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2015年08月26日
●「ロックフェラーと野口英世の関係」(EJ第4106号)
ジョン・ロックフェラーの医療支配によるビッグファーマの誕生についてもう少し述べることがあります。
1910年に、ある米国人の医学者がレポートを書いたのです。
その医学者の名前はエイブラハム・フレクスナー。論文のタイトルは次の通りです。
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「アメリカとカナダの医学教育」
──エイブラハム・フレクスナー編
1910年
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この100年以上前に書かれた論文は「フレクスナー・レポート」と名付けられ、これが現代まで続く西洋医療を蝕む元凶といわれているのです。
実はこのレポートは、石油を利用して医療支配を企んでいたジョン・ロックフェラーが依頼したレポートだったのです。
その内容を一言でいうと、「コールタール医療への提言」ということになります。
コールタールのようなものを薬として使えるのか疑問を持つ人は多いと思いますが、欧米では非常に患者数が多い「乾癬(かんせん)」という皮膚疾患の治療に使えるのです。
コールタールはともかくとして、多くの薬は、石油の副産物であるといえます。農薬とか、化学肥料とか、食品添加物とかは、すべて石油でできています。現代ではバイオテクノロジーによって錠剤、カプセル、粉薬、塗り薬、注射などすべての化学薬品は石油から作られています。そういう意味においてロックフェラーは先見の明があったといえるのです。
ところで、フレクスナーのコールタール医療に疑問を持った日本人の医学者がいます。
山極勝三郎です。
彼はコールタールを長期間にわたりウサギの耳に塗り付け、その経過を調べたのです。
その結果、コールタールが原因でがんが発生することを発見したのです。
1915年、今からちょうど100年前のことです。
当時、がんの発生については、ヨハネス・フィビケルという医学者の「寄生虫原因説」が主流だったのです。
山極勝三郎は、その寄生虫原因説を覆し、コールタールががんの原因になることを自ら実証して見せたのです。
これに腹を立てたのは、ジョン・ロックフェラーです。
コールタールが発がん物質とわかってしまうと、薬として使えなくなってしまうからです。
そこでロックフェラーは、政治力を使ってマスコミを押さえ込み、山極勝三郎の研究を黙殺させ、ノーベル賞の推薦委員会の制度を悪用して、「寄生虫原因説」のヨハネス・フィビケルにノーベル賞を受賞させたのです。1926年のことです。
ロックフェラーがその財力と政治力を使えば、このぐらいのことは簡単にできたのです。
これによって、山極勝三郎の研究は、完全に抹殺され、しかも現在までこの山極の研究は日本では「医学界最大の汚点」といわれていたのです。
このように山極勝三郎という日本の研究者を潰す一方で、ロックフェラーは、日本人の医学会のスーパー・スターを誕生させています。
それが野口英世です。
当時ロックフェラー医学研究所の所長であるサイモン・フレクスナーの推薦で、ロックフェラー医学研究所で研究に従事することになるのです。
なお、サイモンはコールタール医療のフレクスナーの実兄です。
野口英世といえば、1000円札にその肖像が載るほどの人物であり、年配者であれば、子供の頃の読本や教科書で偉人、英雄と認識している日本が世界に誇る医学者です。しかし、現在では野口英世の業績には多くの疑問符がつくのです。生物学者の福岡
伸一氏も著書の中で、次のように述べています。
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ロックフェラー大学における評価は、日本のそれとはかなり異なる。
(野口は)梅毒、ポリオ、狂犬病、黄熱病の研究は当時こそ賞賛を受けたが、多くの結果は矛盾と混乱に満ちたモノだ。
むしろヘビー・ドリンカー、プレーボーイとして評判だった。
数々の病原体を突き止めたと言うが、今は間違った業績として全く返り見られていないというのだ。 ──福岡伸一著
『生命と無生物のあいだ』/講談社現代新書
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要するに、野口の研究のほとんどは捏造だったというのです。
野口英世は、1928年にアフリカのガーナで黄熱病のため客死するまで、医学界のスーパースターとして、ロックフェラー財団の進める医療支配のために、とことん利用されたのです。それにしても野口英世まで論文捏造とは情けない限りです。
ロックフェラーグループは、現在においても医療分野で大きな力を持っています。
研究論文の発表に使われることの多い『サイエンス』誌や『ネイチャー』誌といった欧米系の名門科学誌にはもちろん彼らは強い影響力を持っています。
これらの科学誌には、「アカデミー」と呼ぶ100人たらずの査読グループがあるのですが、世間からは隠された存在になっています。さまざまな角度から論文を審査し、雑誌に載せるに相応しい論文かどうかをチェックするのです。
世間から隠しているのは巨大企業や権力者からの影響力を排除し、信頼性を担保するた
めといわれていますが、ロックフェラーはこの査読グループを完全に押さえているといわれます。
この査読グループを押さえておくと、世界中の重要な研究はすべてチェックできることになります。したがって、彼らのビジネスにとって都合の悪い研究は雑誌には掲載せず、潰してしまうのです。
●「STAP細胞疑惑の背景について考える」/近藤正高氏
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それは1919年の春頃、野口が米ロックフェラー研究所にあって黄熱病の病原体について論文を書いていたときのこと。
訪米した旧知の医師・畑嘉聞に対し、野口は「研究において、自分がまだ出してはいけないと思っていることでも、ロックフェラー研究所では、急いで発表してしまうことがある。
現に黄熱病などの発表でも、自分ではまだ満足いっていないのだが、世間ではそれを確定したものとして賞賛してくれる。
私の心中では忸怩たるところがあるものの、しかしその賞賛が刺激となって奮い立ち、自分の責任をますます感じるようになる。
そして大きな覚悟をもって突き進み、仕事をし遂げるということになるのだ」
と打ち明けたという。
研究所内でのプレッシャーをうかがわせる発言だが、それでも自分の研究に責任をもってさらに先へと突き進むというのが野口のポリシーであったようだ。
べつの本にはまた、野口が「正直は最良の策」ということわざを気に入っていたことが紹介されている(酒井邦嘉『科学者という仕事』)。
アメリカの政治家にして科学者でもあったベンジャミン・フランクリンが残したものとされるこのことわざのキモは、「正直」を美徳ではなく、「策(ポリシー)」ととらえたところにある。
すなわち、《元来の性格が正直かどうかは関係なく 一見、不利に見えそうな「正直」を、より良い戦術としてあえて意図的に選ぶべしということなのだ》(酒井、前掲書)
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