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By Jack Shafer
国際社会の中に、北朝鮮より扱いづらい国はあるだろうか。条約、協定、合意、盟約、約束──北朝鮮が署名したものは、どれをとっても実を結んでいないものばかりだ。北朝鮮が署名したところで、いつかは再び交渉の場に戻らなければならなくなる。
例えるなら、北朝鮮は大量の出前を電話で注文する客のようなものだ。出前の配達員が板門店に到達したころに再び電話をかけ、やっぱり料理の量を減らして欲しいと言う。支払いはツケにしてくれと要求したかと思えば、今度は土壇場で元の注文をキャンセルする。そして請求書を受け取るとすぐに燃やしてしまう。北朝鮮はそんな国だ。
北朝鮮が考え方を変えることはめったにない。言い換えれば、戦争と平和、資本主義と共産主義、外交と武力衝突といった両極の概念を同時に掲げられるとき、考え方を変える必要はそもそもないのだ。1948年の建国以来、北朝鮮はこうした両極の間を目まぐるしく揺れ動いてきたため、この国が歩んできた道は常にらせん状になっている。つまり、北朝鮮は何度も同じことを繰り返していると言える。
金正日総書記が死去し、新たな指導者に息子の金正恩第1書記を選んだ北朝鮮はこれまで、核に関する条約に加盟しては脱退し、核開発プログラムを凍結しては原子炉を再稼動するといった一貫性のない行動を取ってきた。韓国との平和的な南北統一を語ったかと思えば、大韓航空機の爆破や延坪島への砲撃事件もあった。
北朝鮮が自らの過ちを詫びることはめったになく、大抵は謝罪を求める側にまわる。米韓合同軍事演習の際は、米国の新たな脅威が戦争へと駆り立てると非難を繰り返す。1983年、88年、93年、2003年、そして先週もそうだった。今回の合同軍事演習に対しては、米国と韓国が核戦争を挑発する動きを見せているとし、国連の安全保障理事会には「朝鮮半島は一触即発の核戦争状態にある」と通達したという。
こうして二転三転する北朝鮮を取材するのはやや骨の折れる作業だ。だが担当記者たちは、北朝鮮の目的が自国動向に注目させることだと知っている。北朝鮮が何十年にもわたって韓国への武力制圧という野望を抱いていることも、西側から食料や資金の援助を引き出すため、そしてテロ支援国家のレッテルを引きはがすためなら何だってやるということもお見通しだ。
しかし、多くの記者にとって、こうした北朝鮮の真の目的だけを記事化し、絶え間なく伝わってくる日々の言動や行動を記事化しないのは難しい。スポーツ、政治、金融、司法の担当記者と同様、北朝鮮担当の記者も、「なぜ起きたか」よりも「何が起きたのか」をまず書かねばならないからだ。
記者たちがいかに定型表現に頼っているかを良く知る人物は、昨年7月に亡くなった米政治ジャーナリスト、アレクサンダー・コーバーン氏を置いて他にはいないだろう。同氏は1976年、雑誌に寄せたエッセーの中で外国人記者がよく使う言葉を挙げている。「急成長する経済の中心地」「時限爆弾を抱える」「ヒトラーの悪夢」「民主主義の伝統」「戦略上の生命線」などだ。
北朝鮮に関するニュースを調べてみたところ、コーバーン氏も触れていない定型文句があふれていることが分かった。「挑発的」「(協議の)行き詰まり」「瀬戸際政策」「緊張高まる」「国際社会への復帰」「西側との関係強化」「侮辱」「孤立」「脅威」「前向きなメッセージ」「衝突のエスカレート」などの言葉は頻繁に目にする。
同じ言い回しばかりに頼るのは、記者や編集者の想像力が欠如している証だ。古くなったワインを提供する場合でも、せめて新しいボトルに詰め替えてから注ぐべきではないだろうか。
北朝鮮関連のニュースに同じ表現が繰り返し使われるのは、もちろん北朝鮮が同じことを繰り返し主張しているからだ。われわれは北朝鮮に正直な胸のうちを語ってもらうよう頼むことはできない。それでも記者たちには、陳腐な表現を控えるよう注文をつける権利はある。
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE93405P20130405?sp=true
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