http://www.asyura2.com/12/warb9/msg/645.html
Tweet |
【RPEジャーナル】
★(欧米vs中ロ代理戦争)シリア問題の行方
↓
http://www.mag2.com/m/0000012950.html
★(欧米vs中ロ代理戦争)シリア問題の行方
今世界のメディアをにぎわしている問題は、二つ。
1、欧州財政危機(特に、ギリシャ、スペイン)
2、シリア問題
これに、
3、イラン問題
がつづきます。
2のシリア問題、ゆっくりですが確実に変化が起こっています。
先日も、「大きな変化」がありました。
今回は、世界の未来に大きな影響を与える「シリア問題」を
見ていきましょう。
▼シリア問題とは?
まず、基本からおさえていきます。
そもそも、「シリア問題」とはなんでしょうか?
シリアの現在の体制は、軍人出身のハーフィズ・アサドがクーデタ
ーを起こしてつくりました。
アサドは1971年、大統領に選出され、以後亡くなる2000年まで29
年間この国を支配します。
現在のバッシャール・アサド大統領は、ハーフィズの息子。
つまり、この国は親子が40年も支配している。
シリアは、反米、反イスラエル国家として知られています。
この国では2011年初めから、アサド政権に反対するデモが起こる
ようになりました。
3月頃から、デモはどんどん大規模になっていきます。
アサドは、チュニジアやエジプトのような革命が起こることを恐れ、
軍隊を使い、デモを力で鎮圧しようとします。
死者もたくさん出るようになった。
正確な数は誰にもわかりませんが、1万人以上といわれています。
これが逆効果で、デモはますます規模が大きくなり、力を増してい
きました。
2011年6月になると、(リビアのときと同様)国連安保理常任理事
国のイギリスとフランスが、シリアへの制裁を求めるようになって
いきます。
(これもリビアのとき同様)アメリカもこれに同調しました。
しかし安保理は、理由があって制裁を実施できない状況が続い
ています。(この点は後述します。)
▼欧米 対 中ロ 代理戦争としてのシリア問題
08年からはじまったアメリカ発「100年に1度の大不況」。
アメリカは没落し、中国は浮上しました。
08年以降の世界の構図を単純化していえば、
アメリカ(GDP、軍事力世界1)対 中国(GDP、軍事費世界2位)
となります。
覇権を死守したいアメリカと、覇権を奪いたい中国が争っているの
です。
米ソ冷戦時代、世界のほとんどの紛争は、この二国の「代理戦争」
でした。
中国内戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争(1979年から)
等々。
その後、ソ連は崩壊し、アメリカの一極時代がはじまった。
しかし一極時代は08年に終わり、「米中二極時代」がはじまった
のです。
戦いの中心は、現覇権国家のアメリカと次期覇権国家を狙う中
国。
しかし、勝敗のカギを握るのは他の大国群です。
他の大国群とは、日本、欧州、ロシア、インド等々。
これらの国々は、基本的に「勝つほうにつきたいな〜」という日
和見国家。
日本は、アメリカベッタリに見えますが、鳩山−小沢政権時代、
明らかにアメリカを捨て中国に走ろうとしました。
欧州は独仏を中心とする勢力と、イギリス・東欧を中心とする
勢力に分裂しています。
そして、独仏は、イラク戦争に反対したことからもわかるように、
ブッシュ時代明らかに「反米」でした。
(オバマさんになってからは、親米に回帰)
ロシア。
「米ロ新冷戦」という言葉が流行り、08年にはアメリカの傀儡
国家グルジアと戦争もしています。
まさに反米の急先鋒。
しかし、グルジア戦争後は、アメリカ好きのメドベージェフ大
統領(現首相)を中心に、「米ロ再起動」が進んでいきました。
つまり、ロシアは、しばらく中国を捨てアメリカ陣営に寝返っ
ていた。
インドは、ブッシュ時代、中ロ主導の上海協力機構の準加
盟国になるなど、明らかに中ロよりになっていました。
しかし、ロシアが中国と距離をおきはじめると、インドもアメ
リカよりに回帰しています。
最近は、イラン問題でアメリカと意見の違いがあるようですが・・・。
▼プーチン再臨でシリア問題は停滞
さて、アメリカは新世紀に入ってから三つの大きな戦争を戦ってい
ます。
三つとは、いうまでもなくアフガン戦争、イラク戦争、リビア戦争。
アフガン戦争。
この戦争は「9.11」の報復という名目ではじまりました。
9.11の衝撃があまりに強く、ほとんど誰も反対しなかった。
イラク戦争。
アメリカは、世論作りに失敗。
同国の権威は大きく失墜することになりました。
国連安保理では、常任理事国のうちフランス、中国、ロシアが戦争
に反対でした。
リビア戦争。
アメリカはこの戦争で、世論作りに成功しています。
そして、国連安保理のお墨つきを得て、リビア攻撃を開始した。
ロシアはなぜ戦争に反対しなかったのでしょうか?
