http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/299.html
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これは半年以上前に書いたモノですが、こちらにも載せておきます。 ロシアの介入など、不確定な要素も出て来ましたが、基本的な構図は変わってないと思っていますし、場所と時間差はあるにしても、大まかな道筋に変わりはないだろうとみるからです。
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ただ単に事実を列挙するだけでは掴めない、物事の背景にある真実を明らかにする為には、幾何学の証明に使う補助線を引いてみることですな。
今回の場合、補助線に当たるのは何か?
西日本新聞が、2月3日付けの朝刊トップで、「仮想中東陸自”出征”」と大きくタイトルを打ち、「自衛隊が昨年1〜2月、米国西部の砂漠地帯で、中東での対テロ戦争や多国籍軍の一員としての武力行使を想定したとみられる戦闘訓練を、米陸軍と共同で行っていた」と報じております。
中東想定? 陸自、砂漠で対テロ戦闘訓練
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/143904
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/143907
さすが「軍部ファッショ」が吹き荒れる中、主要紙が悉く沈黙を守り、体制(大勢)に屈服して行く時に、菊竹六鼓を擁して、”反軍””反ファッショ”の論陣を張って抗した福岡日日新聞の伝統を継ぐ新聞だけのことはありますな。 今回の「人質殺害」により現れた“新事態”のポイントを的確に掴んだスクープだった、と思われます。 以下、順を追って、そのポイントを押さえて置きましょう。
米陸軍の公式サイトにはー
今回陸自と共同訓練をした米軍部隊(第3ストライカー旅団戦闘団)は「イラクとアフガンに多く展開され、次の歴史的な局面に備えている」と表記。
「次の歴史的な局面」とは何か?
訓練後の陸自幹部が「われわれは同じ目的を達成するために米陸軍と並んで戦える」と述べる。
「同じ目的」とは何か? −それは、以下の演習の内容から分かる通り、「中東における平和維持活動」。
「アトロピア国とドローピア国という架空の国同士の間で国境紛争が起き、日米などの有志国連合が平和維持活動としてドローピア国軍やテロリストを制圧するシナリオ」
つまり、この記事から得られる近未来の絵図は、米軍による「地上戦」を中心とする「有志国連合」による「平和維持活動」で、自衛隊もそれに参加する、そしてそれは、恐らく、中東における「歴史的な局面」になる、という事です。
1年前に行われたこの「戦闘訓練」を正当化=合法化及び現実化するには?ーといった視点から眺めてみるがいい。
この間起きた国内外の出来事が底流では繋がっており、しかもそれらと一見無関係に思える事象(例えば朝日バッシング)もそれに底流で連動しているのが見えて来ないでしょうか? 更に、今度の事件を契機に、それらが一つの方向に収斂して行ってるということも。 そしてそれらを考え合わせれば、今回の事態の真実が見え来るのではないか?
「特定秘密法」 閣議決定(2013年10月25日)→施行(2014年12月10日)
「積極的平和主義」閣議決定(2013年12月)
2014年2月ー中東を想定した日米合同の「戦闘訓練」、ウクライナ危機勃発(18日)
2014年6月ーISILイラク第二の都市モスル掌握(16日)「カリフ制イスラム国」の樹立を宣言(29日)
2014年7月ー「集団的自衛権」容認閣議決定(1日)
2014年8月ー米軍イラク空爆開始(8日)、湯川氏拘束(17日)、米国人人質殺害(19日)。
中旬に15年初頭の首相中東訪問のスケジュール浮上
朝日新聞「吉田証言」記事取り消し(5日)ー朝日への異常、異様なバッシング始まる。
2014年9月ー米国人人質(2日)英国人人質(13日)殺害、米軍シリア空爆開始(23日)。
首相国連演説で「ISILの脅威」を強調(25日)。
2014年10月ー英国人人質殺害(3日)、英国空爆参加決定(26日)。後藤健二氏拘束(27日?)
