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「五日市憲法」新井勝鉱/岩波新書‘18年から序文のみ
〔はじめに〕
東京の西部に位置する五日市という町に、「開かずの蔵」と呼ばれる朽ちかけた土蔵があった。1966年、当時まだ20代だった私は、その薄暗い土蔵の中でたまたま一つの文書を手にした。それが。この地域の自由民権運動から生み出された「五日市憲法草案」※である。
起草者の千葉卓三郎とはいったい誰なのか。なぜこの地域で、このような憲法草案が誕生したのか。その歴史の水脈をさぐる、私の探索が始まった。それは予想をはるかに超える長大かつ深い大河と…気が付くと半世紀もの歳月が流れていた。
(中略)
民衆が主人公の歴史は、時間とともに忘れ去られ、埋もれるのは必然である。だが本書では、その歴史の水脈を、非力ながら私なりに掘り起してみようと思う。五日市憲法というものを通して、現代にも通じるっ自由民権の歴史の水脈を、一人でも多くの人に感じていただければと願うばかりである。
(以下、割愛)
※)第5章第4節「五日市憲法の法の精神」によれば、起草されたのは1880年頃と見られる。当時日本に憲法はなかった。明治憲法の公布は、1889年(明治22年)。
(注)「民衆が主人公の歴史」とは、学者の書いたもので見かけるのは初めて。
〔新井勝鉱〕;1944年東京生まれ。1969年、東京経済大学経済学部卒。色川大吉教授のゼミで、五日市の旧家「開かずの蔵」開けたことが機縁で「五日市憲法」の研究に入る
(アマゾン評)
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