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元米陸軍情報将校「米軍が日本から撤退する理由」
『2020年日本から米軍はいなくなる』
第2回 2014.8.27
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40191
第一章 米軍が日本から撤退する理由
背に腹は替えられない米軍
この章では、本当に在日米軍は日本から撤退するのか? またするとしたら、何故なのか、その理由について、徹底的に検証していく。
米国が独裁者の治める国ならば、その人物の一存でなんとでもなるだろう。
しかし、米国は、国民の参加する民主的な選挙で選ばれた大統領が治める民主主義の国である。国民が国に納めた貴重な税金で、米軍は武器を揃え、兵士に給料を払い、活動しているわけだ。
即ち、米軍は、莫大な国民の税金を使っている以上、米国と米国市民のために、最大限に奉仕しなければならないのだ。
当然、米国の納税者たちの意見は、大きく軍に影響を与えることになる。
日本人は、日米同盟があるのだから、日本を守るために、在日米軍はいてくれるだろう、と無条件に思いがちだ。まして日本から撤退することなど絶対に無いと思っている。
が、果たして、本当にそうなのだろうか?
---撤退する最大の理由は何ですか?
最大の理由は、軍事費の節約でしょう。
---と言いますと?
米国の財政は悪化していて、さらに金持ちと貧乏人の二極化は限界まで進んでいます。米国で暮らしていると分かるのですけれど、ここが、先進国かと思うくらい、アフリカの第三世界のような貧困地帯が広がっています。だから、国民の最大の関心事は経済です。
自分が1993年に大学留学した時、大学における一単位の価格は50ドルでした。今(2014年現在)は、一単位取得するのに400ドル前後もかかります。
---金持ちしか大学進学できないじゃないですか!!
まさにその通りなんです。
---世界平和を持続するために、軍隊を海外に派遣しているより、米国内を豊かにするほうが先じゃないですか?
そういうことです。かつて、マルクスは、資本主義は金持ちと貧乏人の二極化がどんどん進み、金持ちはさらに金持ちになり、貧乏人はもっと貧乏になり、最終的に破局すると予測しました。今、米国はその予測通りになっています。
数年前に、米国におけるガソリンの平均価格が1ガロン4ドルを超えました。その時、各地で、タンクローリーからガソリンを盗む略奪事件が多発しました。上がったのはガソリン代だけではなく、医療費もしかりです。オバマ大統領は就任前から医療改革を進めようとしました。ですがあまり上手くいきませんでした。大統領が率先して対応しても対応しきれないほど、問題は深刻化しているということです。
---世界の警察官をつとめる前に、まずは国内の治安維持ですね。
莫大な金を軍備に使って、自分たちの地元の生活が貧しい。だから、イギリスがどこにあるか地図で指させないような連中でも、これはおかしいと思っています。
この人たちは、自分の生活する周辺に確実な雇用があるかないか、そしてガソリンの値段だけが、最大の関心事です。だから、世界の辺境が戦争でどうなろうと、知ったこっちゃない。
この階層は、ガソリン代が、3ドル50セントまでならば、何とか暮らせるというのが実情です。
---この方々は、日本の尖閣諸島問題とかは?
場所も含めて、絶対に知らないといっていい。
---だから、莫大な金を軍事費に使うよりも、家の近所の仕事確保とガソリンの値段を下げるほうに金を使え、となりますね。
そうなります。
米国の国防予算は、2001年は3,162億ドルだったのが、2010年は6,909億ドルと約2.2倍になっています。ちなみに米国を除いた世界各国の軍事費を総計しても4,500億ドル程度にしかなりません。
---これを機会に儲けようとした輩もいるでしょ?
いましたよ。
例えば2005〜06年ごろですが、イラク、バグダッドの米大使館に、PMC(民間軍事企業)の警備員を大量に雇う契約が交わされた。しかし、守るべき大使館職員の数が少ないので、今度は、米国本土から急遽、職員が大量に増員されて、送り込まれました。本末転倒の話です。
---ミリタリーバブルですね。
まさに。米国で専門家筋にリサーチしてみると、適正な国防予算は4,000億ドル以下のようです。理想は、3,000億ドル。
段階的に3,500億〜4,000億ドルに減らして様子を見て、可能ならば、3,000億ドルのレベルまで、国防予算を減額しなければなりません。
この金の問題も、日本から撤退する理由の大きな部分を占めています。
米軍の戦術はアウトレンジが基本
---まず、金。その次の理由は何が来ますか?
