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こうしてみると、米欧関係がこの様なものになって来た以上、“悪の帝国”ソ連が無くなったとしても、アメリカにとってそれに替わるものが必要となるのは明らかでしょう。
冷戦が終わるのと入れ替わる様に「湾岸戦争」が起こり(というより、意図的に引き起こされ)、これでもかというぐらい“イスラムの脅威”が強調され始める。
冷戦以後のアメリカの指針図とされたS.ハンチントンの『文明の衝突』で明け透けに語られていることを観ても解る様に、文明の下に米欧の一体化が自明とされ、異質な文明(イスラムや中国)に対抗する為に、更なるその強化を欲求する。 ハテ、イスラム諸国と近接するヨーロッパなら兎も角、そこから遠く離れ、国内にも無視して良いほどの影響しかないイスラムが何故にアメリカにとって脅威??−と考えてみることはこの際重要です。 最早、ヨーロッパを措いては、自らの存在を語れなくなっている!−ということだから。
しかも、文明及び自らに絶対の自信を持っていた頃はもとより、冷戦時代にさえ滅多に使われなかった“テロリスト”という言葉を用いることの(政治的な)意味を考えてみれば、彼等の、より切迫した事情を感じ取ることが出来るのです。
テロリストとは<恐怖>を手段とする者との謂いですが、枯れ尾花を見て恐怖を感じるのは感じるヒトの精神状態に帰せられるのと同様、それまではどのような相手にも又どのようなコト(手段)にも感じることの無かった<恐怖>を感じるようになっているという処にこそ問題の本質は在ります。
恐らくは、それ以前とは比較にならないくらい<存在の不安>が増大しているということ、しかもそこには、自分達だけではなく、西欧もまた同じになるはずという当て込みが在る、はずです。
何故なら、EU―ヨーロッパという纏まりは、当然、それ以外を自明に成り立つのだから、国民国家における「非国民」、つまり潜在的に排除や抑圧の対象となる存在を創り出します。 そうして、歴史な関係からいっても、当然、その対象となるのはアラブでありイスラムということになる。
即ち、ヨーロッパ以上に古くからあり、丁度日本にとっての中国と同様、歴史的にも深い関係を持ち、決定的な影響を受けながらも、それを否定し、隠蔽することによって<近代>を創り出したという経緯からも、差別や偏見が歴史的に蓄積・形成されて、潜勢化されているのがイスラム、ということです。
従って、アメリカからすれば、西欧を自分と同じラインに並ばせる為には、そうした、潜在的に在るものを如何に顕在化していくか?―殊に差別や偏見の根底に在る怖れや不安を如何に惹起させるか?−ということが追求されることになる。 −こうして、<不安>や<恐怖>を徹底して煽る戦略「テロとの戦い」が出て来る、というわけです。
更にこれは又、国民国家が緩やかに解体に向かっている時代にあって、それまでの国境というボーダーラインが希薄化し、国民という縛りが緩くなるー国家への遠心力が働く時に、国家への求心力を維持する為にはそのボーダーラインを<恐怖>で満たせばいいということになるのだから、世界のどの国においても、為政者には便利な符丁となるーということを考えれば、ポスト・国民国家の時代に適ったものであり、そこには、アメリカのリーダーシップ再確立の為に、周到に選ばれた政治言語(用語)であることが見て取れるのです。
ー以上、アメリカにとっての<独立>(という背理)と西欧の意味を見て来ましたが、同様なことが、日本の「脱亜入欧」と欧米の関係に言えるのではないか?ーその意味で日本の「脱亜入欧」とアメリカの「独立」とはパラレルに捉えられると思うのです。
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