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政府軍によるアレッポ市の攻撃は、反体制派の徹底した取り締まりが続くこの数ヵ月で最悪の事態である。アムネスティ・インターナショナルは8月1日に発表した最新の報告書の中でこのように述べた。
「全面的な制圧」と題した新報告書は、アムネスティが5月末にアレッポで実施した現地調査に基づいている。
この報告書には、治安部隊および悪名高い政府系民兵組織「シャビハ」が、平和的なデモに対して頻繁に銃を向け、抗議者や子どもたちなどの通行人を殺傷し、負傷者やその処置に当たる医療隊員、反体制派の活動家を取り押さえる様子が記録されている。
「今回のアレッポ市への襲撃は、民間人をさら重大な危険にさらしている。その結果シリア各地で政府軍が市民を弾圧する事態に展開することが予想される」と、最近アレッポなどシリア北部に入り数週間、人権侵害を調査をしたアムネスティのドナテラ・ロベラは述べた。
新報告書は、治安部隊によって射殺された抗議者や通行人の遺族が、身内の者は「武装したテロ集団」に殺害されたという陳述書に署名するよう圧力をかけられていた事実を明らかにしている。
シリア最大の都市、アレッポのデモは、他の主要都市より遅く始まり、その規模も小さいままだった。
ここ数ヵ月の間アレッポにおける反政府抗議活動の規模と頻度が増すにつれて、政府の治安機関は治安機関特有の無謀で残虐な方法で反撃をおこなった。必然的に、平和的なデモの人びとにも死傷者が出た。
捕えられた人びとは、拘留中に頻繁に拷問、脅迫、威嚇を受けた。
この報告書は、政府の指示による組織的に行われてきたさまざまな侵害行為を詳しく記録している。侵害行為には、非暴力の抗議者・活動家を故意に狙うこと、負傷者を取り押さえること、頻繁に拷問にかけること、負傷者に救急救命治療を施している医療隊員を標的にすること、恣意的な逮捕、強制的失踪などが挙げられる。
「アレッポ市内で治安部隊は非暴力の抗議者に向けて実弾を発射した。この無謀で無差別な発砲によりしばしば抗議者だけでなく巻き添えを食った通行人が死傷した。そのため平和的デモを中止せざるを得なかった」と、ドナテラ・ロベラは現地の様子を述べた。
報告書の中でアムネスティは、国連安全保障理事会に対して、機能不全に陥っている国連シリア監視団の(8月に任期切れ)活動を強化・延長・拡大するか、あるいは別の体制を作ることで、確実に人権監視団をシリアに駐在させるよう改めて要求している。またアムネスティは、シリア情勢を国際刑事裁判所の検察官に付託し、シリア政府への武器流入を阻止するためにシリアに対する禁輸措置を課すという安保理への長年の要請を繰り返している。
アムネスティは、安保理がバシャル・アル・アサド大統領と国際法上の犯罪を指示あるいは犯した可能性のある側近の資産を凍結することを望んでいる。
シリアでの危機が内戦に発展し、武装勢力の対立による虐待行為の報告が増加する中で、アムネスティは、自由シリア軍や他の反体制武装グループに武器を供給しようとするすべての国に対して、これらの武器が国際法上の犯罪など深刻な人権侵害や侵害の助長に使われる恐れがないのか、客観的で厳格なリスク評価をおこなうよう改めて要請する。
アムネスティは、アレッポや周辺地域ほか国内で起こされた人権侵害の申し立てを独自に調査することができた。その結果、シリア政府は人道に反する罪に相当する重大な侵害行為の責任があると結論づけた。
シリア政府には、調査するどころかこうした犯罪を止める意思が全くないことは明らかだ。現に政府は、第三者による各地の虐待行為の調査をすべて阻止している。
国際社会には、シリア国民に法の正義をもたらし、重大な侵害行為者や犯罪当事者が必ず法の裁きを受けるようにする義務がある。
しかし先日も、安保理はシリア問題の決議に合意できなかった。過去18ヵ月以上も国際社会の機能が麻痺していることで、当然シリア政府は、これまでの責任を問われず、今後も戦争犯罪や侵害行為を続けていけると考えている。シリア情勢は一日も早く国際刑事裁判所に付託されるべきである。
アムネスティ国際配信ニュース
2012年8月1日
http://www.amnesty.or.jp/news/2012/0808_3365.html
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アムネスティがここまで踏み込んで両当事者の一方を非難することは極めて珍しい。
事態の現実はそれほどひどいということだろう。
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