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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130201-00000301-kinyobi-soci
週刊金曜日 2月1日(金)17時42分配信
福島第一原発から二〇キロに位置する福島県南相馬市大甕に建設予定の産業廃棄物最終処分場をめぐり、県(佐藤雄平知事)に設置許可取消し命令を出した昨年四月の一審判決(福島地裁・潮見直之裁判長)を不服とし、産廃業者が提起した控訴審の判決が一月二四日に出される。
県(当時・佐藤栄佐久知事)が一九九八年に設置許可した「原町共栄クリーン」の最終処分場をめぐっては、周辺住民らが建設差し止めなどを求め一〇件以上の訴訟を提起。最高裁で係属中の訴訟もある。処分場は建設がストップし稼働していない。住民側が勝訴した一審では共栄クリーンの元訴訟代理人弁護士の所得税法違反事件や経理的基盤の脆弱さなど問題企業ぶりが明るみに。過去の裁判では暴力団の関与も指摘されている。
処分場反対運動には同市の桜井勝延市長も参加。叔父の桜井文雄さん(七一歳)は「許可取消しを聞いた時、嬉しくて涙が出た。裁判中に多くの産廃反対の住民らが高齢そして津波で死んだ。悔しかったな」と涙ぐむ。県は一審判決を受け入れて控訴を見送ったが、県側の補助参加人だった共栄クリーンが控訴。その後、控訴人という立場になった県が共栄クリーンの行なった控訴を取り下げた。昨年一二月六日に第一回弁論が仙台高裁で開かれ、県の控訴取り下げの有効性が争点に。「二四日の判決で、県の控訴取り下げが有効だったら裁判は終了。しかし無効だったら結果によっては業者と住民側の闘いになるだろう」と住民側の坂本博之弁護士は話す。
一方、県は控訴を断念しながらもまだ設置許可を取り消していない。同県産廃課の山田耕一郎課長は「取消し判決と言ってもまだ一審の状態。裁判の推移を見守りたい」と話す。これに対して坂本弁護士は「県は取り消そうと思ったら取り消すことができる。県の本心は、あの産廃施設の場所がほしいのだ」と指摘する。福島県内の放射性廃棄物が手付かず状態の中、二〇キロ圏の同産廃施設は県にとっておあつらえ向きの立地だ。設置許可から一五年。長引く裁判に「われわれにまだ重荷を背負わせたいのか」と、原告の鈴木烝さん(七三歳)や反対運動の会長・大留隆雄さん(七五歳)らは県の姿勢に憤慨している。
(瀬川牧子・ジャーナリスト、1月18日号)
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