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シリアにおいて、違法な殺人や拷問、恣意的な拘禁、理不尽な家屋の破壊が驚くほど進行している。この状況は、政府軍と民兵が民間人へ攻撃してもその責任がまったく問われない中、彼らの激化する広範な攻撃を食い止めるには、国際社会の断固たる行動がいかに緊急に必要かを、物語っている。
アムネスティ・インターナショナルは6月14日、シリアに関する最新の報告書を発表した。70ページの本報告書は、反対派を支持しているとされる地域に対する報復を強要し、人びとを服従させるために脅迫するような国家政策の一環として実行されてきた人道に対する罪や戦争犯罪など、広範かつ組織的な違法行為の新たな証拠を提示している。
「重大な侵害行為が組織的な形で行われていることを示す、不穏な新証拠が出てきたこと。これは、政府軍や民兵がまったく責任を問われずに行なっている、人道に対する罪や戦争犯罪など民間人への広範な攻撃の激化する勢いを食い止めるため、国際社会に断固たる行動を取る必要性を迫っていることを、明確に示しています」とアムネスティの危機管理上級顧問のドナテラ・ロベラは述べた。彼女は最近、シリア北部で人権侵害についての調査を数週間にかけて行なった。
「1年余り、国連安全保障理事会はぐずぐずするばかりで、シリアでの人権の危機は拡がっています。今こそ難局を打開し、これらの侵害行為をやめさせ、責任者を裁くために具体的な行動を取らなければなりません」
虐殺される市民
シリア当局からの入国の公的認可は得られなかったが、アムネスティはシリア北部での状況を調査することができた。そして、「シリア政府軍と民兵は、重大な人権侵害および人道に対する罪と戦争犯罪に相当する重大な国際人道法違反に責任がある」と、結論づけた。
アムネスティは、アレッポとイドリブ県にある23の町村を訪問した。また、3月と4月に出された国連とアラブ連盟による6項目の停戦協定の実施に向け交渉している最中に、シリア政府軍は大規模な攻撃をしかけたが、その地域も訪問した。
訪問したどの町や村でも、嘆き悲しむ家族たちは、若者や老人、子どもたちを含む彼らの親族がどのように引き離され、兵士たちによって銃殺されたかを、アムネスティに説明した。兵士たちが犠牲者の身体に火をつけるケースもあった。
兵士たちと民兵組織シャビハは家屋や財産を焼き払い、住宅地域に無差別に発砲し、そこに居合わせた民間人たちを殺傷した。病人や老人を含めて逮捕された人びとは日常的に拷問され、ときには死に至った。多くの人びとが強制失そうとなり、行方はわからないままである。
「行く先々で、なぜ世界は傍観して何もしないのか、とひどく取り乱して問うてくる人たちに出会いました」とドナテラ・ロベラは述べた。
「国際社会のこのような怠惰な姿勢が、さらなる侵害行為を助長しています。状況が悪化し続け、民間の死亡者数が毎日増えている中、国際社会は増大する暴力を止めるために行動しなければなりません」とも述べた。
政府は反対勢力の拠点と見なした町や村を標的としてきた。それが自由シリア軍(FSA)との衝突場所であろうと、平和的な反対勢力の居場所であろうと問わず、である。
シリア最大の都市であるアレッポでは5月最終週に何度か、制服姿の治安部隊と平服の民兵のシャビハが、平和的にデモを行なっている人びとに対して実弾を発砲し、子どもたちを含む抗議者や通行人たちを殺傷するのを、アムネスティは目撃した。
これらの地域での侵害行為は、当該地域だけのことではなく、5月25日のホウラでのシリア軍による攻撃など他の地域でも広く報じられている。国連によると、49名の子どもたちと34名の女性を含む108名がホウラで殺された。
2011年2月に改革派の抗議が勃発して以来、アムネスティは動乱の中で殺害された1万人余りの人びとの名前を把握しているが、実際の数字はそれよりかなり多いかもしれない。
命をうばわれる子供たち
この報告書は、子どもたちと武装紛争についての国連事務総長の報告書を含むシリアの状況についての他の調査結果を補強している。事務総長の報告書は昨年、政府軍が9歳の子どもたちを「殺したり、傷つけたり、恣意的に逮捕したり、勾留、拷問、虐待した」ことに責任があることを強調した。
報告書の中でアムネスティ・インターナショナルは安保理に対し、改めてシリアの状況について国際刑事裁判所(ICC)検察官に付託し、シリア政府への武器流入を止めるためにシリアに対する武器禁輸措置をなすよう要請している。
アムネスティはとくにロシアと中国政府に対して、シリア政府へのすべての武器、弾薬、軍事・治安・警察についての装備・訓練・人員の供給を直ちに中止するよう求めている。
アムネスティはまた安保理に対し、国際法の下での犯罪の命令もしくは実行に関わっているかもしれないバシャール・アル・アサド大統領たちの資産凍結を実行するよう要請している。
アムネスティはシリア当局に対して数多くの勧告をしてきた。もしそれらが実行されるなら、現在起きている人道に対する罪もしくは戦争犯罪に相当する広範な違反行為を減らすことができるだろう。
しかし、シリア政府は、調査はもちろん、これらの犯罪を終わらせる意向が全くない様子である。
「アムネスティや他の人権監視団体、国際メディアが近づかないようにするシリア政府の企ても監視から免れることはできませんでした。この報告書は、シリア当局が民間人たちに対して執拗かつ広範で残忍な攻撃に携わっていることを示す、さらに詳細な証拠を提供しています」とドナテラ・ロベラは述べた。
▼報告書『致命的な復仇(ふっきゅう) DEADLY REPRISALS』(英文)
http://www.amnesty.org/en/library/asset/MDE24/041/2012/en/30416985-883b-4e67-b386-0df14a79f694/mde240412012en.pdf
アムネスティ国際ニュース
2012年6月14日
http://www.amnesty.or.jp/news/2012/0614_3141.html
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