26. 2012年6月18日 21:51:20
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(2) 「アラブの春」という嘘(1)http://mdebugger.blog88.fc2.com/blog-entry-174.html シリアに対するNATO側諸国の「人道的介入」/「保護する責任」キャンペーンがいっそう犯罪性を増してきている。すでに広く宣伝されているように、カタール王室・サーニー家「首長」のハマドゥ・ビン・ハリーファは、1月15日に放送された米CBSの収録インタビュー番組「60ミニッツ」(▼20)で、シリアでの「虐殺を止めるためには(一定規模の)軍隊が介入すべきである」と述べ、アラブ諸国首脳として初めてシリアへの直接的軍事介入の意思をあらわにした。 カタールは、1月15日付の産経新聞(▼21)が評しているように、「昨年、北大西洋条約機構(NATO)による対リビア軍事作戦を早くから支持しアラブ連盟を介入容認でまとめ上げたほか、反カダフィ派部隊を資金・物資面で支援した“実績”があ」り、王室メディアであるアルジャジーラのハリウッド方式を駆使したプロパガンダ(▼22)に加えて、1600人の地上部隊を派兵して、NATOのリビア侵略を全面的に支えてきた。 シリアへの「アラブ軍」の侵攻が公然と取り沙汰される中、潘基文・国連事務総長は、1月18日に「異例の安保理批判」を行い、アサド政権の転覆を求める決議案に反対するロシア・中国を非難し、早期採決を目論むNATO側諸国にエールを送っている(▼23)。トルコがシリアへの「飛行禁止空域」の設定をめぐって米国と討議しているという報道もある(▼24)。リビア侵略にあたってオバマ政権が採用した「黒幕」(Lead From Behind)戦略を、今度はNATOがこぞって推進していると言うべきかもしれない。 『シリアでは昨年末から大規模な爆弾テロが相次いでいる。昨年12月23日には、首都ダマスカス市内で、国家保安庁と情報部を標的とした二件の自動車爆弾テロが発生し、44人が殺害され、166人が負傷した。今年に入って1月6日には、同じくダマスカス市内のハサン・アル=ハキーム小学校およびミーダーン地区警察署付近で、26人が死亡、63人が負傷する(自殺)爆弾テロが起こっている。死傷者の大半は民間人であり、シリア政府はテロを激しく批判しているが、日本を含むNATO側諸国メディアは、「シリア国民評議会」(SNC)を始め反体制派の主張を紹介するという形式(建前)で、一連のテロがアサド政権の自作自演であると示唆するあからさまな「陰謀論」を垂れ流している(▼25)。』 『けれども、シリアで最近起こったこれらのテロは、昨年3月以降のいわゆる「反政府デモ」の実態――端的に言って「アラブの春」という嘘――を無視して語ることはできない。NATO側諸国メディアがリビア版「アラブの春」の旗手として売り込んでいたリビアの反体制派が、実際にはNATOのリビア侵略を内側から支え、市民の虐殺と黒人へのジェノサイドを分業した武装レイシスト集団であったように、シリア版「アラブの春」の核心的な勢力もまた、その実体はマシンガンを振り回すNATO側諸国合作のテロリスト集団であり(▼17)、シリアの「反政府デモ」は、そもそもの発端から一般市民および治安当局――いずれもアサド政権の支持基盤――に対するテロリズムに満ち溢れているからである。』 『「アラブの春」と言えば、日本でもリベラル・左派の間でチュニジアやエジプトの「SNS革命」がもてはやされているようだが、シリアをめぐっても、「反政府デモ」が始まる以前の2011年2月初めに、「2011年シリア革命」というFacebookページが(なぜか)英語で作成されていた。「ページ」は2月4日金曜日を「憤怒の日」として設定し、蜂起を呼びかけるもので、即日数万人の「友達」が登録して、アルジャジーラが大々的に宣伝する盛況ぶりだったが、実際に「憤怒の日」が訪れても、オフラインのシリアでは何事も起こらなかった。アルジャジーラは不当にもシリアを「沈黙の王国」呼ばわりしてバッシングしたが、「シリア革命」を望む「友達」のほとんどは、もともとシリア人でも(アラビア語を第一言語とする)アラブ人でもなかったようである。もしかすると、人間ですらなく、大量生産型の「ソーシャルボット」だったのかもしれない(▼26)。』 『こうした(Wikipediaでも紹介されている公認の)「挫折」を経て、シリアのバッシャール・アル=アサド政権を悪魔化し、「国際社会」(NATO側諸国)によるシリアへの「人道的(軍事)介入」を意図したメディアキャンペーンが本格的に仕掛けられたのは、3月17・18日にダルアー(Daraa)で始まった「反政府デモ」の直後からだった。3月17日という日付がリビアに対する国連決議1973号の採択日と一致している符号にも着目しておこう。この日、シリア南部のヨルダン国境沿いの街ダルアーで、「反政府デモ隊」と治安部隊が衝突し、多数が死傷するという事件が発生した。』 『 NATO側諸国メディアは、事件を「市民の平和的な民主化デモに対する独裁政権の一方的な弾圧」という(リビアでおなじみの)構図でもって一斉に報道したが、これは明らかに作為的な誤りである。