これは、米英に取り込まれたメドベージェフが、安保理で「拒否権」
を使わず、「棄権」するよう指示したからです。
中国も、孤立を恐れ、ロシアに追随しました。
(「リビア攻撃」が決まった安保理決議は、2011年3月)
プーチン(当時首相)は、ナイーブなメドベージェフの決定に激怒
しました。
しかし、その後ロシアは徐々に「プーチン外交」に回帰していきま
す。
任期切れが近づいたメドは「レイムダック」と化し、プーチンの影
響力が戻ってきた。
「米ロ再起動」という言葉は、確実に「過去のもの」になっていき
ました。
さて、リビア戦争で大勝利し気をよくした欧米。
今度は、シリアをターゲットにします。
しかし、すでに事情は変わっていました。
ロシアがプーチン外交に戻ったからです。
たとえば2011年10月、ロシアは「中ロ同盟」を復活させ、欧米
の戦争を阻止します。
<国連安保理が対シリア決議案を否決、ロシアと中国が拒否権行使
【アンマン 5日 ロイター】 国連安全保障理事会は4日、反政府デ
モの弾圧を続けるシリアのアサド政権を非難する決議案を採決したが、
ロシアと中国が拒否権を行使したことにより決議案は否決された。>
(ロイター 11年10月5日)
なぜロシアは、拒否権行使を決めたのでしょうか?
<欧州諸国が提出した決議案には15カ国のうち9カ国が賛成し、
4カ国が棄権。
ロシアのチュルキン国連大使は、決議案が採択されればリビアと同
様の軍事介入につながる懸念が出てくるとし、反対を表明した。>
以後、中国とロシアは、拒否権を遠慮なく行使することで、欧米のシ
リア攻撃にストップをかけつづけます。
▼欧米中ロの本音
欧米は、シリアを攻撃しようとしている。
中ロは、シリア攻撃に反対している。
それぞれの建前と本音を見てみましょう。
まずアメリカ。
アメリカの建前は、「アサドはシリア国民を虐殺している」ですね。
もちろん、本音は別のところにあります。
なぜシリアを攻めたいかというと、シリアのアサドの後ろにイラン
がいるからです。
シリア現政権とイランは、「反米、反イスラエル」で一体化していま
す。
では、アメリカはなぜ「イラン」を攻めたいのでしょうか?
「核兵器を開発しているから」が一般論ですが、私は「核兵器
開発が理由ではない」と、大昔から書きつづけています。
ここでは長くなりすぎますので、詳述しませんが、興味がある
方は、
「プーチン最後の聖戦」
(詳細は→ http://tinyurl.com/8y5mya3 )
をご一読ください。
山盛り証拠つきで全部わかります。
では、欧米がイランを攻撃したい真の理由はなんでしょうか?
私は、5つの理由をあげています。
1、ドル体制防衛(イランは、ユーロや円などドル以外の通貨で原油
を輸出している)
2、原油・天然ガス利権(イランは、原油埋蔵量世界3位、天然ガス
世界2位である)
3、公共事業(アメリカは不況になると戦争する。例、ITバブル崩壊
後のアフガン、イラク戦争)
4、イスラエル防衛
5、中国封じ込め(中東→中国の原油の流れをいつでもカットでき
る状態をつくる)
新規購読者の皆さんは、これだけみても「???」でしょう。
これも「プーチン最後の聖戦」に詳述してありますので、興味があ
ればご一読ください。
次、ロシア。
ロシアがアサドを守る建前は、
「内政干渉するな!」
「民族自決権を破るな!シリアのことはシリア人が決めるべきだ!」
「欧米はアサドだけを非難するが、反政府勢力も虐殺している。
両勢力とも虐殺しているのに、一方に加担するのはフェアでない」
「欧米は、アフガンを攻め、イラクを攻め、リビアを攻めた。
それで、これらの国に平和はきたのか?
