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(回答先: オーディオ地獄 スピーカー編 投稿者 たけしくん 日時 2014 年 1 月 04 日 08:26:23)
ルーム・アコースティック&スピーカー・セッティング
を向上させて、オーディオ機器の音を10倍良くする方法
ルームアコースティックの基本的な考え方
http://www.mmjp.or.jp/ippinkan/newpage213.htm
リスニングルームの影響
スピーカーを設置する部屋は、オーディオ専用ルームではない場合がほとんどです。そのため、スピーカーを理想的な位置に設置できない、音を大きく できない、など多くの制約が考えられます。それでもリスニングルームの音響特性を把握し、問題点に対処しながら設置を行えば、上手くいけば「スピーカーの 価格が一桁上がった」と感じられる程、音質が向上するはずです。しかし、その具体的な方法は「スピーカーの大きさやリスニングルームの音響特性」により大 きく異なるため、一概にこれが絶対であると申しあげることは難しいのです。
ここではリスニングルームに起きがちな問題を「目で見えるように置き換えて考える方法」と「簡単で確実な改善方法」をいくつか紹介したいと思います。
エネルギー保存の法則
リスニングルームで生じる「残響音(反射音)」は、元々は演奏されていない音ですから、多すぎると音楽を作り替えたり、損ねたりしてしまいます。 しかし消しすぎれば逆に、音楽の「艶」や「潤い」、「広がり」などが殺がれてしまうのです。毒にも薬にもなるこの「残響」を上手くコントロールする方法を 見いだせれば、音楽を心地よく再生する大きな助けとなるでしょう。
もし、「スピーカーから出た音」が「壁で減衰せずに100%反射」するなら、一度出た音は永遠に消えることなくいつまでも部屋の中で鳴り続けます (現実には、壁が音を全反射しても、空気分子の摩擦ロスなどで残響は消えてゆきます)。しかし、「音を壁が100%吸収」すればスピーカーから出た音は二 度とリスナーには戻らず「残響」は一切生じません。
吸音しないと「残響は消えず」、吸音すると「残響は消える」。「吸音される音の分量」と「残響の長さ」は反比例する。つまり、「音響エネルギー」は、消費(吸音)しなければ、いつまでも保存(消えずに残る)されるのです。
この「エネルギー保存の法則」が「エコーの量と持続時間(残響エネルギー)」をコントロールするための基本的な考え方になります。
音量と音楽の関係
「スピーカー」を「一本のロウソク」に例えましょう。「ローソクの明るさ」が「音量」だとお考え下さい。「音楽」とは「音の動き」ですから、「炎 の動き」を「音楽」にあてはめて考えることができるでしょう。「音楽」を聴くということは、この「ロウソクの炎の動き」を細大漏らさず観察するということ です。
「炎」を大きくすれば、炎の「細部」は拡大されて見やすくなりますが、大きすぎると視野から「炎」がはみ出し「全体の動き」を把握しにくくなるで しょう。「炎」を小さくすれば、「全体の動き」が小さくなり「細部」も見にくくなります。これが「音量」と「音楽」の関係です。
「炎」の大きさは、リスニング・ポジションから見たときに「原寸大」が理想です。リスニング・ポジションで聴く音量を可能な限り「音楽が演奏されたときと同一の音量」に設定しなければ「音楽」が変わってしまうのです。
炎は原寸大が望ましい。
大きすぎると全体が見えない。
小さすぎると動きが小さく細部も見づらい。
リスニングルームの大きさと音量
環境的な制約で小さな音でしか音楽を聴けないなら、迷わずスピーカーに近づいて「ニアフィールド」で音楽を楽しんで下さい。それが、すこしでも 「炎」を「原寸大」に近づける唯一の方法です。しかし、近づけば非常に小さな「炎」の動きまで見ることになりますから「スピーカーの音質精度が劣悪(炎の 形がいびつ)」な場合には、近づけば近づくほどその欠点が拡大され聴きづらい音になってしまうでしょう。
そのため部屋で聴く音量が小さい場合には、店頭でスピーカーを試聴する際に音量を絞り、スピーカーのすぐ側で聴いても「自然な音」の製品を撰んでおけば間違いが少ないはずです。
