http://www.asyura2.com/13/cult12/msg/710.html
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「チームが優勝してほしいと思っているんだったら、いたずらにブーイングのほうを強調するのは損だよと、国としては。ということはサポーターの人たちは、どこかで心得ていると思うんです。
でも、東電に対しては、それを心得ていないし、心得ていないように誘導しようと、そういうほうがいいなと思っておられる方もいらっしゃるような気がして、それは不思議なことだなと。
例えば風評被害というものがあります。基準自体が相当保守的に安全に決めていますから、それを下回っているものを食べるのは安全・安心に決まっているんです。
でも、どこで何ベクレル出た、あそこで何ベクレル出たというふうに、いたずらにその産地のものが出回るのに妨げになることを言う人もいるじゃないですか。ああいうのを見るたびにむかっとしますね。
もう一つあるとしたら、例のアンダーコントロール議論ですよ。これも程度問題であることはみんな知ってるわけじゃないですか。
ちょっと例えが悪いので、ごっちゃにするのはよくないかもしれないけど、放射能がゼロになるということは、この地球に住んでいる以上あり得ないことです。だって、原発事故がなくてもゼロじゃないですから。
だとすると、もとの状態と変わらないレベルになっていたら、(汚染水)漏れはゼロにはなっていないかもしれないけれども、その影響度合いとしては、ゼロというふうに言えるというのは、私は安部総理がおっしゃっているのは当たっていると思うわけです。
ところが、多くの人はうそをついている、(汚染水が)漏れている以上はアンダーコントロールではないと。総理はうそを言った、そういうふうに言われると、何を言っているのかなと。
そのことによって福島の状況がちょっとでも良くなるのであろうかと。日本国の状況がちょっとでも良くなるんであれば、人を危険にさらしているようなことがあるんだったら、メディアとしては大衆の番人として、危険なものは危険だと言うのは価値があると思いますよ。
でも、オリンピックが来るのは危険ですよ、韓国の人はお寿司は食べないほうがいいですよ、福島産のものは流通に乗せないほうがいいですよと、そんなことを言いたいんですかと。
あそこの外海は自然の状況と変わらないぐらいになりました。それは東京電力が頑張っただけではありません。海って膨大な量があって、希釈されたという効果も大きいと思います。
でも、結果としてそれぐらいの影響まではどうやらこうやらこぎつけることができた、そのことを総理がアンダーコントロールまでたどり着いたと言っているのに、大勢でもってそれに反論していて、ましてや総理がうそをついたと言い立てることって、一体誰の利益のためにやっているんですかと。」(姉川常務)
活動家の目的は日本をDISること。
日本人じゃなんですよ。特定秘密保護法のデモと一緒。
そこに気がつく必要があります。
日経ビジネスから
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131129/256513/?ST=smart
姉川常務、汚染水漏れへの思いを激白
前進しているのになぜ伝わらないのか
今、東京電力で何が起きているのか。福島第1原子力発電所では汚染水対策に手間取り、賠償や除染の費用負担を賄える見込みがない。こうした状況を受け、安倍晋三政権は「東電任せ」だった原発の事故対応からの転換を進めている。東電をほぼ今のままの姿で存続させる一方、除染などに国費を投入する案になりそうだ。
12月2日号の日経ビジネス特集では議論が十分に尽くされていない、解体の道を探るべきだという問題提起をした。改革のあり方を考える上では、問題の所在に迫る必要がある。なぜ東電は汚染水対策で後手に回っているのか。経営陣はどのように原発の事故処理を考えているのか。東京電力の原子力・立地本部副本部長の姉川尚史・常務執行役に聞いた。(聞き手は大西 孝弘)
福島第一原子力発電所で放射性物質を含む汚染水の問題が続いています。なぜ対応が後れているのですか。
姉川:汚染水の問題というのは、メディアにたくさん書かれましたから、世の中には知られているけど、(原発事故)当初からこれはなかなか手ごわい問題だという認識はありました。米スリーマイル島での原発事故は当然、我々の道しるべになっているんですよ。
事故当初、3月、4月の時からスリーマイルの収束に関わった方など国外の方が来ておられて、「この水の問題というのはたいへん難しい問題になるよ」と。最後は(放射性物質の1つである)トリチウムを放出していいかという問題だって、一般の方にご理解いただくのは難しいチャレンジになりますよ、という話はありました。