実際は、もっと混乱させただけではないのか?」
等々です。
もちろん、これも本音ではありません。
ロシアは、伝統的にシリアの友好国であること、武器のお得意
であること、などもあります。
しかし、これすら二次的です。
ロシアには大きな脅威が二国あります。
すなわちアメリカと中国。
アメリカは、いまだにロシアを「仮想敵NO1」と見ている。
(共和党のロムニーさんも、「最大の敵はロシア」と公言してい
る。)
もう一国は中国です。
ロシア極東の人口は700万人。
中国東北3省の人口は1億2000万人。
中国から極東・東シベリアに、中国人が大挙して移住してき
ている。
「極東、シベリアをのっとられるのではないか?」というのがロ
シアの恐怖なのです。
08年、「100年に1度の大不況」が起こり、アメリカは没落した。
ロシアのトップは、「アメリカは弱体化した。中国は強くなりすぎた」
「今度はアメリカと組んで、中国を封じ込める番だ」
と考えた。
それで、「米ロ再起動」に同意したのです。
しかし、プーチンから見ると、「アメリカはロシアの反対を無視して
東欧MD計画をつづける」等、「再起動は口だけ」に思えた。
さらに、アメリカ国務省は、反プーチンデモを煽って、プーチン再
選を阻止しようとした。(プーチン本人談)
それでプーチンは、「アメリカとの和解は無理だ。やはりしばらく
中国とくんで、トコトンアメリカを没落させよう」と決心したのです。
だから、プーチンは、ことごとくアメリカの戦争に反対していきます。
次、中国。
建前はロシアと同じ。
また中国は近年、シリア国内の資源開発などで協力関係を深め
てきました。
しかし、それもシリアを守る二次的理由にすぎません。
問題はやはり「米中覇権争奪戦」のからみ。
アメリカがシリア政権を崩壊させ、さらにイランで傀儡政権樹立
に成功する。
すると、中東産油国で「反米国家」はなくなります。
(中東の民衆は概して反米だが・・・)
その上で、米中対立が激化していったと仮定します。
するとアメリカは中東産油国を脅迫し、中国への原油輸出を
ストップさせることができるでしょう。
中国は第2次大戦時の日本のごとく、苦境にたたされます。
なぜ中国は資源大国ロシア、カザフスタンなどに急接近して
きたのか?
なぜ、南シナ海、東シナ海支配を急いでいるのか?
これも、「中東からの原油の流れがストップする日」を想定し
ているのです。
というわけで、中ロは、シリアとイランを守ります。
具体的には、「安保理で拒否権を使う」ことで。
▼シリア問題に「大変化」
国内問題で忙しい日本国民はほとんど気がついていませんが。
「シリア問題」で大きな変化が起きています。
まず7月19日、中国とロシアは3度目の「拒否権」を行使しました。
<<シリア>中露が米欧提出の決議案に拒否権 国連安保理
毎日新聞 7月20日(金)11時13分配信
【ワシントン白戸圭一】国連安全保障理事会は19日午前(日本
時間同日深夜)、シリアのアサド政権が停戦に応じない場合、経
済制裁発動を警告する米欧提出の決議案を採決した。
アサド政権への圧力強化に抵抗する常任理事国のロシア、中国
が拒否権を発動し、決議案は否決された。
中露がシリアに関する決議案への拒否権を行使するのは昨年10
月、今年2月に続き3度目。>
これに対してアメリカは、「これからは国連安保理を無視していく!」
と宣言します。
↓
<対シリア 安保理対応 米「枠外で行動」
産経新聞 7月22日(日)7時55分配信
【ニューヨーク=黒沢潤】国連安全保障理事会は20日、国連シリ
ア監視団(UNSMIS)の任期を30日間延長する決議案を採択した
が、前日にはシリアのアサド政権への制裁警告を盛り込んだ任期
延長決議案がロシアと中国の拒否権行使で廃案となった。
対シリア決議案での中露の拒否権行使は3度目で、米国はこの問
題での安保理の対応に“見切りをつける”方針を表明、ロシアは早
速反発し溝の深さをうかがわせた。>
つまりアメリカは、「これからは国連を無視してシリア・アサド政権
を追い込んでいく」と宣言している。
アメリカが国連安保理を無視するのは、新世紀に入って二回目で
す。
一回目はいうまでもなくイラク。
既述のように、国連安保理で、常任理事国のフランス、中国、ロ
シアが戦争に反対した。
それで、アメリカは、安保理を無視してイラク戦争をはじめたので
す。
全世界で反戦運動が盛り上がりました。
さらに、アメリカの開戦理由が「全部大うそ」だったことがバレ、
アメリカの権威は完全に失墜したのです。
<「米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定
【ワシントン=貞広貴志】米上院情報特別委員会は8日、イラク戦争
の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画
や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した
報告書を発表した。(読売新聞 06年 9月9日)>
<「報告書は『フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビン
ラーディンと関係を築こうとした証拠はない』と断定、大量破壊兵器
計画についても、少なくとも1996年以降、存在しなかったと結論付
けた」>(同上)
アメリカは、「シリア問題」でイラクと同じ過ちを繰り返すのでしょうか?