もし、あなたが恵まれた環境にいて「音量」をある程度コントロールすることが許されているなら「スピーカーの音量」つまり「ロウソクの光の強さ」 を変え「炎」を適切な大きさにすることができますが、その場合でも「ロウソクの光の強さ」と「壁による光の反射量(間接光の分量)」を考慮することが大切 です。
ロウソクの炎をスッキリと見通すために
音量と音楽の関係は、ほぼ理解できました。次は「ロウソクの炎をスッキリと見通すための条件」を考えましょう。
ロウソクの炎を観察するときに、炎の後ろが「真っ黒の板」であれば、一番「炎」を観察しやすいはずです。逆に、一番いけないのが「鏡」です。も し、「炎」の周囲がすべて「鏡」でできていたら大変です。「炎の虚像」が幾重にも重なり「炎の観察」は非常に難しくなってしまうでしょう。「炎」の後ろ側 は暗ければ暗いほど「炎の観察」はしやすくなるのです。
これをスピーカーの背後や周囲の壁に当てはめてみましょう。スピーカーの周囲や背後の壁は「黒く」なければいけません。「真っ黒」とは「全吸音」 です。スピーカーを設置する場合には、周囲や背後の壁との距離を十分に取るか、距離がとれない場合は「吸音」しなければいけないのです。
直接音と間接音の関係
スピーカーの周囲は「吸音」が良いということが理解できました。ではリスナーの周囲はどうでしょうか?
もちろん、どのような場合でも「炎」に近づき周囲を十分に暗くすれば「炎の観察」を一番容易く行うことができますが、「視野」に入るのが「炎」だけで周囲が真っ暗なら、居心地があまり良くないかもしれません。
そんなときには壁から反射された「間接光」が自分の両側や背後から回り込み、「炎の観察を妨げない範囲」で、回りをほのかに明るくしてくれるなら「ずいぶんと居心地が良く」なるでしょう。
リスニングルームの大きさと、残響音の強さとの関係
この「間接光」の強さが「ルームエコー(残響)」にあたります。「間接光(残響)」は、あくまでも「炎の見やすさ」を損ねないように、リスナーの左右と背後からほのかに回り込んでくるのが理想なのです。
リスニング・ポジションを「適度な明るさ」にするには、部屋が狭く左右や背後の壁からの距離が十分でない場合「壁紙を暗い色(壁面で吸音)」にしないと、壁からの反射が多くなり過ぎてリスニング・ポジションが明るくなりすぎます。
逆に、部屋が非常に広く壁からの距離が十分にある場合「壁紙を明るく(壁面で反射)」しないとリスニング・ポジションが明るくなりません。
無害な反射と有害な反射
しかし、一口に「反射」といっても、「有害な反射」と「比較的問題を生じさせにくい反射」に分けられるのです。
炎の観察では、背後に「鏡」を置くのが一番有害でした。なぜなら炎がそのまま写り込んでしまうからです。しかし、「白い紙」なら鏡ほどの大きな問題は起こらないはずです。
音を反射させる場合でも「鏡」のような反射ではなく「白い紙」のような反射なら問題は少なくなるのです。「鏡のような反射」とは「均一な平面」でおきる反射で「白い壁のような反射」とは「でこぼこな面」でおきる反射です。
音の反射をピンポン玉に置き換えて考えましょう。ピンポン玉が「平面」で跳ね返れば、私達は、ピンポン玉を受けることができます。しかし、ピンポ ン玉が「でこぼこな面」でイレギュラーにバウンドすれば、ピンポン玉を見失い受けることができなくなってしまうでしょう。音を聴くのもピンポン玉を受ける 場合と同じなのです。
「音の方向性」や「距離」を判別するためには「直接音」と「反射音」の「関連」を探らなくてはなりません。しかし、「でこぼこな面」で「音」が乱 反射し、「関連」が乱れれば、反射音の「影響力」も薄れてしまいます。そうして「壁」の反射は「鏡」のように「関連性の強い形」を留める反射から、「白い 壁」での反射のように「形を留めない反射(乱反射)」に変わるというわけなのです。
適度な吸音と、心地よい「乱反射」を行う優れた材質があります。それは「毛皮」です。安価で音響特性に優れる「毛足の長いムートンの敷物」を使用 して下さい。スピーカーの前に敷いたり、周囲や背後の壁に掛けたり、様々な使い方が考えられますが、今までに発売されているどのような「オーディオルーム チューニング材」よりも「ムートン」の特性は優れているはずです。
向き合う平面の角度と反射の関係