4月から問題になったのは3つ。1つは地下貯水槽から(汚染水が)漏れてしまったこと。それから海っぺりの方に流れている地下水に乗ってトリチウムやベータ線核種が検出されているということ。3つ目はタンクが漏えいしたということです。
なるほど手ごわいなとは思っていますけれども、想定外と思っている感じではないです。
11月8日には廣瀬直己社長が緊急安全対策を発表しました。まだ十分には思えません。
姉川:計画を立てたからって問題がなくなるわけではないですし、(問題は)ずっと続いています。
ただ自分たちが場当たり的にやっているわけではないと思っても、どうしてもその日その日のトラブル対応をしていると後手後手に回るところがあるから、これは1つ腰を落として、体系的な戦略を明確にしようじゃないかと、組織内で共有しようじゃないかということです。
あてどもない旅をしているのではない
それほど心配ないように我々はしたいと思っていますから、全然あてどもないような旅をしていないという風には思っています。
本当にこれから対策のレベルを上げていけるのですか。
姉川:壊れてしまった原子炉との戦いなので、相手を知るということは重要なんですよね。
例えば1号機の(格納容器から)漏えいしている箇所を見つけました。我々にとっては大きな一歩です。漏れているのは事実で、それを探しにいって見つけたわけです。そう(対策は)簡単ではないけど、これでどうしよう、こうしようという構想が練れるなと思ったから、非常にポジティブに受け止めているんだけど、メディアは「漏えいしていました」と(伝えました)。そんなことは前から分かっているんですと。場所が見つかったのが新事実なんですが、一般の方は間違って受け止めやすいわけですよ。
こちらとしては一歩一歩前進しているところをお知らせしたいのに、なかなかそのまま伝わらないので、残念だなと思います。
安倍(晋三)首相がコントロールされていると言ったら、いや、されていないじゃないか、いや、されています、されていないじゃないかという言い合いがありましたよね。
そこは相対的なものだから、完璧にコントロールしているということを期待している方にとっては、コントロールされていないという認識が正しくなるだろうし、相対的に当初の先を見通せない状況に比べるとコントロールされているとも言えます。
ただ我々が転んだ滑ったということでさえも心配をされていまうという事実もありますから、そういう無用な心配をかけてしまうということも自分たちにとってはよろしくないことだと思っていますので、些末な失敗を繰り返すことがないようにしていきたいと思っています。
ただ、これは難しいところもあるわけです。だって非常にきれいな柏崎(刈羽)の原子力発電所の中で、油が漏れたとか水が漏れたということがないようにすることと、あの(原発)事故でまだ炉心の受けた状態も分かりませんというところで水を入れ続けているあの設備において、一生懸命戦っている人たちに、そこいらに水が漏れた、油が漏れたということが1つもないようにしなさいと。
ちょっと例えが違いますけれども、確か(プロ野球の楽天の元監督だった)野村(克也)監督が、来たボールは全部ホームランを打てという監督は悪い監督だと言っていたような記憶があります。ここは大事だからインコース高めだけホームランを待って強振しろというように、監督はしなきゃいけないという話があったような気がします。
私としては、原子力のリーダーの1人として、ここは非常に重要だから絶対エラーをしないようにしようと。ここはそれよりリスクは低いんだけど、無用なトラブルを起こすと、こっちの重要なことをやっているこの力量さえも、能力さえも疑われて心配されるから。重要度が低いからトラブルが再発してもいいということではない、という言い方をして、みなさんがもっと安心できるような状態に早く持っていきたいと思っています。
ブーイングだけでチームは勝てない
汚染水問題に追われる現場のモチベーションが下がっています。
姉川:我々は一生懸命事故の収束をやりたいと思っているんです。でもしばしばたたく人がいる。ブーイングばっかり言っていたらチームは勝てないんです。
内部では監督やコーチが頑張ろうぜと言っているけど、みなさんは観客であったり、スポーツ記事ライターだったりする。その時になんだこれというふうなことばかり言われていたら、私も(クルム)伊達公子(選手)みたないなことを言いたくなってしまいますよね。我々としては頑張っていこうぜという気持ちでいるし、どうやったら盛り上がるかなと。現場の苦しさだってもっともっと楽にしてやりたいと思いますよ。
遅かったと思います。遅かったと思うんですけど、それは言い訳にはならない。現場にも申し訳ないなとは思うんだけど、避難した方がまだまだ苦しい状況の時に、(原発)事故を起こした東京電力が、自分たちの職場環境を改善しますとか、そういうことをやってもいいかなという思いがなかったかというと、それもありましたよね。
