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サイバー部隊61398 コンピュータ学科学生の募集情報が流出  
http://www.asyura2.com/12/warb10/msg/728.html
投稿者 良寛 日時 2013 年 2 月 26 日 00:47:13: Vgi3QvtUnz6pE
 

米セキュリティー企業・マンディアント(バージニア州)が、19日に発表した報告書で存在が明るみになった中国人民解放軍のサイバー部隊「61398」。

「英語やプログラミングに精通する数千人のメンバーが所属する」可能性を指摘した同報告書の内容を裏付ける「証拠」がネット上で話題になっている。

ネットユーザーらが目を付けたのは、中国の名門大学・浙江大学(杭州市)2004年の1つのリクルート情報。

「中国人民解放軍61398部隊、修士課程在学生募集」と題するこの通知は、渦中の61398部隊の実態をほのめかす。

「中国人民解放軍61398部隊(上海浦東)は、2003年に大学院入学のコンピュータ学科の在学生を募集する。在学中、毎年5000元(当時レートで約6万5000円)の国防奨学金を支給。学生は卒業後、部隊に就職する」

日付が2004年5月13日となるこの通知は浙江大学の計算機科学技術学院の公式ページに掲載されている。中国の修士課程の在学期間は一般的に3年間であるため、2003年入学の学生は2006年7月に修了となる。

一方、マンディアントの報告書は、61398部隊が外国企業に仕掛けるサイバー攻撃は2006年ごろに始まったと指摘している。

61398部隊が一連のサイバー攻撃のアジトと結論づけたマンディアントの報告書について、中国国防部は「技術証拠に欠けている」「専門的でない」「事実に反する」などと強く否定し、非難の打ち消しに躍起になっている。

2013/02/25
http://www.epochtimes.jp/jp/2013/02/print/prt_d17279.html  

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コメント
 
01. 2013年2月26日 01:48:44 : IOzibbQO0w
サイバー犯罪:動かぬ証拠
2013年02月26日(Tue) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年2月23日号)

中国政府が、欧米の企業秘密を盗み出すサイバー攻撃を支援しているという証拠が、次々と挙がっている。これを阻止するために、米国は何をなすべきか?

 各国政府の情報機関や民間のセキュリティー対策専門家は長年、中国のハッカーが欧米の企業秘密を盗み取ろうとしていると警告してきた。ハッカーの攻撃が大胆になり、中国政府の関与の影が浮かび上がってくると、警告の声はさらに大きくなった。

 米グーグルのエリック・シュミット会長は近刊書の中で、中国に、外国企業に対する「最も洗練された実り多き」ハッカーというレッテルを張ったと伝えられている。

 中国によるハッキングは米国の多くの政治家を憤慨させ、連邦議会での公聴会は激しいやりとりとなり、中国企業に対する反発が高まった。オバマ政権はこの2月に、サイバー攻撃に対して積極的な反攻に転じる意向を表明した。

 中国の最大の貿易相手である欧州も立腹している。欧州委員会は、ハッキングされた企業に対して、強制的に被害を当局に開示させることを検討している。

マンディアントが挙げた証拠

 中国政府は関与の疑惑を常に強く否定してきた。中国高官は、告発に確たる証拠があったことは1度もないと述べる。ところが今、そこに変化が生じた。米国のサイバーセキュリティー企業のマンディアントが2月19日に、奇妙なハッカー集団の活動を詳細に記した報告書を発表したからだ。


マンディアントの報告書で、中国軍が率いるハッカー集団の拠点とされた上海近郊の高橋にある12階建てビル〔AFPBB News〕

 マンディアントは、欧米企業をサイバー攻撃から守る業務を通じて、これらのハッカーが長年にわたり数十社の企業ネットワークに侵入して大量の知的財産(IP)を盗み出してきた方法を観察してきた。

 衝撃的だったのは、このハッカー集団が、実は中国人民解放軍(PLA)のエリート部隊だというマンディアントの主張だ。

 中国政府はこれを否定しているものの、この部隊は61398部隊と呼ばれ、上海の金融街に近いところにある、何の変哲もない白いオフィスビルを拠点としている。

 マンディアントの報告書は、いくつかの理由から、真剣に受け止める価値がある。第1に、マンディアントは確かな経歴を持つ企業だ。ニューヨーク・タイムズ紙に対する長期にわたるハッキングを追跡し、今年1月に、それが中国の公的機関につながる筋であることを明らかにして名を上げた。

 しかもマンディアントはこれまでの告発者とは異なり、ハッカーの手法とマルウエアを詳細に記述してみせた。

 中国のハッカー(「コメントクルー」と呼ばれる集団)は、10カ国以上に散らばる1000カ所近くのリモートサーバーを使用していたが、マンディアントはそれらのサーバーを追跡して、PLAの上海の施設に隣接するネットワークにたどり着いた。

「まず責めるべきは中国だ」

 すべての人がこの調査に満足しているわけではない。セキュリティーコンサルティング企業タイア・グローバルを率いるジェフリー・カー氏は、今回の新しい報告書は「まず責めるべきは中国だ」とする偏見に囚われていて、その方法は厳密さを欠くと主張する。

 マンディアントはこれを否定するが、証拠が指し示しているのは61398部隊が拠点を置く地区であって、問題のビルそのものではないことは認めている。しかし、資金を潤沢に持つ組織的なサイバー窃盗団が、軍の施設の外にある安食堂からフォーチュン500企業をハッキングしているとは考えにくい。

 それでも、あらゆる悪事を中国のせいにする人々を疑うのは、確かに正しいことだ。例えば、最近アップル、フェイスブック、ツイッターが侵入を受けたが、どうやら東欧のハッカーが疑われる。世界最大の石油会社サウジアラムコに対する最近のサイバー攻撃の黒幕は、恐らくイラン人だろう。

 かつて米中央情報局(CIA)で情報セキュリティー主任を務めたロバート・ビッグマン氏は、ロシア、ブルガリア、ルーマニア、ウクライナも、中国と並んでサイバー犯罪の重要指名手配犯リストに掲載されてしかるべきだと言う。


