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2013/04/09 東京新聞 こちら特報部 :大友涼介です。
朝鮮半島の軍事的緊張の度合いが高まっている。北朝鮮のミサイル発射に備え、小野寺五典防衛相は、自衛隊に「破壊措置命令」を出した。それにしても、この時期に北朝鮮の挑発がエスカレートしているのは、なぜなのか。ミサイルは本当に発射されるのか。北朝鮮の本当の狙いはどこにあるのか。 (荒井六貴、小倉貞俊)
◇国内疲弊し激化
「日本当局は、在日米軍なども、我がミサイルの射程内にあることを知るべきだ」
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版)は八日、日本政府の制裁延長決定に対し、あらためて威嚇した。
北朝鮮の挑発的な言動や行動が強まってきたのは、三月上旬からだ。米韓両軍の合同軍事訓練に反発し、三月五日、朝鮮戦争の休戦協定を白紙とすることを表明。七日には、米国への核の先制攻撃にも言及した。
三十一日には、在日米軍基地のある青森県三沢、神奈川県横須賀、沖縄などの地名を具体的に挙げ、「我々の射撃圏にある」と牽制した。韓国との軍事境界線上にある板門店の南北直通電話を遮断したり、南北経済協力の象徴だった「開城工業団地」への韓国関係者の入境を禁止したりもしている。
北朝鮮の挑発がエスカレートしている理由は、何なのか。
ジャーナリストの石丸次郎氏は「実は、国内問題の要因が大きい」と指摘する。「経済情勢が悪化し、金生恩第一書記の評価が下がってきている。米国などに対し一歩も引かない姿勢を見せ、国民を戦争に駆り立てることで、不満を逸らす目的がある」と強調する。
金生恩が、第一書記や国防第一委員長に就任して間もなく一年。「若い指導者に改革の期待はあったが、民衆の暮らしは後回しにされた。経済破綻で配給制がほぼ崩壊した。シリアなどの中東情勢を見て、不穏な動きが出ないよう、庶民の移動も制限し、締め付けを強化した」
◇経済軽視「出口戦略なき軍部」
北朝鮮問題に詳しい李英和・関西大教授も、国内の不満の捌け口を国外に求めたという見方だ。「経済改革ができなかったことが大きな原因だ。中国のような改革開放政策をとれなかった」とみる。「軍部が出口戦略を持たないまま引っ張っているから、エスカレートしている。金生恩氏は、軍部にばかり顔を向けている」と指摘する。
山梨学院大の宮塚利雄教授(朝鮮近現代経済史)も「一〜四月は『麦峠(ポリコゲ)』と呼ばれ、春麦の収穫が始まる五月までは、一年で食料が最も不足するシーズン。飢饉に苦しむ国民の不満を『米帝国主義』に向けさせ狙いもあるだろう」と話す。
北朝鮮は、昨年四月と十二月の二度、事実上の弾道ミサイルの発射実験を強行。今年二月には核実験も実施している。
◇飢饉の不満を米国に 瀬戸際政策変わらず
北朝鮮は「四月十日以降は、外交官の安全を保証することができない」と英国などに伝えた。今月五日には、新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」が、列車で日本海側に運搬されたとみられている。韓国の政府高官は、北朝鮮が十日前後にミサイル発射などの軍事挑発を行う可能性があるとの見方を示している。
ミサイルは本当に発射されるのか。
石丸氏は「ミサイル発射の可能性は高い。その後、米韓合同軍事訓練が終わり、米軍が引くことで、北朝鮮側が圧力に耐えたといえるから、矛を収めるのではないか」と推測する。
宮塚氏は、北朝鮮にとって重要な記念日が控えていることを挙げる。故金正日総書記の国防委員長就任から二十年(九日)、金生恩氏の第一書記就任から一年(十一日)、故金日成主席の生誕記念日「太陽節」(十五日)、朝鮮人民軍の創建記念日(二十五日)などだ。宮塚氏は「ミサイル発射で、国威を発揚させる強いアピールとしたいのでは」とする。
北朝鮮が挑発を強めるのは、米国を交渉の場に引きずり出したいということが狙いとみられている。だが、米国側にその様子はない。
慶応大の磯崎敦仁専任講師(北朝鮮政治)は「瀬戸際政策であるとともに国内の引き締めを図る点で、本質的には変わらない。昨年のミサイル発射、今年二月の三度目の核実験でも、期待する効果を得られなかったので、より強硬な措置をちらつかせているということだ」と指摘する。
米軍は、イージス艦を西太平洋に展開するなど、対応を急いでいる。韓国軍も日本海や黄海に配備するなどしている。
◇可能性低い大規模衝突
ただ、大規模な軍事的衝突まで発展するという見方は少ない。
石丸氏によると、北朝鮮政府は最近、国民に「戦争はない」と説明し始めたという。「社会的不安が広がるのを恐れた。加えて、これから農作業が本格化するが、緊張を続ければ作業が滞り、食糧問題が深刻化してしまう」と解説する。
◇金生恩氏の電撃訪中も
李氏は、「ジャガイモやトウモロコシの収穫が七月末まで続き、そこまでは、国民に『欲しがりません、勝つまでは』の意識を持たせるだろう。体制延命が目標だから、米国との戦争はない。戦争があれば、体制は一瞬で倒れる」と話す。「行き詰れば、金生恩氏の電撃訪中による事態打開があるかもしれない」
北朝鮮と米国の綱引きの行方はどうなるのか。
「コリア・レポート」編集長の辺真一氏は「米国は北朝鮮の瀬戸際外交のたびに譲歩させられる悪循環を断ちたい。北朝鮮、米国とも『先に降りた方が負け』という、引くに引けないチキンレースの様相を呈している」と話す。「北朝鮮は、引き下がれば『圧力に屈した』となり、二度と瀬戸際外交ができなくなる。ミサイルの発射まではあるのではないか」としつつ、「もし武力衝突が起きれば全面戦争になりかねない。米国が総力戦を仕掛けてくれば北朝鮮に勝ち目がないことはわかっているはずで、その点は慎重に対処するのではないか」と話した。
磯崎氏は「北朝鮮は、米韓から攻撃を受けることのないギリギリの線まで強硬策を続けるだろう。その上で、事態の収拾が図られていくのではないか」とした上で、二〇一〇年十一月に北朝鮮が延坪島を砲撃したことから始まった軍事衝突に触れ、こう訴える。
「各国とも最悪の事態は避けるべきだとわかっているが、予想外の事態が起きてしまうことはあり得る。最大限の警戒は怠ってはいけない」
※デスクメモ この瀬戸際外交にどこまで付き合わなければならないのか。米国にも、見通しがないようにも見える。大国と大国の思惑の狭間で、列島の上を不信が飛び交う。北の本当の狙いを分析し、冷静に対応したい。我が国がどこまで平和に貢献できるのか。本当の外交力が、今、問われている。(国デスク)
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