でもよく考えてみると、それは良くないことで、きちんと安全に(原発)事故収束が進むということは、東電だけじゃなくて、地元の人たちが避難から帰ってくるとか、生活を再建する上で前提となる条件なんだから。もっと大きく考えて先手先手で改善すべきだったなと思います。
賃金が末端の作業員まで十分に届いていないのではないかという問題もあります。
姉川:これは福島第1だけの話ではなくて、世の中一般にお金を払って、そのうちいくらが従業員の方に届いたかというのは、過去一度も明らかになったことはないので、ちょっと難しいですね。
我々に言えるのは、今回割増しで払いますと言っていますけれども、もともと(厳しい)環境であることを考えて平時よりもかなり高いお金を払っています。
例えば、あの(汚染水を貯蔵する)タンクを作ってくださった方の名誉にかけて言いますけど、事故直後から汚染水がわっとあふれそうになるし、実際海の方に2回ほどあふれましたから、大急ぎで大型のタンクが必要になったのです。
日本全国に呼びかけて、世界にも呼びかけたんじゃないかな、タンクがほしいと言ったのです。でも直後に来てくださった会社は1社だけだった。その後は来てくれましたが。
よし、日本のためにやってやろうじゃないとやってくれて、突貫工事で作ってくださったメーカーさんがいる。残念ながらそのうち何基かが今、耐用年数の問題なのか、くたびれてきたのかで漏れることがぽつぽつと起こっていますけど、だからといってその人たちにできの悪いタンクであるとか、仕事が杜撰であったんだとか、誰がそんなことを言うんですか。
新聞で200万円しか払っていないとか訳の分からないことを書いてました。あのタンクが200万円で買えるタンクですか。常識で考えたって絶対買えないですよね。あれはもっともっとその値札が10倍以上するようなタンクなんです。せっかく意気に感じていただいたこともあり、きちんとお支払しています。
さらには、こうしたトラブルがあった時にどうせ手抜きの工事をしたんじゃないかとか、締めるべきボルトを締めていないんじゃないかというふうに言われたけど、あれ分解して調べたら、一つ残らずきれいにボルトは締まっていました。立派な仕事をされていると思います。でも、そういうことは誰も伝えてくれないんですよね。
福島の収束の仕事をやって何かのトラブルがあると、うちの商品の信頼にかかわるから、あそこには売らんほうがいいというようなことにもなりかねない。第一、あんな状況で使うための商品なんて開発している人はいないです。でも、それを何とかこれでもいけるだろうということで、限界狙ってみんなやっているわけですから、なかにはうまくいかないこともあります。
「アンダーコントロール」は程度問題
ブーイングはいかがなものか、ということですか。
姉川:いや、いかがなものかというのはちょっと言い過ぎかもしれません。サポーターでもブーイングしますから。結局、人は三振したらブーイングして、ホームラン打ったら拍手するというのは変わらんと思うから、三振しても拍手してくれとか、黙っておいてくれというのは無理だと思います。
ただ、チームが優勝してほしいと思っているんだったら、いたずらにブーイングのほうを強調するのは損だよと、国としては。ということはサポーターの人たちは、どこかで心得ていると思うんです。
でも、東電に対しては、それを心得ていないし、心得ていないように誘導しようと、そういうほうがいいなと思っておられる方もいらっしゃるような気がして、それは不思議なことだなと。
例えば風評被害というものがあります。基準自体が相当保守的に安全に決めていますから、それを下回っているものを食べるのは安全・安心に決まっているんです。
でも、どこで何ベクレル出た、あそこで何ベクレル出たというふうに、いたずらにその産地のものが出回るのに妨げになることを言う人もいるじゃないですか。ああいうのを見るたびにむかっとしますね。
もう一つあるとしたら、例のアンダーコントロール議論ですよ。これも程度問題であることはみんな知ってるわけじゃないですか。
ちょっと例えが悪いので、ごっちゃにするのはよくないかもしれないけど、放射能がゼロになるということは、この地球に住んでいる以上あり得ないことです。だって、原発事故がなくてもゼロじゃないですから。
だとすると、もとの状態と変わらないレベルになっていたら、(汚染水)漏れはゼロにはなっていないかもしれないけれども、その影響度合いとしては、ゼロというふうに言えるというのは、私は安部総理がおっしゃっているのは当たっていると思うわけです。
ところが、多くの人はうそをついている、(汚染水が)漏れている以上はアンダーコントロールではないと。総理はうそを言った、そういうふうに言われると、何を言っているのかなと。
そのことによって福島の状況がちょっとでも良くなるのであろうかと。日本国の状況がちょっとでも良くなるんであれば、人を危険にさらしているようなことがあるんだったら、メディアとしては大衆の番人として、危険なものは危険だと言うのは価値があると思いますよ。