では、「向き合う壁の角度」は「反射音」ににどのような影響を与えるのでしょう。
平行面が悪いといわれますが、これも「鏡」をモデルにすればすぐに理解できます。「平行に置いた鏡」の間に物を置けば、その「像」は永遠に続き「無限の虚像」を生じるからです。この「虚像」が、フラッターエコーと呼ばれる最も有害な反射音です。
しかし、「鏡の角度」を変えたり、「片側の鏡を黒い板」に変えれば、「像」は永遠には続かず消えてしまうように、フラッターエコーを生じる「平行面の片側を吸音」するだけでも、有害な反射音を効果的に低減することが可能です。
天井と床の反射の影響
実際のリスニングルームでは、床と天井が最も大きい平行面となっているはずです。この平面からの反射を防ぐため、スピーカーを設置するときには 「ツィーター」を床(天井)から十分に離す必要があります。小型スピーカーを床に直に置く(マルチチャンネルシステムではエフェクトスピーカーを天井に付 ける)などということは絶対に避けなければいけない最も悪い例です。
床がフローリングや畳の場合、かなり大きな反射を伴いますから、スピーカーの直前の床部分には、毛足の長い絨毯や、厚めのマットレスなどを敷き吸 音を行って下さい。天井もできれば吸音を行いたいところですが、実際問題として難しい場合が多く、その場合は平行面の一方である「床の吸音」をきちんと行 うことで大きな効果を上げることが期待できるのです。
スピーカーの背後と、左右の壁からの反射を調整する
スピーカーの背後の壁は、ロウソクの炎をスッキリ見通すために「黒」でなければなりません。カーテンなどで吸音を行って下さい。
しかし、この「吸音材」も必ず若干の反射を伴い「素材」の音がそのまま反射音に反映されるようです。「ビニールの壁紙」や「ガラス」・「金属」・ 「平面性の高いプラスティック」などは不愉快な反射を伴いますから、天然素材の「綿」・「絹」・「羊毛」や合成素材なら「ポリプロピレンの生地」などの材 質を壁紙やカーテン、あるいは敷物として用いることをお薦めします。
スピーカーの背後を「黒」にするために、スピーカーを壁から離した方がよいことがわかります。この場合の距離ですが最低でも70p、できれば1m以上離しておきたいところです。
(スピーカーの間にTVを設置することは、強い反射をおこすので極力避けて下さい。)
左右の壁ですが特に影響が大きいのは、スピーカーより前側に位置する左右の壁です。やはりカーテンなどでしっかり吸音を行いたいところです。しか し、スピーカーを十分に内側に向けて設置すれば背後の壁ほどの影響は受けませんから、インテリアやその他の事情で、どうしてもカーテンや吸音材の設置が難 しい場合には、スピーカーを壁から45度以上の角度をつけて大きく内側に向けることで影響を低減することが可能です。
リスナー背後と左右の壁からの影響
スピーカーの背後と左右の壁の影響と対策はは大体わかりました。次は、リスナーの左右と背後の壁からの反射の影響です。耳の後ろに手を当てて音を 聴けば、音がまったく違って聴こえるのがわかります。このように「背後の壁からの反射」は非常に有害です。そのため、リスニング・ポジションはできるだけ 部屋の中央に近いところに定めるのが理想ですが、それが不可能な場合には、背後の壁を十分に吸音するよう配慮しなければなりません。壁を「鏡」と考えて下 さい。リスニング・ポジションから左右の「鏡(壁)」を見たとき「スピーカーの像」が映り込む壁(鏡)の位置が音をリスナーの方向に一番大きく反射させて いる場所ですから、その場所を吸音するかスピーカーの角度を変えてやれば反射音を効果的に低減できるでしょう。
今までは中高音域のルームチューンの説明をしてきました。しかし、低音域のチューニングも忘れてはいけません。
低音域の共鳴や伝送の乱れは「スピーカーと壁の距離」に大きな関連性があるのですが、距離がp単位で変わるだけで、低域の音響特性は大きく変化す るため、具体的な数字をあげることができません。しかし、中高音が「光のように反射」するような動きをするのに対し「低音」は「壁や床にそって流れるよう に進む」とお考えいただければ参考になると思います。
