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株式日記と経済展望
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「自滅するアメリカ帝国」 アメリカが撤退していくのは東アジアであろう。
イスラエル・ロビーの影響力が強いアメリカは、中東地域から撤退できない。
2012年3月22日 木曜日
国際金融資本(ユダヤ)であるといえどもマスコミを使ったとしても、
圧倒的多数の人々を欺くことは不可能である。(レビューより)
◆終章 依存主義から脱却せよ
◆軍事力とは何か
筆者は本書で、冷戦後のアメリカのグランド・ストラテジー国際構造の一極化とアメリカによる世界覇権の掌握が明らかに失敗してきたことを解説した。ケナン、ウォルツ、ハンティントン、ミアシャイマー等が指摘したように、アメリカの一極覇権戦略は、軍事的にも財政的にも愚かなグランド・ストラテジーであった。一九九〇年代前半期にはこの一極戦略を支持していたブレジンスキーやスコウクロフトも、二十一世紀になると、一極覇権戦略が失敗であったことを公の席で認めるようになった。
最近、ブレジンスキーは、「軍事力だけ強くても、アメリカは国際的な指導力を発揮できない」と発言している。彼は、「クリントン政権の末期には、アメリカの同盟国も米外交を嫌うようになっていた。ブッシュ(息子)政権時の米軍事力は、ブッシュ(父)政権時よりも強かった。しかしアメリカが国際政治を指導する能力は、ブッシュ(父)政権の方がはるかに優れていた。軍事力の強さと国際政治に対する影響力は、正比例しないのだ」と説明している。
CIAの元上級分析官であり、その情勢分析能力を高く評価されているトーマス・フィンガー(現在はスタンフォード大学教授)も、二〇〇八年九月のスピーチで次のように述べている。「アメリカの軍事力は、世界で最も優越している。しかしアメリカは核兵器を持つ他の諸大国と戦争するわけにはいかないから、軍事力の優越というのはあまり役に立つ能力ではない。アメリカは今後も世界の一流国であり続ける。しかしアメリカが、他の諸大国を威圧したり威嚇したりすることはできない。アメリカの国際政治の指導力は今後、急速に低下していくだろう、アメリカは、自国に都合の良いように国際構造を作りかえる能力を失ってしまった。今後、国際構造の多極化はますます進んでいくだろう
著名な核戦略理論家であり、『ゲーム理論』によってノーベル経済学賞を受賞したトーマス・シェリングも、軍事力に過剰依存してきたアメリカ外交を戒めている。彼は、「軍事力はディテランス(抑止力)としては有用であるが、コンペレンス(強制力)としては、あまり役に立つ道具ではない」と指摘している。祖国を防衛するための軍事力は高い効力を持つが、他国を威嚇し、自国の国家意志を他国に強制的に押し付けようとする軍事カには、低い効力しかないのである。
(アメリカの一極覇権主義者共和党のブッシュ〔息子〕、ラムズフェルド、アーミティッジ、マッケイン、民主党のオルブライト、ゴア、ケリー、リーバーマン等、は、この基礎的な「ディテランスとコンペレンスの違い」さえ理解していなかった!)
ブランダイス大学の軍事学者、ロバート・アートは、現代の国際政治における軍事力の性格について、五つの特徴を挙げている。
@祖国を防衛するための軍事力は、他国を征服するための軍事力よりも強い効果を発揮する。
A強力な軍事力によって他国を征服し、占領しても、その国を統治できるとは限らない。
B他国を軍事的に征服しても、征服された国民にその征服行為のレジティマシー(正統性、正当性)を認めさせることはできない。
Cコンペレンスは難しい。軍事力はディテランスのため使う方が良い。
D他国民のナショナリズムを敵にまわして闘う戦争は、非常に困難な戦争となる。どれほど軍事力が強くても、他国民のナショナリズムを燃え上がらせるような戦争は避けたほうが良い。
これら五つの特徴は、非常に重要なものである。冷戦終了後、「アメリカの圧倒的な軍事力」を利用することによって世界を一極構造に造り変えようとしたアメリカのグランド・ストラテジーは、これら五つの特徴をきちんと考慮せずに構想された国家戦略であった。(戦前の日本の中国占領も、同様の欠点を持っていた。)
クラウゼヴィッツが指摘したように、「軍事政策というのは、政治的な統治行為の下部に属する機能」にすぎない。毎年、中国政府から巨額の借金を繰り返して自国の財政を運営し、国内の政治的な理由により徴兵制すら採用できないアメリカが、「世界中の国を支配したい」という”一極覇権の夢”を追い続けたのは、軽率かつ高慢な振る舞いであった。
◆「中朝露」 戦略の失敗
