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CIA、シリアの反政府勢力に機密情報提供―内戦への関与深める
2013年 3月 23日 17:14 JST
By ADAM ENTOUS, SIOBHAN GORMAN AND NOUR MALAS
米中央情報局(CIA)がシリアの内戦で役割を拡大していることがわかった。米国の複数の政府高官と元政府高官によると、CIAは政府軍に対して利用できる機密情報を厳選した一部の反政府武装勢力に提供しているという。
米政府高官はCIAによる情報提供について、シリアの世俗勢力を支援してイスラム過激派の台頭を食い止めようとする米国の取り組みの一環と説明している。背景には、アサド政権が崩壊すればシリア国内でアルカイダが勢力を広げるとの懸念が浮上していることがある。
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Reuters/Giath Taha
西側諸国の諜報機関は武器の使用、市街戦、政権側スパイへの対策などの分野での訓練を通じて反政府勢力を支援しており、CIAの役割拡大はこの動きを支えている。
米国の反テロ対策当局者によると、シリアで活動しているアルカイダ系の主要組織「ヌスラ戦線」がパキスタンのアルカイダ指導部との関係を深めている。
政府高官によると、CIAの行動は米国がシリアの内戦への関与の度合いを深めていることを示しているという。CIAはシリアの反政府勢力への訓練や情報提供に関与しているかどうかについて確認も否定もしなかった。
米国はシリアに対して直接、武力を行使しない方針で、CIAが反政府勢力に機密情報を提供しても、この方針は変更されていない。オバマ大統領は昨年、アサド大統領と戦闘を行っているシリアの世俗勢力に武器を提供するという提案を拒否した。CIAはこの案を支持していた。
オバマ大統領は22日、ヨルダンの首都アンマンで記者会見し、武器を提供すれば流血の事態がさらに悪化する恐れがあると改めて主張した。
大統領はまた、アサド政権が崩壊すれば過激派が権力を拡大する可能性があると警告、「シリアが過激派の領土となることを非常に懸念している。過激派は混乱のなかで、失敗国家のなかで、権力の空白のなかで繁栄するからだ」と述べた。
米国、欧州、アラブの政府高官によると、CIAが情報提供を開始したのは、米政権の政策に変化があったからだという。米国はアサド政権崩壊後のシリアを支配するグループに影響を与えようと、世俗派の反政府勢力を強化しようとしている。
CIAはトルコに担当官を派遣し、ペルシャ湾沿岸の同盟国から武器を受け取っているシリアの反政府勢力の調査に加わった。しかし、オバマ政権高官はイスラム主義勢力への武器流出の可能性が懸念されたとして、調査の結果には相反する内容が含まれていたと説明している。イラクでは、CIAはホワイトハウスからの指示を受けて、シリアからのアルカイダ系の戦闘員の流入への対策でイラクの精鋭の反テロ対策ユニットと協力した。
西側諸国は自由シリア軍に同調する勢力を支持している。自由シリア軍はシリアの野党連合を支持している。
シリアの野党勢力の指揮官によると、CIAは英国、フランス、ヨルダンの諜報機関と協力して、さまざまな武器の使用について反政府勢力に訓練を行っているという。ある西側の政府高官によると、これらの諜報機関は反政府勢力に市街戦の訓練を行うほか、シリア軍の掩蔽壕(えんぺいごう)に向けて対戦車火器を使用する方法や親アサド派のスパイの侵入を防止するための戦略を教えている。
シリアの内戦に関係する米国の活動は他にもある。米国防総省高官によると、同省はヨルダン軍がシリアの化学兵器による脅威に対抗するための訓練に協力しているが、反政府勢力とは直接連携していないと述べた。
CIAによる情報提供がどの程度の範囲に及んでいるかは秘密のベールに包まれている。米国は主に内戦が起きている地域の周辺に多数の情報能力を有している。
米国と欧州の数人の政府高官によると、CIAはシリアの反政府勢力を完全に信頼して機密情報を委ねることができるか判断できないため、情報共有の範囲は限定されている。例えば、CIAはシリア政府が化学兵器を保管している場所に関する米国やイスラエルの諜報機関の情報については反政府勢力と共有していないという。
米国の反テロ対策当局者によると、ヌスラ戦線の工作員とイラクのアルカイダ勢力、パキスタンのアルカイダ指導部との間の通信が増えていると認識しているという。また、パキスタンからシリア入りするアルカイダの戦闘員が増加していることも報告している。
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