でも、オリンピックが来るのは危険ですよ、韓国の人はお寿司は食べないほうがいいですよ、福島産のものは流通に乗せないほうがいいですよと、そんなことを言いたいんですかと。
あそこの外海は自然の状況と変わらないぐらいになりました。それは東京電力が頑張っただけではありません。海って膨大な量があって、希釈されたという効果も大きいと思います。
でも、結果としてそれぐらいの影響まではどうやらこうやらこぎつけることができた、そのことを総理がアンダーコントロールまでたどり着いたと言っているのに、大勢でもってそれに反論していて、ましてや総理がうそをついたと言い立てることって、一体誰の利益のためにやっているんですかと。
再稼働申請、「何かあるように見えますか」
重大な課題が山積してますが、今の体制のままでは社長や幹部の仕事の負荷を超えているのではないですか。
姉川:どこの会社だって最終的な責任は全部社長になるわけです。国だったら全部総理大臣になるわけです。でも、だからといって総理大臣1人じゃ困りますよねとか、社長1人じゃ困りますよねなんていう発言が今まであったかというと、そんなことはなかった。
ところが、原子力になると姉川さん1人でいいの、いや本部長の相澤さん1人でいいのと聞いてくる。何を言っているんですかと。この組織にはそれを支える参謀もスタッフもいます。
姉川だったら能力不足だから他の人間に変えたらよかろうと、この仕事をやるにはもっとこういう能力の人間が必要であると、そういう意見だったら理屈はわかる。1人でやっているわけじゃありません。組織でやっているんです。そして、それぞれの現地の所長であるとか、副所長であるとか、部長であるとか、みんなそのピラミッドの構造の中で組織としてやっているわけです。
だから、仮に社長が忙しくしていますから、社長2人にしたほうがいいんではないですかという声が上がらないのと同じように、あなた、忙しくしているから、それじゃ無理なんじゃないですか、柏崎の案件と福島の案件2つは無理ですよねと。この柏崎の案件も福島の案件も、それぞれの担当者がいて分業してやっているわけです。だんだん上のほうにいったら両方見ているという人間が出てきます。それは全然不思議でもないし、無理でもないと思っています。
社長は全社の責任を持っているし、相澤は原子力の全部の責任を持っている。私はその副官だから、相澤の補佐です。そういう意味では両方、柏崎も東通も福島も見ています。福島第2も見ています。その下の部長さんになると、あなたはこっち、あなたはこっちというふうになります。
汚染水対策の道筋をつけられていない段階で、原子力規制委員会に柏崎刈羽原発の安全審査の申請をしています。なぜですか。
姉川:柏崎の申請をするというのは、7月5日ぐらいに新潟県知事と最初の面談をしたのかな。3日ぐらいに申請しますという方針を出しました。そのときには、地下貯水槽の問題がありましたけれど、まだそれほどの深刻さを理解していませんでした。タンクからの漏えいも8月に起こった話です。だから、その大騒ぎの最中に申請しようと思ったわけではありません。
申請のタイミングをもっと遅らせるべきではなかったのですか。
姉川:遅らせたら、イチエフ(福島第1)にとっていいことがあるんだったら、遅らせても良かったですけれど。遅らせたからといって、イチエフの事態が改善するというリンクはないと思っています。
何かあるように見えますか。よくそういうことはメディアの方から言われるんですけれど、何かそういうふうに見えますか。
1番手ごわいのは壊れた燃料の取り出し
汚染水対策に道筋がついていないのに、もう収益化のほうに頭が行っているんじゃないかと映った人もいます。
姉川:そのように言われる方がいるけど、その人は腹の底では全てを理解した上で聞いていますよね。メディアの方がそんなにものが分かっていないとは私は思っていませんから。例えば、道筋がついていないというんだったら、汚染水の問題というのはあまたの問題の中で手ごわい1つではありますけど、ワンオブゼムです。一番手ごわいのはデブリ、壊れてしまった燃料を取り出すという問題です。
その論法でいえば、あれを取り出すという道筋がついていないのに申請をするとは何事だ。もっと言えば、あれが取り出せていないのに、申請をするとは何事だという言い方はできるわけです。そういうことは40年かかるというふうに我々はロードマップを出していますから、40年間はもうやるなということですよね。
その一方で、柏崎の安全対策は、防潮堤はつくりました、プールはつくりました、何々ポンプを設置しました、消防車買いました。そのときには何も言わないのに、申請した途端に言ってござるというのは、もうわかっているのに言っていないんだな、このタイミングでそのことに関して苦情を言われているんだなというふうにしか私には見えません。