最近のアメリカの覇権戦略の失敗を見事に利用してきたのが、大軍拡を続ける中国・核弾頭とミサイルの増産を続ける北朝鮮、勢力圏の再構築と北方領土の軍事基地化を進めるロシアである。中朝露三国は、米政府がイスラム教諸国における泥沼化した戦争で身動きがとれなくなり、東アジア地域における軍事介入能力を失ったことを鋭く読み取って自国の地政学的条件を強化する政策を実行してきた。
米政府のアジア政策担当官は日本に対して、「アメリカが中国の勢力圏拡張政策をヘッジ(牽制.相殺)しているから大丈夫だ。日本人は、自主防衡能力を持っべきではない」と述べてきた。しかし実際には、アメリカは中国をヘツジする能カを失いつつある。過去二十年間・中国の大軍拡と勢力圏の拡張政策は着々と進んできた。最近ではペンタゴンの高官も「二〇二〇年代になると、アメリカは台湾を防衛する能力を失うだろう」と認めるようになった。ランド研究所も、そのことを認める軍事報告書を出している。
二〇一一年秋、オバマ政権は軍拡を続ける中国に対抗するため、「アメリカの軍事力をアジア・太平洋地域ヘシフトする」と決定した。しかしアメリカは今後、軍事予算を減らしていかさるをえない財政状況にある。オバマ政権の軍事政策アドバイザーを務めた民主党のマイケル・オハンロン(ブルッキングス研究所)は、「米連邦議会が決めた軍事予算案では、オバマ政権の(中国の脅威から)アジア諸国を守るという約束を遂行することはできない」と明言している。ギルピン(プリンストン大学)が述べたように、「巨額の経常赤字と財政赤字を抱える国が、長期間にわたって海外における覇権を維持することは不可能」なのである。
日本がアメリカの保護領としての環境に安住し、安易な対米依存体制を続けていればすむ時代は終わったのである。そのような時代は、二度と戻ってこないだろう。中国の大軍拡、北朝鮮の核兵器増産、ロシアの再軍国化、米経済力の衰退、今後三十年以上続く米財政構造の悪化、等々の問題は、「日米関係を深化させよ」とか「集団的自衛権を認めよ」などといった単純な政策では、対応できない課題である。日本政府の対米依存主義は、思考力の浅い、間違った国家戦略である。
キッシンジャー、ウォルツ、ミアシャイマー、レイン等が明瞭に指摘してきたように、二十一世紀の日本には、(自主的な核抑止力を含む)自主防衛能力の構築と同盟関係の多角化が必要である。日本が独立国としてのグランド・ストラテジーを構想し、実行する知性と勇気を持たもてあそないのならば、日本は今後も、核武装した米中朝露四国に弄ばれ続けるだけである。すでに解説したように二〇二〇年代になると、財政危機と通貨危機を惹き起こした米政府は、「米軍が、中東と東アジアを同時に支配し続ける」という国家戦略をギブ・アッブせざるをえなくなる。
その場合、アメリカが撤退していくのは東アジアであろう。中東は石油・天然ガス資源の宝庫であり、しかも国内の政治、金融、マスコミにおけるイスラェル・ロビーの影響力が異常に強いアメリカは、中東地域から撤退できない。
日本が自主的な核抑止力を構築するために必要な防衛予算は、毎年のGDPの0,1〜0,12%程度にすぎない。対米従属体制の継続を主張する親米保守派の言い訳-「日本には・自主防衛する経済力がない」-は、虚偽である。一九五○〜六〇年代のインドと中国は三千万人以上の餓死者を出した極貧国であつた。しかし当時のインドと中国の指導者は「多数の国民が餓死しているから、我が国には自主防衛する経済力がない」という言い訳を使っただろうか。フランスの人口と経済規模は、日本の半分にすぎない。しかし過去半世紀間のフランスの指導者たち-ドゴール、ポンピドー、ミツテラン、シラクーは「フランスには自主防衛する経済力がない。我々はアメリカに守つてもらえば良い」と言って自主防衛の義務から逃げただろうか。
東アジア地域の地政学的な環境は、今後三十年間、着々と日本にとって危険な方向へ推移していく。自国にとつてのバランス・オブ・パワー条件がこれ以上、不利で危険なものになることを阻止するグランド.ストラテジーを構想し、実行することは、日本人の道徳的.軍事的な義務である。日本人がこの義務から眼を逸らし続けて、国内の原発問題や年金問題や老人介護問題ぱかり議論しているならば、二〇二〇年代の日本列島は中国の勢力圏に併合されていくだろう。
「日米同盟を深化させよ」とか「集団的自衛権を認めよ」などという単純な依存主義の外交スローガンを振り回すだけでは、日本のグランド・ストラテジーとならない。ハンティントン、ウォルツ、キッシンジャー等が指摘したように、「冷戦後の日本には、自主防衛能力と独立した国家戦略が必要」なのである。(P234〜P240)
(私のコメント)