 ある米国の通信会社が最近、タイアのカー氏に、国内のベンダーの1社が買収した中国企業の調査を依頼した。

 依頼企業は、買収された企業が中国の国家的支援を受けているサイバーハッカーと関係していないことを確認したかったのだ。

 中国政府との関係はなかったが、タイアは調査中に、買収された中国企業がソフトウエアを外注していた会社がロシア情報機関のフロント企業であることを発見した。

 セキュリティー企業クラウドストライクのドミトリー・アルペロビッチ氏は、恐らくマンディアントは正しいと考えている。クラウドストライクは、2年前にPLAのハッカーを突き止める寸前までいった企業だ。

 元CIA高官のビッグマン氏も、マンディアントに同意する。ただし、ハッキング活動が中央政府の指揮の下で行われたのか、単に黙認されていただけなのかは不明だ。

 マンディアントの報告書が画期的であると考えるべきもう1つの理由は、発表されたタイミングだ。これは米国高官の承認を得ていることを暗示しているからだ。

 マンディアントのリチャード・ベイトリッチ氏は、同社が報告書の公表を決めたのはほんの1カ月前だと述べている。通常、民間の依頼者なら、この報告書に含まれるような詳細な技術情報に対して大金を支払うだろう。

 しかし、政治指導者の間で行動を起こそうとする気運が高まっていることに鑑み、また、諜報の専門家を交えて検討した結果、同社は「サイバー戦争を遂行し、『中国善玉』論に疑いの目を向ける」手段の1つとして報告書を公表したという。

 北京を拠点に活動するハイテク専門家のビル・ビショップ氏は、マンディアントの報告書は、中国政府にハッカーの手綱を締めさせるよう米国が新たに考えた「名指しで辱める」戦略の一環だと見ている。

 うまくいくかもしれないが、米国が中国の新指導部に圧力をかけすぎると、相手は逆に追い詰められたと感じるのではないかと、ビショップ氏は危惧している。中国政府が、PLAと世論の圧力に屈して、逆に事態をエスカレートさせる道を選ぶ可能性もある。

 米国のシンクタンク、外交問題評議会のアダム・シーガル氏は、米国は積極的に貿易制裁措置やビザの制限、金融制裁を駆使して、知的財産を盗むコストを高めなければならないと主張する。「中国は自国の立場が弱いことを理解しなければならない」と同氏は言う。

 米国は2月20日、企業秘密の盗み出しを阻止する努力を強化すると発表し、中国をはっきりと名指しした。

企業が集団防衛に転じる契機か

 過去には、ハッキングされたことを認めたがらない企業が多かった。競合企業に情報が漏れたり、投資家を警戒させたりすることを怖れたからだ。もしかしたら、マンディアントの報告書をきっかけに、企業は集団防衛を優先させ始めるかもしれない。

 北京の米国商工会議所のクリスチャン・マーク氏は、ハッキングに関する企業の沈黙を、十数年前に偽ブランド品などコピー商品問題を取り巻いていた沈黙になぞらえる。当時、コピー商品は中国の大きな問題になっていたが、欧米の企業は自社ブランドに傷がつくことを恐れて、表だって被害を認めることはなかった。

 しかし、やがて、各企業が協力して情報を交換し、より強力な法律の制定と施行を求めてロビー活動を行った。コピー商品は今でもはびこっているが、対処可能な問題になりつつある。いつの日かハッキングもそうなるかもしれないと、マーク氏は言う。

 欧米の被害企業には、もう1つ希望がある。中国の一流企業では、知的財産の窃盗に対する態度が変化しているかもしれないのだ。

中国企業にも変化の兆し

 中国の通信機器メーカーの華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)は、盗まれた知的財産について激しく争い続けている。中国の医療技術のパイオニア、迈瑞生物医療(マインドレイ・メディカル)は、設計を盗んだ罪で元従業員を法廷に立たせた。

 要するに、中国企業自身も価値ある独自の知的財産を生み出し始めていて、今後ますます自社の財産への法的保護を強く求めていくだろうということだ。そうする中で、中国企業は自社の従業員にもIPを尊重させようとし始めている。

 諸外国から中国に圧力をかけることは、特に中国の裁判所の決定には今でも買収や不正操作の余地があることを考えると、今後も極めて重要であり続ける。こうした外圧と国内の意識の高まりにより、中国にも変化が生まれるかもしれない。だが、その変化の訪れは、やはり大変ゆっくりとしたものになるだろう。


02. 2013年2月27日 00:54:13 : xEBOc6ttRg
謎多き解放軍サイバー部隊

エリートハッカー集団か、民間の愛国的ハッカーか

2013年2月27日(水)  福島 香織

 線香パンダ、という中国人が作ったネットウイルスを覚えておられるだろうか。2007年にかなり流行したFujacksと呼ばれるワームの一種だ。パソコン画面に突如、線香をかかげたパンダのアイコンが現れるのだが、これがウイルスに感染した証し。かわいらしいその姿とは裏腹に脅威度は高く、感染するとパソコンは完全に破壊される。感染力も強く、中国で当時、数百万台のパソコンが被害にあった。

ネットの不良少年がサイバー戦士に

 これを制作したのは湖北省武漢出身の当時25歳の李俊と雷磊という若者だった。彼らは湖北警察当局の懸命の捜査によって逮捕され、それぞれ懲役4年と2年の刑を受けた。2010年に彼らが出所するといくつかの中国メディアが彼らをインタビューしている。

 それによると、彼らは大学も出ておらず、中学校からコンピューターで遊んでいるうちに、ウイルスを作ったり、ハッキングできるようになったとか。1999年の在ユーゴスラビア中国大使館誤爆事件の時に発生した米中黒客(中国語でハッカー、クラッカーの意味)大戦に参加したのが、最初のハクティビズム(ハッキングによる社会運動)だったとか。その時は、紅客連盟(愛国主義ハックティビズム集団)らの呼びかけで行われ、参加者は10代から20代の若者だったこととか。彼らは線香パンダでは14万元の売り上げを得たそうだが、一流のハッカーになると百万元以上の年収があるとか。パソコンセキュリティ会社が実は(独自のワクチンソフトを売るために)ウイルスを制作してばらまくらしいとか。普段は顔を出してメディアの前にでることのない、中国ハッカーが暴露する、ネット裏世界の話は大変興味深かった。

 インタビューで「大学に行った奴らがうらやましい」「自分が給料をもらうなら1万元くらい」といったコンプレックスと自信がないまぜになった中国地方都市出身のいまどきの若者らしさと、あまり悪意のない幼い表情が印象に残った。

