究が、ガン疾患およびいくつかの遺伝子疾患のみを考慮に入れているが、これらは数百万人に数人しか生起せるのが困難である。
●@〜Aの立場は計算上、非現実的であり、B〜Gは科学的に不正確である。
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18:21〜
最初の2つの前提。これは実践的に全く不可能なことですし、それ以下のものは科学的に不正確です。
第1の前提とは、「実効線量というのは、内部被曝と外部被曝の総和である」というものです。
しかし、チェルノブイリにおきましても福島におきましても、あまりにも様々な放射線核種が放出されたために
それを全て計上するというようなことは不可能です。
原子力推進論者たちが、基準として放射線核種として取り上げているのは、ヨウ素131とセシウム137だけです。
しかし、チェルノブイリ以後、ウクライナの首都であるキエフには、あちこちにセシウム137がありますが、キエフにとって放射線核種として重要なのはセシウム137ではないのです。
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それから福島の後、どういった放射線核種が放出されているか見てください。
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ヨウ素やセシウム以外にどれだけたくさんの放射線核種が放出されたか、これは非常に強力なものですが
こうした放射線核種については取り上げられていないのです。
*** ですから原子力推進論者たちが、内部被曝や外部被曝の影響を考慮するとかいっても、このセシウム以外の放射線核種について取り上げていないのに、どうやって内部被曝を考慮することができるのかわかりません。
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ギリシャではチェルノブイリの降下物として、放射性銀、つまりセシウム137だけではなく他の放射性核種、ギリシャの場合ですと、放射性銀についても考察しなくてはいけないわけですが、これは福島に関しても同じことが言えます。
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それから放射線、X線ですとかガンマ線、ベータ線についてなんですけれども、これについてはどのようにして計上することができるというんでしょうか?
このように@で取り上げられている「内部被曝と外部被曝を合計する」ということは、理論的には可能であっても実際問題としては不可能ではないでしょうか。
では内部被曝についてですが、内部被曝というものは、それぞれの人がどれだけ水を飲んだか、どれぐらい牛乳を飲んだかといったことによって決まります。
内部被曝に関しては、それぞれの放射線核種が体内にどれぐらいとどまっているかという平均値を求めなければなりませんが、放射線核種によっては5日しか持たないものもありますし、80日持つものもあります。
非常に長い半減期を持っているもの、たとえばストロンチウム85は骨髄の中に入ると50年そこにとどまっています。ストロンチウム85に関して言いますと、平均寿命は2〜3ヶ月です。
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それともうひとつの大きな科学上の誤りは、チェルノブイリ事故が起きてからの最初の年には被曝量が減少しました。
というのは放射性物質が土壌の中に降りていたからです。それと同様に今こちらの福島でも同じことが起きています。
つまり被曝線量の減少ということが起きています。
しかし、5年後には汚染はまた広がってきます。なぜかというと土壌に入った放射性核種は根の成長といっしょにまた上がってくるからです。たとえばストロンチウムは半減期30年ですけれども、根っこによって吸い上げられて表面に出てくるんです。
つまり最初に見られた放射線核種が、別の放射線核種にとって変わっていくというチェルノブイリで起きたことが福島でも起きるでしょう。セシウムやストロンチウムは、10年〜15年という半減期を持つものですけれども、それ以外にもっと半減期が短いけれども強い作用を起こす放射能を持つものがあります。
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先ほどのギリシャでもホットスポット上の地図を見ましたけれども、地表から10m?下がったところの放射性濃度というのは十何倍にも多かったり少なかったりすることがあります。
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*** ですから住民にとっての1mSv/人/年という平均値あるいは基準値というものは、全くのおとぎ話であって放射線量、被曝量というのは人によって非常に違うものです。
原子力屋の測定によると、それぞれの放射線核種の生物学的影響は、1〜20までにランク付けされます。
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37:06〜
*** しかし、人間の体内でも放射線の影響というのは、細胞や臓器の状態によっても変わってきますので、平均値ということ自体が不可能なことです。
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それから、前提のD番ですね、臓器の相対的な放射線感受性のことで、生殖腺の0.2.から皮膚0.001まで、というようなことが、原子力屋によって言われていますが、これもまた科学的ではなく、臓器の放射線感受性というのは人によって非常に違っていますので、これはあまりにも単純化され過ぎていると言えましょう。
それからもうひとつの「1mSv/人/年は許容できるレベルである」それが科学的に正しくないというもう1つの理由は、この放射線の影響を受けるモデルとして考えられているのが、20歳、体重70kgの健康な白人男性が仮想的なモデルとされているからです。
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こうした平均的なファントムのような人が存在するのではなくて、人によって放射線感受性というのは非常に違っていまして、14%の人たちが放射線に対してそれほど感受性が強くないとすれば、20%の非常に強い感受性を持った人々がいるというわけです。ですから人の放射線に対する感受性というのは非常に違っております。それから民族的な違いというのも、たとえばモンゴロイドであるとかあるいはアングロサクソンであるとか、そういった民族種の違いといったものも放射線に対する感度の違いをもたらします。
