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【ダマスカス前田英司】シリアで活動中の国連停戦監視団に同行して6日まで2日間、首都ダマスカス近郊を回った。現地では、反体制派への武力弾圧を続けてきたアサド政権に対する怒りと、軍の銃口を前にした沈黙が錯綜(さくそう)する。「大統領を処刑しろ」と叫ぶ住民。「ここは安全だ」と言い切る兵士。監視団の派遣にもかかわらず、同胞間の対立で1万人ともいわれる国民が死亡した争乱は、終結するめどが立っていない。各地に配備中の戦闘車両が、いつ破れるとも知れぬ「停戦」のもろさを象徴していた。
◇「アサドこそ大統領」「大統領は殺人犯」
シリアの首都ダマスカスの北西約30キロの村マダヤ。6日、国連停戦監視団が訪れると、年配の男性が「アサドこそ大統領だ」と叫び、つえを振り回し始めた。反対派の若者が怒鳴り、つかみかかったため、監視団が割って入った。
この騒動で住民たちの鬱憤が爆発した。「大統領は殺人犯だ」「俺たちには『自由シリア軍』(反体制派の離反兵士団体)がついているぞ」。誰からともなく唱和が始まった。「お前は中国人か? (国連安全保障理事会で)拒否権ばかり使いやがって」と、記者に詰め寄る若者もいた。
群衆の中にいた女性に腕をつかまれ、一軒の民家に連れて行かれた。奥の部屋で男性(21)がベッドに横たわっていた。3カ月前に反政府デモで撃たれたといい、頭や背中、腹など14カ所に弾痕や傷があった。「狙撃手にやられた」。時折、痛みで顔をゆがめた。
「砲撃で大勢が犠牲になった」「高校生が殺された。携帯電話に証拠の写真がある」。訴えは止まらない。男性住民は「大統領より(シリアの宿敵)イスラエルの方が慈悲深いはずだ」と皮肉った。
対照的だったのは、ダマスカスの北東約10キロのドゥーマだ。通りの壁一面に書かれた反体制メッセージは塗りつぶされ、土のうを積み上げた政府軍の陣地だらけ。カバーで覆い隠した戦車もとめてある。兵士の一人は「ここは安全だ。何も問題はない」と豪語した。
ドゥーマは反体制勢力が強く、激しい衝突が続いていたが、政府軍がほぼ掌握したようだ。人口約50万人と思えないほど閑散とし、住民の口は重い。兵士の方が多弁だ。
山間の道沿いには、複数の戦闘車両が畑の脇などを掘り下げて待機する。多くは砲身をふさぎ臨戦態勢ではないが、軍部隊の撤退を要求したアナン国連・アラブ連盟合同特使(前国連事務総長)の調停に反するのは明白だ。「これは兵士を運ぶ輸送手段だ」。戦車を前に兵士が釈明した。
http://mainichi.jp/select/news/20120508k0000e030162000c.html
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