2014年11月―米国人人質殺害(16日)
2014年12月―首相の中東訪問の日程決まる(20日)
2014年1月―首相中東歴訪(17〜21日)(エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ)日本人人質殺害予告(20日)、湯川氏殺害―「リシャウィ死刑囚との交換要求」(24日)、「ヨルダン軍カサスベ中尉の写真を手に持つ」(27日)、
2014年2月―後藤氏殺害(1日)、カサスベ中尉殺害(4日)、
注)殺害についてはビデオ公開日。
ヨルダン軍空爆再開(5日)、アレン米大統領特使(有志連合国調整担当)はイラク軍による大規模な地上戦が近く始まると言明(8日)、米地上軍投入へ議会手続き開始(12日)
見られる通り、「人質殺害」を機に、事態が一気に動ていることが分かります。 英国然り、そして今度も。 もしもそれらが無かったら?と考えてみればいい。 英国の空爆参加はあっただろうか? また、「日本人人質殺害予告」ビデオが出なかったとしたら、日本の首相の動向も然程関心を呼ばなかっただろうし、況してや、丸でここに注目!と言わんばかりのイスラエル国旗を背景にした、「テロ非難」の会見も無かった、はず。 偶々偶然にしては出来過ぎている!そもそもが、日程の殆ど(18〜20日)を占めいてることでも分かる様に、今回の「中東訪問」のメイン(目的)はイスラエルなのです。 そしてその時を計ったかのように日本人人質殺害予告とイスラエル国旗を背景に「テロ非難」の会見(20日)―明らかにこれらは事前に想定又は準備されたものでしょう、イスラエル国旗を背景に「テロ非難」することがイスラム諸国及び世界に対してどのような意味を持つのかを解った上でやっているとしか考えられないー渡りに舟ヨロしく、第四次中東戦争以来築いて来た、アラブ寄りに中立の立場からの180度転換なのだから。
他方、6月まではイラク国内の内戦に過ぎなかったものが、2度の米国人人質殺害でシリアまで空爆を拡げ、同じく2度の英国人殺害で英国も巻き込み、そして今度も2度の日本人殺害で日本をも巻き込む。 折りしも、同じ時期に、イスラエルはパレスチナでの「戦争犯罪」を巡って国際世論から厳しく問われ、政治的に追い詰められていましたが、イスラム国騒動によって、それは吹っ飛んで仕舞いました。
どうみたって、「残虐なイスラム国」というイメージを強烈に焼付ける人質殺害のこの行為は、「人道に反する」とイスラエル糾弾に向かいつつあった国際世論の流れを押し止め、人道に反するのはイスラム(過激派)という流れに変えたのであり、結果的には、イスラエルの窮地を救い、イスラエルを利することになったのです。
私などは、この展開を見て、つい「神戸連続児童殺傷(酒鬼薔薇)事件」を思い浮かべましたね。 「沖縄少女陵辱事件」で在日米軍(日米安保体制)という存在に向けられた不審の目を、この「子供の首を切断」という衝撃的な事件で、完全に拭い去ることになりましたからね! 衝撃的な事件を、更に上回る衝撃的な事件で上書き=消去するー斯かる社会工学的な処方も又、ショック・ドクトリンの変種として在るのかもしれません、、、
まァそれは扨措き、わざわざシリアまで空爆を拡げてくれる様に、英国まで参加してくれる様に仕掛けているとしか考えられない。 政治的得失から考えれば、明らかに、「イスラム国」としては不利になるようなことをやっている、日本人をターゲットにしたことも、対十字軍(イスラム教vsキリスト教)の“聖戦”という自ら描いた図式に違う、言わば自らの主義・主張に反することのはずです。 「リシャウィ死刑囚との交換要求」(24日)や「ヨルダン軍カサスベ中尉の写真を手に持つ」(27日)だって、明らかにこれは、ヨルダン社会に動揺を誘うこと以上に、日本とヨルダンをリンケージさせる事を狙ったものでしょう。 ―こういった事は誰にとって望ましいのか?−どう考えてもイスラム国とは思われない。
