http://www.asyura2.com/12/warb9/msg/439.html
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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2012年6月13日
http://tanakanews.com/mail/
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★シリア虐殺の嘘
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5月25日、シリア中部の町ホムスの近郊にあるホウラ地区で、村人ら108人
が殺される虐殺事件が起きた。シリア政府は、反政府武装勢力の仕業と発表し
たが、対照的に欧米日アラブの政府とマスコミの多くは、虐殺の犯人がシリア
政府軍であると断定し、日本や米英独豪などが、自国に駐在するシリア大使を
追放した。国連安保理は、シリア政府軍と反政府勢力が交戦をしている間に
108人が殺されたとして、戦車や迫撃砲を使ったシリア政府を非難した。
http://www.rt.com/news/damascus-refutes-accusations-houla-massacre-339/
Syrian government denies involvement in Houla massacre
ホウラ地区は、以前から反政府勢力が占拠していた。そこの村人が虐殺され
たとなれば、犯人は政府軍だと考えたくなる。欧米では、この虐殺事件を機に
「反政府勢力が占拠する地域を政府軍が攻撃して虐殺を起こす事態が繰り返さ
れぬよう、政府軍と反政府勢力の地域の間に緩衝地帯を設けるべきで、緩衝地
帯の設定のため、国連軍もしくはNATO軍が、シリアに侵攻する必要がある」
という「人道上の軍事介入」を主張する声が強まった。
http://en.wikipedia.org/wiki/Houla_massacre
Houla massacre From Wikipedia
国連のシリア問題特使のアナン元事務総長は、ホウラ虐殺を「(シリア問題
の緊急性を一気に高める)転換点」と呼んだ。米国のライス国連大使は「国連
が動かないなら(米軍が)国連外で動かざるを得なくなる」と警告した。もは
や、欧米やアラブの軍勢が国連軍もしくは国際軍としてシリアに軍事介入する
のは時間の問題であるようにも見える。シリアのアサド大統領も、リビアのカ
ダフィのように政権転覆され、葬り去られるかに見える。
▼虐殺の犯人は政府軍でなく反政府勢力
とはいえ、事態をよく見ると、実はホウラで村人らを虐殺したのはシリア政
府軍でなく、反政府勢力の方である可能性が高い。虐殺で殺された村人の多く
は、アサド政権と同じアラウィ派イスラム教徒だった。シリア軍の幹部の多く
はアラウィ派であり、政府傘下の民兵組織のシャビーハも上層部はアラウィ派
である。欧米日マスコミは、シャビーハやシリア軍がホウラの村人を殺したの
だろうと書き立てたが、内部の団結が強いアラウィ派が、同じアラウィ派を殺
すはずがない。
http://globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=31184
THE HOULA MASSACRE: Opposition Terrorists "Killed Families Loyal to the Government"
半面、反政府勢力は、サウジアラビアに支援されたスンニ派のイスラム主義
勢力(いわゆるアルカイダ)で、アラウィ派やシーア派を敵視し、宗教上異端
なので殺しても良いと考える傾向が強い。殺された村人の中にはシーア派もい
た。政府軍が殺したなら、戦車砲や迫撃砲で家ごと破壊される形になっている
はずだが、殺された村人は至近距離から撃たれたり、のどをナイフで掻き切ら
れたりしている。これは、アルカイダなどサウジ系イスラム過激派が異端者を
殺すときの典型的なやり方だ。虐殺の動機は、政府軍より反政府勢力の方に強い。