 私自身も北京駐在時代にはいろいろなコンピューターウイルスを送りつけられたりして、何度となくパソコンを壊された。たとえばパソコンを立ち上げると、いきなり中国国歌が大音量で鳴り、「南京大虐殺を反省せよ」といったな赤い文字と、残虐なプロパガンダ写真が延々と流れ3分ぐらいたってからやっと通常の画面になるといった手の込んだいたずらをされたりもした。どういう仕組みになっているのか、私ごときではさっぱり分からない。その3分が終わるとパソコンは普通に使用できるのだが、毎回パソコンを立ち上げるたびに3分間義勇行進曲とプロパガンダ写真が流れるのに耐えられず、全部中身を入れ替えるしかなかった。

 線香パンダや義勇行進曲ウイルスのように、私の印象ではかつては中国人の作るウイルスやハッキングツールは、大変迷惑で腹立たしいものながら、どこか「子供の犯罪」の延長のようなところがあった。ところが最近の中国人ハッカーは、もはや笑いごとではない。ネット上の不良少年たちは、いつの間にか解放軍のサイバー戦士となり、科学技術系の計画図や設計図、機密性の高い情報などを盗み出しているのだという。

解放軍サイバー部隊「61398」

 米インターネットセキュリティ会社、マンディアントが出した報告書を基にしたロイターやニューヨークタイムズの報道によると、2006年にハッカー攻撃を受けた米、英、カナダなどの企業141社のデーター分析を行った結果、上海市浦東区の人民解放軍建物にあるIPアドレスから発信されていたという。その建物には解放軍サイバー部隊「61398」の総本部があるらしい。

 もちろん中国国防部はこれを否定している。だが、米国人記者らがこの建物の写真を撮ろうとして拘束されるなど、その建物の警備の厳重さは尋常ではない。

 マンディアントが追跡した20に及ぶハッカー集団のうちに「コメント・クルー」あるいは「上海幇」と呼ばれる組織があるという。この組織はハッキングしたあとに、パスワードとコメントを隠し込むのが好きで、こういう名前を名乗っているそうだ。この「コメント・クルー」ハッカーたちは6年あまり活動を続けており、軍産企業や化学工場、鉱山企業やエネルギー網企業などのコンピューターに侵入、パスワードや科学技術系の設計図や機密文書を盗み出していたという。侵入時間は平均1年、最長で4年と10カ月に達したケースもあるそうだ。

 マンディアントは追跡によって、この彼らが使った3000個のIPアドレスの9割が61398部隊のある地域から発せられていることを突き止めたという。コメント・クルーの中で「UglyGorilla」と呼ばれるハッカーは2004年の中国のネット軍事フォーラムに登場しており、中国に米国のようなサイバー部隊がないのか、という質問をしたことがあるとも。また「DOTA」と呼ばれるハッカーは、セキュリティシステムの身元を尋ねる質問に「ハリー・ポッターのファン」と自己紹介したという。またパスワードに61398を使っているという。2人とも61398部隊の総本部がある地域のIPアドレスを利用しているという。

サイバー部隊は存在しないと言い続けてきたが

 この報告はそれなりに衝撃をもって受け止められた。というのも、解放軍は建前上、サイバー部隊は存在しないと言い続けてきたからだ。その実在が暴露された、ということになる。

 中国側が公式に発表しているところでは「ネット藍軍」と呼ばれる部隊は存在し、サイバー戦争を想定した訓練は解放軍内で行われている。この事実は、中国国防部が2011年5月25日の定例記者会見で明らかにしている。ただし、このときスポークスマンは、これは腕利きハッカーを揃えたいわゆるサイバー部隊ではない、としつこく主張していた。

 ネット藍軍とは、米国などのサイバー攻撃を想定して、部隊のセキュリティレベルを向上させるために設立されたサイバー戦争訓練プラットフォームであり、最初は広州軍区での訓練に使われたそうだ。ちなみに解放軍で藍軍というと、模擬戦闘訓練における仮想敵軍の総称だ。ネット藍軍は、その名のとおりサイバー戦争を想定した仮想サイバー部隊といったところか。現役解放軍兵士だけでなく学生から社会人まで広く人材を探して2009年ごろに設立されたという。だが、これは実際のサイバー攻撃作戦を遂行するためのいわゆるサイバー部隊ではない、と中国軍事学会副秘書長の羅援少将も改めて言明していた。

 ただし、本当に解放軍にサイバー部隊がないのかというと、多くの人がこれを信じていない。2008年ごろには、民間の愛国主義的ハクティビズム集団・紅客連盟がサイバー民兵として、解放軍に協力しているという噂が流れていた。1999年に在ユーゴ中国大使館誤爆事件で、米国のオフィシャルサイトなどを攻撃していた集団で、線香パンダの李俊ら10代の若者が多く参戦していたが、このころから、在野のハッカーに解放軍からアプローチし始めていたという話はよく聞く。ただ、民間のハッカーたちが本当に軍隊に組み込まれたのか、あるいは命令系統がどうなっているのか、というとこのあたりは確認がとられていない。

 ニューヨークタイムズによれば、61398部隊こそが、どうやら存在を秘匿され続けた真のサイバー部隊らしい。正式名は解放軍総参謀部第三部二局。総参謀部第三部とは諜報活動のうちシギント(通信、電磁波、信号などのシグナルを媒介とした諜報活動、シグナル・インテリジェンス)部門だ。ちなみに第二部はヒューミント(人間を媒介といた諜報活動、スパイ)部門。米国のシンクタンクの間では米国・カナダをターゲットにしたネット諜報戦の実行部隊で、政治経済軍事情報を集めるのが主要任務であったと推測されていた。

 61398部隊は2004年に浙江大学コンピューター科学・技術学院で、研究生をリクルートしていたそうだ。そのとき、軍に入隊する研究生に対しては毎年5000元の国防奨学金が与えられ、卒業後は将官待遇で軍に就職できると告知されていた。2005年に浙江大学数学学部から2人が入隊した、という話もある。

 天下のニューヨークタイムズがこれだけ報じるからには、61398部隊が本当に中国サイバー部隊なのだろう。ただ、報告書に出てくるUglyGorillaと呼ばれる人物のオンライン軍事フォーラム上の発言ログがネット上に残っているが、その言葉遣いからみるに、軍人というよりは単なる軍事オタクの若者っぽい。「あれが解放軍総参謀部三部?笑わせるぜ」みたいな他のネットユーザーによる揶揄的な書き込みも散見される。彼らが総参謀部第三部に属し、シギント部門を担当しているというなら、中国のサイバー部隊は私たちが想像するようなすご腕の電脳エリートハッカー集団のようなものではないのかもしれない。

明確な命令系統は存在しない?