▼「シリア問題」勝つのは欧米?中ロ?
米中覇権争奪戦の行方まで話をひろげず、シリアに限ってお話し
ましょう。
今回アメリカは、イラク戦争時同様「国連安保理を無視して」進む
ことを宣言しました。
「シリア問題」はこれからどうなっていくのでしょうか?
結論からいうと、今回は「アメリカの勝ち」になりそうです。
なぜでしょうか?
1、国際世論がアメリカ側についている
世界のメディアを見ると、「アサドが自国民を大量虐殺している」
という情報はひろく拡散されています。
一方ロシアが主張する、「反政府側も虐殺している」という情報
はあまりひろがっていません。
ですから、アメリカがシリア攻撃を決めても、それほど大きな反
対は起こらないでしょう。
2、欧州がアメリカについている
イラク戦争に反対していたのは、中国、ロシア。
もっと重要だったのは、フランス、ドイツが反対だったことです。
西欧の二大強国が反対ということで、国際世論が反米にむいた。
しかし、今回欧州は一致してアメリカの方針を支持しています。
3、アサド政権は「化学兵器保有」を認めた
アメリカはイラク戦争時「フセインは大量破壊兵器を保有している」
と主張していました。
それがウソだったことがバレ、苦境に立たされた。
大量破壊兵器とは、生物兵器、化学兵器、核兵器、放射能兵器
のことをさします。
アサド政権は、最近大量破壊兵器である「生物化学兵器保有」
の事実を認めました。
もっとまずいことに、「それを使う可能性がある」と宣言した。
↓
<大量破壊兵器の保有を公言、国民への使用は否定 シリア
CNN.co.jp 7月24日(火)10時3分配信
(CNN) シリア外務省は23日、外国から侵攻された場合に備
えて生物化学兵器などの大量破壊兵器を保有していると公言
した。ただしシリア国民に対して使うことはないと断言している。
シリア外務省のマクディシ報道官は記者団に対し、「シリアが
保有している(大量破壊兵器の)ストックや非通常兵器は、いか
なる状況においても民間人やシリア国民に対して使うことはな
い。
保有兵器はすべてシリア軍によって監視され、外部からシリア
に対する侵攻があった場合にのみ使用される」と発言した。>
つまり「外国から攻撃された場合は使う」と。
これは、「外国からの攻撃を阻止するため」に発表したのでしょう。
しかし、逆効果です。
アサドは、自ら「墓穴」を掘ることになりました。
欧米に、「アサドは自国民を大量虐殺し、生物化学兵器を使うと
公言するクレイジーな独裁者だ!いかなる手段を使っても排除
しなければ!」という口実を与えてしまいました。
今後の展開は、
1、中ロは、安保理で戦争に反対しつづける
2、欧米は、安保理を無視してシリア戦争を開始する
3、国際世論は、概して欧米の味方。大きな反戦運動は起こらない
4、アサド政権崩壊
となっていくことでしょう。
アメリカは、強気で独善的なブッシュから、弱気・強調的なオバマ
さんになって、逆に「外交上手」になったようです。
リビアにしても、シリアにしても、粘り強く交渉をつづけることで、
中ロを追い込んでいった。
一方、CIA、軍、国務省、財務省などは、一体化してアサド政権
打倒工作を進めています。
↓
<米国、秘密裏にアサド政権弱体化工作進める
ウォール・ストリート・ジャーナル 7月24日(火)10時5分配信
米国は、イランからのシリアへの武器・原油輸送を阻止するため、
情報機関員や外交官を使うなど武力ではなく、シリアのアサド政
権崩壊を早める秘密裏の工作を進めている。
この限定的な作戦で米国はまた、前線のシリア反政府組織にも
情報を提供している。>
<これらの作戦には米国の中央情報局(CIA)、国務省、財務省、
米軍などが参加しているが、米国が従来よりもアサド政権に対
抗する姿勢を強めていることを示している。
米国がシリア反政府勢力との関係が良好化する一方、アサド大
統領が武器調達を必死に進めている中で、米国のこの作戦は
一段と強化されている。>(同上)
<シリア反政府勢力は、特にトルコ南部にいる米国務省職員
やCIA要員との接触を密にしていることを認めている。>(同上)
というわけで、アサド政権崩壊の日が近づいてきたようです。
シリア後、欧米 対 中ロ、戦いの中心はイランに移っていくことで
しょう。
(おわり)
【RPEジャーナル】
↓
http://www.mag2.com/m/0000012950.html
無料レポート
【世界一わかりやすいアメリカ没落の真実】
↓
http://mailzou.com/get.php?R=48689&M=22753
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。