福島第1の所員の就労環境や生活環境を整えるためにはお金がいるんです。収入を得ることに関しては、利益を追及しているんだというような言われ方をしますか。
ですから事故処理に国がもっと関与するか、東電の組織体制の話が出てきたのではないでしょうか。
姉川:いやいや、一つでも分社化しても、私はあまり変わらないと思っているんですけれど、組織体制についてはまた別のことだと思います。私の理解が至っていない可能性もありますけれど。
でも、これだって皆さんもう十分わかっているはずですよ。国は一歩前に出ると言っているわけです。残念ながら東京電力が補償も廃炉も除染も何もかも自己責任でやりなさいということになっていたわけです。
でも、ほんとうに皆さんはそれが可能だと思っていますか。なかには会社を潰したほうがいいんじゃないかというふうに言われる方もいます。会社が潰れることが経営者や従業員にとって不幸かというと必ずしもそうでもない。無責任に投げ出したほうが楽だと。そして、新たな人生を生きたほうが楽だということだってあるかもしれないし、実際、会社をやめている、離職している人間もいるわけです。でも、それを歯を食いしばって残って、責任を全うしようと思っている人間が、何人もいるわけです。
それに対して、背伸びはしているけれども、それは無理だろうということで、今の政権が国も一定の役割を負うと言ったんです。ただ、ご存知のように、電力事業自体は自由化の方に行っていて、いろいろ競争していって、価格を下げようとなっているときに、東京電力も電気事業者です。そこに対して、国がお金を入れていて、それであっちの人と競争しなさいってフェアじゃないですよね。
だから、廃炉とか除染だとかこっちの負の遺産のことについては、国も協力するけれども、東京電力が電気事業をやることについては、国は協力しないよと。そこの線引きをするためには、分社化とか何か非常にわかりやすい経理上の折り目がいるということで出ているんであって、どちらについても東京電力の社員が、全力で責任を持って果たしていくんだという気持ちは変わりません。組織の形がどうなったとしても、おそらく代わりの人が出てくるとは私は思っていませんので、自分たちの責任だと思っています。
分社化についてはそういう理屈のために必要な話だと思っています。そこで実際仕事をしているのは誰だと言われれば、東京電力の社員がやっています。バッジは変わるかもしれませんけど。
間違っていたとの意識はある
独占企業として培ってきた企業風土や社員の意識を変えることはできるのでしょうか。
姉川:変わったと思います。原子力改革をやったから変わったというわけではありません。事故が起こったから、事故を体験したから変わったわけです。
戦争前の日本人は、「ああ、鬼畜米英」と言って戦争やって、真珠湾攻撃して、「ああ、やった、やった」と言ってそれで勝つぞと言ってたんだけど、もう原爆を落とされたり、東京を焼き討ちされたりして、負けたとなったときに、何か俺たち間違っていたなと思ったはずですけど、それと同じ気持ちが東電社員全員にはあります。
変化を実感できる場面とは。
姉川:実感というのは、こういう問題がありましたと言ったときに、今までだったらほとんど歯牙にもかからなかったけれども、そうだよなという議論ができるようになりました。
多くの人間が勤めている会社ですから、かえって、左の端から右の端に触れるというのは気持ちが悪くて、まだまだいろいろなものがあってもいいと思うんです。だけど、今まで原子力はオーケーなんだと言っていたのに対して、いやいや、自分たちの考えはこれで十分安全だったと思っているのは間違いだったということが、普通にみんなに受けとめられているので、変わったと思います。
改革プランなどで変えていこうとなっているんですけれども、あれは大枠のプランですから、自分一人ひとりになったときに、今日はこれをしよう、明日はこれをしようというところまでつなげられて、実践になっているかというと、まだ行き届いていないし、十分な成果が出ていないと思います。けれど意識が変わらないことには絶対前進しないので、意識が変わったという意味では、非常にポテンシャルがあると思います。
これは、ちょうど日本が戦争に負けて、その後に復興したのがいろいろな偶然やラッキーな面もあったのかもしれませんけれど、ある意味、自分たちはもっともっと根本から考え直さなきゃいけないなと思った人がたくさんいる社会だったから、力を合わせることができた。今、東京電力の中の3万5000かそれぐらいの人間は、そう思っていますから、私はこの先には相当な期待をしていますけど。
少なくとも東電の社員は自分たちは間違いを犯していたんだという考え方をして。ただ、全部先のことにエネルギーを投入するわけにはいかなくて、福島の事故処理や復興であるとかそういうところをやりながらの仕事になります。
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