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シリア: ワシントンの最新の戦争犯罪(マスコミに載らない海外記事)
http://www.asyura2.com/12/warb9/msg/757.html
投稿者 tk 日時 2012 年 8 月 14 日 02:23:35: fNs.vR2niMp1.
 

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-58db.html

シリア: ワシントンの最新の戦争犯罪

2012年7月26日

Paul Craig Roberts

リビア“反政府勢力”同様、“シリア解放”を誓う“反政府勢力”が、国家崩壊の道へと進んでいるシリア人は、一体何を考えているのだろう?石油収入を、サウジアラビアでのように王族階級で独占する代わりに、カダフィの下、リビア国民の中で分け合い、うまく運営されていた国リビアは、今や政府が無く、権力を狙う派閥が抗争し、無秩序状態にある。

アルカイダ分子が紛れ込んでいたとされるが、リビア“反政府勢力”が一体何物だったのかを誰も知らないのと同様、シリア“反政府勢力”が一体何物なのか、あるいは実際、彼らが反政府勢力であるのかさえ誰も知らない (Antiwar.com)。“反政府勢力”の中には、略奪、強姦をする機会を手に入れ、自ら村や町の政府になりすまそうとしている悪党集団もあるようだ。アルカイダとおぼしき連中もいる。(Antiwar.com)

“反政府勢力”が武装しているという事実は、外部介入のあらわれだ。ワシントンが、サウジとバーレーンの傀儡政権に“反政府勢力”に兵器を供給するよう命じたという報道もある。シリア国防相や政府の危機管理責任者を殺害した爆発は、自爆攻撃犯の仕業ではなく、サダム・フセインを虐殺しようとして失敗したワシントンの企てに良く似た、米無人機またはミサイルの仕業だと疑う人々もいる。にもかかわらず、ワシントンはテロ攻撃を成功と見なし、これは反政府勢力が“本格化”していることを示すものだと宣言し、シリア政府に、攻撃に対し退陣で答えるよう要求した。(reuters.com)

“我が国の政府は決してそんなことはしない”とお考えになる純真な読者がおられる場合を考え、シリアにおける、これまでの欧米テロリストの介入について記述した漏洩諜報文書を下記にあげておく。

“解放(原文のまま)軍の活動を促進するためには、…特定の主要人物を抹殺するべく、特別な努力を払わねばならない。 …蜂起と介入の途上、初期に、遂行されるべきこと…

シリア国内での混乱を進めるという政治的決断に達しさえすれば、個々人との接触を通した工作によって、シリア国内で小規模な破壊工作や奇襲(原文のまま)事件をしかける用意がCIAにはあり、SIS(MI6)もそうしようと試みるだろう。…出来事はダマスカスだけに集中してはならない …

更に: “必要な程度の恐怖 .. 国境紛争や(やらせの)国境紛争”、“介入の口実になるだろう… CIAとSIS [MI6] は、緊張を増大させるために… 心理的、および戦闘場面、双方における能力を活用すべきである。” (米英統合漏洩諜報文書、ロンドンとワシントン、1957) (globalreasearch.ca)

オバマは、なぜ彼の政府がシリア政府を転覆したくてたまらないのか説明したことがない。現シリア大統領はロンドンで眼科医をしていたが、亡くなった父親、大統領の後を継ぐべくシリアに連れ戻されたのだ。ワシントンは、仰々しい人道的理由の言辞で覆い隠している本当の動機について話したがらないが、ワシントンの動機は見え透いている。

一つ目の動機は、シリアにあるロシア海軍基地を追い払い、ロシア唯一の地中海基地を奪うことだ。

二つ目の動機は、南部レバノンを占領し、水資源を獲得するというイスラエルの企みが成功できるよう、ヒズボラに対する武器と支援の源としてのシリアの抹殺だ。南部レバノン侵略し、占領しようとするイスラエル軍の企みを、ヒズボラ戦士は二度も打ち破った。

三つ目の動機は、ワシントンがリビアとイラクを破壊した様に、宗派抗争によって、シリアの結束を破壊し、シリアを宗派抗争にまかせ、国をばらばらにし、こうしてワシントンの覇権に対するもう一つの障害を取り除こうというのだ。

イラクがそうであった様に、非宗教的なアラブ国家であるシリアは、おおまかに言って、シーア派イスラム教である、アラウィー派で構成される政党によって支配されている。アラウィー派はシリア人口の約12%を占めるが、シリア人口の約74%を占めるスンナ派イスラム教徒からは異端者と見なされている。かくして、うまく仕組まれた“蜂起”は、それを取って代わる好機と見る多くのスンナ派の関心をひけるのだ。(イラクでは多数派のシーア派を支配していたのは、少数派のスンナ派だったが、シリアでは状態は逆だ。)

アラブ人の間の分裂のおかげで、アラブ人は欧米の介入と支配を受けやすい。スンナ派-シーア派という分裂が、アラブ国家が侵略者に対して団結したり、あるアラブ国家が他のアラブ国家を助けにいったりするのが不可能になっている。1990年、第一次イラク戦争で、スンナ派イラク政府に対し、シーア派シリア政府はアメリカと組んだ。アラビアのローレンス、ナセルも、カダフィも、アラブという意識を生み出すことには成功しなかった。

他国政府の暴力的な転覆を、ワシントンは、決まって道徳的な言い回しで言い繕う。まず最初に、標的国家は悪魔化され、次ぎに、ワシントンのむき出しの侵略が“自由と民主主義をもたらす”“残虐な独裁者の打倒”“女性の権利保護”という類で表現される。もったいぶった言葉や句のどんな組み合わせでも機能しそうに見える。

