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「イスラム戦争」内藤正典/集英社新書‘15年から抜粋
≪はじめに 日本は決してこの戦争に参加してはならない≫
実は、イスラム国の台頭は、これまでにイラクやシリア、そしてイスラム世界の各地で積み重ねられてきたムスリムに対する抑圧や殺戮の結果であって、その原因ではありません。
彼らを生み出したのは欧米による抑圧と戦争だけではありません。ムスリムが暮らしている国々でも、イスラムが大切にする弱者救済を実現しようと、市民が草の根型の運動を展開すると、それぞれの国家の政権は、これを必ず弾圧してきました。ひと言でいえば草の根型のイスラム運動は権力にとって「邪魔」なのです。こういう市民運動をもっとも嫌うのがサウジであり、エジプトです。
話を戻すと、欧米は積み重ねの結果、解決の糸口すらないような状況を作りだしました。ついには中東・イスラム世界の各地でカオスのような状態に陥り、イスラム国のように途方もなく暴走する集団が登場したのです。
第一章 16億人のムスリムを味方にするか、敵に回すか
≪トルコに学ぶ1 アメリカからの強い参戦の要請を軍が拒否≫
中東におけるアメリカの最大の同盟国は、イスラエルではなくトルコです。イスラエルは周辺に敵が多すぎるので、アメリカは、中東で何か問題が起きても、イスラエル軍を連れて行くことができません。アメリカがどこかの紛争に介入するときにイスラエル軍は積極的に集団的自衛権を行使できないのです。
軍事力が強大で、かつこの地域のアメリカの同盟国はトルコです。しかし、そのトルコは、1991年の湾岸戦争、2001年のアフガン侵攻、2003年のイラク戦争、いずれもアメリカからの強い参戦の要請を拒否しているのです。さらに、トルコはイスラム国を攻撃する有志連合への参加も拒んでいます。
トルコの国軍はたいへん規模が大きく、しかも軍規がしっかりしていて、中東ではイスラエル軍とならんでもっとも精強と言ってよいでしょう。これまではその力を国内のクルド民族の分離独立闘争を阻止するためにも使ってきました(これはトルコの民主化を妨げる最大の要因だから、決して評価することはできない)。
この10年の間に、トルコ軍は完全にシビリアン・コントロールに服するようになり、今では政府の決定でしか動かないし、政治的な発言は一切しなくなっています。同時に昔から、国防に専念して、外に出て行くことに対しては非常に慎重です。まさに専守防衛を地でいくのです。
≪トルコに学ぶ2 法による軍の拘束と立憲主義の判断≫
2003年のイラク戦争のときも、トルコは参戦を拒否しました。トルコの国会は一院制。大国民議会は長い議論を重ね、その結果、賛成が264、反対が250.賛成が上回ったが、絶対過半数の268を上回らないと、戦争権限に関しては政府に全権委任ができないのがトルコの憲法上の規則です。国軍の力が強いトルコでさえ、この手続きを経ないと軍は動かせません。
≪トルコに学ぶ3 トルコ軍は、タリバンによる攻撃で一人も死者を出していない≫
トルコはアメリカによる軍事作戦としての「不朽の自由」への参加を拒否します。NATOによる集団的自衛権の行使をメンバーでありながら拒んだのです。ISAFには派兵したが、タリバンとの戦闘行為へは参加していません。
ISAFも決して安全ではありません。多くの犠牲者を出しています。しかしその中でトルコ軍は、タリバンの攻撃を受けていません。これはただ幸運だったからではありません。治安維持活動には従事したものの戦闘に参加しなかったことが重要です。
・不朽の自由作戦 wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%9C%BD%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%94%B1%E4%BD%9C%E6%88%A6
- 攻撃対象となっている強権的な政権こそが、半世紀前には欧米の中東支配に異議を唱え、アラブ諸国の「真の独立」を求めて… 仁王像 2015/8/08 18:04:44
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