撤退する二つ目の理由が、スタンドオフです。
---なんですか、それは?
敵の先制攻撃圏外にいることです。
米軍は、中国から先制攻撃された時に、被害を最小限に食い止めるために日本から離れ、十分で安全なスタンドオフ距離を保つ必要性があります。
---この第2の理由は、在日米軍が撤退する理由としては強いですね。米軍に金が足りなかったら、日本は幾らでも払いますからね。
その米軍が、スタンドオフして、アウトレンジにいる、即ち、敵の先制攻撃の圏外にいる戦法を取り始めたのは、いつからですか?
湾岸戦争です。この戦争で、エアランドバトルが初めて行われました。空から攻撃して、その後に陸上兵力が行けば、損害がほとんどないことが分かりました。
しかし、逆に空からやられると陸上兵力はヤバいことも分かりました。
『2020年日本から米軍がいなくなる』
著者= 飯柴智亮 / 聞き手・小峯隆生
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---米国が学んだのは、圧倒的な制空権があれば、陸軍の被害は少ない。しかし、逆に空からやられる場所にいれば、第一撃からは逃げられないということですね。
そうです。自分も米陸軍にいた時、空からの攻撃はほとんど、想定していませんでした。ADA(Air Defense Artillery:対空戦闘)はどうしていいか、分からない。だからこそ、ヤバいのです。
米軍は、空から攻撃される位置に陸上兵力および海上兵力を置くことはないのです。その結果、海兵隊は、沖縄からグアムに下がり始めました。
---冷戦時代、ソ連が日本に侵攻した時、自衛隊が応戦して耐える。そこに、沖縄駐留の米海兵隊とハワイの米陸軍第25歩兵師団が来るまで、持ち堪えるのが基本戦術でした。今、それが中国軍となって、日本上空で中国空軍が制空権を持っていたら、米軍はどうしますか?
米軍は陸上兵力を絶対投入しません。
---米陸軍も米海兵隊も来ない。
間違いなく来ません。後回しです。というか、そもそも来る場所がありません。エアシーバトルでは、陸上兵力は下げます。だから、撤退というより、正確にはリスクの分散です。
---我が大日本帝国陸海軍は、撤退を転進と呼んでいたでありますが・・・。
米軍は分散ですね。歩兵のフォーメーションも、戦闘状況によって、各人の間隔を5〜10メートルほど離します。これは、固まっているとマシンガンの掃射や1発の榴弾で一気にやられるからです。
自分はハンヴィー軍用車の銃手が専門ですが、ハンヴィーの車列は、昼間は地形によって、50〜75メートル、夜間は25メートルと車両間隔を空けます。密集していると一度にやられてしまいますからね。
---すると、沖縄の海兵隊がグアムに下がるのは?
リスクの分散の一つです。海兵隊は、グアム、そして、オーストラリアにも分散させています。だから、他の在日米軍も、後方に下がることはありえます。
---米国にとって、パールハーバーの悪夢はまだ、残っていますか?
精神的にはあると思います。
---横須賀停泊中の米海軍第7艦隊の空母とイージス艦が、中国のDF-21(東風21)弾道ミサイルの奇襲で、全艦隊が停泊中に撃沈されて、第2のパールハーバーになったら、どうなりますか?
まず、全艦隊が横須賀軍港に入っている時、中国軍にミサイルで奇襲されるケースは、絶対に想定しています。米軍にとって、それは、まさにThe Most Dangerous Course of Action(最悪の事態)ですね。
---米国は、大日本帝国の時のように怒りますか?