それともうひとつの科学的でない前提は、放射線量がすごく影響に反映するということです。
放射線量と生物学的影響が存在するのはこのまっすぐの線のラインのところだけです。
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20mSv/人/年であるとか、それ以上の放射線量になりますと、放射線量と生物学的影響というのは比例する関係になりますが、より低線量の場合は線量が小さくても、生物科学的影響は大きいので直線的な影響ということにはなりません。
*** もうひとつの、原子力推進派たちが言っていることで大きな誤りは、「放射線の影響によって起きる病気というのはガンとほかのわずかな病気だけである」ということです。
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今ここでは一つ一つあげませんが翻訳の方にあると思うんですけれども、要するに慢性疾患や遺伝子性疾患だけではなく、非常に放射線というのは病気に対する大きな影響力を持っています。
この中でも特に顕著なものについて申しますと、この放射線の大きな影響というのは老化を早めるということです。 これはある年齢の人たちが、その実際の年齢よりもずっと老けてしまうということです。
たとえば除染作業員の外見というのはパスポートに書いてある年齢よりも7・8歳上に見えます。
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*** 第2の結論ですが、「人間によって許容できる放射線レベル」、つまり先程から出てます1mSv/人/年というのは、信頼できる科学データに基づいていないということです。
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49:51あたり〜
この放射線リスクモデルは、広島・長崎の原爆生存者のデータに基づいております。
しかしこの日本人の被爆者たちのデータというのは最初から捏造されていたということを言わねばなりません。
というのは、この広島・長崎の原爆生存者のデータというのは、1950年からはじめて統計化されたものだからです。
それまでに何万人もの人々がすでに亡くなっています。そしてこの1mSv/人/年ですとか20mSv/人/年という放射線安全概念というのは、もともとは戦場によって、兵士が何時間かあるいは、何日間か生き延びられればいいということを前提とした上での数字だということです。
それから原発作業員の放射線防護に関しては、労働現場においては、どういった放射線核種があるかということが
わかっているわけですから、より簡単に想定できるものです。
*** そこで第3の結論としましては、こういった公式の放射線被曝に関する概念といったものは、チェルノブイリですとか福島の人々に対して用いるには適切なものではないということです。
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このあと、私の手元に2枚のスライドがありますが、今までお話して来たような理論的な専門から離れて実際的にどうなっているか見てみましょう。
2週間前に私のドイツの友人である、アルフレッド・ケルプライン博士という人がドイツの雑誌に発表したんですが、この論文のタイトルというのは、「福島における乳幼児の死亡」というものでした。ケルプライン博士が用いたデータは日本の厚生労働省によるものです。皆さんもこのデータを見ることができます。そして今どういうことになっているか見てみましょう。
これは2002年からの日本における乳幼児の死亡数です。
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福島の事故が起きた直後、それから2ヶ月後に乳幼児の死亡数が非常に増加しております。
この今までの平均的な値から離れているということは、これは偶然ではなくて実際の統計上の事実です。
私は強調したいと思いますけれども、日本全体にとって、このデータは何を意味するんでしょうか。
これは日本全体の乳幼児死亡数の分布なんですけれども、東京ではこの平均値からの増加というのはもっと大きいものです。
そしてケルプライン博士の論文によれば、南ドイツのバイエルン地方においてもチェルノブイリ事故の2ヶ月後および10ヶ月後に同じような乳幼児死亡率の増加が見られたということです。
2番目の図ですが、これは出産数です。真ん中の太い線が日本の平均値を表しております。
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それが福島の事故から9ヶ月経って日本の出産数は非常に減少しております
いまこの論文は発表されたばかりですので、いろんな方面から検討されるでしょう。
そして福島の制度がないという別の説明がされるかもしれません。しかし私は福島の事故以外の説明はありえないと考えています。
南ドイツの強度に汚染された地域でもこれと全く同じ統計が見られました。
*** これまで話したことから、そしてこのグラフから、みなさん自身で判断していただきたいと思います。
この自分の発表の中で私は、「低線量被曝は危険ではない」という概念についてずっと批判をしてきたわけですけれども、実際にこの2つのグラフによっても、「低線量被曝は危険だ」ということが示されているのではないでしょうか。
私は細かいところは、みな端折ってお話しましたのでもしご質問があれば、お返事しようと思います。
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【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 @〜D
@http://bit.ly/UblzuJ
Ahttp://bit.ly/Ublqrq
Bhttp://bit.ly/UblmI0
Chttp://bit.ly/TD4eJY
Dhttp://bit.ly/TD4Hfo
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- Re: ヤブロコフ博士講演の資料、「市民社会にとってのチェルノブイリ原発事故の教訓 」 mainau 2013/2/14 19:21:21
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