また、中高音が音の広がりや音像の定位感に大きな影響を及ぼすのに対し、低音は音の広がりを濁らせたり、低音部と中高音部の分離を悪くする、中高音部の明瞭度を低下させ音を曇らせるなどの悪影響を与えます。
低音部の反射で大きな問題になるのが「左右からの低音の回り込み」です。右側に設置したスピーカーから出た低音がスピーカーの背後→中央の壁と壁 面を伝わりながら、左側の壁へと流れ、リスナーの左側から聴こえてしまうと、左側のスピーカーの低音と右側のスピーカーの低音が混ざって音場空間を大きく 濁らせるのです(反対側も同様)。これを改善するには、スピーカーの背後の壁沿いに、低音の流れを遮る形で吸音パネルを設置することで対処できます。
スピーカーのウーファーと床との距離が近づきすぎると、ウーファーから放射された低音が、すぐ近くの床を伝わって這うように進み、リスナーにやや 遅れて届くため、「低音の量感」は増すものの「かぶり気味の濁った低音」が「低音楽器の音階を不明瞭」にしたり「ドラムをバタつかせたり」、あるいは「空 間の広がりを濁らせたり」というような悪影響を及ぼします。この影響を低減するためにはウーファーを床から、30p以上離れるように、スピーカーを持ち上 げて設置することが望ましいのです。
また、低音は音響エネルギーが大きいので減衰しにくく、スピーカーと周囲の壁との距離の関係がまずいと、簡単に「共鳴」をおこし、低音の一部が減 衰せずに持ち上がり、やはり上記と同様の悪影響を与えてしまいます。「共鳴」が悪さをしている場合には、スピーカーの位置を数p動かすだけでも「共鳴」が 消え、嘘のように濁りがとれることがありますから、「スピーカーとその背後の壁との距離」は重要なチェック・ポイントです。
スピーカーの位置を大きく変更できないとき、あるいは位置を変えても症状が改善されないときには「低音エネルギーの吸収率が高い吸音材」などを用いて低音をスピーカーのすぐ近くで吸収するなどの方法で対処してください。
モノラル再生によるスピーカーの音質チェック
ほとんどのオーディ オマニアは、スピーカーの音質をチェックするとき左右のスピーカーから同時に音を出しながら音を聴きますが、実はあまりよい方法ではありません。それは、 リスニングポジションで双方のスピーカーの音が干渉し合って「音が濁り」、各々のスピーカーの音質判断の妨げとなっているためです。
もし、モノラル録音を(ステレオ録音盤の場合は片側のチャンネルの音を左右に使用してください)片側のスピーカーの音を消し、右あるいは左の各々の スピーカーで再生し音質を聴き比べてください。おそらく、左右のスピーカーの音の広がりや濁り、もやつきに大きな差があるはずです。
これはスピーカーから発せられた音が、スピーカーの周囲の壁や天井床で反射し、リスニングポジションで再生音に混ざり込むためですが、この時のス ピーカーから発せられる直接音と部屋の反射音がぶつかるときに、打ち消しあったり強めあったりするために起こっています。TV画面で説明すると「ゴース ト」のような歪みです。
次に、片チャンネルからだけ音を出しながら、音の出ているスピーカーをほんの数p前後に動かしたり、ほんの少し向きを変えたりすると、大きく音質が 変わることに気づくはずです。これは「反射音によって発生するゴースト」が数oのスピーカーの移動や角度の違いによって微妙変わり、目立ったり、目立たな くなったりするためだと考えられます。
音の広がりや濁りを一番簡単に、大きく改善できるのは「レーザーセッター2」を使用することですが、その前に左右のスピーカー個別に「よりよい音が再現されるポイント」を探しておくことは良い助けとなるはずです。
ただ、上記の方法で左右個別のベストポジションを見つけていても、「レーザーセッター2による調整」でスピーカーをベストポジションから動かさなければならず、その結果また音に若干の濁りを生じることになります。
しかし、それでも入念に(1)モノラル音質チェック−(2)ステレオ音質チェック(レーザーセッター2使用)の(1)−(2)の作業を繰り返し、双 方の音質の最良の妥協位置を見つけ、モノラル録音を2本のスピーカーで再現しても1本のスピーカーで再現するときと変わらないほどクリアーな音質を実現し てください。その調整を済ませた後に、ステレオ音源、特にワンポイントステレオ録音のライブを再生すれば、この方法の正しさと素晴らしさを御体験いただけ ると確信します。
