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「イスラム国の正体」国枝昌樹/朝日新書‘14年から抜粋
第1章 急速に勢力を拡大する「イスラム国」
≪最上位の規範は「コーラン」≫
イスラム国はこうも宣言しています。「民主主義、自由主義、民族主義を信じてはいけない。それは西洋の考え方であり、くずだ」と。
≪指導者の正体≫
わたしは、バグダディの演説から手練れた説教師という印象を受けました。モスクでバグダディがしゃべったのは、コーランの時代の言葉です。コーランは7世紀の言葉で書かれたものなので、日本でいえば、漢文に相当する言葉です。
イスラムの知識人は、いわば漢文で文章を書き、ふだん話すときは現代口語と使い分けています。コーランを論じる人たちは、この正則アラビア語(漢文調)で演説するわけです。やさしくはありません。バグダディの演説を聞いて、よどみのない正則アラビア語だったので、これは案外教養のある人物だなと感じられた(今日のアラブの為政者でも、正則アラビア語を使える人は多くない)。
第2章 イスラム国の正体
≪外国人も重要する組織構造≫
宗教警察の中には、外国人の女性も多く登用され、女性で編成された警察隊もあるといわれている。首脳陣はイラク人で固めているが、イラク、シリア以外の外国人も要職についているのが特徴で的。
≪「資金」はどこからくるのか≫
イスラム国は活動資金が非常に豊富な金持ちグループといわれています。
≪実質的な収入源≫
イスラム国の確実な収入源は、「税金」や「寄付」です。キリスト教徒に対する「人頭税」、「強盗」、「人質」の身代金もイスラム国の収入源でしょう。
≪「武器」はどこからくるのか≫
(戦闘相手から奪っている、いろいろな実例。アラブとその周辺は巨大な武器のブタック・マーケットにもなっている)
第3章 なぜ、欧米人の首を斬り落とすのか?
≪「命知らず」の戦術≫
イスラム国の戦闘員は、どんどん前に出てくるといいます。つまり、「ジハード」で死んだのだから天国にいける、だから何も恐くない、イスラム国ならではの戦術といえるでしょう。自陣は地雷だらけ、敵の戦闘員はうかつに侵入できない、しかしイスラム国の戦闘員にとっても、いつ「自爆」してしまうかわからない危険な自陣なのです。
≪「食糧」の問題≫
シリアのユーフラテス川流域は肥沃な穀倉地帯です。なので、イスラム国は十分に「自給自足」ができているはずです。食糧供給をストップしてしまうような「兵糧攻め」が効きません。住民の食べ物に困らないからおとなしくしている。イスラム国の勢力が衰えない要因のひとつでしょう。
さらに、イラク西部のイスラム国の支配地域も穀倉地帯です。こちらは天然水ですが、作物が良く育ちます。同じ砂漠地帯といっても、イラクの砂漠は、じつはすごく生産性が高い、栄養がたっぷりある土質なのです。
イスラム国は「国家」として食糧の心配はありません。いまのところは軍備も資金も十分にあるようだし、エネルギーに関しては油田があり、「輸出」は思うようにできなくても、支配地域をまかなうくらいは精製できるでしょう。
≪「領土」の問題≫
イスラム国は、ヨーロッパやアフリカ、アジアにまでおよぶ広範囲を「領土」と宣言しています。そして、現在の国境を無視して独自の14エリアに分け、アラビア語の呼称をあてて、インターネット上に公開しています。
現在のアラブとその周辺の国境は、イギリス・フランス・ロシアの3カ国が1916年に結んだ密約「サイクス・ピコ協定」に基づいて、第一次大戦後、広大なオスマン帝国が分割され、決められたものです。アラブ側にすれば、われわれムスリムになんの断りもなく、西欧列強がまったく勝手に、定規で地図に線を引いてきめたような国境に、なぜ黙って従わなければならないのか、それは当然のことです。
イスラム国は、全イスラム教徒がひとりのカリフのもとに集う「国家」を目指している。だからこそ、グループ名から地域を外し、ただ「イスラム国」と名のったのです。
- 『ジャーヒリーア(無知・無明・野蛮)』社会論こそ、後世の「イスラム過激派」に多大な影響を与えたクトゥプの真骨頂/国枝昌樹 仁王像 2015/3/23 20:04:23
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