 解放軍というのは、正式には国軍化されていない共産党の私兵集団であり、かつてはゲリラ戦を得意としてきた。そういう歴史的な成り立ちからか、実は今なお普通の軍隊では考えられないようなことをやることがある。たとえば尖閣諸島海域にまず漁民を行かせ、次に国家海洋局の指揮で動く国家海監総隊が漁民を守るという建前で派遣され、海軍が介入する口実を作ろうとするのは人民解放軍の常套手段と言われている。

 漁民は海軍兵士が扮したものと言われているが、その漁民と実際に会えば、どこから見ても普通の呑んだくれの中国漁民であり、自分の名前以外の字は知らないような教育レベルであったりする。だからといって解放軍が関係ないかというとそうではないようで、そういう普通の漁民をゲリラ隊として作戦に組み込んでいくのが、解放軍のやり方だといえる。しかし、この先兵となる漁民と解放軍の司令員との間に明確な命令系統が存在するかというと、実はなかったりする。

 同じように、中国の愛国主義的ハクティビストたちをサイバー攻撃の先兵としてリクルートしたり、利用することはあるのではないか。ただ、そこに軍としての紀律や明確な命令系統が働いているかというとあやしい。2012年4月に起きた、中国とフィリピンがお互いの政府系サイトなどを攻撃しあった事件なども、ともに民間の愛国的ハッカーの仕業と見られているが、しかし両国の軍事的緊張が高じた結果勃発したサイバー戦争であることは間違いない。こうやって見ると、民間があたかも民間の意思のように展開するゲリラ戦をうまく利用する共産党軍の伝統を解放軍は受けついでいるといえる。

 国防部も解放軍も、今回の一連の報道が米国による中国のイメージを悪くするねつ造であると激しく非難している。中国側はこれをねつ造だと主張するなら、ぜひUglyGorillaやDOTAの正体をメンツをかけて突き止め、身の潔白を晴らさねばならないだろう。

 だが、きっと彼らが何者であるかは永遠に分からない。彼らが本当に解放軍が育て上げたサイバー戦士であるなら、それはまだよい。米軍にもサイバーコマンドはある。正式な諜報合戦といえる。最悪なのは、先兵として民間人を巻き込みながら、それに軍が無関係をよそおうやり方だ。

 子供の延長のような意識の若者に国家機密級の情報窃取を手伝わせ、「サイバー戦争」の先兵に利用しておきながら、尻尾をつかまれれば民間が勝手にやったふりをするなら、それは軍隊として「卑怯」な行為ではないか。


福島 香織(ふくしま・かおり)
ジャーナリスト

 大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002〜08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。著書に『潜入ルポ 中国の女―エイズ売春婦から大富豪まで』(文藝春秋)、『中国のマスゴミ―ジャーナリズムの挫折と目覚め』(扶桑社新書)、『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版刊)、『中国のマスゴミ』(扶桑社新書)、『中国「反日デモ」の深層』(同)など。


中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス

 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。


 


 

解放軍ハッカー説と米国防予算

サイバー攻撃に関与――の真実度はいかほど?

2013年2月27日(水)  山崎 文明

 マンディアント(MANDIANT)という米国のセキュリティ関連企業が米国時間2013年2月19日に公開した報告書が話題になっている。同報告書は、米国企業や団体に対して繰り返し行われているサイバー攻撃やサイバーインテリジェンス(以下サイバー攻撃)は「APT1」や「Comment Crew」と呼ばれるハッカーグループが行っていると報告。さらに、「APT1」が、中国人民解放軍61398部隊の本部が所在する上海のビルを拠点に活動していることを指摘した。

決定打に欠ける、人民解放軍が関与している証拠

 中国のハッカーグループが中国人民解放軍の指揮の下で米国や日本に対してサイバー攻撃を行っているとの観測に目新しさはない。米国インテリジェンス機関が過去から指摘していた内容だ。唯一、目を引くのは、中国人民解放軍の諜報組織として総参謀部第3部第2局(第61398部隊)の存在を指摘した点にある。人民解放軍が有するサイバー攻撃の拠点は従来、海南島に拠点を置く陸水信号部隊が単一組織としては最大の組織(1100人規模)とされていた。第61398部隊の規模はこれに匹敵する。

 メディアは、マンディアント社のレポートが「APT1=第61398部隊」すなわち中国人民解放軍と断定しているかのように報道している。だが、同レポートはその結論で「残念ながら一つの可能性に過ぎないことを認めざるを得ない」としている。人民解放軍の関与を証明する決定的で客観的な証拠を示していないからだ。かねてから、この種の調査結果には、こうした重大な欠陥がつきまとう。今回の報告書も同様の欠陥を抱えている。この点を、改めて認識しておく必要がある。

 第61398部隊の規模を数百人から千人規模としているのも、ビルの大きさから推測した、と示しているだけだ。おそらくグーグルアースの衛星写真を基に推測したのだろう。この域を出ないのではないかと思われる。

 同報告書はこのほか、マルウェアに残されたハッシュシ値やIPアドレスを、「APT1=第61398部隊」とする証拠として示している。中でも筆者が興味を覚えたのは、APT1が中国の外に築いた攻撃拠点となるサーバーにアクセスする際に使用したマイクロソフトのリモートデスクトップPCの発信元の98%が中国国内からのものだったとする点だ。これに加えて、リモートデスクトップPCで使用されているキーボードの97%が中国語のキーボードに設定されていたことを、根拠として挙げている。

 これらを状況証拠とすれば極めてクロに近いと判断できる。しかし、中国政府の報道官の反論――IPアドレスを根拠とした推測だけの批判は的を射ていない−−に十分対抗できる証拠とは言えないだろう。日本国内でもPCの遠隔操作事件が話題になっている中で攻撃元のPCのIPアドレスを技術的に偽装する手段がある以上、決定的な証拠にはならない。何が確認できれば確実な証拠になるのか、という課題は深刻だ。