なぜなら、この最初の「反政府デモ」においてさえ、「デモ隊」よりも治安部隊側に多くの死者が生じており、しかも「デモ隊」はダルアーのバアス党本部と裁判所を焼き討ちにして、(イスラエル占領下のゴラン高原を監視する)情報機関と国立病院を襲撃しているからである(▼27)。ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)オタワ大教授(『グローバル・リサーチ』編集者)の記事「シリア:抗議運動の黒幕は誰か?米NATOの『人道的介入』の口実を捏造する」(▼28)から事件の要点を翻訳・引用してみよう。』 『「〔訳注:AP通信の〕報道は、欧米であれば間違いなくタブロイド紙の表紙を飾るはずの警官の死について沈黙を決め込んでいる。
警官の死は実際に何が起こったかを判断する上で重要である。警官側に複数の死者が出たということは、対立する陣営――すなわち警官と『デモ参加者』――との間に銃撃の応酬があったことを意味している。 警官を攻撃していたのは、建物の屋上にいたスナイパーを含むこれらの『デモ参加者』である。 (警官の死に言及している)イスラエルとレバノンの報道は、3月17日から18日にかけてダルアーで起こった事件について、より明快な見取り図を与えてくれる。(ダマスカスにとって都合のよい偏向報道などするはずもない)イスラエルの国営報道は、上記の事件を次のように解説している。 『先週木曜日〔訳注:3月17日〕にダルアーの市街地南部で勃発した一連の暴力的な衝突によって、シリアでは警官7人と少なくとも4人のデモ参加者が殺害された。 ……〔訳注:翌〕金曜日、警官隊は武装したデモ参加者に向けて発砲し、4人を殺害、約100人を負傷させた。匿名を条件に語ったある目撃者によれば、「警官隊は――催涙弾などは使用せず――即座に実弾を用いてきた」という。 ……緊迫した情勢をなだめるために、政府は常になく拘束した学生の解放に応じているが、警官7人が殺害され、日曜日に再発した暴動によって、バアス党の本部と裁判所が焼き討ちにされた。(ガブリエル・クイーナン, 「シリア:抗議行動で警察官7人を殺害、建物を放火」, イスラエル国営ニュース, アルツ・シェヴァ, 2011年3月21日, 強調は引用者による)』 レバノンの報道も、複数のソースを引用して、ダルアーで警官7人が殺害されたことを認めている。警官が殺されたのは『治安部隊とデモ隊との衝突時で……警官はダルアーのデモ参加者を搬送しようとしている際に殺害された』という。』 〔中略〕 ダルアーの事件をめぐる一連の報道によって、次のことが明らかになってくる。 1.これは欧米メディアが主張しているような『平和的なデモ』ではない。『デモ参加者』の一部は銃を携えており、しかもそれを警官に向けて使用していた:『警官隊は武装したデモ参加者に向けて発砲し、4人を殺害した。』 2.(イスラエル・メディアが報じた)当初の死者数では、殺された人数はデモ参加者よりも警官の方が多い:4人のデモ参加者に対して7人の警官が殺されている。これは、統率された武装勢力の数が当初警官隊を上回っていたかもしれないことを示唆するため、極めて重大な意味を持っている。シリア・メディアによれば、さらに屋上にスナイパーがいて、警官隊とデモ隊双方を狙い撃ちにしてきたという。 当初の一連の報道から明らかなことは、『デモ参加者』の多くは、実際にはデモ参加者ではなく、事前に殺人と放火の実行計画を練っていたテロリストだったということである。イスラエルのニュースタイトルは事件をうまく要約してくれている:『シリア:抗議行動で警察官7人を殺害、建物を放火』」 シリアで3月以来続いている「反政府デモ」は、後述するように、それ自体がシリア反体制派とNATO側諸国メディアによる捏造の産物であることも珍しくないが、(実在する場合には)テロリズムによって駆動しているとすら言えるだろう。ダルアー近郊のカラク(Karak)村では、反体制派に「反政府デモ」への参加と(自宅に掲げた)アサド大統領の肖像画の撤去を強制され(肖像画撤去の脅迫と言えば、日本社会が朝鮮学校に対して仕掛けている犯罪的行為がすぐに連想されるが)、拒否した若者が翌朝自宅の玄関先で首吊り死体となって発見された(▼29)。
シリア政府は、昨年12月までに反体制派によって2000人を超える治安部隊兵士が殺害されたとして、死亡した兵士の氏名を明らかにしている(▼30)。まさに一日当たり7人もの兵士が殺されているということになり、仮にこの数字が半分だとしても尋常ではない事態である。新華社通信(Xinhuanet)のアーカイブから、昨年3・4月のダルアーに限定して、NATO側諸国ではほぼ完全に無視されているシリア・アラブ通信(SANA)をソースとする記事をいくつか拾ってみよう。 ・武装グループが走行中の救急車を襲撃、2名の医療スタッフと運転手、治安軍兵士1名を殺害(▼31)
