http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/326.html
Tweet |
(回答先: イスラーム国がなぜ、アメリカとサウジの同盟関係、そしてサウード家の将来を脅かす存在となっているのか…/アブドルバーリ 投稿者 仁王像 日時 2015 年 12 月 16 日 20:01:45)
第5章 なぜカリフ制再興なのか
≪解放党の思想との出会い≫
解放党とは、カリフ制再興を唱える政治結社で、1949年にナブハーニーというイスラーム法学者によって創設されました。
解放とは長年、非合法組織として地下活動を強いられています。ところが、サウジ滞在中、外国人ムスリムのある集会で、解放党の本を持っていた人がいて、驚きました。
解放党の唱えるカリフ制再興をアラブ世界で主張することは当時(90年代前半)はきわめて危険なことでした。今のイスラーム諸国の為政者にとっては彼らの地位や権益を危うくするものです。サウジにはもっと深刻な理由がありました。
サウジは王族が莫大な石油利権を独占いている専制国家です。カリフ制の再興は、こうしたサウジの政策を根本から揺るがします。カリフ以外の権威を認めず、国家の分断をなくしてしまうカリフ制の再興は、利権保持のためには絶対に阻止しなくてはなりません。
本来であれば、ムスリムにとってカリフ制は義務であり、イスラーム主義者と呼ばれる人たちが目指さなくてはならないのはカリフ制のはずです。しかし、それを現実的な目標として掲げていたのは90年代前半は解放党だけでした。
解放党の主張はサラフィー・ジハード主義者と同じです。しかし、そのあとの考え方が異なります。ジハードはムスリムにとっての義務ですが、解放党は、「イスラームの家」がない状況下では、ジハードは義務ではなくなり、むしろ優先しなくてならないのは、カリフ制の再興であると考えます。
解放党によると、カリフ制だけがイスラームの正しい政体であり、カリフ制再興までは、ローカルなイスラーム国家ができることではないとしています。世界中のムスリムがカリフの下に統合されるカリフ制だけが真のイスラーム国家なのです。
このような解放党の思想に、私自身も大きな影響を受けました。解放党の思想には論理的整合性がありました。いまでは私も、カリフ制が実現するまでは、イスラーム法の適用はできないと考えています。
【出典】「私はなぜイスラーム教徒になったのか」太田出版‘15年
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。