 中国人民解放軍が、(1)中国のドメインと明らかにわかるIPアドレスを持つ、(2)中国語OSを搭載したパソコンから米国を攻撃する、という構図も単純すぎて疑念がわく。ロシア担当の米国インテリジェンス関係者による次の指摘も想定内に置いておく必要があるだろう――ロシア政府によるサイバー攻撃は中国よりもさらに高度でより深く潜行しており注意が必要。

議会対策としての調査報告書

 マンディアント社がこのタイミングで報告書を公表した背景には、財政の崖の問題がある。今週から米議会で、連邦予算の一律10%の強制削減が議論される。マンディアント社は、政府と示し合わせて、サイバー防衛予算の削減を阻止する試みを行ったと考えられる。同社は、政府予算の行方に大きく影響を受ける会社だ。

 事実、マンディアント社が報告書を公表した翌2月20日に、エリック・ホルダー(Eric Holder)司法長官が、サイバー攻撃を含む産業スパイ対策の強化策に関する報告書を発表した。同長官は、記者会見で「加害者には個人や企業、国家さえも含まれている」と語った。中国を名指しこそしなかったが、前日のマンディアント社の報告書が多数のメディアで取り上げられている以上、中国への対策強化を目的としていると米国民は理解するはずだ。マンディアント社を利用して中国を名指ししたとも言える。

既に始まっているGDP戦争

 このコラムではサイバー攻撃やサイバーインテリジェンスの総称としてサイバー攻撃という表現を採用した。ただし、マンディアント社の報告書は、「中国人民解放軍によるコンピュータ・ネットワーク・オペレーション(OCN)」と表現している。OCNとは米国をはじめとする西側陣営のサイバー軍がサイバー戦争を戦う上での軍事作戦を示す軍事用語である。

 OCNは、コンピュータ・ネットワーク・エクスプロイテーション(CNE)とコンピュータ・ネットワーク・ディフェンス(CND)、コンピュータ・ネットワーク・アタック(CNA)の3つの作戦行動で構成される。「OCN」と表現するということは、既に戦闘状態にあることを意味している。

 この3つの作戦行動の中で最も重要な作戦行動は言うまでもなくエクスプロイテーションである。エクスプロイテーションは「弱点探査活動」のこと。もともとハッカーが使用していた用語を軍が採用したと言われている。具体的には、標的となる組織や人が持つネットワークの構成やどのような弱点が存在するのか、どのサーバーを攻撃すればどのような事態に陥るのかを事前に探査することをいう。サイバー戦争の勝敗を決する最重要の作戦行動である。

 中国人民解放軍がサイバー分野に注力するようになったのは、このCNEを繰り返し行ううちに国家機密や先進国の知的財産がいともたやすく、しかもコストをかけることなく入手できることに気付いたからだとされている。この点を重視し、中国の行動は本来のCNEの目的から逸脱し、GDP(国内総生産)攻撃(GDP Attack)に至っていると指摘する専門家もいる。

 そう指摘するのは米国のシンクタンクの1つ、サイバー・コンセクエンス・ユニット(The U.S. Cyber Consequences Unit)のCEOスコット・ボーグ(Scott Borg)氏だ。この団体はサイバー攻撃がもたらす経済への影響を研究している。ボーグ氏は次のように指摘する。「知的財産の盗取はもちろんこと、交通管制システムや化学プラント、発電設備や製造設備、金融システムなどがサイバー攻撃によって何らかの被害を受けたとする。それらは一時的な被害としていずれは復旧する。だが、こうした攻撃が繰り返し行われればその国の国内総生産は確実に減衰する。GDPの減衰はまさに国力や軍事力の衰退につながる」。

 同氏は筆者にこう忠告してくれた――相対的に優位な立場に立って属国化を図る100年単位の非常に長期的な戦術であることに気付く必要がある。サイバー攻撃が威嚇や武力攻撃を補強するだけの手段ではないという意味において、マンディアント社の報告書はわが国への警鐘でもあると認識する必要がある。

語学力が飛躍的に向上

 さて今回マンディアント社が公表したAPT1の手口は、フィッシングメールを端緒とした既によく知られた手口だ。標的とする組織の従業員にメールを送信し、添付ファイルを開かせることでウイルスに感染させる。「バックドア」と呼ばれる外部からのアクセスを可能とするプログラムを送り込んで遠隔操作を可能とする。例示されている、あるフィッシングメールは、従業員の福利厚生に関する変更通知。ファイルもPDFファイルを偽装したもので、つい開封してしまいそうになる。

 従来にも増して事態が深刻化しているのは、攻撃者の英語能力が飛躍的に向上している点だ。メールにある文章は、その真贋を判定する拠り所の1つとされてきた。従来の文章は稚拙で明らかに外国人のものと思わせるものだったが、今回、確認されたフィッシングメールの文章はネイティブが書いたものとそん色ないものに進化を遂げている。より巧妙なものになったと言える。

 攻撃者の外国語能力が向上すれば、いずれ、標的とする国の言語仕様の攻撃ツールを使用するようになるだろう。マンディアント社が指摘する状況証拠の1つ――中国語OSを搭載したパソコンを使用――が瓦解する日は遠くないはずだ。

 この点は日本への攻撃も同様だ。内部の情報に通じたうえで、自然な日本語で作文する傾向がより強くなっている。このことを、企業は知っておく必要があるだろう。


山崎 文明(やまさき ふみあき)

ネットワンシステムズ株式会社 フェロー
システム監査技術者(経済産業省)
システム監査、情報セキュリティ、個人情報保護に関する専門家として、情報セキュリティに関する政府関連委員会委員を歴任。
主な著書に「すべてわかる個人情報保護」(日経BP社)、「情報セキュリティと個人情報保護 完全対策」(日経BP社)、「コンティンジェンシー・プランニング」(日経BP社 共著)等がある。

(委員等就任実績)
内閣官房安全保障危機管理室 情報セキュリティ対策推進室WG委員
警察大学校不正アクセス犯罪等対策専科講師
学校セキュリティ検討委員会委員(経済産業省)
サイバーテロ演習評価委員会委員(経済産業省)
不正プログラム調査研究委員会委員(警察庁)
サイバーセキュリティ調査研究委員会委員(警察庁)


ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。


03. 2013年2月28日 01:20:39 : Zag6oDNMIo
「米企業を狙ったハッカーは中国人民解放軍だった」との報告書が狙うもの

米政府の対中戦略の一環を担う?