反対に欧米は、日本が入る事によってホッとしたはず。 これは、ヨーロッパvsアラブでも、キリスト教vsイスラム教でもなく、「文明社会vsテロリスト」なのだと堂々と主張出来るし、自らもナットク出来るのだから。 つまり、言うならば、イスラム国は「あらまほしきテロリスト」を演じている訳です。 誰にとってか? 欧米、取り分け「対テロ戦争」を主導するアメリカにとって、です。 これだけ都合良くアメリカ(及びイスラエル)が思い描く図式に副って、タイミング通り動いているのだから、やはり、一部で言われる通り、イスラム国の或る部分は「偽装イスラム」と見るべきなのでしょう。 イスラム国には、大きく分けて、イラク系とシリア系があるようですが、旧フセイン政権(軍)残党の流れを汲むイラク系に対して、シリア系はアサド政権打倒を呼号するお武装勢力+正体不明の外人部隊となっている。 そして、我々が抱く“残虐なテロリスト”のイメージは後者のシリア系によって作られたものなのです。
その黒幕はサウジの王族で、ブッシュ家やネオコンとも深い繋がりを持ち、米軍のイラク侵攻(イラク戦争)を積極的に推し進めた人物となれば、これはもう筋書きは読めた、というべきかも知れません。 よく“アメリカの陰謀”とか“イスラエルの陰謀”などと言われていますが、王族支配のサウジを中核とするヒエラルキー等、中東におけるアンシャン・レジーム(旧来の体制)の維持こそがメインであり、アメリカやイスラエルの陰謀もその動きに介入、若しくは利用する形で在ると考えるべきなのです。 日本や韓国についてもそうですが、アメリカの支配とは、そうしたアンシャン・レジームの上に乗っかったものなのです。 従って中東におけるヒエラルキー維持勢力が、イラクやシリアのバース党等、社会主義の流れを汲む勢力を忌み嫌うのは或る意味当然、まもなくイラク軍による大規模な地上戦が始まる模様ですが、そのターゲットは、イスラム国とは言っても、実質旧フセイン政権(軍)残党勢力。 即ち一部の識者が指摘している通り、この戦闘を米軍が支援し、そこに「有志国連合国」が加わったならば、正しくこれは、「湾岸戦争」−「イラク戦争」に継ぐ、第三次イラク戦争の陣形になるのです。 そうして、イラク軍がイスラム国をシリア国境に追い詰めるとなると、次に予想されるのがシリアとの国境紛争でしょう。
即ちイラク軍とシリア軍、それにイスラム国が入り乱れて、イラク・シリアの国境を中心に、一帯が大混乱(”人道危機”)に陥ることが予想され得るのです。
ここで冒頭に示した一年前の日米「戦闘訓練」の「想定」を見て下さい。
「アトロピア国とドローピア国という架空の国同士の間で国境紛争」
現実の展開が、不気味な程に、「想定」の図式に酷似して来る、と感じられないでしょうか?
アトロピアをイラク、ドローピアをシリア、そしてテロリストを「イスラム国」に、其々当て嵌めたら、ピタリとそのシナリオに符合します。
「日米などの有志国連合が平和維持活動としてシリア軍やイスラム国を制圧する」
勿論この図式の「イラク」「シリア」は、「イスラム国」次第で、他の地域にも変わり得る、イワユル“テロリスト”次第で! 最近「イスラム国」がアフガンまで勢力を拡張していることが報じられておりますが、とすると、イラク〜アフガンと、「9.11」以来の“対テロ戦争”のラインが再び浮上して来ることも考えられるのです。
果たして、この後、筋書き通り、思惑通りに事が運ぶのか?―
せっかく三年前、イラクやアフガンでの「戦争」の終結を宣言し、米軍をイラクから完全撤収させて、又アフガンからの撤退段階まで辿り着いたオバマ大統領が自らの業績を覆すことはしないと思いますが、政権がレイムダック化する来年以降に掛けて、米軍再介入の現実味は一段と増すこととなるでしょう。 そして、その時は恐らく、自衛隊も道連れにするーと言うよりも、道連れにして!とアベはお願いするーはずです。 アベ改憲(というより、アメリカ憲法ver. Abe又は新長州憲法ですな)がその前後に想定されているのは、果たして偶然でしょうか?
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