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大統領 戦争犯罪容疑者の将軍を逮捕の意向 表明
2012年04月13日
(ゴマ)−コンゴ民主共和国のジョゼフ・カビラ大統領は、ボスコ・ンタガンダ将軍の逮捕を直ちに命令し、公正な裁判を受けさせるため速やかにオランダ・ハーグに移送するべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。ンタガンダは国際刑事裁判所(以下ICC、オランダ・ハーグ)から戦争犯罪容疑で指名手配されている。本日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ンタガンダにかけられている犯罪容疑に関する目撃者証言を収録したビデオも公表した。
2012年4月11日にコンゴ東部で出された声明でカビラ大統領は、ンタガンダの逮捕を検討していると表明。ンタガンダ将軍に従う国軍兵士が反乱を企てて、南部及び北部キブ州がまた不安定になったのを受け、カビラ大統領が同地方を突然訪問した。この声明は、ンタガンダ将軍に対するコンゴ政府の政策が大きく変更されたことを意味している。これまでは、ンタガンダ将軍はコンゴの和平構築過程にとって必要である、と宣伝されてきたからだ。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ上級アフリカ調査員のアニカ・ヴァン・ウッデンバーグは「カビラ大統領は、ンタガンダの逮捕を、政府の重要政策のひとつにした。これは、コンゴにおける正義の実現にとって大きな前進だ」と語る。「大統領の言葉を迅速に行動に移すべきだ。ンタガンダを法律に則って逮捕し、すぐにICCへ速やかに移送をすべきだ。民間人へのこれ以上の危害を防ぐことにもなる。」
2002年から03年の間にイツリ地区北東部で行われた激しい戦闘において、少年兵を動員し使用した戦争犯罪の容疑で、2006年、ICCはンタガンダに対する極秘の逮捕状を発行した。当時、ンタガンダは、コンゴの民兵組織であるコンゴ愛国者同盟(以下UPC)の軍事作戦責任者だった。その逮捕状は2008年4月に公開された。
ICCの逮捕状発付にも拘らず、ンタガンダはコンゴ国軍編入を認められ、2009年には将軍に昇格した。彼はコンゴ東部で、コンゴ政府当局者、国連平和維持軍、各国外交官の目の前を自由に動き回っていた。コンゴ政府は、ンタガンダは和平に向けた重要なパートナーであり、彼の逮捕は和平プロセスを損なうと主張していた。コンゴのNGOはンタガンダの昇格を繰り返し非難するとともに、彼の逮捕を要求してきた。
過去10年にわたり、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、民族差別に基づく虐殺、大量殺人、レイプ、拷問、少年兵徴兵などを含む、恐ろしい人権侵害をンタガンダが継続的に行っている実態を、幾度も調査して記録してきた。人権侵害を行ったンタガンダのような指揮官を評価するコンゴ政府の政策は、ンタガンダらが行った残虐行為の被害者を非情にも無視する姿勢を示している。
前出のヴァン・ウッデンバーグは「ンタガンダは無慈悲な人権侵害を行う一方で、不処罰をまるで勲章のようにひけらかして、ゴマ市内のレストランやテニスコートを、堂々と歩きまわっている」と語る。「国連などの諸機関は、法に則った彼の逮捕を確保するため、そして、彼の行った犯罪の多くの被害者に幾らかの安堵をもたらすため、支援を提供しなければならない。」
3月、ICCは同裁判所にとっての初の判決で、ンタガンダの共犯者であるトーマス・ルバンガに対し、少年兵を徴集して使用したという戦争犯罪容疑で有罪判決を言い渡した。その判決の後、ICCの検察官は、イツリ州でのンタガンダの罪状に、レイプや殺人罪などを追加する意向であると表明した。
ICCのルバンガに対する有罪判決は、ンタガンダが未だに不処罰状態にあることを改めて明らかにし、彼の逮捕を求める声を高める結果となった。逮捕を恐れたンタガンダは、自らの部隊に対しコンゴ軍の指揮下から離れるよう求めた。しかし僅か数百人しか彼を支持する兵士はおらず、しかもその多くがその後、国軍の指揮下に戻るか或いは逮捕されたため、ンタガンダの試みはほぼ不発に終わった。
ゴマでの演説で、カビラ大統領は、部隊の離脱と軍内部の規律無視を激しく非難するとともに、「この事件の結果、ボスコ・ンタガンダをはじめとする将官たちを逮捕する理由ができた」と表明した。
カビラ大統領は、ンタガンダを逮捕した後、ICCに引き渡すのではなく、コンゴ国内で裁判にかける可能性も示唆した。
カビラ大統領は、「我々はボスコを逮捕してICCに移送する必要はない」とし、「我々自身で彼を逮捕出来るし、我々にはそうする100以上の理由があるし、ここでボスコを裁判にかける。もしそれがここで不可能ならば、キンシャサ(首都)或いはどこかほかの場所でも出来る。我々に不足しているのは理由ではない」と述べた。
しかしながらコンゴ政府は、2004年に事態をICCに付託している。ICC規程の締約国として、コンゴはICCの逮捕状をンタガンダに執行することを含め、同裁判所に協力すると共に、その手続きに従う法的義務を負っている。
コンゴ政府がンタガンダをコンゴ国内で裁判にかけることを望むならば、ICCの裁判官に対して、ンタガンダの事案の許容性に関する法的な異議申し立て書を提出すると共に、コンゴ国内の司法制度が、ICCが起訴の根拠としているものと同様の犯罪容疑に対して、公正で信頼性の高い手続きに従い、ンタガンダを起訴する真の意思と能力を兼ね備えていることを明らかにする必要がある。コンゴ国内での裁判がICCの手続きに優越するかどうかの最終決定は、ICCの裁判官の判断に依拠することとなる。
コンゴの司法制度は、大規模な暴力の加害者の責任を問うには脆弱であることをこれまで何度も露呈させてきた。コンゴ国内で近年起きた武装紛争で重大な犯罪が数多く犯されてきたにも拘らず、戦争犯罪或いは人道に対する罪の容疑で責任を追及された幹部レベルの将官や武装勢力の指導者は殆どいない。軍事裁判所は物的人的資源に不足しており、しばしば政治的干渉にさらされ、更に多くの手続きは公正な裁判の国際基準を尊重していない。加えて、有罪判決を受けた者の多くが、刑務所から脱走している。
前出のヴァン・ウッデンバーグは「ンタガンダは様々な責任を問われるべき人物ではある。しかし、今はコンゴのICCに対する法的義務を後退させる時ではない」と語る。「大規模な法制度改革とリソースなしには、コンゴの司法制度ではンタガンダにかけられた国際犯罪容疑を公正に裁くことは出来ないだろう。被害者が公正な正義を法廷で勝ち取ることができるようにするためにも、逮捕後、彼は遅滞なくICCに引き渡されるべきである。」
http://www.hrw.org/ja/news/2012/04/13
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