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(書評)全核兵器消滅計画 [単行本]
中嶋 彰 (著)
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5つ星のうち 5.0
核兵器の無力化は可能か?--人類は、オッペンハイマーの亡霊から解放されるか? 2005/10/26
By 西岡昌紀
驚くべき本である。本書に依れば、ニュートリノによって核弾頭に未熟爆発(predetonation:早発性爆発、早爆、早すぎ爆発、などと訳す本も有る)を起こす事によって、核兵器を無力化する事が、原理的には可能だと言ふ(!)。(未熟爆発については、ピーター・グッドチャイルド著・池澤夏樹訳『ヒロシマを壊滅させた男・オッペンハイマー』((新装版)白水社・1995年)の43ページ等にも記述が有る。)ただし、そのニュートリノをビーム化して地球上の核兵器に照射するには、莫大な投資と技術上の困難が有る事をも、本書は、述べて居る。
私などには、本書が語るこの原理の現実性を評価する事は出来無い。だが、本書に依れば、この驚愕の原理は、ニュートリノの専門家である日本の物理学者、菅原寛孝氏が、アメリカで、あの世界的物理学者ハンス・ベーテと対話を重ねる内に着想した物の様である。--菅原氏は、高エネルギー加速器研究機構で業績を積んだ日本屈指の物理学者であり、本書が述べるこの原理を単なるSF扱いする事は、するべきでない。第二次大戦中、当時、世界の物理学の最先端に在ったドイツの物理学者たちすらが、原爆の製造は、不可能だろうとタカをくくって居た科学史上の故事を思ひ起こせば、安易な技術予測は、傲慢以外の何物でもない事を肝に銘じるべきである。
この原理による核兵器の無力化が可能なら、それが可能であると言ふだけで、核抑止力に代はる新しい抑止力の手段と成る事の意味は重大である。ただし、その一方で、もし、この様な事が本当に可能と成るなら、核のカサが空洞化し、国際情勢を逆に流動化させる危険も有る事を忘れてはならない。
蛇足だが、さいとうたかを氏の劇画『ゴルゴ13』の第221話『シーザーの眼』(1985年2月)において、「核兵器を無力化するビームマイクロスクランブラー」と言ふ発明が取り上げられて居る。今から20年前、さいとう氏は、どの様にして、この様な話を着想されたのだろうか?
(西岡昌紀・内科医/広島と長崎に原爆が投下されて60年目の秋に/原子力の日に)
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