03. 2013年4月02日 02:27:39
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2013年 4月 01日 13:20 JST イランをしのぐ北朝鮮の核兵器の脅威By JAY SOLOMON 【ワシントン】オバマ政権が直面するアジアと中東の2つの核の危機は、米国の戦略家に厳しい現実をつきつけている。北朝鮮の兵器開発能力がイランのそれをはるかに上回っているという現実だ。 北朝鮮は、数十年間にわたってひそかに行ってきた核開発の結果、米国の同盟国である韓国と日本を攻撃できる中距離ミサイルに核弾頭を搭載できる技術の会得に近づいている、と米国や国際的な核の専門家らはみている。核弾頭は十数個保有していると推定されている。 Associated Press 北朝鮮北西部の寧辺(ニョンビョン)にある核施設(2012年4月)
一方、米国と国連の専門家によると、イランは軍の兵器庫に原子爆弾を持っていないばかりか、それを飛ばす技術もないという。イランは自国の核開発プログラムは厳格に民生目的に限定されていると主張するが、オバマ政権はイランが核兵器開発を試みていると非難する。 米国と国連の専門家らによると、北朝鮮は核兵器に利用可能なプルトニウムと濃縮ウランを造る2つのそれぞれ独立したプログラムによって、さらに十数個の核爆弾を製造する能力があるという。 イランはこれまでのところ、濃縮ウランを得る技術を開発したにすぎない。しかし、国連は、イランがアラクに建設中の原子炉から出る使用済み燃料からプルトニウムを取り出し始めることもあり得ると懸念する。 北朝鮮とイランのこの違いはワシントンでは広く認識されているものだが、北朝鮮のここ数年の核開発の進展に対する米国の反応が、イランに比べると消極的な対応だったことを如実に表している、と多くの西側諸国の外交官らや安全保障のアナリストらはみている。 オバマ政権は北朝鮮と外交的に関与することに二の足を踏んできた。政府当局者によると、北朝鮮はこれまでの軍備縮小へ向けた合意事項をほごにしてきたほか、北朝鮮の同盟国である中国との直接対立は避けたいという米国の思惑がその理由だという。米議会もイランに対しては、より積極的な措置を講じてきた。イスラエルが抱く懸念への配慮もその一因だった。 関連インタラクティブ インタラクティブ を見る しかし、この米国の姿勢が、米国は核兵器を実際に保有する国よりも、開発中の国に対してより強硬な措置を取るという信号をイランへ送る危険をおかすことになった、とこうした当局者らは指摘する。 「イランに対する圧力の3分の1を北朝鮮に向けていれば、戦略的に結果が大きく違っていただろう」とブッシュ政権時代に北朝鮮の金融や核拡散ネットワークに対抗する取り組みを率いてきたデービッド・アッシャー氏は話す。 しかし、昨年12月の北朝鮮による核実験と長距離ミサイルの発射実験を受けて米国は方針を転換し、独自にも、そして、国連を通じてでも北朝鮮に対して新たな経済制裁を科してきた。 さらに最近、米国防総省は米国や韓国、ほかのアジアの同盟国を攻撃するとの挑発を北朝鮮に思いとどまらせるため、高性能の爆撃機やステルス戦闘機を朝鮮半島に新たに配備した。 米防衛当局者は、これらの動きは韓国には核兵器の配備はないものの、米国はアジアに核兵器を送りこむ能力を維持していることを北朝鮮の金正恩第1書記に示すものだと話した。 「安定のために、われわれの能力と抑止力拡大に向けた明確なコミットメントについて、はっきりとしたメッセージを送ることは極めて重要だ」と防衛当局者は述べた。
2013年 3月 31日 10:51 JST 日本で高まる軍事力強化論―北朝鮮情勢受け
By ALEXANDER MARTIN 【東京】北朝鮮の好戦的な言動を受けて、安倍晋三首相は日本の軍事力強化の必要性をあらためて訴えている。 地域の緊張が高まるなかで安倍首相が軍事力強化を主張するのは、米国が日本に対して地域の安全保障でさらに強力な役割を果たすよう求めているという事情も踏まえてのことだ。米国は影響力を増す中国に対抗するべく同盟国との連携を強化したい意向だ。 関連記事 米軍、韓国との演習にF22ステルス戦闘機も投入 北朝鮮の金貨に賭ける著名投資家ロジャーズ氏 スライドショー:米著名投資家ロジャーズ氏、北朝鮮の記念硬貨を大量購入 安倍首相らは北朝鮮が米国にミサイルを発射しても、アジアにおける米国の最大の同盟国である日本は現段階では迎撃できないという事態を指摘している。日本の平和憲法では「自衛」しか認めていないためだ。「自衛」という言葉は、軍隊は日本の領土に対する直接的な脅威にのみ対抗することができることを意味すると厳格に解釈されている。 安倍首相はこれに対して次のような対応を考えている。それは、第2次世界大戦で日本が降伏して以降使われてきた「自衛」の定義を拡大し、「集団的自衛権」という原則によって、日本の軍隊が世界各地で同盟国が直面する幅広い脅威と戦えるように許容範囲を広げよう、というものだ。防衛政策の転換を正当化する最も喫緊の課題は北朝鮮だが、安倍氏の側近によると、安倍氏はその他さまざまな潜在的敵対状況下で米国とともに戦えるように自衛隊の自由度を高めたいと考えているという。