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EU大統領誕生の裏
EU大統領には事前予想では、英国のブレア前首相になると見られ
ていたが、ベルギーのファンロンパイ首相になった。この選出の裏
を検討したい。
11月21日の中田さんの講演会でも、話題になったのがビルダー
バーグ会議の非公開の臨時会合(夕食会)でEU大統領は決まった
というのである。ヨーロッパ貴族たちの会合で決めたというのであ
る。その中に米国のキッシンジャーもいた。
津田より
0.はじめに
EUの中心国家はドイツ、フランス、ベネルックス3国であり、こ
の中心であるベルギーのブリュッセルに本部がある。英国は、その
意味では非中核国である。
ビルダーバーグ会議はベネルックス3国・ドイツ・フランスなどの
貴族と繋がっているが、ドイツもフランスも王家がないために、ど
うしても、オランダとベルギーの王室が中心になる。ルクセンブル
グは大公国であり、ひとつ格下である。
ヨーロッパの貴族はヨーロッパ貴族間の結婚が一般的で、上部支配
階層が親戚関係にある家族が多い。このEUの貴族の権利を守るた
めに、ビルダーバーグ会議が設定されて、その場で貴族間の利害調
整を行っていたようだ。
ビルダーバーグ会議の議長は、エティエンヌ・ダビニオン子爵であ
る。ベルギーのソシエテ・ジェネラルの副会長で、このソシエテ・
ジェネラルもベルギー王室が設立している。しかし、水道運営事業
で有名な仏スエズに買収されて、その子会社になっている。
このように貴族所有の企業が時代と共に、平民所有の企業に買収さ
れて、貴族間だけの利権調整では済まず、大企業の重役や国家指導
者、国際機関の指導者、NPOなどを支援する有名な俳優なども呼
んで調整する場になってきている。しかし、その出席者を選ぶのは
、あくまでもオランダ、ベルギーなどのヨーロッパ貴族である。
たとえば、オランダ国王のベアトリックス女王などがヨーロッパ貴
族の中心であるが、ベアトリックス女王はドイツ人のクラウス・フ
ォン・アムスベルクと結婚している。また、先祖がジョージ3世に
連なるため、イギリス王位継承順位810位前後に位置する継承権者で
もある。ベルギー国王アルベール2世もイタリアの貴族の娘である
パオラ・カラブリアと結婚している。このようにヨーロッパ貴族全
体に一体感が存在する。ベルギー国王は、ハプスブルグ家の血統で
あるが、そう言うとヨーロッパ全ての王室がハプスブルグ家の血統
に繋がる。
ベルギー王室と日本の皇室は昔は親密な関係にあったようで、今上
天皇と前国王ボードゥアン1世の個人的友情によるが、弟のアルベ
ール2世が即位して以降は、以前ほど両家の関係は緊密ではない。
これに代わって、オランダ王室との関係が良くなっている。このた
め、雅子様も休養ためにオランダ王室の宮殿でお過ごしになってい
る。このようにヨーロッパの貴族、王室の中心であるベルギー、オ
ランダ王室との絆を日本の皇室が担っているようである。
ビルダーバーグ会議は、利害の調整を行うことが使命であるために
、ブレア前首相がEU大統領になれなかった英国の不満を抑えるた
めに、初代の外相級ポストの外交安全保障上級代表には英国出身の
女性で欧州委員(通商担当)のキャサリン・アシュトン氏(53)が
就任した。
EU理事会では、ドイツ・フランス・イタリア・英国10票、スペ
イン8票、ベルギー・ギリシャ・オランダ・ポルトガル5票、オー
ストリア・スウェーデン4票、アイルランド・デンマーク・フィン
ランド3票、ルクセンブルグ2票であり、そこで決議をするが事前
にビルダーバーグ会議で決めて、EU理事会は全会一致にするよう
である。それはEU理事会で議論すると、ヨーロッパ貴族の権利を
守れないと言う意識が働いているようである。
また、事前に王室、貴族が人事を決めて、各国の政府に働きかける
と、EU理事会の票の多くが王室貴族の言いなりになるので、勝つ
ことができる。
