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「イスラーム国の衝撃」池内恵/文芸春秋‘15年 から抜粋
≪カリフ制を宣言≫
イラクとシリアの地方・辺境地帯に限定されるとはいえ、一定の支配領域を確保したことは衝撃的だった。また、一国内の分離領域でなく、二つの国家にまたがって運動を拡大させ、既存の国境を有名無実化して自由に往来することを可能にした点も、印象を強めた。既存の近代国家に挑戦していると見られたからである。
イスラーム法では、カリフの存在の必要性は明確に規定されている。『コーラン』とハディース(預言者の言行録)に依拠して、歴代の法学者が議論で合意に達した見解に異論を鋏ことは、イスラーム教徒の間では困難である。バグダーディーを自らを指導するカリフとしてふさわしいと認めるかという問題とは別に、一般論あるいは「普遍的な真理」としては、「カリフ制の復活」は正統な大義として認められている。
≪カリフの説教壇≫
7月4日はラマダーン月入りして最初の金曜礼拝の日であり、ここに合わせてバグダーティーを公の場に初めて登場させ、モスクの説教壇に厳かに登らせた。預言者の血統を象徴する黒いタイーン。アラブ世界のイスラーム教徒の感情の琴線にいちいち触れてくる、巧みな象徴の連続である。
バグダーティーは、演説やコーランの朗誦でも確信に満ちている。イスラーム学への学識の深さが窺われる。敬虔な信者から尊敬されやすいタイプの人間類型であると、映像を見る限りは言える。
≪斬首による処刑と奴隷制≫
「イスラーム国」側の論理では、米国や英国がイラクを空爆することは違法であり、それに対抗して米国や英国を空爆する手段を持たない以上、米国民や英国民の渡航者を捕獲して処刑することは報復手段として正当であると主張するだろう。そしてイラク戦争後の反米武装闘争が、やがて米軍の撤退をもたらした経験から、テロを繰り返していけば、強大な米国の意思も潰えるという教訓を、イラク人と全世界のジハード勢力は得ている。
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