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「イスラムに負けた米国」宮田律/朝日新書‘07年から抜粋
第1章 対テロ戦争でイスラムに敗れたアメリカ
≪イスラム世界の怒りを買うフセイン処刑≫
アメリカ軍の占領下でフセインの処刑が行われたことは、イラク国内のフセイン支持のスンニ派とシーア派の対立を深めるばかりか、9.11のようなアメリカに対するテロをも増加させるものである。フセイン元大統領は、アメリカの軍事干渉によって自らの政権が崩壊し、新政府による裁判が行われることが正統性のあるものではないと言い続けてきた。湾岸戦争などでアメリカに抵抗したフセインは、概してイスラム世界ではカリスマ性のある人物であった。
≪失敗した「新生イラク国家」とイスラムの「偉大な勝利」≫
イラクで活動するイスラム武装集団や過激派はアメリカ軍にできるだけ多くの損害を与え、イラクに混迷をもたらすことでアメリカ軍のイラクからの撤退を目指している。アメリカ軍の撤退は彼らの「勝利」と認識されることになるだろう。フセイン政権崩壊後のイラクの混迷はそうしたアメリカの目標(イラクからの石油購入、米軍の永続的駐留)を挫折させるもので、アメリカはイラク戦争ですでに敗北している。
≪アフガニスタンでもアメリカは敗者に≫
2005年9月にアフガンでは議会選挙が行われ、民主主義の体制づくりが行われた。しかし、タリバンが主導するISAF※への攻撃はますます激しくなり、アフガンの国会議員たちはタリバンの攻撃の激化はアフガン人たちの憤りの大きさを表すものと考えている。
カルザイ政権の腐敗、治安の悪化、ISAFによる一般市民に対する爆撃はアフガンの多くの人々を暴発させかねない状況にある。アメリカはアフガンにおいても明らかに敗者となっている。
※)ISAF(アイサフ):国際治安支援部隊。アフガンの治安維持を通じアフガン政府を支援する目的で設立。当初は有志国による多国籍軍により構成されていたが、現在はNATOが統括。
≪核でもイスラムに屈するアメリカ≫
(中露とイランの強い結びつきは)中国やロシアがイラク戦争時のように、アメリカに容易に屈しないのは、イラク戦争におけるアメリカの失敗の様を見ているからである。
イスラム革命の大義を重んじ、「反米」を革命のシンボルとするイラン・イスラム共和国がアメリカの圧力に容易に屈することはないだろう。イラクのフセイン政権の崩壊を目の当たりにしたイランはアメリカの脅威を和らげるためにも核兵器の開発を目指している可能性が高い。イランが欧米諸国との対話によって核開発を断念する可能性はきわめて低く、核問題でもアメリカは敗北しているのが実情だ。
≪欧米の核兵器保有「二重基準」にムスリムの憤り≫
(イスラエルの核を欧米が黙認していること)
ヒロシマ、ナガサキはアメリカが行った人道上の罪として日本以上にイスラム世界では強く意識されている。それは第二次大戦後のアメリカのイスラム世界への軍事介入とムスリム市民殺害とイメージが重なるからなのだろう。
≪イスラムの反米感情を募らせるグアンタナモ強制収容所≫
(自殺者、拷問等)
【副題】アメリカの正義とイスラムの大義〜なぜ超大国アメリカは、イスラムで失敗しつづけるのか
- 東南アジアにおける「イスラム国家」の創設の動きも指摘〜宮田律氏 仁王像 2015/3/21 13:07:46
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- オスマン帝国の崩壊後、イスラム世界の「輝き」を奪った欧米/宮田律 仁王像 2015/3/21 13:04:01
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