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1ミリの呪縛 現実的な目標再設定を(福島民報)
http://www.asyura2.com/13/cult12/msg/233.html
投稿者 会員番号4153番 日時 2013 年 9 月 26 日 05:53:16: 8rnauVNerwl2s
 

「「外部被ばく測定で高い値は検出されなくなった。潮目は確実に変わった」。半沢は言う。全市民を対象にしたバッジ式積算線量計の年間実測値で66%が1ミリシーベルト未満、平均しても0.9ミリシーベルトだった。放射線防護の観点から見れば「急いで除染する必要性は少なくなった」とみている。

 国は年間1ミリシーベルト(毎時0.23マイクロシーベルト)以上の地域を除染する方針だが、実際にやってみると、この数値はなかなか達成できない。半沢は「低い所を除染してもあまり下がらない。膨大な廃棄土壌などの新たなリスクと引き換えになりかねない。現実的な目標を再設定する必要がある」とこれまでも国の担当者に言ってきた。当分の間、帰らない地域であれば、自然減衰などでの線量低下を待ち、今すぐ除染をしないという選択もあるとさえ思っている。

 国際放射線防護委員会(ICRP)の法則に、社会的、経済的な要因を考慮し、合理的に線量を下げていくという考え方がある。」


福島民報から
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/09/post_8184.html


 伊達市は年内にも、市内全域の生活圏の除染をほぼ終える見通しが立った。除染担当の半沢隆宏(55)は、億単位の除染コストが記された資料を見返した。

 年間積算放射線量が10〜20ミリシーベルトになると推計され、真っ先に除染したAエリア(2555世帯)は約150億円を投じた。Bエリア(3496世帯)は年間5ミリシーベルト以上の地域で、約90億円。局所的な除染を進めているCエリア(約1万5000世帯)は約10億円で足りると見込んでいる。

 仮に、比較的線量の低いCエリアをAエリアと同じように面的な除染をした場合、約880億円もかかる。線量の高い低いにかかわらずに一律の手法で除染している他の市町村に比べれば、単純に870億円が浮く計算だ。

 毎時0.23マイクロシーベルト以上の除染に国から交付金が出る。節約したからといって、除染以外には使えない「ひも付き」だ。「除染費にも復興事業費にも振り向けることができる一括交付金という形であれば、除染の在り方も住民の意識も変わってくると思うのだが」


 ■  ■
 半沢は、仮置き場から中間貯蔵施設までの輸送費を電卓ではじいたことがあった。10トンダンプカーに、汚染土を入れたフレコンバッグは7、8個しか積載できないから、年間300台を稼働させたとしても単純計算で3、4年はかかる。「荷降ろしの時間や交通渋滞などを勘案していないことに途中で気付いて、ばかばかしくてやめた」

 環境省の試算によると、国が直轄で除染を行う11市町村の「除染特別地域」からは900万〜1800万立方メートルの汚染土などが出る。他の市町村が行う「汚染状況重点調査地域」からは950万〜1000万立方メートル。県全体では最大で東京ドーム23杯分に相当する約2800万立方メートル、約3000万トンに上る。10トンダンプカーが1日3〜4往復、年間300日運ぶとして、2年間で終えるには、1日1500台前後が必要になる。

 「そもそもダンプカーが足りないだろうし、交通渋滞や事故が起きる危険も出てくる」。中間貯蔵施設への搬入は、相当な時間がかかる。運搬費だけでなく管理費も膨大になるはずだ。
 半沢は、市除染アドバイザーの田中俊一(68)=現原子力規制委員長=の助言を受け、市独自の保管の在り方を模索してきた。市町村ごとに適正規模の保管施設を設置する方が現実的だと思えたからだ。実際、市内にできた86カ所の仮置き場は多過ぎる−。管理しやすいように集約したいと考えている。


 ■  ■
 「外部被ばく測定で高い値は検出されなくなった。潮目は確実に変わった」。半沢は言う。全市民を対象にしたバッジ式積算線量計の年間実測値で66%が1ミリシーベルト未満、平均しても0.9ミリシーベルトだった。放射線防護の観点から見れば「急いで除染する必要性は少なくなった」とみている。

 国は年間1ミリシーベルト(毎時0.23マイクロシーベルト)以上の地域を除染する方針だが、実際にやってみると、この数値はなかなか達成できない。半沢は「低い所を除染してもあまり下がらない。膨大な廃棄土壌などの新たなリスクと引き換えになりかねない。現実的な目標を再設定する必要がある」とこれまでも国の担当者に言ってきた。当分の間、帰らない地域であれば、自然減衰などでの線量低下を待ち、今すぐ除染をしないという選択もあるとさえ思っている。

 国際放射線防護委員会(ICRP)の法則に、社会的、経済的な要因を考慮し、合理的に線量を下げていくという考え方がある。半沢もよりどころとしてきた。
 「除染費用を払うのはわれわれの世代だけではなく、子どもや孫だ。除染のやり過ぎは、将来に負担を後回しにすることになりかねない」。どこまで除染をするべきか、悩みは尽きない。

 県内の除染費用は最大5兆円−。産業技術総合研究所(産総研)は7月末、試算結果を公表した。
(文中敬称略)

 

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