http://www.asyura2.com/13/genpatu30/msg/191.html
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福島第一原発1号炉の非常用復水器が壊れた?
2月7日の朝刊で朝日新聞が「東電、国会事故調にウソ 『原発内真っ暗』→調査断念」と言う見出しで、事故当日の作業員の方から原子炉建屋の4階で出水があったとの証言を得たため、国会事故調が4階にある非常用復水器が壊れた可能性があるとして4階の調査をしようとしたところ、東電が虚偽の説明をして調査を妨げられた報じている。
( http://www.asahi.com/national/update/0207/TKY201302060574.html )
この記事によると、国会事故調の現地調査の責任者であった田中三彦元委員は、衆参両院議長に非常用復水器の調査実施を申し入れる方針だという。
自分は田中三彦氏とは違った見方をしている。ただし、もちろん非常用復水器が壊れた可能性がないとは言わない。
ともかく、この報道はおかしな点がいっぱいある。以下、朝日新聞の紙面の記事を参考にしておかしい点を挙げていく。
紙面にある文面を*「 」で挙げ、次にその問題点を述べる。
*「国会事故調は、2011年3月11日の地震発生直後に1号機原子炉建屋の4階で『出水があった』との目撃証言を複数の下請け会社の労働者から聞いた」
問題点1.原発作業員の聞き取りをしたとしているが、ほかには聞いていないのか。いったい何人聞いたのか。
http://naiic.tempdomainname.com/pdf/naiic_honpen.pdf
国会事故調の報告書がある。検索がかけれるので「作業員」で検索をかけてみてほしい。10個もひっかからないので、すぐに前後の内容はチェックできる。作業員に聞き取りをしたというようなことは全く出てこない。また詳細目次と言うものも付いている。そこを見ても、作業員とか労働者の証言とか聞き取りといった項目はない。
つまり、この記事で述べている聞き取りを本当にやったのかどうか、それ自体が疑問にさえ思えるのだ。
問題点2.そもそも、事故当初、スポーツ新聞では大量の水蒸気の吹き出しがあったという報道がされていた。水蒸気の噴き出しと「出水」とは根本的に異なる。
*「田中元委員長は最終的にこの『中は真っ暗』を理由に調査を断念した」
問題点3.中が真っ暗でも懐中電灯を使うことができる。それ以外にもいろいろな照明方法がある。そもそも建屋カバーを設置した後だから、建屋の外からいくらでも配線はできるし、その配線をカバーの中に入れて、照明器具を取り付けることができる。
問題点4.これが最も大きな問題点だが、そもそも監視カメラ映像があって、それをチェックすれば済むことだ。東電やIAEAが設置した監視カメラがあり、原子炉建屋やタービン建屋の各所につけられていたはずだ。しかも、それらはリアルタイム監視の必要性があるから、オンラインで映像が外部へ、つまり、東電本社やIAEAの本部などへ送信されていたはずだ。少なくとも、津波が来るまでの30分以上は電源が生きていたわけで、オンラインで映像が外部へ送信されている。それをチェックすれば済む話だ。地震当時現場で作業をされていた作業員の方の証言とこの監視カメラの映像が公開されないことが今回の原発事故の実態隠しをよく表しているし、地震でかなり原子炉本体が壊れたはずだということを示唆している。
そのほかにもいくつかおかしな点がある。その一つが何がいつと言う情報が抜けている点だ。
まず、いつごろ「出水があった」との目撃証言を複数の下請け会社の労働者から得たのか、それがはっきりしない。国会事故調が発足したのが2011年つまり事故があった年の12月だ。半年以上たってからの発足であり、普通に考えるとこの後聞き取りをしたはずだ。しかし、事故当日にいた現場作業員がこの時期に残っていたとはどうも思えない。線量の問題があるし、実際たしか100名程度の方が行方不明になっていて連絡が取れないという報道があったはずだ。国会事故調が実際に作業員の方に面接をしたのなら、当然、その時点で、「出水があった」という作業員の方の証言があったと記者会見で発表してもいいはずだ。つまり、「非常用復水器に地震被害があった可能性があり、緊急に非常用復水器の点検が必要だ。このままでは次の地震で福島第一原発のほかの原子炉なり、または浜岡原発やそのほかの原発で同じような地震被害が発生する可能性がある。緊急に福島第一原発1号炉の非常用復水器の点検が必要であり、早急に東電と政府および電力各社の対応を求める」というような記者会見さえしてもいいほどのものだ。ところがそれをしていない。
次に、いつ建屋カバーに太陽光の透過性があることに気が付いたのかが不明だ。福島第一原発1号炉の調査を決めたところ、それにたいして、東電が、(紙面によると)「昨年2月28日午後7時ごろ、玉井俊光企画部部長(当時)らが衆議院第2別館を訪問」して、原子炉建屋カバーを付けたために「今は真っ暗だ」、「照明もついておりません」という説明をしたということになっている。そして、この「今は真っ暗」を理由に田中元委員は調査を断念したという。しかし、原子炉建屋カバーは太陽光をある程度透過するものであり、また建物内に照明も新たにつけられていたので東電は虚偽の説明をしたのだということになっている。しかし、いったい、いつ虚偽の説明だと分かったのか。そもそも、建屋カバーに太陽光の透過性があることをまったく昨年2月の段階、つまり、建屋カバーができた後の時点で田中元委員やその他の委員の方たちは知らなかったのだろうか。つまり、一回も現場に昼間足を運んでいなかったということなのだろうか。または、どんな建屋カバーをつけるかと言うことについて事前に、または建屋カバーが完成した時点でほとんどつかんでいなかったということなのだろうか。紙面には「11年10月28日」にはカバー内に強力な水銀灯が取り付けられていた書かれている。ということは、国会事故調が2011年12月8日に発足したのだから、発足前に照明がついていたことになる。現場調査の責任者であった田中元委員は、事故調発足当初から少なくとも翌年の2月末まで、そういった説明も受けていなかったし1号炉の現場へ行っていないということになる。これは多分かなり不自然だ。