ヒラリー・クリントンは、シリア政府転覆を唱える上で特にどぎつい。この愚かな女性は国連決議をシリア侵略の隠れ蓑として利用しようとするワシントンの企みを妨害しようとしたことで、ロシアと中国を脅迫した。シリア政府が転覆されるのに抵抗しているのを、自国民に対しテロを行っている政府だと、ワシントンは偽って表現している。だが、ワシントンは、自国によるものであれ、シリア政府高官を殺害した自爆攻撃犯であれ、テロ攻撃を決して非難していない。ワシントンの二重基準が、ロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフをして、ワシントンを“腹黒い立場”をとっていると非難させるに至った。

実際、ワシントンはそうしている。しかし、イラク、アフガニスタン、リビア、ソマリア、イエメンや、パキスタンの後で、ワシントンは腹黒い立場だといって驚くべきことなどあるだろうか? シリアが転覆された後、ワシントンは疑うべくもなくイランへと進むだろう。ロシア自身既に米ミサイル基地によって包囲されており、ロシア政府には、アメリカ資金の援助を受けた、不忠で裏切り者の政治的敵対勢力がいる。中国は、太平洋における、アメリカ空軍、海軍、軍事基地の急速な強化に直面している。中国政府に対する、ワシントンが資金援助する不忠な政治的敵対勢力ができるまで、あとどの位かかるのだろう?

覇権国は前進しており、シリアのスンナ派が見ているのは、アラウィー派・シーア派を打倒する好機だ。ワシントンがイラクのスンナ派を転覆させたという事実にもかかわらず、シリア・スンナ派はワシントンと組むだろう。何十億ドルもくれる外国政権の傀儡となることをいやがるアラブ人は極めてわずかなようだ。

ワシントンは、シリアのアサド大統領のことを、漫然と“独裁者”やら“残虐な独裁者”やらと呼んでいるが、もしアサドが独裁者なのであれば、その役を演じる上で、明らかに、さほど効果的なわけではない。普通、独裁者は政治的敵対勢力の台頭を許さず、まして武装などもっての他。与党は独裁的だが、与党は、新憲法で民主主義の要素を導入したというのが、より正確だろう。

イラクが証明したように、自国内のスンナ派とシーア派の国民が絶えず内戦をしないようにしておくには、アラブ政府独裁主義的とならざるを得ないのだ。ブッシュもオバマも、ワシントンは“自由と民主主義”をイラクにもたらしたと主張する。ところが、現在イラクで継続している武力攻撃は、アメリカ占領下と同じくらいか、それより激しいのだ。過去三日間の報告はこうだ。

7月23日: “バグダッドと首都北部で相次ぐ爆弾攻撃と銃撃で、少なくとも107人が死亡した。少なくとも216人が負傷した。”

7月24日: “攻撃激化の二日目には、少なくとも145人のイラク人が死亡し、379人が負傷した。”

7月25日: “イラク中で攻撃は続いている。: 17人が死亡し、60人が負傷した。”

これこそが、ワシントンがイラクにしたことなのだ。“自由と民主主義”をもたらすどころか、ワシントンは果てしない破壊行為と死をもたらしたのだ。そして、これこそまさに、今ワシントンが、シリアにもたらそうとしているものなのだ。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2012/07/26/syria-washingtons-latest-war-crime/

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラム www.paulcraigroberts.orgは世界中の支持者が読んでいる。  

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コメント
 
01. 2012年8月14日 05:51:30 : l1NPjWZAfD
スンニ派というより一部過激な宗派主義右派、民族主義右派ですね。
シリアは世俗主義ですから特定の宗派や民族主義の偏りは許されていない。
じゃあ文中にあるようにアラウィ派の政権掌握はどうなんだということですが、これもイラクを例にとればわかる。
バグダッドや南部の大都市バスラでは世俗化が進み、スンニ派とシーア派、アラブ人とクルド人の婚姻縁戚はふつうに行われるまでになっていたし、アラブ社会で権力維持のためになにより腐心しなければならない部族の掌握も飴と鞭で手なずけコントロールしていた。
スンニが大多数のシーアを支配していたので不満が溜まっているという単純な構図は、要するに欧米が物事を単純化して宣伝したいがためについた嘘とも言える。
勿論、スンニ派とシーア派のイスラム理解における越えられぬ壁は恐ろしく高い。スンニ派はシーア派が崇め奉るアリーなど一切認めていないどころか、シーア派自体イスラム教徒だと見ていない。
それが宗派主義右派であればどういう思いを持っているかたちどころに理解できるわけで、スンニだろうがシーアだろうが同じでしょう。
ただ、単純にスンニ、シーアの二項対立を持ち出すのはさらに厄介であり、仏教にもいろいろな宗派があるようにイスラムにもスンニ、シーアに様々な協議と解釈を持つ異端宗派が存在し、スンニだからシーアだからと決め付けて分けられない複雑な枝葉があることを欧米やマスコミは報じないのでアラウィ派といえどもシーア派が同じ宗派であると誰もが思っていると決め付けないほうがいい。
これを頭に入れておかないで、単純に宗派対立の構図を持ち出して状況を論じることで俺はアメリカ侵攻後のイラクの情勢読みを間違えた経験があるので自分に戒めています。
一番わかりやすいのはスンニ派の宗派主義右派は、日本の幕末における尊皇攘夷主義者に近いということかな。
幕末も討幕派が必ずしも正しいわけでなかったことがようやく明らかにされつつある。
日本の幕末の動きと今の中東情勢はよく似ています。一般的、通俗的解釈においてもね。
だからこそ通俗的理解によるマスコミ報道は政権打倒=正義と単純な思い込みを踏襲したがるわけでしょうね。

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