2013年2月28日(木)  The Economist


 諜報機関と民間のセキュリティ専門家は、もう何年にもわたって、中国のハッカーが欧米企業の機密情報を狙っていると警告してきた。今、その叫び声はかつてないほどに高まっている。サイバー攻撃の内容がどんどん大胆になり、中国政府が関与している可能性が浮上しているからだ。米グーグルのエリック・シュミット会長はこれから出版する著書の中で、中国を(外国企業を狙う)「最も洗練され、最も多産な」ハッカーと評しているという。

 米国では多くの政治家が中国のハッキング行為に憤慨している。その結果、議会では騒々しい公聴会がいくつも持たれ、中国企業への厳しい措置もとられた。2月の初め、オバマ政権はサイバーセキュリティ対策を強化する方針を表明した。中国にとって最大の貿易相手である欧州も憤っている。欧州委員会(EC)は、ハッキングを受けた企業が当局に対して被害状況を報告するよう義務づけようとしている。

 これまで中国政府は、サイバー攻撃が疑われるたびに激しく否定してきた。中国当局は、中国を非難する人々は確固たる証拠を示したためしがないと指摘する。だがその言い分はもはや通用しない。2月19日、米国のサイバーセキュリティ企業マンディアントが、ある奇妙なハッカー集団の活動を詳細に記した報告書を発表したのだ。

 マンディアントは欧米企業の情報を保護する活動をする中で、このハッカー集団が膨大な知的財産を狙って、どのように企業ネットワークに侵入したかを観察してきた。大きな驚きだったのは、この集団の正体が中国人民解放軍(PLA)のエリート部門であるという主張だ(中国政府はこれを否定している)。上海の金融街近くに建つありふれた白いオフィスビルに拠点を持つ、「61398」という部隊だという。

 この報告書を真剣に受け止めるべき理由はいくつかある。まず、マンディアントには確かな実績がある。同社は米ニューヨークタイムズ紙が長期にわたって受けたサイバー攻撃(その事実は先月公表された)を追跡調査し、その発信元が中国当局であることをつきとめて一躍脚光を浴びた。

 また、中国の行為と疑うこれまでの指摘と異なり、ハッカーが取った手法とマルウェア(悪意を持ったソフトウェア)に関する証拠書類を綿密に作成している。「コメント・クルー」として知られるこのハッカー集団は十数カ国で1000近いリモートサーバを使っていた。マンディアントはそれらを追跡調査し、上海にある複数のネットワークにたどりついた。そこは人民解放軍の敷地にほど近い場所だった。

「まず中国を非難せよ」という風潮は間違い

 ただし、異を唱える者もいる。米国のセキュリティ・コンサルティング会社タイア・グローバルのジェフリー・カール氏は、今回発表された報告書には「まずは中国を非難すべき」というバイアス(先入観)がかかっている、その調査方法論も厳密さに欠けると指摘する。

 マンディアントはカール氏の指摘を受け入れていない。ただし、同社が提示する証拠が指し示すのは第61398部隊の入った建物自体ではなく、その周辺地域である点は認めている。それでも、組織力と資金力を兼ね備えたハッカー集団がフォーチュン500企業へのサイバー攻撃を何のセキュリティもかけていない場所からしかけているとは考えにくい。

 とはいえ、何でもかんでも悪いことを中国に結びつける姿勢に疑問を呈するのは、まったくもって正しいことだ。例えば、近ごろシステムへの侵入を受けた米アップル、米フェイスブック、米ツイッターのケースは、東欧のハッカーの仕業である可能性がある。世界最大の石油会社サウジアラムコの機密情報を狙った最近のサイバー攻撃にはイラン勢が背後にいたと思われる。米中央情報局(CIA)で最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務めたロバート・ビッグマン氏は、サイバー犯罪に関しては、ロシアやブルガリア、ルーマニア、ウクライナも中国と同様に要注意国家のリストに並べるべきだと言う。

 最近、米国のある通信会社が、自社の取引先が買収した中国企業の調査をダイア・グローバル社のカール氏に依頼してきた。この中国企業が、中国政府が支援するハッカー集団と無関係であることを確認したかったのだ。結果は「無関係」だった。だが、調査を進める過程で、この中国企業がかつて利用したソフトウェア外注企業が、ロシア諜報機関の偽装組織だったことがわかった。

 米セキュリティ会社クラウドストライクのドミトリ・アルペロヴィッチ氏は、マンディアントの報告内容はおそらく正確だと考えている。クラウドストライクは2年前に中国人民解放軍のハッカーを逮捕寸前まで追い詰めた。元CIA職員のビッグマン氏もこの見解に同意する。ただ、これらのハッキング行為を中国当局が統制しているのか、それとも単に容認しているのかは不明である。

報告書は、米国の対中戦略の一環か

 今回の報告書が1つの転機になると考えるべき別の理由は、そのタイミングにある。その発表は、米国当局が推奨していることをうかがわせるタイミングだった。マンディアントのリチャード・ベイトリック氏は、同社がこの報告書の公開を決めたのはわずか1カ月前のことだと言う。通常であれば、報告書の詳細な技術情報を求めて民間の顧客が多額の報酬を支払ったはずだ。だが「行動に出なければ」という政治指導者たちの機運の高まりを考慮し、インテリジェンスの専門家と報告書について議論したうえで、公開した。マンディアントはこの報告書を「サイバー戦争を戦うためのもの。『害のない中国』説に挑戦するための手段」と位置づけている。

 北京を拠点に活動する技術専門家のビル・ビショップ氏は、この報告書は、中国にハッカー活動を抑制させることを狙った米国の新たな「実名晒し」作戦の一環であると考える。そして、こう懸念する。一定の効果はあるかもしれないが、米国があまりに強く迫れば中国の新指導部は窮屈に思う。人民解放軍と世論からの圧力を受け、中国当局は逆に行為をエスカレートさせるかもしれない。

 米国のシンクタンクである外交問題評議会のアダム・セガル氏は、米国は貿易上の罰則や査証(ビザ)の発給制限、金融制裁などの措置を積極的に講じるべきだと言う。知的財産の盗難を割に合わない行為にするためだ。「『やりたい放題にできるわけではない』ということを中国は思い知らなければならない」と同氏は主張する。米国は2月20日、企業の機密情報の盗難防止に向けた取り組みを強化する方針を発表し、中国を強く意識していることをうかがわせた。