今後、欧州中央銀行(ECB)の次期総裁人事が決まるが、フラン
ス出身のトリシェ現総裁であるので、ドイツ連邦銀行のウェーバー
総裁やドラギ伊中銀総裁らの名前が上がっている。欧州委員会の委
員長はバローソ委員長であり、ポルトガル出身である。この人事で
もビルダーバーグは、介入するのであろうか?このため、王室や貴
族制度を廃止した各国でも元貴族や王室を大事にすることになる。
EUの人事を実質、貴族が決めている事実があるためでそうなる。
1.EUの体質
近代の市民革命により、多くの国で貴族の称号は廃止されるか、特
権を持たない名前だけの貴族になっている。王制を維持している国
(イギリス、オランダ、ベルギー、スペイン、スカンディナヴィア
3国等)では若干の特権が残っている。また王制は廃止されている
が、貴族制度を存続している国(イタリア、ポルトガル)もある。
こちらもまた若干の特権がある。
というように、貴族制度が希薄になり、貴族以外の財閥や政府機関
の代表もビルバーバーグ会議には招待されてているが、中心は貴族
・王族である。欧州では領土と密着した貴族が一般的であり、国家
が王政でなくても、地域貴族が存続している。また、現在、貴族階
級は企業などを経営することになり、財閥などと連携も必要になっ
ている。
イギリス女王のエリザベス2世は、ギリシャおよびデンマーク王子
のフィリップと結婚している。
ノルウェー国王のハーラル5世は、イギリスのエリザベス2世は父
方のはとこ、ベルギーのアルベール2世は母方のいとこにあたる。
デパート経営者の娘(=平民)であるソニア・ハーラルセンと結婚
したが、9年間もの交際を経たが、一般市民との結婚のハードルが
いかに高かったが伺える。無論前例はなく、政府と王室は、同様に
資産家の令嬢とは言え旧華族ではない皇后美智子を皇太子妃に迎え
た日本の皇室を参考に、協議を重ねたという。
デンマーク女王のマルグレーテ2世は、フレゼリク9世の長女、母
イングリッドはスウェーデン王グスタフ6世アドルフの娘。妹が2人
いて、末妹アンネ=マリーエは元ギリシャ国王コンスタンティノス
2世の妃である。
スウェーデン王のカール16世グスタフは、前国王グスタフ6世アドル
フの長男グスタフ・アドルフ(1947年1月、飛行機事故で亡くなる)
を父とし、ドイツのザクセン公カール・エドゥアルトの娘シビラを
母とする。
スペイン・ブルボン朝のアルフォンソ13世は1931年スペイン革命に
より、イタリア王国の首都であるローマへ亡命した。
フアン・カルロス1世現スペイン国王は、1938年に亡命先のローマ
で、アルフォンソ13世の三男バルセロナ伯フアン・バッテンベルグ
と、同じブルボン家の旧両シチリア王国の王族マリア・メルセデス
の間の長男として生まれる。1948年にスペインへ戻り、1975年11月
20日フランコ死去後、即位し現在に至る。
現在のルクセンブルク大公家も男系ではブルボン家の後裔である。
このように全てのヨーロッパ王家、上級貴族は、繋がっているよう
であり、国民運動等で王家や貴族が追放されると、その救済に閨閥
系列の王族、貴族が助け合い、王家、貴族復活を支援している。こ
のように貴族、王家がお互いに助け合っているのだ。
欧州では現在も、貴族社会と平民社会を分離してみている。貴族の
特権を擁護するために、国民平等と言う民主主義国家体系の裏で、
ビルバーバーグ会議のような貴族階級の利益を守るための組織があ
り、そこに貴族階級として信頼できる人たちを呼び込み、貴族階級
同士の利害調整と貴族と国家運営者との利害調整を行っている。王
家復活もこのような会議で行われるようだ。
このため、事前にビルダーバーグ会議が行われて、そこで決めたこ
とを実行する表の顔である国家組織やEU理事会がある構造になっ
ている。
欧州では、国民国家や民主主義の行き詰まりで貴族制合議主義に戻
る動きをし始めているようにも感じる。中国の共産党一党独裁のよ
うに非民主主義に逆戻りする動きが出てきている。
2.貴族の目指す方向はどこか?
