2016年12月22日 同一労働同一賃金、日本は実行できるか 賃金だけでなく封建時代からの身分制度が深く関わっている 引用:http://livedoor.blogimg.jp/bbgmgt/imgs/1/7/17a46bda.jpg
非正規という人間扱いされない労働者
日本では以前正社員が「正しい社員」で他の労働者は何か欠陥がある人間というような、社会の風潮が存在しました。 失業率が3%で殆どが正社員だったので、正社員になれない人には問題がある場合が多かったのも事実でした。 問題とは同じ仕事が長続きしない、自分勝手だとか、最初からその仕事に向いていないなどでした。 その頃女性がパートで働いたり、若者がアルバイトしたりする他は、社会で非正規は歓迎されていませんでした。
ところが1990年代に日本は経済政策の失敗から物が売れなくなりデフレ不況に突入し、あらゆる企業が正社員のリストラを始めました。 人件費を減らして本体が助かる為のリストラなので、トカゲの尻尾切りと一緒で、尻尾がどうなろうと本体の知った事ではなかった。 人件費は減らしたいが労働力は以前と同じように確保したいと考えた企業は、「サービス残業」と「非正規労働者」を重要視し始めました。
それまで「人を育てることが重要で、物作りとは人作りだ」と立派な事を言っていた社長が、「しぬまで働け!仕事があるだけ幸せだろう」と平気で言うようになりました。 こうしてタイムカードで8時間しか働いていない労働者に12時間以上働かせるようになり、しかも非正規雇用にしてしまいました。 非正規は日本独自の制度で、正社員でなければ給料を半額以下にしていいし、法律で義務付けられている社会保障も会社は負担しなくていい。
「ワンオペ」で有名になった某牛丼屋はバイトを「個人事業者への業務委託」にして無給で長時間働かせた上で罰金制度も導入していました。 「病気で休んだら損害賠償として数十万円罰金」など歩く速度やこまごまとした契約を交わし、事実上「しぬまで働く」事が義務化されていました。 個人事業者という体裁をとりさえすれば、労働基準法の一切の義務を守らなくても良いからでした。(現在は禁止されているが、取り締まられていない) 非正規には機会を与えない企業 諸外国にこういう制度は無く、特にアメリカではフルタイムとパートタイムの区別があるだけで、労働者としても身分は同じです。 フォードの社長やクライスラー会長を歴任したアイアコッカという人は、レンタカー会社の洗車のバイトとして雇われて、社長から会長になりました。 正社員と非正規の区別がなかったからこうなったので、日本だったらまず正社員で本社採用でないと能力があっても部長以上になれないでしょう。 今ソニーの社長を平井という人が勤めているが、帰国子女で本社採用ではなく、アメリカソニーの社長だったので驚きをもって迎えられ「ソニーは変わった」と言われました。
何が変わったのか理解できないが、出世コースで無い人が社長になるのが大ニュースになるくらい、日本企業で「身分制度」は固定されているのです。 そのソニーでも店頭でプレステを販売しているバイトがソニーの社長になる事は、これからも無いでしょう。 日本の大企業が参加している経団連は同一労働同一賃金に猛反対していて、今の制度がいかに企業にとって美味しいものかが分かります。
正社員と非正規は同じ仕事をしても、社会保障を含めると報酬は3分の1以下で、突然契約を切られるのも日常茶飯事です。 しかも最初から教育制度などで違いがあり、上司と部下という関係が最初から一生涯固定されています。 制度を必要としている人が居る 例えば同じ仕事をするのに正社員はあらかじめ1週間の研修を会社もちで受け、手取り足取り教えてもらってからその仕事に就きます。 非正規は「見て覚えろ」と無茶苦茶なことを言われ、失敗すると罰金を取られ「やっぱり非正規だから無能なんだよね」などと噛ませ犬役をやらされる。 日本中のあらゆる企業でこうした事が常態化し、日本企業の非効率や生産性の悪さを助長している。 こういう制度はもちろん、その制度で利益を得る人が居るから続いているので、既に正社員に成っている人にとっては差別がなくなったらとても困ります。
ある日バイトが入っていきて、その人に十分な仕事の機会が与えられて自分より有能だったら、自分がバイト君の部下になり、次に解雇されるでしょう。 アイアコッカのようにバイトから会長に上り詰める人間が出てくるかも知れず、社長や重役にとっても恐怖以外の何者でもない。 アメリカではバイトが社長になれる代わりに、「正社員」が存在しないので簡単に解雇されてしまう。
社長やCEOと言っても創業者や株主で無い限り、オーナーの意向で追放されるのは良くあります。 CEOもオーナーから雇われた労働者にすぎないので、法的な身分はマクドナルドのパート店員と同じようなものだからです。 http://thutmose.blog.jp/archives/68162418.html
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