中国で知的財産権への意識が高まる

 これまでは、サイバー攻撃の被害に遭った多くの企業がその事実を認めるのをためらってきた。競合他社に知られたり、投資家に危機感を持たれるのを恐れたからである。おそらくマンディアントの今回の報告書は、安全保障に向けて企業が相互に協力していく原動力となるだろう。

 在北京米国商工会議所のクリスチャン・マーク代表は、サイバー被害に関する企業の沈黙を、偽ブランド品をとりまく十数年前の沈黙になぞらえる。当時、偽ブランド品は中国市場における大問題だった。欧米企業は自己ブランドのイメージが下がることを恐れて声を上げたがらなかった。しかし企業は次第に協力体制を整え、情報を共有し、より強力な法律の制定と施行を求めるロビー活動を展開した。偽ブランド品は今でも広く出回っているが、それでも以前に比べれば扱いやすい問題となっている。マーク氏はハッキング問題もいずれそうなるかもしれないと言う。

 被害に遭った欧米企業は、さらなる希望を抱いている。中国の優良企業では、知的財産の盗難に対する姿勢が変化している可能性がある。中国の通信機器メーカー、中国華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)は、知的財産の盗難を巡っていがみ合いを続けている。中国で医療技術のパイオニア的存在であるマインドレイ・メディカル(邁瑞医療)は、設計を盗作したとして元従業員を提訴した。

 つまり、中国企業も自社の知的財産を持ち始めており、今後は法制度が自らの資産を守ってくれることを求めるようになる。その過程で、中国企業は従業員に対しても知的財産を尊重するよう教育し始めた。中国では裁判の判決もカネに左右されたり、操作されたりする可能性があるため、海外からの圧力は今後も厳しいものになるだろう。こうした外圧の存在や国民の意識の高まりが変化を呼ぶかもしれない。それでも実際に変化が起きるまでには長い時間がかかりそうだ。

©2013 The Economist Newspaper Limited.
Feb 23rd, 2013 All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


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オバマ大統領はなぜ尖閣問題に「無言」だったのか
日米同盟の強化とは無縁だった安倍首相の訪米
2013年02月28日(Thu) 北村 淳
 安倍晋三首相の訪米に関して、訪米前よりトップニュース扱いをしていた日本のマスコミは、アメリカのマスコミも高い関心を示しているかのようなニュアンスで報道していた。だが、実際にはアメリカでの関心は低調であった。ただし例外的に「ワシントン・ポスト」が安倍首相への単独インタビューを掲載したが、その記事に対して中国政府が反発した模様が若干の関心を引いていた程度であった。

 その安倍首相訪米に関して、アメリカ政府が公表した公式な声明は3つである。まず、安倍首相とオバマ大統領が主に安全保障問題に関して話し合った後に、公式記者会見ではなく記者を前にして共同で「談話」の形として発表した声明。次に、日本のTPP交渉参加に関する「日米共同声明」。それに首脳会談後の岸田文雄外相とケリー国務長官との会談前に行われた共同記者会見での声明であった。

 それらのうち、オバマ大統領の声明とケリー国務長官の声明の中で、アメリカ側は日本の安全保障に関して言及した。まずは、それらの安全保障に関する公式表明を見てみよう。

共同談話中の安全保障に関するオバマ大統領の声明

 「日本はアメリカにとり緊密な同盟国の1つであり、日米同盟は太平洋地域におけるアメリカによる地域安全保障と様々な活動の根幹をなしていることは明らかです。そしてその親密な関係は政府間にとどまらず国民の間にも広がるものであります。

 安倍首相自身はアメリカにとって見知らぬ人ではありません。彼と私は、同じような時期にカリフォルニアで学んでいたと記憶しております。そして今回のオーバルオフィス訪問は首相にとって初めてではありません。したがって、私たちが、あらゆる分野にわたって非常に強固な職務上の関係を築くことを期待しております。

 われわれは、幅広い安全保障問題に関して、とりわけ北朝鮮が取り続けている挑発的行動に対する懸念とそれに対する強固な対抗措置の決定について、緊密な協議をいたしました。

 また、私たちは広範囲にわたり多国間問題に関して話し合い、アメリカのアフガニスタンでの活動やイランでの核問題解決に対する取り組みなどに対して日本が行った支援に対する私からの感謝を伝えるとともに、アルジェリアのBP施設での人命の犠牲に対してお互いに弔意を表明し、これによってより強力な対テロ対策に関する協力を促進することを約束しました」

ケリー国務長官の会談前の安全保障問題に関する声明

 「世界のトップ3の経済大国のうちの2カ国であるわれわれが、そして非常に強い同盟に基づくとりわけ特別な友人同士としてここに会しています。(日米)同盟は、アジア太平洋地域の平和と安全保障にとって欠かせない世界的規模での協力関係へと発展しつつあります。

 私は、数多くの世界的諸問題、つまりテロ対策、日本が主たる協力者であったアフガニスタンに対する努力、そして最近においては残念ながら犠牲者が出てしまったマリでの取り組みなどに関して日本が行った絶大な協力に対し、日本の人々と指導者の方々に大いなる謝意を表明します。

 また、私たちはイナメナスの施設で10名もの日本市民が犠牲となったことに対して大いなる哀悼の意を表明いたします。さらに、日本は核不拡散に対しても熱心に活動してきております。日本の人々はイランからの燃料の使用や輸入・購入を削減するための重要なパートナーであります。日本は、制裁実施にとって欠かせません」・・・・

 「日米関係の重要性を強調することとして、言うまでもなくすべての人が尖閣諸島を巡っての緊張を意識しています。そして私は、この問題が決定的な対決へと燃え上がらないようにするための日本の努力と、日本が示している抑制的行動を称賛いたしたいと思います。

 さらには、近頃、核実験という無謀な振る舞いを敢行した北朝鮮に関して、われわれは日本との同盟関係が強固であり、アメリカによる日本の安全保障への責務は本物であり、アメリカは日本を支援する、ということを表明いたします」