最近アメリカ政府高官が言っている「アジア重視」は、アジア諸国の動揺を抑える為の「リップサービス」に過ぎず、沖縄の海兵隊をグアムや本土やオーストラリアに後退させ始めている。日本政府もそれに慌てて引き止めにかかっているのが現実なのですが、テレビや新聞などではそのようには報道されない。
日本政府もアメリカ政府も国民を騙しながら外交をしているのであり、日米間の「密約」の乱発は外交を分かりにくくさせている。アメリカ政府は一極覇権主義を正式には表明していない。アメリカにはそんな兵力もないし経済力も無い。一極覇権主義をしようと思えば徴兵制を復活させなければ不可能だ。しかし現在のアメリカに徴兵制を復活させることが出来るはずがない。
しかしブッシューオバマと一極覇権外交を続けていますが、ブレジンスキーは中国の力を借りてG2で覇権外交を続けようとした。しかしそんな事をすれば中国以外の国を敵に回すことになり、日本では自民党長期政権が崩壊して民主党政権ができた。鳩山首相はアメリカ抜きの東アジア共同体を提唱してアメリカを慌てさせた。そして日米中の等距離外交を目指す方向を打ち出した。
アメリカと中国によるG2覇権戦略はブレジンスキーが打ち出した戦略ですが、中国は結局はそれに乗らなかった。しかし経済的には米中同盟は成立しておりその戦略目標は日本の弱体化だ。90年代からのその戦略は見事に成功して日本は停滞して中国は高度成長してGDPで中国は日本を追い越した。アメリカにとって日本は同盟国というよりも従属国であり「思いやり予算」という税金を取り立て米国債を買わせられている。
「株式日記」では、ブログでこの事を訴えてきたのですが、まさに私は日本におけるケナン、ウォルツ、ハンティントン、ミアシャイマーと同じ見解であり、アメリカの一極覇権外交は国力の限界を超えており、第二第三のリーマンショックが起きて、1991年に起きたソ連崩壊のようにアメリカは分解するかもしれない。日本がアメリカとの距離を置き始めたことがアメリカを疑心暗鬼にさせている。
もはや日本にとってアメリカよりも中国が一番の市場であり、以前の日米関係とは違ってきている。ならば日本にアメリカと距離を置き中国に近づく政権ができるのは当然のことですが、アメリカ政府高官は怒り狂ったかのように鳩山首相を「ルーピー」呼ばわりした。アメリカ政府自身がRMAで海外の軍事基地の縮小に取り掛かっているのに、日本の外務省や防衛省がそれを引き止めようとしている。
沖縄の人たちはこの事を知らない。仲井眞沖縄県知事あたりはこのことを知っているから米国政府と直接交渉しようとしていますが、アメリカ政府部内も中国周辺部では武力衝突が起きても勝てないことはペンタゴンの高官も認めるようになった。中国の中距離ミサイルの増強もありますが、通常型の潜水艦も性能が向上して米原子力空母の射程内に突如浮上する事があった。
伊藤貫氏の本の最後でも『オバマ政権の軍事政策アドバイザーを務めた民主党のマイケル・オハンロン(ブルッキングス研究所)は、「米連邦議会が決めた軍事予算案では、オバマ政権の(中国の脅威から)アジア諸国を守るという約束を遂行することはできない」と明言している。』と言うように、オバマ大統領やクリントン国務長官のアジア重視発言はリップサービスなのだ。
おそらく2020年頃には韓国や台湾は中国の勢力圏に入ってしまうだろう。アメリカ政府のアジア重視発言は中国への牽制に過ぎない。名前だけの米軍司令部を日本に置いたところで実戦部隊は本土なのだから気休めに過ぎない。ならば米軍にはお引取願って日本は自主防衛体制を固めるしかない。日本に米軍が居座っている限り憲法改正も出来ないし、在日米軍は日本の自主独立を妨げる為にいるのだ。キッシンジャーが周恩来にそのように言っている事が記録にある。
TPPはまさにそのような日米関係を固定化させるものであり、アメリカはアジア諸国にたかるシロアリであり、アジア諸国は米国債をせっせと買っている。いわばヤクザのみかじめ料のようなものですが、落ち目のヤクザアメリカと新興勢力の中国マフィアの勢力争いが勃発している。アメリカは中東で泥沼に嵌ってしまっていますが、抜け出せないのは伊藤氏が言うように「国内の政治、金融、マスコミにおけるイスラェル・ロビーの影響力が異常に強いアメリカは、中東地域から撤退できない。」
現にイランとイスラエルとの戦争は一触即発状態ですが、アメリカ軍が中東から撤退すればイスラエルは存亡の危機を迎える。在米のユダヤ人もリーマンショックやバーナード・マドフ事件で経済力を失ってきており、D・ロックフェラーにすら破綻説が飛び交っている。ウォール街も以前のような影響力が落ちている。
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