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(回答先: 松岡正剛の千夜千冊 小林達雄 縄文人の文化力 投稿者 中川隆 日時 2014 年 11 月 29 日 11:23:53)
縄文の交易ネットワークを可能にした婚姻制度
縄文時代中期、原産地が限られている黒曜石やヒスイ製勾玉が広範囲に流通していたことから、非常に広範な交易ネットワークがあったと考えられます。
それは同時に、集団が氏族⇒部族として組織化されていたことを示しています。交易の主体となる集団がてんでばらばらに交易を行ったとは考えにくいからです。氏族という最小単位の血族集団を統率する部族が生まれ、各地の部族と交易を行ったと考えなければ、広範囲にネットワークは広がりません。
★交易ネットワークを支えた原動力は何か?
本ブログでは、縄文中期の住居形態と婚姻制度に着目します。この時代の住居の特徴は、中央に広場を置いてその周りを住居が取り囲む形で建造されています。その広場では夜ごと火をたいて祭りを行い、性を開放していた考えられます。野放図な性の野合を禁じ、祖霊の祝福がある場と時間に、祖霊の決めた相手と性交することが氏族内の婚姻規範でした。これを『群婚』といいます。
『郡婚』では、男にとって集団内のすべての女性が伴侶であり、同時に女にとって集団内すべての男性が伴侶となります。同時進行の多夫多妻の婚姻形態となります。氏族の内部で婚姻が完結していることから「族内婚」ともいいます。
ここで、高群逸枝・著『日本婚姻史』から引用します。
縄文中期以後、日本では一群単位とはかぎらず、二群でも三群でもが集落をなしている。集落遺跡は環状型や馬テイ型をなし、中央にヒロバをもつことを特徴としている。その中央に祭祀施設のあるヒロバをもち、そこをクナド(神前の公開婚所)とし、集落の全男女が相あつまって共婚行事をもつことによって、族内婚から族外婚段階を経過したと考えられる。
クナドの神なるものは、数カ所村共有のヒロバや、入会山や、交通の要衝(いわゆるヤチマタや物々交換の市場)や、村の入り口に祭ってある石神であるが、その性格は一面が交通の神、他面が性の神という複雑さを持っている。
複数の氏族を包括する部族、さらに部族間の交流があったことは、氏族内で完結していた「族内婚」から「族外婚」への移行を意味します。そして、「クナド」が交通の神であり、同時に性の神であるということは注目に値します。クナドは文字通り神前共婚の場所であり、またそのことによって他群と交通し、結びつく場所となるのです。
縄文時代、性交は同族化を意味します。排他的な異族の間では性の交歓だけが(ときには性器のみせあいだけでも)和平への道であり、理解への道であり、村つくり、国つくりへの道となります。※大国主神の国つくり神話が、同時に妻問い神話になっているのも、この理由にほかなりません。
∴クナドによる性による交歓は、充足感とともに、集団が氏族から部族へ、さらには交易ネットワークに結びついていったのです。
http://bbs.jinruisi.net/blog/2015/09/2202.html
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