スピーカーセッティングに近道はありません。正しい方法と順序に従って丁寧に行えば行うほど音質はあなたの望む以上に向上するはずなのです。
レーザーセッター誕生
スピーカーの指向性の改善
人間の生存と進化の歴史を考えると、人間が「獲物」を見つけるとき、あるいは「猛獣」から身を守るときに、岩陰や木陰に隠れながら、「音を聴く」 だけで「位置」を特定できれば、人類が生き残れるチャンスは大きく増したはずです。そのため、私達の聴覚は、そういう「複雑な反射」の中でも「音源の位 置」を判別できるよう進化してきたと考えるのが自然です。
再び視覚に置き換えましょう。水面に石を投げ込んだとします。私達は、そこから広がる「波紋の一部」を見るだけで「投げ込まれた石の位置」や「大きさ」などをおおよそ知ることができます。聴覚も、同じ方法で「音源の方向や距離」を判別していると考えたのです。
もしこの考え方が正しいなら、私達は「部屋の音の一部」を聴いた(見た)だけで「波紋全体の様子」や「音源の位置」を感じ取ることができるはずで すから「音の広がりを感じ取れる場所」が「部屋の中の一点」でなくてもよいことになりますし、スピーカーの位置を動かしたとき「部屋のどこでも音の広がり の変化を感じ取れる」合理的な説明も可能となるでしょう。
実際にスピーカーから放射(再生)される音は「単純な波紋」ではなく、またスピーカーから出た音も「部屋の壁で複雑な反射」を繰り返しリスナーに 届いています。そういう状況で「録音された波紋の広がり」を復元するには、再生時に「波紋の広がりの関係を乱さない」ことが重要だと考えました。
もし、二本のスピーカーから発生する「波紋」が「均一に広がっている」なら、双方のスピーカーの「設置位置」には関係なく「波紋の交わりが乱れる」ことはないはずです。
スピーカーから波紋が均一に広がる時(無指向性スピーカー)
スピーカーが一本の時 スピーカーが二本の時
(モデルを単純化するため、一本のスピーカーから「一つの波紋」が生じているとして図にしてみました。)
しかし、私達が使っているスピーカーは「波紋が均一に広がる=無指向性」ではありません。そこで、モノラル録音を再生しスピーカーが一本の場合 と二本の場合の「音の濁り」を比較しましたが、たいていの場合、両方のスピーカーを同時に鳴らすより片側のスピーカーの音を消してやるほうが、音場の広が りや透明感が大幅に向上することを経験するのです。
そこで、そこでもう一度、「波紋が均一に広がらない状態(有指向性)」をモデルに図を作ってみました。
スピーカーから波紋が均一に広がらない状態 (有指向性)
スピーカーが一本の時 スピーカーが二本の時
この図を見れば「波紋が均一に広がらない場合(スピーカーに指向性がある場合)」には「二本のスピーカーの位置関係」がまずいと「波紋の広がりに乱れ」が生じることがわかります。
波紋の広がりを「遮ぎり」あるいは「反射」させて「指向性」の一番大きな原因を作っているのは「バッフル(ユニットを固定している板)」です。左 右のスピーカーのバッフルの位置関係を合わせれば、「音波の広がりの乱れ」が減少し「指向性」を原因とする立体感の欠如は大きく改善されるはずです。(干 渉波の整合性の向上)
スピーカーに指向性があっても「位置関係」を正確に合わせれば
「波紋の乱れ」が減少し、「波紋の整合性」を向上できる。
レーザーセッターの原理
そこでまず、「リスニング・ポジション」を「基点」に左右のスピーカーのバッフル面までの距離を測定してスピーカーを設置してみました。音の広が りは少し改善されましたが十分ではありません。そこで次に、「基点」とバッフルの角度の相関関係を合わせることにしました。最初は、目測で行いましたが結 果が芳しくなかったので、どのようにすればよいか考え、「直線性の強いレーザー光線の反射」の利用を思いつきました。「基点」から「レーザー光線」をバッ フル面に取り付けた「ミラー」めがけて照射し、反射するレーザー光線をきちんと「基点」に戻るようにすれば「角度の誤差」は解消され、その上で「基点」と 「ミラー」までの距離を左右で同一にすれば、「二本のスピーカーの位置関係の整合性」は完璧になります。早速実験したところ、スピーカーは見事に空間から 消え、未だかつてなかったほどの広大な音場空間」と「明瞭な定位」が実現されたのです。