http://www.moonofalabama.org/2012/05/syria-massacre-likely-by-al-qaeda.html
Syria: Massacre Likely By Al Qaeda
アラウィ派はシリアの人口の約1割しかいない少数派で、シリア人の7割を
占めるスンニ派イスラム教徒から宗教的に異端視されてきた。20世紀初頭に
シリアを植民地支配したフランスは、アラウィとスンニの対立を利用し、アラ
ウィを警察官など治安担当の職務に優先的に就かせ、アラウィがスンニを監視
し、その上にフランスの統治が乗る構造を作った。独立後も、シリアの軍や治
安担当部門はアラウィ派が握り、アサド家はこの構図を利用して独裁政治を敷
いた。こうした歴史があるので、シリア軍やシャビーハの指導部はアラウィ派
で占められている。
ホウラ地区の人口の9割はスンニ派で、地区内の一部の地域にアラウィ派や
シーア派がかたまって住んでいる。反政府勢力は、ホウラ地区の中でもスンニ
派の地域を占拠していた。反政府勢力の地域と、アラウィやシーアの居住地域
をつなぐ道路には、反政府勢力が入ってこないよう検問所とバリケードが設け
られ、政府軍が検問所を守っていた。
ドイツの主力新聞フランクフルト・アルゲマイネ・ツァイトンク紙によると、
5月25日、ホウラのスンニ派地域を占領していた反政府勢力が検問所を襲撃
し、政府軍と銃撃戦になった。反政府勢力は、一時的に検問所を制圧し、アラ
ウィ派が住む地域に流入した。その後、政府軍の戦車部隊がやってきて加勢し、
90分後に反政府勢力は退散したが、この間に反政府勢力がアラウィ派の家を
一つずつ襲撃し、中にいた家族を、女性や子供にいたるまで、至近距離から
銃殺したり、のどをナイフで掻き切って殺した。
http://www.infowars.com/implosion-of-the-houla-massacre-story-is-anyone-paying-attention/
Implosion of The Houla Massacre Story - Is Anyone Paying Attention?
この地域には、スンニ派からシーア派に宗旨替えした人々が一家族住んでい
たが、彼らも異端者とみなされて皆殺しにされた。スンニ派でも一家族が皆殺
しにされたが、彼らはシリアの国会議員の親戚の一族で、政府に協力する人々
とみなされたようだ。反政府勢力は、殺された人々を携帯電話などで動画撮影
し「政府軍に殺された人々の画像」としてインターネットにアップロードした。
彼らが犯人であるなら、非常に周到で巧妙な自作自演の犯行ということになる。
http://www.nationalreview.com/corner/302261/report-rebels-responsible-houla-massacre-john-rosenthal#
Report: Rebels Responsible for Houla Massacre
事件から何日か経って、反アサド的なアラブ諸国の出身者が多い国連の視察
団がホウラ地区にやってきて現場検証した。国連視察団は、虐殺現場の近くで
政府軍の砲弾の残骸を発見し、政府軍が発砲したのだから、虐殺の犯人は政府
軍である可能性が高いと結論づけた。実際は、戦車砲や迫撃砲で殺されたのは、
今回死んだ108人のうち、反政府勢力の兵士など20人だけで、残りは銃殺
やナイフで殺されている。すでに書いたように、実際には、政府軍が反政府勢
力と戦闘している間に、反政府勢力がアラウィ派やシーア派の家を回って虐殺
をしていたという証言があるのだから、政府軍の砲弾の残骸があっても、それ
で政府軍が犯人ということにならない。国連査察団は、アサド政権を転覆した
い米国やサウジなどの影響を強く受けている。
http://www.outsidethebeltway.com/syrian-rebels-responsible-for-houla-massacre/
Syrian Rebels Responsible For Houla Massacre?