その時の状況によりますが、空母がやられたら、米国は怒ります。そして、煽りたかったら、煽ります。煽れば、米国は太平洋戦争の時に対日本で燃えたのと同じようになるでしょうね。
---米軍は必ず、第一撃からのアウトレンジに位置する。
そうです。その延長で考えると、自衛隊の武装方法も自ずと分かってきます。
---と、言いますと?
例えば、海自のP-3C対潜哨戒機は、完全に米海軍第7艦隊を護るための兵器です。
それから、イージス艦。日本人はイージス艦をミサイル・ディフェンスのための兵器と考えますが、あれは、空母を守る兵器です。日本がイージス艦を持てば持つほど、第7艦隊が安全になります。
---けっして日本防衛のためではない・・・。
空自の約200機あるF-15。あれも、三沢に米空軍のF-16が、いるからですね。F-15とF-16はセットですから。
---空自F-15が制空して、米空軍F-16が爆撃する・・・。
そうです。だから、在日米軍がいなくなった時、日本が単独で防衛できる兵器システムにはなっていません。兵器体系でも、日本はまず、米国ありきになっています。
日本の機密保持に不安あり
---F-35ライトニングUとF-22ラプターとどちらが強いですか?
もちろん、F-22です。エンジンが双発の制空戦闘機ですから。
---すると、F-35は、F-16の跡継ぎ、ならば、F-22は、F-15の跡継ぎです。F-22を米国は日本に売ってくれませんでしたよね。
その理由を米国で空軍の専門家や、メーカー関係者に複数、当たってみました。
ロッキード・マーチン社は、売りたかった。Jモデルという構想があって、性能を落としたF-22Jとして、日本に売られるはずでした。
そりゃ民間は売りたいですよ。メンテナンスを入れると、莫大な額のビジネスですからね。財政赤字に苦しむ米国政府にしても、売りたいのは山々だった。
---それが、何で、ダメになったのですか?
米国の議会がストップさせました。
そこでは、米国が多額の金を投入して開発したステルス戦闘機の秘密技術を、簡単に日本は中国に渡してしまう可能性があると判断された。それが、大きな理由だと思います。金がどうのこうのの話ではない。
---イージス艦の機密を渡した海自士官の責任は重大ですね。
はい。元米軍情報将校として私は、その海自士官は、中国にとって非常によい働きをした、と判断します。
---今度、F-35を売ってくれることになりましたが、これには、F-22の次の世代のステルス技術が入っています。機密保持には細心の注意が必要ですね。
F-35は、多国籍開発だから、米国もそんなに気にしないと思いますが、機密保持はとても重要です。
---それは何故ですか?
F-22の後継機である第6世代戦闘機(現在開発中)が完成した時、米国が日本に売ってくれるかどうかは、機密保持の信頼性にかかっています。
---F-40台のナンバーが付くF-40XJですね。
そのためには、まず、セキュリティ・クリアランス・システムをしっかりと構築しないとダメですね。
---どの国家機密まで接していいか、秘密情報にアクセスする保安資格ですね。
そうです。
米国は、軍、情報機関、捜査機関、国務省などに勤める役人や官僚、そして上院・下院議員やロッキード・マーチン社やレイセオン社などの防衛産業に勤める民間人までもが、セキュリティ・クリアランスを持っています。
---日本の国会議員は、何も持っていませんよ。
多分、「ここだけの話だがなー」と地元に帰って、喋りまくっています。
それでは、ダメです。まったく話になりません。日本で、特定秘密保護法とかやっていますけど、あれは必ず失敗します。というか米国の基準と同一にはなりません。まずOPM(Office of Personnel Management)という独立したクリアランスの資格調査機関を設立し、全員一回白紙に戻してから、話が始まりますからね。
---それをやらないと、第6世代の戦闘機は米国から入らなくなる・・・。
在日米軍が撤退する未来を想定すると、日本が単独で防衛できる武器体系を持たないといけないということです。
・元米陸軍情報将校が緊急警告、中国の脅威で米軍は沖縄から撤退したがっている! 2014年09月04日
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/766.html
投稿者 仁王像 日時 2015 年 9 月 27 日 21:24:12: jdZgmZ21Prm8E
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