この潜在的敵対状況には中国が関わる事態も含まれる可能性がある。 安倍氏は先月の国会答弁で昨年12月の北朝鮮のミサイル発射実験を引き合いに出し、「(日米が)一体的にミサイル発射に備えているときに、日本が攻撃を探知しても米国のイージス艦を助けないということになれば、日米同盟は危機的な状況になる」と述べた。 その後も北朝鮮の挑発的言動は激化する一方だ。北朝鮮の金正恩第1書記は今月29日、米国本土や韓国、太平洋地域にある米軍基地を攻撃するためにロケットを発射待機状態にするよう指示した。米国が韓国と合同で実施した軍事演習にB2ステルス爆撃機を飛行させたことを受けた対抗措置だ。 米国防総省のキャシー・ウィルキンソン広報官に安倍氏の提案についてのコメントを求めたところ、29日に電子メールで「集団的自衛権は日本が決定することだ」と回答を寄せた。しかし、ウィルキンソン広報官は「国防総省は防衛問題も含めて世界の舞台でより大きな役割を引き受けるようとする日本の努力を歓迎する」とも述べている。 安倍首相は北朝鮮が挑発を始めるはるか前の、6年前に短い間、首相を務めたときから、軍隊の自由度を高めるべきだと訴えてきた。事態が大きく前進したのは昨年7月のことだ。当時野党だった自民党が集団的自衛権の行使に道を開く国家安全保障基本法案を承認した。自民党は昨年12月の総選挙で同法の制定を公約に掲げた。投票は北朝鮮がミサイル発射実験を行った4日後に行われ、自民党が圧勝した。 就任してから3カ月後、安倍首相は具体的な検討に入るために安全保障に関する諮問機関の会合を開催した。自民党関係者の1人はいつ法案が国会に提出されるかはまだ分らないと話したが、安倍氏は7月の参院選後に動きを活発化させるとみられている。 安倍氏は集団的自衛に加え、約10年で初めて防衛費を増額したり、自衛隊を増員するなどさまざまな軍事強化策を提案している。 第2次世界大戦以降、何年にもわたってこうした考え方はタブーとされてきたが、地域の脅威が増すにつれて、最近になって姿勢が変化した。読売新聞が1月に実施した世論調査では、54%が安倍首相による防衛費の増額を支持すると回答、反対と答えた人は36%だった。軍事力強化を支持する1つの兆候といえる。 しかし、安倍氏の提案を受けて、日本がいずれ軍事紛争に関与することになると懸念する人々から不安の声が上がっている。日本の近隣諸国の中には、かつての日本の軍国主義を記憶から批判する国もある。 自民党と連立政権を組む公明党の山口那津男代表は先ごろ出演したテレビ番組で集団的自衛権について、「行使を認めると、日本の領土、領空、領海の外で武力行使を認めることにもつながる。そこに歯止めがなくなることへの十分な議論が必要だ」と述べた。自衛隊の任務が拡大されれば、日本が海外の軍事紛争に関与する結果を招く恐れがあるとの懸念に同調した発言だ。 韓国の聯合ニュースは日本が集団的自衛権の行使を容認すれば、日本の再軍備につながりかねないと警告した韓国政府高官の発言を紹介した。 米国も、日本が安全保障上の役割を拡大すれば、中国を動揺させ、不安定化を招く可能性があるとの懸念を示唆している。 しかし、日本の防衛省と米国防総省の高官は長年の課題だった地域の防衛政策の再検討は北朝鮮の脅威によって正当化されると話す。 北朝鮮の軍事的挑発行為を受けて、米国のヘーゲル国防長官は今月、2017年までにアラスカ州に迎撃ミサイル14基を配備すると述べた。米西海岸には既に迎撃ミサイル30基が配備されている。米国の同盟国は北朝鮮のミサイルの脅威に備えるため、日本に米国製の早期警戒レーダーシステム「Xバンドレーダー」を京都に近い海岸部の基地に配備することで合意した。日本へのXバンドレーダーの配備は2基となる。 北朝鮮は核とミサイルの開発を進めて得意になっているが、専門家によると、米国に到達する能力のあるミサイルに搭載できる小型の核弾頭の開発が完了している可能性は低いという。 政策研究大学院大学(東京)の安全保障・国際問題プログラムディレクターで准教授の道下徳成氏はミサイルへの小型核弾頭の搭載について、今はまだ理論的な問題だと述べた。 道下氏は北朝鮮が核弾頭の小型化に成功しても、日本の現在の技術ではミサイルを撃ち落とせないとの見方を示した。しかし、道下氏は日本が速度と防護範囲を大幅に改善した迎撃ミサイルの開発に向けて米国と協力していると述べた。 安倍首相のアドバイザーは北朝鮮のミサイル発射は集団的自衛権を正当化するシナリオの1つでしかないと話している。安倍氏が開催した安全保障に関する審議会はその他のシナリオとして、日米合同作戦中に海上で攻撃された米国の軍艦を防護する、国連の平和維持活動中に攻撃された同盟国の兵士を守る、平和維持活動に従事している国に後方支援を行う、などの事態を挙げた。 安倍氏はまた、審議会が既に示した4つのケース以外の想定も検討する可能性があることを示唆している。 大阪大学の教授で審議会のメンバーでもある坂元一哉氏はインタビューで、中国の軍事力強化と北朝鮮の脅威を背景に、日本は軍事衝突の可能性を回避するために抑止力を改善する必要があると述べた。坂元氏はまた、日本が米国との同盟関係を強化し、さらに緊密に協力するために必要な法的基盤を構築することが欠かせないと指摘した。 |