・武装グループが治安部隊を襲撃、兵士5名を殺害 ・武装グループが軍事検問所を襲撃、兵士2名を殺害 ・覆面テロリストが政府施設を放火、その場に居合わせた8名を殺害(▼32) ・シリア軍、住民の要請を受けてダルアーに展開(▼33) ・武装グループが道路を遮断して通行人を狙撃、兵士1名が死亡、救急車の運転手と看護士を含む5名が負傷(▼34) ・武装グループが軍施設を襲撃、兵士4名を殺害、2名を誘拐(▼35) ・武装グループが兵士の住宅地区を襲撃、軍曹1名を殺害、2名が負傷(▼36) こうした事態はもちろんダルアーに限ったものではなく、次に述べる「サルバドル・オプション」――シリアへの「死の部隊」移設作戦――を含む、NATO側諸国によるシリア反体制派への強力な軍事支援を背景として、シリア各地を襲っている。さすがにこれを「アラブの春」と呼ぶのは、よほどの帝国主義的センスがなければ無理だろう。
▼20 CBS, Emir of Qatar favors Arab troops in Syria, 13 January 2012, http://www.cbsnews.com/8301-18560_162-57359014/emir-of-qatar-favors-arab-troops-in-syria/?tag=exclsv
▼21 大内清, カタールがシリアへの軍隊派遣に言及、強まる介入論, 産経新聞, 2012年1月15日, http://sankei.jp.msn.com/world/news/120115/mds12011521030005-n1.htm ▼22 例えば、アルジャジーラが2011年8月21日に放映し、NATO側諸国でヘビーローテーションされた反乱軍のトリポリ入場シーンは、「緑の広場」のセットを施したカタール・ドーハのスタジオ「アルジャジーラ」で特撮されたもので(下記サイトの二番目の動画を1:20あたりで止めると、セットの粗が気になってくる)、実際には(西部のガルガーレシュとジャンズールを除く)トリポリの大半は当時カダフィ政権の支配下にあった。8月23日には、NATO側メディアのゲーム的空想世界で繰り返し拘束され続けていたカダフィの子息セイフが、ジャーナリストと共に非武装でトリポリ中心部を訪れている。 Al Jazeera’s fake Green Square, Stop War Crimes!, 22 August 2011, http://stopwarcrimes.wordpress.com/2011/08/22/al-jazeeras-fake-green-square/ しかも、この「ハリウッド的な映画」について暴露されたリビア国民評議会は、臆面もなくそれが「カダフィの支持者を騙すために巧みに作られ運ばれた」ものであると正当化してみせた。 Stcom.net, リビア国民評議会「嘘の勝利報道効果あった」 偽トリポリ緑の広場, http://www.youtube.com/watch?v=imVc38OPNRc 上記動画に寄せられているコメントによると、「日本のTBSテレビは、『解放』を悦ぶトリポリ市民がみんな英語でインタビューに答えている様子を報じている。なお、疑問の投稿は不承認」であるという。 ▼23 朝日新聞, 潘事務総長、異例の安保理批判 弾圧続くシリアめぐり, 2012年1月19日, http://www.asahi.com/international/update/0119/TKY201201190572.html ▼24 RT, Friend turned foe: Turkey rounds on Syria in regional power bid, 18 January 2012, http://rt.com/news/turkey-syria-neighbors-policy-077/ ▼25 典型的な例として、12月23日付のル・モンド記事「Attentats a Damas : l'opposition accuse le regime, qui accuse Al-Qaida」(ダマスカスでの攻撃:シリア反体制派、アルカーイダを非難するアサド政権を非難)、同日の読売記事「シリアで自爆テロ情報、30人死亡?自作自演?」や、1月7日付のCNN記事「シリア首都で自爆テロ、死傷者数十人 『政権の自演』と反体制派」、1月9日付の赤旗記事「シリア軍の住民弾圧」などを挙げておく。 LeMonde, Attentats a Damas : l'opposition accuse le regime, qui accuse Al-Qaida, 23 December 2011, http://www.lemonde.fr/proche-orient/article/2011/12/23/attentats-contre-les-services-de-securite-a-damas-selon-la-television-syrienne_1622169_3218.html#ens_id=1481132 読売新聞, シリアで自爆テロ情報、30人死亡?自作自演?, 2011年12月23日, http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20111223-OYT1T00549.htm CNN, シリア首都で自爆テロ、死傷者数十人 「政権の自演」と反体制派 , 2012年1月7日, http://www.cnn.co.jp/world/30005183.html 小泉大介, しんぶん赤旗, シリア軍の住民弾圧, 2012年1月9日, http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-09/2012010907_01_1.html ▼26 「ソーシャルボット」は単純なスクリプトで作成できる。 