以上おかしな点がいろいろあることは納得していただけただろうか。では、なぜ、こういったことが今頃になって言われているのか。
まず、第1に、地震で原子炉本体は壊れていないという印象をこれで与えることができると思う。
次に、地震で壊れた部分が非常用復水器であり、非常用復水器の修理をしなければいけないということで原発の稼働をさせずに停止状態で置きたいという意向があるのかもしれない。しかし、多分、確認をすればすぐに非常用復水器が壊れたのかどうかははっきりするし、壊れていないという結論になるかもしれない。そして、何よりも重要なのは、仮に非常用復水器が壊れたということが確認されたとしてもそれは単に非常用復水器の修理ということにしか結びつかないことがある。原子炉本体が地震で壊れたはずであり、現実的に次の原発事故を避けるためには、廃炉にして、核燃料を乾式キャスクで保管するしかないからだ。つまり、今回のこの復水器壊れたはず騒動は、原子炉本体が地震で壊れたかどうかの確認を回避していることが問題であり、監視カメラ映像が公開されていないことや次に述べる現状を考えれば、原子炉本体が壊れたことはほぼ確実だ。
原子炉本体が地震で壊れたことを示すことには次のようなことがある。
1.スピーディのデータが公開されなかった。このシュミレーションデータを公開していれば、水素爆発による被曝をあまりしないで済んだ可能性があると指摘されている。そして、公開しなかったのは互いにそれが自分の担当ではないと考えたからだとされている。しかし、スピーディのデータを公開しなければ避難がうまく行かないことは誰でもが分かることであり、実際にはスピーディによるシュミレーションは何回もされていて関係部局はそれを見ていた。地震による原発からの放射能漏れで地震の直後にかなり広い範囲に放射能漏れがあり、それでかなりの人々が相当程度の被曝を地震直後にされていたはず。スピーディのシュミレーションデータを生かして避難してしまうと水素爆発での被曝が避けられてしまうので、いつ被曝したのかが後で問題になってしまう。そのため、水素爆発後の避難時にわざわざかなりの被曝をさせたということだ。ただし、だれがこういった判断を行ったかと言ったら、多分日本政府関係者でも東電関係者でもないと思う。
2.安定ヨウ素剤の配布や服用をさせなかった。配布をした自治体には福島県が回収を指示した。安定ヨウ素剤も水素爆発を見て配布されている。だから、安定ヨウ素剤を服用すれば水素爆発による被曝をある程度ではあるが防げた可能性があった。つまり、水素爆発による被曝をさせて、地震直後の放射能漏れによる被曝を隠したかったのだ。
3.事故当初から1か月間かそのぐらい注水した水の行方について全く報道がされなかった。僕は、このことについて、ひょっとしたら壮大なお芝居が今でもされていると考えている。つまり、今でも注水した水のほとんどはダダ漏れしている可能性があるのだ。原子炉建屋のそばに立坑を掘って、どの程度まで核燃料が落下しているか、原子炉建屋の土台のコンクリートを溶かしてその下の岩盤にまで達しているかの調査をしようとしていない。この調査は多分1週間100万円ぐらいでできるはずでなぜやらないかとても不思議だ。更に冷却水の取り入れ口や排水溝のある港の外洋への出入り口を閉ざそうとしていない。つまり、網をかけて魚の出入りを妨げているだけだ。しかし、港に面した側壁から水が漏れていた事象があり、港の中の水は相当程度に汚染されている。当然、外洋へ港の中の海水が出ていくことを止める必要があるわけでそれがされていないのは今でもかなり水漏れがあるからだろう。ともかく、注水は格納容器へ核燃料を冷やすために行われていたわけで、その配管の一部が壊れていたのは確実だ。だから、その破損個所から外気へ放射性物質がかなり放出されていたはずなのだ。
ともかく、非常用復水器の故障ということで再稼働にストップがかかることはある意味いいことかも知れない。しかし、現実には直下型の地震で一気に原子炉本体が壊れる可能性がかなりあり、その場合は停止していても放射能漏れはかなり起こるはずだ。根本的な解決をやはり求めるべきではないだろうか。なお、直下型の地震で原子炉が壊れるという根拠は地震衝撃波にある。そのことは次の記事を参照していただきたい。
地震衝撃波が日本の学界では無視されている。岩盤の上に建てられている原発は特に危険だ
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/282.html
投稿者 taked4700 日時 2012 年 9 月 13 日 04:17:09: 9XFNe/BiX575U
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1325>>TC:38426, BC:18676
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