スピーカーの角度と距離を任意の一点に向けて揃えることで、
「部屋に広がる波紋の整合性」は大きく改善される。
レーザーセッター誕生
このすばらしい成功を一人でも多くのオーディオファンに役立てていただくため「レーザーセッター」と名付けた「スピーカー位置決め装置」を考案し ました。原理は「リスニング・ポジション」に「的」を置き「的」から照射された「レーザー光線」を「左右のスピーカー」に取り付けた「ミラー」で「反射」 させ「的の中心に戻す」ことで角度を揃え、次に伸びのない「糸」を使って「的」と「ミラー」までの「距離」を合わせるという仕組みになっています。レー ザーの反射を使えば、水平方向だけでなく垂直方向の角度も一致させることができるのでまさに理想的な方法です。
レーザーの「基点」(的を設置する位置)はリスニング・ポジションよりやや前あたりが良好な結果が得られます。その時、スピーカーが大きく内振り になっても左右への広がりはまったく損なわれません。また、左右のスピーカーの距離誤差は数o以下まで追い込むことが理想で、位置誤差が1pを越えると極 端に効果が落ちてしまうのです。
このように「きちんと位置合わせ」をすれば左右の壁の反射状況が著しく違ったり、片側だけに壁がないような場合でも、それらの影響は従来考えられ ていたほどではなく、反射の強い壁側のスピーカーをより大きく内振りにするなどの工夫で、壁の影響をほとんど受けずに音像をセンターに定位させることがで きるようになるのです。
このレーザーセッターを用いれば、今後主流となるであろう「マルチチャンネル(5.1Chなど)スピーカーシステム」のより複雑な設置も簡単にできるでしょう。
スピーカーを正しい位置に設置してスピーカーの存在を消し去る
■誤ったリスニング・ポジション [1]
多くのリスナーは「リスニング・ポジション」を部屋の後方中央付近にとり、「スピーカーを反対側の壁と並行」(下図D線上)に設置しています。こ れでは、「リスナーの背後の壁」からの反射音で「波紋情報が大きく乱れた場所」にリスナーが位置することとなり、リスナー背後への音の広がりが大きく阻害 されます。また、左右の壁からの反射音の影響で左右への広がりも大きく損なわれるため、音場は、部屋の中央付近(斜線部分)で小さく広がるに止まります [1]。また、スピーカー背後の壁からの反射の影響で「ボーカルはボケ気味」となり、音場の中央から圧迫感を感じるような再生音となりがちです。
■正しいリスニング・ポジション [2]
この状態を改善するためにはリスニング・ポジションをG→G’に、スピーカーを思い切って前方に移動し(Xの距離は70−100p)部屋を斜めに横切るD’線上(オフセット角度最低5度以上)に設置します[2]。 リスニング・ポジションの前方(リスナーの眉間〜30p)にレーザーセッターの的を置いて「基点」とし、スピーカーの位置を合わせます。そうするとスピー カーから出た音は部屋の壁で反射されることなくリスナーに届き、また、左右の反射角度が不揃いなため、同じ経路で反射を繰り返えすことなく減衰し、不要な 定在波を生じさせません。その結果、前後左右への音の広がりや、ボーカルの透明度、楽器の分離感の向上に大きな効果があらわれます。
あとがきにかえて
この冊子により「ルーム・アコースティッ ク」の調整と「レーザーセッター」によるスピーカーの位置決めを実施していただけるなら、音質は大きく改善され「音楽を聴く楽しみ」が倍増することと思い ます。これらは、従来なされてきたどのような説明よりもずっとシンプルで、わかりやすく「出費も最小限」にすむ効率的な方法であると信じますが、あえて 「○○式」というような名前は付けたくありません。なぜなら、「○○式」と名付けたが故に、その方式に「強いこだわり」を持ってしまったり、「考え方を固 定」させ「視野を狭く」するというような失敗を犯したくないからです。さらにすばらしい発見を見いだそうとするなら、視野を広く保ち目の前の出来事から謙 虚に学ばねばいけないはずです。大きな発見は、常に多くのお客様のお力添えや良き友人の協力の中から生まれています。より大きくその輪を広げるために、独 りよがりにならず、成功の喜びとその成果を分かち合い、尊敬と信頼の心を決して忘れないよう努力を続けたいと思います。