Devin Coldewey, 研究者たちがFacebookに102体のボットを送り込んで250GBのユーザデータを収集, TechCrunch, 2011年11月2日, http://jp.techcrunch.com/archives/20111101researchers-flood-facebook-with-bots-collect-250gb-of-user-data/ ▼27 Michel Chossudovsky, Media Disinformation: The Protest Movement in Syria --Western Media Coverage of the Events in Daraa, Global Research, 28 March 2011, http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=24016 ▼28 Michel Chossudovsky, SYRIA: Who is Behind The Protest Movement? Fabricating a Pretext for a US-NATO "Humanitarian Intervention", 3 May 2011, http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=24591 ▼29 International Christian Concern, Syrian Christians Threatened by Salafi Protestors, 4 May 2011, http://www.persecution.org/2011/05/05/syrian-christians-attacked-threatened-by-anti-government-protestors/ ▼30 Julie Levesque, Syrian Death Toll Claim: Thousands Dead, Zero Verifiable Sources, Global Research TV, 23 December 2011, http://tv.globalresearch.ca/2011/12/syrian-death-toll-claim-thousands-dead-zero-verifiable-sources ▼31 Bi Mingxin, Four killed in armed attack against medical team in south Syria, Xinhua, 23 March 2011, http://news.xinhuanet.com/english2010/world/2011-03/23/c_13794626.htm ▼32 yan, Armed groups attack security forces, military in Syria, 24 April 2011, Xinhua, http://news.xinhuanet.com/english2010/world/2011-04/24/c_13842858.htm ▼33 Mu Xuequan, Syrian army deployed in Daraa on residents' demands, Xinhua, 26 April 2011, http://news.xinhuanet.com/english2010/world/2011-04/26/c_13845528.htm ▼34 Mu Xuequan, "Terrorists" snipe at passers-by, cut off roads in Syria's Daraa, Xinhua, 28 April 2011, http://news.xinhuanet.com/english2010/world/2011-04/28/c_13849030.htm ▼35 Wang Yan, Four soldiers killed, two kidnapped in Syria's Daraa town: report, 29 April 2011, http://news.xinhuanet.com/english2010/world/2011-04/29/c_13852344.htm ▼36 Mu Xuequan, "Terrorists" attack residence of Syrian servicemen, Xinhua, 30 April 2011, http://news.xinhuanet.com/english2010/world/2011-04/30/c_13852429.htm
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