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米国主導のイラク戦争で空輸を担うため、二〇〇六年に中東のクウェートへ派遣された航空自衛隊の三等空曹の男性が現地で米軍のバスにはねられ、後遺症の残る大けがをしていたことが分かった。
男性は来月、空自が「事故隠し」に走り、まともな治療を受けられなかったとして国に損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こす。イラク特措法で派遣された自衛官が国を訴えるのは初めて。
男性は一一年に依願退職した新潟市中央区関屋、無職池田頼将さん(40)。顔や腕に障害が残り、身体障害者四級に認定された。
池田さんは〇六年四月、通信士として愛知県の小牧基地からクウェートのアリ・アルサレム空軍基地に派遣された。事故は七月四日に米軍主催の長距離走大会で発生。先頭を走っていた池田さんは軍事関連企業の米国人女性が運転する米軍の大型バスに後ろからはねられ、左半身を強打して意識を失った。
池田さんによると、空自衛生隊には治療設備がなく、首にコルセットをはめただけ。事故四日後から三回連れて行かれたクウェート市内の民間診療所では意思疎通ができず、まともな診察を受けられなかった。
上官は防衛庁長官(当時)の現地視察の際などはコルセットを外すよう命令。事故から帰国までの二カ月弱、早期帰国の措置も取られなかった。公務災害補償の手続きも池田さんが指摘するまで行わないなど、事故を隠すような態度に終始したという。
帰国後、小牧市の病院で外傷性顎(がく)関節症と診断され、医師から「なぜ放置したのか」と聞かれたという。事故は陸上自衛隊のイラク撤収に伴い、空輸の対象が陸自から米軍に切り替わる直前に起きた。池田さんは「米軍とのトラブルを避けるため、事故はないことにされた」と話している。
2012/08/27
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082790070510.html?ref=rank
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