▼イラク戦争並みの巨大な国際犯罪
ホウラの事件より前にも、反政府勢力は、アラウィ派やキリスト教徒といっ
た、スンニ派のイスラム主義者から見ると敵視すべき異端者である人々を虐殺
した上で、犯人はシリア政府軍だと主張しつつ、殺された人々の映像をネット
で世界に流すことをやっていたという証言がある。シリアのキリスト教会の修
道女(Mother Agnes-Mariam de la Croix)が、ホムス近郊のハリディア地区
(Khalidiya)で今年2月に行われた虐殺について、反政府勢力が地区に住む
アラウィ派とキリスト教徒を一つの建物の中に集めて閉じこめた上で、建物に
ダイナマイトを仕掛けて爆発して殺したものであり、報じられているようなシ
リア政府軍やその傘下の勢力の犯行ではないと証言している。
http://www.nationalreview.com/corner/302261/report-rebels-responsible-houla-massacre-john-rosenthal#
Report: Rebels Responsible for Houla Massacre
シリアのキリスト教徒は人口の13%で、アラウィ派やシーア派と同様、サ
ウジ系のスンニ派イスラム原理主義者から敵視される傾向が強い。
ホウラの虐殺後、6月6日に、シリア中部の町ハマの近郊にあるクベイル地
区(Mazraat al-Qubair)で再び虐殺が起こり、78人の村人が殺された。欧
米日などのマスコミは、この事件もシリア政府軍の仕業に違いないと書いてい
る。だが、クベイルにはホウラと同様、地区の中にアラウィ派が集まって住ん
でいる地域があり、そこを守っていた政府系勢力(ホウラは政府軍、クベイル
は民兵)と、反政府勢力との間で戦闘が起こり、その間に村人が殺されている。
http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/second-syrian-massacre-qubairs-killing-fields-7827900.html
Second Syrian massacre: Qubair's killing fields
クベイルでの殺害方法もホウラと同様、多くはナイフで刺殺され、いくつか
の家族が皆殺しにされている。また、犠牲者の遺体の映像が即座にネットに流
され、政府軍の仕業であると事件直後から反政府勢力が主張し、それを米欧日
のマスコミが鵜呑みにして報じている。クベイルで殺されたのがアラウィ派な
のかスンニ派なのか現時点で不明だが、全体的な状況から見て、ホウラと同様
の手口で、反政府勢力が殺害して政府に濡れ衣をかけた疑いがある。
http://www.huffingtonpost.com/2012/06/06/hama-massacre-qubair-syria_n_1575600.html
Hama Massacre: Qubair, Syria, Site Of Fresh Violence, According To Unconfirmed Reports
6月12日には、米政府の国務省が、シリア沿岸部のラタキア州のハファ地
区(al-Haffa)や首都ダマスカスの近郊など、いくつもの地域で「ホウラ型の
虐殺」が行われそうだと発表した。以前に政府軍と反政府勢力の熾烈な戦闘が
行われ、いったん反政府勢力が撤退していたホムスの中心街でも、再び戦闘が
起きている。
http://www.presstv.ir/detail/2012/06/12/245732/us-predicts-another-massacre-in-syria/
US predicts another Houla-style massacre in Syria
国連の平和維持軍の司令官は6月12日、シリアの状況について、国連とし
て初めて「内戦」という言葉で表現した。反政府勢力は、早く国際軍がシリア
に軍事介入して政府軍と反政府勢力の勢力圏の間に緩衝地域を設けて兵力引き
離しをしないと虐殺が広がるばかりだと主張している。米国やEU諸国は、ア
サド大統領に退陣を求めている。
http://www.dailystar.com.lb/News/Middle-East/2012/Jun-12/176587-un-says-syria-now-in-civil-war.ashx
