http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/218.html
Tweet |
http://blogs.yahoo.co.jp/taked4700/12298612.html
サウジの原油減産拒否はアメリカのシェールつぶしというデマ
興味深いことに、原油値下がりの原因であるサウジアラビアによる原油減産拒否の動機がアメリカのシェールオイル業者潰しにあるという話がかなり出回っている様子だ。確かに事実として、サウジアラビアをはじめとする中東の湾岸諸国はオペックで原油減産の提案を否決した。だから、サウジアラビアなどの首脳が現実にアメリカのシェールオイルつぶしを意図している可能性がないとは言えない。しかし、もしそうだとしても、原油価格下げがシェールオイル業者潰しになるかと言ったら全くのお門違いだろう。
そもそも、原油価格高騰は戦後一貫した流れであり、ある程度の変動はあっても今後も変わらない傾向だ。原因は自動車などの移動手段の燃料となるだけでなく、化学工業原料としても膨大な需要があるからで、世界的な生活水準の向上に従って需要が高まって行くのは当然なので、今後も価格高騰は続く。
サウジアラビアをはじめとした湾岸諸国でも原油資源は当然有限であり、高値で売れるなら減産しようと考えるはずだ。安値で大量販売することにより歳入を確保するよりも、限りある資源だから多少販売数量が落ちても高値で売りたいと考えるのが本来だと思う。
ではなぜ原油値下げがされているのか。多分幾つもの狙いがあり、総合的に判断された結果だ。一つには、アメリカ国内でのシェール開発が行き過ぎの面があり、それを抑制したいということがあるはず。または既に行き過ぎが明らかになって来ていて、後退局面に入りつつあるのをなんとか理由づけする必要があり、それをサウジの減産拒否に結びつけたということかも知れない。実際、1バレル70ドル程度がシェールオイルの採算ラインだとされているようで、それより原油相場が下回ればシェールオイルの生産は勢いを失う。ただし、あくまでシェールオイルはシェールガスの副産物であり、シェールガスの生産がシェール革命の中核だ。
原油安は日本経済にプラスというが、長期契約が普通はされていて、スポット価格が上下しても全体として日本が輸入している原油が安くなるわけではない。報道は盛んに原油安が日本経済にプラスだとはやしているが、多少恣意的な感じがする。背後には欧米資本の日本株売り逃げがあるのではと、こういった動きがあるといついも連想してしまう。
原油安がプラスに働くのは原油輸入国であり、その典型が中国だ。ヨーロッパ中心のロシア制裁で中国は安価なロシアガスの入手に成功していて、明らかに中国優遇がされている。中国共産党の幹部はその子弟の多くをアメリカ留学させている。自分はこのことが現代中国の腐敗の原因の一つだと思っている。ベトナム共産党の幹部も同じで、アメリカ留学が流行しているが、結局、一種の洗脳機関としてアメリカ留学が機能している面があるのではないだろうか。
沖縄知事選で自民党候補が負け、今度の衆議院選挙でも同じ傾向があるようすだが、国家の分裂をはやしているような面があると思う。イギリスで始まった動きだが、香港での騒動を明らかに意識していて、その目指すところは中国の弱体化のはずだ。そもそも中国の共産党一党独裁は無理がありすぎる。共産党としての存在意義があるかというと、その反対で共産党員であることが特権階級化している。だから、共産党一党支配はほぼ必ず崩壊する。
ただ、問題はその崩壊の仕方だろう。中国は大陸にある国として当然他国との戦争の記憶がある。漢民族が多数を占める国として少数民族とどうやって共存するかは常に考えてきているだろうし、アメリカの脅威は常に感じている。白人による侵略・奪略には相当な用心をしているはずだ。
アメリカは移民国家として常に人種問題を国内に抱えている。結局、アメリカの弱点は国内問題であり、今でも世界の軍事費の約半分を一国で使うアメリカの対外的な国力は跳びぬけている。そして、国内的に見たとき、アメリカは人種問題を、中国は共産党独裁という問題を抱えている。どちらが対処しやすいかという問題であり、今の資源安を中国支配層がどう利用するかという問題でもある。
ジャズや黒人霊歌に感じられる深い情感は、人種対立や階級対立を矮小なものだと思わせる力があると思う。
2014年12月12日00時20分 武田信弘
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。