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[タルトス(シリア) 20日 ロイター] シリア政権を掌握するイスラム教の少数派アラウィ派が多く住む港湾都市タルトスでは、つい最近まで日光浴をしたり、バーに集まる市民の姿があった。自分たちの国が内戦状態に突入していることを信じようとしない人もいたほどだ。
首都ダマスカスでは18日、ラジハ国防相やアサド大統領の義兄であるシャウカト副国防相など、大統領の周辺人物が殺害される爆弾攻撃が発生。これ以来、大統領が反体制派の武装勢力を阻止できるかどうかについて、アラウィ派の信頼が揺らいでいる。
シリアでは、人口の12%を占めるアラウィ派が政権を支配している。タルトスの多くの市民は、同じアラウィ派であるアサド大統領が自分たちの将来を守り続けることができるか懸念し始めている。
反政府デモが昨年3月に始まって以来初めて、タルトスでは店舗が閉鎖し、職場でも自宅でも、皆が国営テレビにくぎ付けになった。4人の子どもを持つ女性は「何が起こっているのか分からない。バッシャール(アサド大統領)は逃れ、残された私たちは問題に直面させられるのかもしれない」と不安を語った。
アラウィ派の一部には反政府運動に参加した人もいるが、大半はアサド大統領を支持している。忠実な支持者もいれば、国民の大半を占めるスンニ派による報復を恐れ、仕方なく大統領を受け入れている人もいる。
ダマスカスでの戦闘が激化する直前は、アラウィ派の多くは外国メディアが伝える報道は真実でないと主張していた。カフェにいた若い女性は先週記者に対し、「暴動などない。西部ホムスからの難民の話を聞いたが、信じない。半分はうそだ」と断言した。
国営テレビは20日、軍の演習の映像と、反体制派掃討作戦での「テロリスト」の遺体を交互に放映。しかし、アラウィ派の一部若者の間では、国営メディアへの信頼が揺らいでいる。29歳の男性はメディアが事実をねつ造しているとした上で、「今では(アラウィ派の)人々は恐れを感じている。テレビで良いニュースを目にして、(実際に起きていることを)忘れたい」と述べた。
<「次は沿岸部」の懸念も>
アラウィ派が多く住む他の都市と同様に、タルトスはスンニ派が多数を占める地域に比べてリベラルだ。海岸では露出度の高い水着姿の女性を見かけ、レストランはアルコール飲料を揃えている。
反政府デモの発生以来、シリア全体のアラウィ派の半数近くがタルトスに移動してきたとみられている。タルトス市の人口は90万人から120万人に拡大し、不動産業者によれば、アパートを見つけるのも一苦労だという。
市内には数カ月前、「アサドよ永遠に」など大統領への支持を示す横断幕が掲げられた。20日には、国連安全保障理事会でのシリア制裁決議案否決を歓迎する新たな横断幕も掲げられたが、35歳の男性は「もううんざりだ。拒否権が発動されたからといって、ダマスカスでの反体制派の攻撃を止めることはできない。次は沿岸部かもしれない」と語った。
<中枢を直撃>
アラウィ派はかつて、山岳地帯に住む貧しいイスラム教少数派だったが、現大統領バッシャール・アサド氏の父親であるハフェズ氏が1970年に政権の座に就いてから状況が大きく変わった。アラウィ派の多くがシリアのエリート層を支配し、この状況は父親の死を受けてバッシャール氏が2000年に大統領に就任した時も続いた。
ダマスカスからタルトスに到着する車両の数は日を追うごとに増えている。衝突が続く首都から移動してきたアラウィ派は、メッセージは明確だとしている。
ダマスカスから来た家具販売者の男性(48)は、「(治安本部の爆弾攻撃)は中枢を直撃した」とし、反体制派は政権内部に潜入することができたと指摘した。
国防相らを殺害した攻撃の爆音を聞いた人はほとんどいなかった。しかしアラウィ派にとって、42年間にわたるアサド政権に対する支持を揺るがせるには十分な出来事だった。男性は「(アサド政権はもはや)アラウィ派のために機能しているようにはみえない」と述べ、「崩壊の道をたどっている」と語った。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE86M03J20120723?sp=true
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