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ヨアヒム・ラートカウは著書「ドイツ反原発運動小史」の中で次のように語っている。
「単純な二項対立では解決できない。推進派も一枚岩ではない。ムラの中にも利害の対立があり意外にバラバラだと云うことが分かった。」
日本の反原発運動は一面的で複雑なエネルギー問題に対処する力が弱い。
「単純な二項対立では解決できない。推進派も一枚岩ではない」と云うのは日本に向けての忠告ではないか?
典型的事例が2月9日の毎日新聞の報道で示されている。
東京電力が計画する石炭火力発電所の新増設を巡り、経産、環境両省が対立している。東電が実施予定の石炭火力の入札に対し、環境省が地球温暖化への影響を理由に懸念を表明、供給力増強に理解を示す経産省と意見の対立を生んでいる。
東電は赤字750億円に拡大3月期の連結決算見込みを1200億円に下方修正する予想だ。原発稼働停止により火力発電の燃料費が予想より増える上、円安の影響も上積される。先にも述べたように旧型石油火力をピークで20%も比率を増やしていること、新型火力にリプレースする設備改革を怠ってきたことのツケなのだが、起こっている現実に東電自体の内部でも矛盾した対応が生まれている。
一方では原発の再稼働を求める動きがあり、他方では北米の「シェールガス」の権益取得に走る動きがあり、遅ればせながら新型火力・ガスコンバインド(MACC)の大型プラントを進める計画も持ち上がっている。背に腹は代えられないのが実情だろう。
使用済み燃料の処理についても綱引きが行われている。
経産省の職員がトラブル続きの六ヶ所村再処理工場について尋ねると、関電職員は「危ないんです」と答えた。当時、漏水や施工ミスなどが多発し、官民ともに「危険性がある」と云う認識で一致していた。一方幹部は「投資が巨額で自分たちからはやめられない、国が「やめる」と云えばやめられるかもしれない」と云っている。
首相直轄の「原子力改革委員会」の重鎮は「君らの主張は分かる。でもね、サイクルは神話なんだ。神話がなくなると、核のゴミの問題が吹き出し、原発そのものが動かなくなる。六ヶ所は確かになななか動かないだろう。でもずっと試験中でいいんだ。あそこが壊れたそこが壊れた、今直しています。でいい。これはモラトリアムなんだ」(毎日新聞2月5日朝刊「虚構のサイクル」「ずっと試験中でいいんだ」の記事)
青森県六ケ所村の再処理工場を動かすと18兆8千億のコストがかかるとの公表もあった。
日本原燃が破たんの危機にある。間もなく償還期限をむかえる社債の償還が不可能とされている。政府資金の大量投入しか回避の道はなさそうだ。
このような破滅的状況の中で推進派からも反原発派からも真剣な議論が生まれず、すれちがいの議論ばかりに終始している。この現状にヨアヒム・ラートカウが懸念するのは脱原発先進国として当然ではないか。
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