Syria now in full-scale civil war: UN
もし、度重なる虐殺を挙行しているのがシリア政府軍や政府系民兵であると
したら、国際軍の早期介入やアサドの退陣を求める米欧やシリア反政府勢力の
主張は妥当だ。だが逆に、虐殺を挙行しているのがシリア反政府勢力であると
したら、反政府勢力が自分で殺した村人たちの映像を撮ってネットで世界に流
して「政府軍の犯行だ」と騒ぎ、それに呼応して米欧政府がアサドに退陣を求
め、国際軍をシリアに侵攻してアサド政権の転覆を狙うという、巨大な国際犯
罪になる。
シリアの反政府勢力は、米欧やサウジに支援されている。米欧やサウジが、
アサド政権を転覆するため、反政府勢力を使って虐殺し、アサドに濡れ衣をか
けている構図になる。米国は、イラクに大量破壊兵器の濡れ衣をかけて侵攻し
た。その後はイランに核兵器開発の濡れ衣をかけて経済制裁している。そして
今、シリアに虐殺の濡れ衣をかけて政権転覆しようとしている。
▼ロシアが戦争をくい止めている
しかし、米欧やサウジが国際軍によるシリア介入を望んでも、それは簡単に
実現しない。国連軍を編成して介入するには、国連安保理の決議が必要だが、
安保理ではロシアと中国という2つの常任理事国が、シリアへの軍事介入に強
く反対している。拒否権を持つ露中が反対する限り、国連軍を出せない。ホウ
ラやその他の虐殺が、シリア政府軍でなく反政府勢力の仕業である疑いが残る
限り、露中は軍事介入に反対するだろう。
虐殺が反政府勢力の仕業であったとしても、虐殺が各地で頻発すると、シリ
アは内戦状態がひどくなり、誰が虐殺の犯人かを問わず、外部からの何らかの
軍事介入が必要だという話になる。昨年春、リビアが内戦状態になった時、米
英仏がリビア東部の反カダフィ勢力を支援して反乱させ、内戦を拡大したのだ
が、米英仏が「内戦だから国際的な軍事介入が必要だ」と、自作自演的に主張
したとき、露中は国連軍のリビア派兵に反対したものの、NATOがリビアに
侵攻することに反対しなかった。
その結果、NATOがリビアに侵攻してカダフィ政権を倒したが、その後の
リビアは分裂したまま、いずれ内戦が再発しそうな不安定な状態で、リビア介
入は国際的な失敗となった。ロシアや中国は、このリビアの教訓があるので、
シリアで事態が内戦に近づいても、あらゆる軍事介入に反対し続け、外交で事
態を打開することを主張している。
リビアの反カダフィ勢力は、スンニ派イスラム主義の過激派、いわゆるアル
カイダに主導されていた。彼らはカダフィを倒した後、シリアに来て反政府勢
力をテコ入れしている。米国は、仇敵であるはずのアルカイダを傭兵として使
い、リビアやシリアの政権転覆をやっている。アルカイダは、70年代のアフ
ガン時代からCIAの傭兵と言われてきた。
http://tanakanews.com/110402libya.htm
リビアで反米イスラム主義を支援する欧米
英国外務省は「シリアにはアルカイダがいるので(テロ戦争の一環として)
軍事介入が必要だ」と主張している。米欧が、アルカイダを含むシリア反政府
勢力を支援して虐殺をやらせ、シリアを内戦に陥らせていることを踏まえると、
この自作自演的な発言は、英国のこの200年あまりの世界戦略を象徴して
いると感じられる。
http://news.antiwar.com/2012/06/11/syria-deploys-helicopters-as-clashes-rage-north-of-homs/
US Fears 'Massacre' While Britain Talks Up War
これらの現状を見る限り、今の中東の国際政治においては、米欧よりも露中
の方がまともであり、正義である。「露中のせいでシリアの問題が解決しない」
と米政府は言うが、これは放火魔が「消防士がいるので家がよく燃えない」と
言っているのと同じだ。米欧は、マスコミを使って濡れ衣を「事実」として
人々に信じ込ませ、善悪を歪曲している。日本や米国では、米欧より露中の方
が正しいと言うと、それだけで袋叩きにされるが、袋叩きにする側は、プロパ
ガンダを軽信するうかつな人々である。
ロシアは、シリア問題に関連する諸国の代表を集めて和平会議を開くことを