レーザー・ポインターの使用例
レーザーポインターと巻き尺を使って、リスニングポイントが正確に2等辺三角形の頂点となるようにセットできる
「誰にデモできる完璧なスピーカーセッティング方法」をご紹介しましょう。
まずはじめにレーザーポインターを準備します。
レーザーポインターとは¥2,000−¥3,000で入手できる、レーザー光線を出す小さなペン型の装置です。
このポインターをスピーカーに沿わせてレーザー光線を投射することで、「スピーカーの(方向)角度を正確に知ること」が出来るのです。
2等辺三角形の頂点となるリスニングポイントに「的」を置き、その的にレーザー光線が当たるように「正確にスピーカーがリスニングポイントの方向を向くよう」に設置します。
スピーカーが正確にリスニングポイントの方向を向いたら、「的とスピーカー(ツイーター)までの距離」を測り左右のスピーカーと的までの距離を正確に同じにします。
(画像では的に押しピンを使用し、伸びない糸をつけています。リスニングポイントの位置に押しピンを立て、レーザーが押しピンに当たるようにスピーカーの 角度を調整、押しピンから左右のスピーカーまでの糸の長さを同じにすれば、目測で行うより遙かに精密にスピーカーを設置できます)
ノウハウは決して無料ではありませんが、レーザーセッターを入手できない場合(海外など)などにはこの方法をお試しください。
もちろん、レーザーセッターをお使いいただければ、もっと大きな効果が得られます。
スピーカーセッティング実況レポート
ソナスファベル・ガルネリオマージュにスーパーウーファーとスーパーツィターを加えてどのように音が変わるかの体験イベントの前日に、スピーカーセッティングを行ったときの模様をご報告いたしましょう。
初めに、ガルネリのだいたいの位置を決めないといけませんが、23畳もある広いリスニングルームなのでどこに置けばよいのか迷うところです。私の 提案に従いツィーターの幅を優先して決めることにします。結果的には、壁の左右のスパンが6mに対し、ツィーターの中心の幅が1.9mになりました。思っ たよりも幅が狭いと思いましたが、2本のスピーカーのツィーターの幅の決め方には、基準となるソフトを再生しながら、サウンドステージ(音場空間)の左右 の大きさと前後の深さが最適になるように行いましたので間違いはないはずです。スピーカーの角度はやや内ぶりとなりました。
スピーカーと背後の壁の距離は60pですが、スピーカー背後の壁には吸音性の高い防音カーテンが2重に引かれており反射は極力起こらないように配慮されています。ツィーターからリスニングポジションまでの距離を測ると2.9mでした。
最初は左右のツィーターとリスニングポジションの距離誤差を1p以上ある状態で聴きながらベストポジションを探しましたが、わかりづらく私にも見つけることはできませんでした。
次に、頂点までの距離誤差を約1p(たぶん5mm程度です)以下になるようにスピーカーを位置決めすると、音を出してすぐに音場のクリアーさがまったく違うことを体験できました。
最後に、モノラルソフトを再生しながらスピーカーをほんの少しづつ前後に(1mm程度)動かしながら、音像がクリアーに定位するベストポジションを探しました。今度は、たやすく見つけることができました。
やはり、左右のツィーターとリスニングポジションの距離誤差が1p以下になったとき明らかに聞こえ方が大きく変わるようです。
だいたいのベストセッティングが出た後、本当にベストなのかどうか。確認のため少し実験してみることにしました。
ベストの状態から、スピーカーを真正面に向けると、部屋の正面の壁とユニットが並行になるためか、濁ったエコーが発生し、透明感が阻害されます。 次に、リスニングポジションの前方に交点を持つように内ぶりの角度をベストより大きくして設置すると、エコーの混濁は減少するものの、左右への広がりが狭 くなりスケール感がなくなりました。
もう一度、基準となるソフト(基準音源)を再生しながらスピーカーの角度を調整すると、底辺から頂点までの直線距離は10m位になっていました。結果として、ガルネリは部屋の中央よりに設置され、角度は真正面から心持ち内ぶり程度になりました。
