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11日、アフガニスタン南部カンダハル州で、活動する米兵(ロイター=共同)
米兵の自殺者、米国戦争資本主義の不毛を露呈する
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2012/06/post-26c6.html
2012年6月13日 神州の泉
東京新聞(TOKYO Web 2012年6月12日 16時11分)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061201001802.html
米兵自殺、戦死者上回る 今年前半154人
11日、アフガニスタン南部カンダハル州で、活動する米兵(ロイター=共同)
【ワシントン共同】現役米兵の今年の自殺者が6月3日現在で154人に達し、アフガニスタンでの同時期の戦死者124人を上回ったことが11日までに、米国防総省の集計で明らかになった。オバマ政権が急ぐ「責任ある終戦」に向け戦死者数が減少する一方で、10年以上に及ぶ戦争で疲弊した米軍の実情が浮き彫りになった。
度重なる前線派遣による心的外傷後ストレス障害(PTSD)や、経済的な苦境などが自殺の原因とみられ、パネッタ国防長官は「緊急の課題」として対応の強化を指示した。
国防総省によると、昨年同時期の自殺者は130人で、約18%増加。
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911以降、米軍兵士の自殺が年々増加しており、近年は特にその傾向が顕著になってきたようだ。この現実は911以降に制定された米国の「愛国法」という、翼賛的な国家統制法が、どう足掻いても、もはや正義の衣をまとえなくなっている端的な証左である。ジャーナリストの堤未果さんが書いた『ルポ 貧困大国アメリカ』を読むと、彼女はアメリカの中間層が消えた理由と、アメリカ国内にはその中間層が、民営化によって生まれた国内難民と、自由化によって生まれた経済難民にスポットを主に当てている。
その状況説明の中で、堤さんは、アメリカ政府が経済難民になった若者に巧妙な手段で徴兵する仕組みを築いていることと、そこへ行くしか選択肢がない社会状況に置いたアメリカ政府へのきびしい批判眼を向けている。アメリカはすでに貧困大国になっていて、唯一の安定的職業が軍隊であるというひどい状況に置かれている。これは日本より先にアメリカが極端な傾斜配分社会になっているからだが、堤未果さんの本を読むと、貧困難民層の若者が軍隊以外に活路を見出せない状況が克明に描かれている。
東西冷戦真っただ中の1970年代、アメリカは世界の警察を自認し、民主主義の正義の名の下に、米軍兵士を彼方此方の紛争地帯に送っている。この頃は、アメリカの正義をストレートに信じていた兵士たちが多かったと思われるが、911以降、顕著になったネオコンによる戦争経済の余波は、米軍兵士たちの軍人としてのアイデンティティを根底から変えてきたようである。
ナオミ・クライン女史の「ショックドクトリン」を掲げるまでもなく、911以降にアメリカが派兵する国やエリアは、正義の紛争鎮圧ではなくて、国際金融資本の収奪のために、仕掛けられた、造られた戦争だということが誰の目にも明らかになってきた。兵士たちは徴兵こそ唯一のサバイバルの選択肢であり、命懸けのその職業に対し、「愛国」や「正義」という、自分たちを律する理由付けが欲しかった。しかし、実際戦地に赴き、軍役に従事してみると、アメリカのやっていることが、正義とは似ても似つかない、戦争資本主義であることに否応なく気付いたのではないだろうか。
多国籍企業だけが儲かるために、命を犠牲にして戦うことの空虚さ、無意味さを嫌というほど味わっているに違いない。しかも、アメリカ経済はすっかり凋落し、今や、軍隊にまで国家予算は絞られてきた。このような状況で兵士たちが明日に希望をいだけなくて、自殺する者が急増していることはアメリカ自体の凋落を示すものである。唯一の選択肢として入隊した若者たちが、正義のない無意味な殺戮や、多国籍企業を儲けさせるために命を懸けることを忌避するのは当然である。多国籍企業主体の新自由主義による戦争資本主義は、人間らしいあらゆる価値観を無意味化し、不毛の荒野に追いやる。このまま進むと近い将来、日本もアメリカと同じ轍を踏むことになる。
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