戦後、国民国家体制に移行して、国がどんどんできた。しかし、
1989年のベルリンの壁崩壊後、主権国家以外の、たとえば企業
や国際機関、非政府組織などのさまざまな自律的主体が、重層的か
つ多元的に関係を織りなす国際秩序になってきて、国家を超えて多
国籍企業が活躍して、一国家と多国籍企業、多国籍NPOなどでは
利害関係が違う事態になる。
ちょうど、ヨーロッパ中世に、神聖ローマ皇帝、フランス王、イギ
リス王、あれこれの貴族、ローマ教会、騎士団、ハンザ同盟、大学
などが権力関係で百花りょう乱だったように現在もいろいろな企業
や国際機関が国際的な権力を分散して持っている。この多様な機関
の調整機能もビルダーバーグ会議では担っているように感じるが、
残念ながら、日本人はビルダーバーグメンバーにはなっていない。
EUは温暖化問題を取り上げて、環境税をEU全体で行うことを決
めたようである。貴族たちの息の掛かったエコ企業が利益を上げ、
新興国に技術を輸出することで利益を得ることを考えているように
感じる。
もう1つが金融取引税である。新規加盟国への投資活動を通じて、
域内経済を活発化させるという産業政策とともに金融取引税を課し
EU機構を強化するのであろう。
3.アジアの現実
アジアはまだ、新しい中世のような国際的に開かれている国家は日
本だけであり、中国の一党独裁国家の国家体制は遅れていると見て
いたが、EUが貴族合議制を復活させると、民主主義から時代は一
歩進んだシステムとして、合議独裁型の政治システムを見る可能性
がある。
EUは各国機能を弱くして、ヨーロッパ全体を1つの組織にして、
その上に貴族がいる地域連合を考えているが、アジアには地域全体
での貴族階級のネットワークがあるわけではなく、地域統合を繋げ
る共通の基盤がない。貴族という存在も植民地支配と共産主義の国
家運営ということで、各国共に破壊されている。
ということで、アジアの統一的な共同体組織は、EUとは違い国家
機能をある程度残した国家連合という東アジア共同体になるしかな
いようである。どうしてかというと、貴族社会というネットワーク
がないために、利益調整機能を裏で行う基盤を持つことが出来ない
ことで、国家が主体に利益調整をする機関にするしかない。
4.最後に
EUが考える環境問題は、金融取引としてのCO2排出権取引であ
り、真に環境問題を解決する分けではないような気がする。
このように東アジア共同体の組織運営でも、環境問題の解決でも、
日本の新しい提案が必要なのであろう。
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欧州、統合深め成長探る EU大統領を選出
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)は19日の臨時首脳会
議で初代大統領(首脳会議の常任議長)にファンロンパイ・ベルギ
ー首相を選出した。外相級ポスト(外交安全保障上級代表)を含め
て新たな指導体制が固まった。米国や新興国がせめぎ合う国際社会
の中で、EUが今後、確固たる存在感や実績を示せるかが新体制に
とっての最大の課題だ。人口5億人を抱える欧州統合の深化と拡大
は正念場を迎える。
外交安全保障上級代表には英国出身のアシュトン欧州委員(通商
担当)が選出された。大統領と外交代表の2つのポストは、12月1
日に発効するEUの新基本条約「リスボン条約」に基づき新設する。
EUの行政執行機関である欧州委員会を率いるバローゾ委員長は既
に9月に再任されており、EU首脳人事がようやく出そろった。
(07:00)
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EU大統領、初代はベルギー首相のファンロンパイ氏
【ブリュッセル=岐部秀光】欧州連合(EU)は19日夜(日本時
間20日未明)、ブリュッセルで開いた臨時首脳会議で、初代の大統
領(首脳会議の常任議長)にベルギー首相のヘルマン・ファンロン
パイ氏(62)を全会一致で指名した。初代の外相級ポストの外交安
全保障上級代表には英国出身の女性で欧州委員(通商担当)のキャ
サリン・アシュトン氏(53)が就任することが決まった。
両ポストはEUの新たな基本条約「リスボン条約」が12月1日に
発効するのに伴い新設され、首脳会議や外相理事会で決める政策の