私がスピーカーの内ぶりの角度を決める基準は音の広がりだと申し上げましたが、背後の壁や、左右の壁から近い位置(50p以内)にスピーカーを設置しなければならない場合は、内ぶりの角度を大きくし、スピーカーが部屋の中央よりになるに従って角度を小さくしています。
特にリスニングポジションとスピーカーまでの距離が近い場合は、できるだけスピーカーの中心が、自分の耳からはずれるように、つまり、耳より少し外側か内側を音の中心が通るようにします。
なぜなら、バッフルと耳(リスニングポジション)が直交するような位置(スピーカーがまっすぐ自分の方を向いているような状態)では、スピーカー の指向性がもっとも強く出てサ行がきつくなりすぎたり、音が硬くエコーの成分が少なくなってしまい、まるでヘッドホンで音楽を聴いているような状態になり やすいのです。もし、頭を少し動かすと音が揺れてしまい聞きづらい状態になっているようなら、スピーカーの角度を少し変えてみてください。
しかし、ホーン型スピーカーの場合は、あえて、ホーンの中心がリスニングポジションを通る線上(リスニングポイントからホーンの奥が見通せるよう)に設置します。ホーン型ツィーターはそのようにしなければ、高域がドロップしてしまうからです。
ざっと、こんな感じです。ここまでセットアップが進んだときに、事務員がやってきました。ドアを開けて音を出していたので、小型スピーカーのセッ ティングを行っていると言われていた彼女は、まるで大型スピーカーが鳴っているかのような音がするのが不思議で見に来たそうです。
スーパーウーファーと、スーパーツィーターを追加したガルネリは、データー的には10Hz−25KHzをフラットに再生できますが、その状態のガルネリのドアから漏れる音は、いつも使っているキングダム15より良い音に聞こえたそうです。
確かに、3Dシステムの方が音の濁りは少なく、音がシャープに聞こえます。私は、大型スピーカーよりも3Dシステムの方が音質的に可能性があると考えています。
セッティングの重要性
あなたが、不満を持たれている音の不安定さ、たとえば左右のスピーカーの音量が違って聞こえ「音像がセンターに定位しない」、「音が広がらな い」、「音が固まって堅い」、「音がもやもやしている」、「細かな音が聞こえない」などの不満点のほとんどは「スピーカーセッティング」、特に「2本のス ピーカーの位置関係をミリ単位で合わせる」ことにより大きく改善されます。
従来、「装置を買い換えなければ解消しなかった不満」の多くが「スピーカーセッティング」と「ルームアコースティックの調整」で解決へと向かいます。
オーディオ文化の衰退
逸品館の基本方針は、「専門店として責任を持ったノウハウを提供する」ことにあります。「良い製品を選出」し「機種を限った大量仕入れ」により利 益を確保しながら「可能な限り安価にご提供させていただく」ことによってのみ「専門店」はその存在意義があるのです。一部に「乱売」と見られる動きがあり ますが、「自分だけ良ければ良い」などという利己的な考え方は、必ずその店も業界も衰退させてしまうでしょう。利己的な「オーディオ業界」や「オーディオ 雑誌」のあり方には、私自身「大きな憤り」を禁じ得ません。「雑誌」も「業界」も本当に、真心と勉強が足りないと思います。代価を支払うに足る「ノウハ ウ」を提供できないからです。その「未熟さ」が「オーディオ文化を衰退」させているのです。それだけではありません、「オーディオの衰退」は「音楽の衰 退」を引き起こすでしょう。「人類が培ってきた音楽文化」を衰退させてはなりません。それは「現代に生きる私たちの責任」であろうと思うのです。「オー ディオは文化」です、それを支える「ノウハウ」こそ我々が「コストをかけて培ってきた大切な財産」なのです。元来「ノウハウ」は「代価を支払って」得るも のです。その貴重なノウハウを「無料」で「一般に公開」する必要など全くありません。
あえて「貴重なノウハウ」を無償提供することは音楽を愛好し、文化を重んじる私たちのほんのささやかな時代への抵抗です。もし、お役に立てれば、これほどうれしいことはありません。
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