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米英が主導し、フセイン政権を崩壊させたイラク戦争から10年たつイラクでは、テロや宗派対立がやまない一方、原油価格の高止まりを背景に経済が好調だ。バグダッドでは高級家具や高級車が飛ぶように売れ、この10年で売り上げが20倍に伸びたという店もある。だが経済成長の恩恵に浴さない貧困層には不満もくすぶっている。【バグダッドで小倉孝保、秋山信一】
休日の21日、バグダッド中心部の高級家具店「アラミーヤ」には若いカップルや家族連れが次々に来店した。3階建ての店内には、トルコや中国などからの輸入ソファやベッドが並ぶ。「開店から2年で売り上げは5割増しです」。販売責任者のハサンさん(28)は誇らしげだ。
テーブルと椅子2脚のセットが300〜500ドル(約2万8500〜4万7500円)、細かい刺しゅうが施されたベッドは3000〜4000ドルだ。イラクの通貨はイラク・ディナールだが、高級輸入品などは米ドル価格で取引される。
客層は高収入の公務員が多く、中には1カ月ごとに古い家具を売り、新しい家具を買う常連客もいるという。ハサンさんは「ビジネス環境はどんどん良くなっている。先行きも明るい」と話す。唯一の懸念は治安状況だ。爆弾テロがあった19、20両日はほとんど客がなかったという。
高級車や金細工などアクセサリーの売れ行きも好調だ。自動車販売店「アダイヤール」では、トヨタのランドクルーザーや米クライスラーのジープなど1台数万ドルの高級車が月40〜50台売れる。大半は米ドルの現金払い。売り上げは中古車販売店をしていた10年前の20倍以上だ。
数日前に三菱パジェロを購入したという、公務員のハサン・レフタさん(35)は「金細工職人の父親が最近、兄弟5人にそれぞれ車を買ってくれた」と話す。
一方、貧困層の生活はなお厳しい。バグダッドでは、国連の経済制裁下にあった90年代から、輸入古着を扱う店が貧困層の生活を支えてきた。しかし、政府は昨年12月、近く古着輸入を禁止すると発表。政府は感染症予防のためと説明しているが、市民には「国民が豊かになって古着を必要としなくなったと政府が判断したのだろう」との見方が広がる。
バグダッド中心部で古着・古靴店を開くアブ・アリさん(37)は、「まだ古着しか買えない人は多い。政府は貧困層を切り捨てようとしている」と不満げだ。2週間に1度は古着を買いに来る女性公務員、アファーフさん(45)は「(バグダッドの古着店には)安くて良い商品が多い。経済は好調でも、お金持ちは一部でしょう」と古着店の必要性を訴えた。
イラクで富裕層の消費が伸びている背景には、石油生産を柱とした経済の復興がある。国際通貨基金(IMF)によると、イラクの経済成長率は06年からプラスに転じ、12年はイラク戦争開戦後最高の推定10.17%を記録。今後も10%前後の高成長が続くと予測されている。
http://mainichi.jp/select/news/20130325k0000e030185000c.html
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