http://www.asyura2.com/13/cult12/msg/744.html
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「戦 史 研 究 所」から
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/maizou-keisan.htm
バンダシェフスキー氏【以下、「バ氏」と略記】の主張について、専門家ではない私には、その正否の判断はできない。
しかし、バ氏の示すデータは、国際的に公表されているデータ【以下、「国際的なデータ」と略記】と比較すると、明らかに「おかしい」ところがある。
1. 2004年までのデータしか使われていない。
バ氏が、2005年以降のデータも把握していることは、論文(?)中に「ベラルーシの人口は、【中略】2005年は-5.2‰」、「図2.8 ベラルーシの死因構成、2008年」といった記載があることから、明らかである。
それにも関わらず、バ氏は、把握している筈の2005年以降のデータを使っていない。
2. ベラルーの死亡率と出生率のデータがおかしい。
バ氏のデータは、以下の通りである。(バ氏のデータの期間を、国際的なデータに合せたもの。バ氏のデータと国際的なデータとの期間が一致しない場合は、全て同様の処理を行っている。)
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/study/image.jpg
バ氏のデータでは、2002年以降、死亡率と出生率に殆ど変化は見られない。
これに対して、国際的なデータによる、ベラルーシの死亡率と出生率のデータは以下の通りである。(欠落部分があるのは、当該年度のデータがないため、以降、欠落部分については全て同じ。)
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/study/image1.jpg
国際的なデータでは、2002年以降、死亡率は減少し、出生率は増加しており、バ氏のデータと一致しない。
3. ベラルーシの人口の増減に関するデータがおかしい。
バ氏の「人口指数」の増減は、以下の通りである。
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/study/image2.jpg
バ氏の「人口指数」は一貫して減少しているが、バ氏は、1993年以降についてのみ言及している。
これに対して、国際的なデータによるベラルーシの人口の増減は、以下の通りである。
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/study/image3.jpg
国際的なデータでは、1985年から1993年までは、ベラルーシの人口は増加しており、バ氏のデータと一致しない。
上述のように、バ氏は、この期間については、触れていない。
4. ベラルーシの死因構成データがおかしい。
バ氏の死因構成データは、以下の通りである。
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/study/image4.jpg
バ氏は、「ベラルーシの住民の死因のうち主なものは心臓病と悪性腫瘍である。最大死因である心臓病【後略】」と主張している。
これが正しければ、ベラルーシ国民は、「心臓病」「悪性腫瘍」と並ぶ、3大死因の1つである「脳血管疾患」で死ぬことは、殆どないということになる。
これに対して、国際的なデータによるベラルーシの死因構成のデータは、以下の通りである。
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/study/image5.jpg
国際的なデータでは、バ氏が「心臓病」としている部分が、「循環器系疾患」となっている。
どちらでも、同じように見えるが、両者には、決定的な違いがある。
「循環器」には、定義上「血管」が含まれる。従って、「循環器系疾患」には、「脳血管疾患」も含まれる。
国際的なデータでは、バ氏が「心臓病」として処理している部分には、「心臓病」以外に「脳血管疾患」も含まれている。
3大死因のうちの2つである「心臓病」と「脳血管疾患」の合計であるため、「循環器系疾患」の割合は非常に大きくなり、なおかつ、死因構成の中に「脳血管疾患」が出てこないのである。
「循環器系疾患」には、「脳血管疾患」も含まれているという主張には、「循環器系疾患」の定義以外の根拠もある。
下のデータをご覧頂きたい。これは、1993年の死因構成の国際的なデータである。
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/study/image6.jpg
1993年の死因構成のデータには、2004年のデータにある「循環器系疾患」が無く、その代わり「虚血性心疾患」と「脳血管疾患」とがあることが分かる。
この「虚血性心疾患」と「脳血管疾患」が、「循環器系疾患」に置き換わったことは、データの推移からみても明かである。
以上のことから、国際的なデータが正しければ、「脳血管疾患」を含む「循環器系疾患」を、すべて「心臓病」として処理した、バ氏のデータ処理は、間違っていることになる。
国際的なデータが正しければ、バ氏が示したデータでは、「心臓病」が増加しているのかどうかは、分からない。
まとめ
バ氏の提示しているデータは、国際的なデータと一致しない部分がある。
国際的なデータで見る限り、ベラルーシでは、「循環器系疾患」の死者が増えてはいる(但し、それは、バ氏が主張する程、急激なものではない)が、それが、「心臓病」の死者の増加によるのかどうかは不明である。
国際的なデータが正しければ、バ氏が提示しているレベルのデータからでは、「心臓病」の死者が増加しているかどうかは、分からない。
バ氏の「心臓病の死者の増加している」という主張の裏付けは、国際的なデータによる限り、不可能である。
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/study/image7.jpg
バ氏のデータは、以下のサイト(http://peacephilosophy.blogspot.jp/2011/09/non-cancer-illnesses-and-conditions-in.html)から引用した。
国際的なデータは「世界国勢図会 2010〜1985」の「世界保健統計」「人口推移」より引用した。
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