優先順位や方向付けで一定の影響力を持つことになる。EUは新体
制のもとで全体の政策の継続性や一貫性を確保しやすくなり、意思
決定も速まるとみられ、内外への影響力が一段と高まる可能性があ
る。
EU大統領は米大統領のように議会から独立した強い権限は持た
ないものの、最高意思決定機関である首脳会議の議長を務め、20カ
国・地域(G20)首脳会議などにも「EUの顔」として出席する。
執務開始は来年1月1日になる。(10:16)
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次期欧州中銀総裁人事、EU大統領選出後の焦点に
欧州連合(EU)が19日、初代大統領(首脳会議の常任議長)と
外相級ポスト(外交安全保障上級代表)を決めたことで、欧州の大
物人事で次の焦点は欧州中央銀行(ECB)の次期総裁人事に移る。
2011年10月末に任期切れとなるトリシェ総裁の後任には、ドイツ連
邦銀行のウェーバー総裁やドラギ伊中銀総裁らの名前が取りざたさ
れている。
1998年に設立されたECBの初代総裁はオランダ出身のドイセン
ベルク氏、その後がフランス出身のトリシェ現総裁だ。次期総裁は
、(1)これまで総裁になったことがない国(2)「EU大統領」「EU
外相」に人材を送らなかった国――の出身者になるとみられている。
(08:00)
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ソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジクについて
"Societe Generale de Belgique"(以後、SGBと略称)
(1) SGBは、オレンジ公ウィリアムT世と共謀したアムステルダムの
銀行が、「ヴェローナ協約」の一つの発展形態として、1822年に設
立した。
(2) SGBは、ヨーロッパ弱小国の工業振興のための、もう一つの血統
の貸出機関だった。
(3) その後、ベルギー国王レオポルトがこの組織を支配した。レオ
ポルト【注1】は、ヨーロッパの「黒い貴族」として知られるハプス
ブルグ家の血統だった。
【注1】レオポルトT世(在位 1831-1865)は、ザクセン・コーブルグ
公フランツ・フリードリヒ・アントンの息子レオポルト親王で、先妻
は英国王ジョージ4世の娘、後妻はフランス王ルイ・フィリップの娘
。ベルギー独立に関する1830年のロンドン会議において、フランス
の七月王政政府の駐英大使タレイランの推挙により国王となる。
レオポルトU世(在位 1865-1909)は、父の後を継ぎ、妻はヨ
ーゼフ大公ヨーゼフ・アントンの娘。英国人記者スタンリーのアフリ
カ探検(1871〜1904)を後援してコンゴ獲得に成功し、1885年、ビス
マルク主宰のベルリン会議でコンゴ自由国が王の私領と認められた。
(4) オランダの支配者、オレンジ公ウィリアムT世は、1822年に、
南部の王室御料地を金に換えて、オランダの国営工業を振興する会
社"Societe Generale des Pays-Bas"を創立し、その本社をブリュッ
セルに置いた。
(5) オーストリア領だったベルギーが、1814年ウィーン会議の結果
、オランダと合同してネーデルラント王国に衣替えしたことに反発
した、1830年の革命後、ベルギーが独立。
この企業は"Societe Generale de Belgique"と改名して国の主
管銀行となり、暫くは通貨を発行した。
(3) SGBは、フランス、特にロスチャイルドと緊密な関係を築き、資
本供給や事業の管理をした。その事業には、ワロニア地方の炭田や
工業の開発、メキシコ・アルゼンチン・ロシアの鉄道建設、オスマ
ン・トルコ帝国の建設が含まれる。また、コンゴのベルギー植民地の
拡張を主導する資本家となった。
(4) 1988年、"the French Suez group"【注2】が、イタリアの資本
家"Carlo De Benedetti"との買収競争に勝って、SGBを支配下に置い
た。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L1/211122.htm
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