提唱しており、来週メキシコで開かれるG20サミットで正式提案し、会議の
開催につなげようとしてきた。会議は、1995年にボスニア紛争を米露主導
で解決した「デイトン合意」と似た構図を持たせ、アサド政権を転覆したい米
欧やサウジ、トルコなどが反政府勢力を引っぱり出し、アサド政権を擁護する
露中やイランなどがアサド政権を引っぱり出して、両者が対等な立場で話し合
う構想だ。
http://www.ft.com/cms/s/0/bde43340-b24a-11e1-8a6e-00144feabdc0.html
Russia insists on Iranian role in Syria peace plan
ロシア主導の和平への動きが強まる中で、それを阻止するかのようにシリア
国内で虐殺が連続して起こり、和平会議に持ち込むのが難しい状況になった。
また米国は、イランが和平会議に参加することに強く反対している。露中の反
対を無視して、米欧軍(NATO)がシリアに軍事介入する可能性もある。
しかし、NATOがシリアに侵攻したら、リビアの時のように中途半端に撤
退するのでない限り、長期にわたる占領の泥沼に陥る。アフガニスタン占領に
失敗して窮地の中で撤退し始めたNATOは、占領の泥沼を繰り返したくない
はずだ。米国もオバマ政権が軍事費の削減に迫られ、今後は大規模な地上軍の
戦争をしないと宣言している。米欧はシリアに侵攻しないだろう。結局のとこ
ろ、シリア問題の解決は、ロシアが提唱するデイトン合意型の和平交渉に頼る
しかない。そこに至るまでに、あと何回シリアで虐殺が行われるのかという問
題になっている。
この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/120613syria.htm
●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)
◆「エアシーバトル」の対中包囲網
http://tanakanews.com/120611airsea.php
【2012年6月11日】エアシーバトルは、米軍が従来型の攻撃で中国に勝
てなくなった新状況を踏まえた、新たな戦争の概念だ。それは、沖縄の基地に
アジアの駐留米軍を結集してきた従来の展開を改め、テニアン島や東南アジア
に米軍の拠点を復活・新設して分散展開するとともに、従来より中国を遠巻き
にする中国包囲網に転換し、中国からのミサイルが届きにくい領域に米軍を置
く戦略だ。だが、経済面、財政面から見ると、この戦略は具現化できない。米
国が中国と戦争することはない。日本の権力層である官僚機構にとっても、エ
アシーバトルは対米従属を難しくする迷惑な話だ。
◆米中のアジア覇権シーソーゲーム
http://tanakanews.com/120606china.php
【2012年6月6日】米国は、東アジア(東南アジア)で南沙問題に介入し、
中国包囲網を構築している。だが西アジア(アフガン、パキスタン)では、中
国や上海機構によって影響力を駆逐されていく方向だ。中国は、東方で米国か
らの圧力を受けているが、西方では米国の覇権に風穴を開けている。米国と中
国は、アジアの覇権をめぐってシーソーゲームをしている。米国は、中国を覇
権争いのゲームに引っ張り込み、東で中国の覇権を圧しているつもりが、西で
中国に覇権を奪われつつある。
◆中国包囲網の虚実
http://tanakanews.com/120605china.php
【2012年6月5日】米国は、海洋法条約を批准しない一方で、海洋法条約
を前提とする紛争である南沙問題に介入し、中国沖の200海里内の海域に米
軍艦を航行させ、他国どうしの対立に介入する大国としての公正な態度を欠い
ている。ASEANの諸政府は、危うい姿勢の米国が、味方をしてやると言っ
て南沙問題に介入して中国との敵対を煽動するのを見て、ありがた迷惑と思っ
ている。米国や日韓、ASEANの動きを全体として見ると、中国包囲網を強
化する方向でない。むしろ中国が、世界の運営に参加する大国の一つになるこ
とを容認している。半面、パネッタ国防長官の言動など、中国敵視策を強化す
るためと報じられる米政府の動きは、芝居がかった動きに見える。
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