アメリカのメディアの関心の低さ

 安倍首相とオバマ大統領の共同談話の模様に始まり、TPPに関する共同声明を中心に日本の報道機関はトップ扱いで報じた。安全保障問題に関しては、オバマ大統領からの言及があまりなかったため、ケリー国務長官の声明や会談内容を日本のマスコミは断片的に組み替えて伝えるしかなかったようだ。

 とりわけ、尖閣問題に関してアメリカの後ろ盾にすがりつこうという姿勢で自主防衛能力構築の気概に欠ける一部マスコミは、ケリー国務長官が尖閣諸島問題に対するこれまでの日本の自制的対応を(上記のように)評価したことを紹介するとともに、外相との会談の中で「尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲にある」との「アメリカの揺るぎない立場」を強調している。

 一方、アメリカのマスコミの対応はどうであったか。一言で言うと、外相会談の内容はもとより首脳会談の結果に関してもほとんど関心を示さなかった。

 会談当夜や翌日の主要テレビ放送局のニュース番組ではほとんど取り上げられず、PBS(公共放送サービス)のように例外的に数分間の時間を割いて取り上げたとしても、主たる内容は「なぜ日本と中国が揉めているのか?」という視聴者の大半が知らない尖閣諸島問題についての解説であった。

 実際に、オバマ大統領やケリー国務長官の日本を巡る安全保障に関する声明や談話に関して論じている英文メディアは日本関係メディア(例えば「Daily Yomiuri」「JIJI」「Japan Times」)、あるいは中国メディアの英語版といったところであり、アメリカのメディアによる関心の低さを物語っている。

中国メディアは「安倍首相は冷遇された」と酷評

 アメリカのメディアと違い、中国(政府・メディア)は安倍首相訪問以前から、首脳会談には高い関心を示していた。ワシントン・ポスト紙の安倍首相へのインタビューに対する中国側の反発などは、そのような関心の高さを物語っている。

 もちろん中国側の関心の高さは、TPPに関してではなく尖閣諸島問題をはじめとする日本の安全保障に関するアメリカ首脳の対応であったのは当然のことである。

 そして、オバマ大統領が上記の談話に示されているように北朝鮮問題には触れたものの中国そして尖閣諸島問題には一切触れなかったことや、ケリー国務長官も尖閣問題に触れるには触れたが、なんら「踏み込んだ」表現はしなかったことから、日本側の「アメリカという虎の威を借る」作戦は失敗に終わったとほくそ笑んでいるのである。

 また、「人民網」をはじめとする中国メディア(中国語版・英語版)は、(1)アメリカ側の各種公式歓迎行事が行われなかった、(2)両国首脳の記者会見が定例の記者会見部屋では行われず簡素な「小型記者会見」で済まされた、(3)アメリカメディアの首脳会談や日米同盟関係に関する報道が極めて低調であった、といったような理由を挙げて、「安倍首相は冷遇された」とか「尖閣問題でのアメリカの後押しを得ようとする安倍首相の目論みは失敗に帰した」といった論評を加えている。

中国の酷評を一笑に付すわけにはいかない

 中国メディアが「冷遇」の根拠として挙げたような、様々な公式歓迎行事が行われなかったことや仰々しい記者会見を行わなかったことのみをもってして、「冷遇」と決めつけることはできない。

 例えば、オバマ大統領2期目の就任式の晩に行われた大統領と大統領夫人による公開ダンスパーティー(伝統的に就任式では行われる公式行事)も、これまでにないほど極めて簡素であり、メディアも驚いていたほどである。すなわち、危機的な財政状況下で、できるだけあらゆる経費を削減しようという第2次オバマ政権の方針によって、各種歓迎行事や儀式的な記者会見があえて避けられたのかもしれない。

 しかし、そのように日本側にとって配慮した解釈をしてみたとしても、アメリカのマスコミの首脳会談に対する関心が低かった事実は事実であり、会談後の報道がほとんどなされなかったのもまた事実である。つまり、アメリカのメディアにとっては、何ら新しい動きや方向性が打ち出された日米首脳会談ではなかったため、報道価値は見いだせなかったのであった。

 とりわけ安全保障関係に関しての「成果」は日米双方ともにゼロに近かった。アメリカ側にとって15年以上も我慢に我慢を重ねてきた普天間基地移設問題にしても、何ら目新しい、あるいは実現可能性が高い具体的な方針が首相や外相によってもたらされたわけではないし、中国との軍事関係に関しても日本側による主体的な対応方針が示されたわけではなかった。

 アメリカ政府首脳に「尖閣諸島は日米安全保障条約の対象範囲内」と言ってもらうのを何よりも期待するこれまでの「ワシントン詣で」(岸田外相はクリントン長官、ケリー長官と2回目になる)と何ら変わることはなかった。もっとも、ケリー長官はこのような決まり台詞を公式会見では言わずに会談の中で口にしたようであるが、オバマ大統領は一切口にしなかった。このような意味においては、中国の安倍首相訪米に対する酷評を一笑に付すわけにもいかないのである。

実のある日米同盟の強化策が必要

 尖閣問題が注目されている最中に、しかも前民主党政権が沖縄基地問題を暗礁に乗り上げさせてしまった後に、日米同盟関係の正常化を標榜する安倍首相が自らホワイトハウスに乗り込んだ。だが、それにしては、日本の自主的な国防政策に関する大胆かつ具体的な方針転換は全く示されなかった。アメリカ側が失望したのも無理からぬところである(それほど期待していなかったというのが実際ではあるのだが)。

 実際に、アメリカの軍事戦略専門家からは、「にっちもさっちも行かなくなってしまった普天間基地移設問題は、この際、抜本的に仕切り直しした方がよいのではないか?」「中国やアメリカの軍事情勢を勘案すれば、日本はいい加減にアメリカにおんぶにだっこの状態がもはや長くは続かないことを悟り、何らかの自主防衛力強化策を速やかに実施すべきではないのか?」「安倍政権に限らず歴代の日本政権は日米同盟の強化強化と言っているが、何をもってして日米同盟の強化と言っているのか具体的な内容が知りたい」といった声が少なからず聞こえてくる。

 軍隊内部の戦略・政策立案部門と民間シンクタンクや各種研究機関、それに政府部内の軍事・安全保障政策策定部門の間の緊密な交流が盛んな米国では、このような専門家たちの声は、多かれ少なかれ大統領をはじめとする政府首脳の耳にも届いている。そして、少なくとも日本の大半の政治家よりは軍事的素養や戦略的思考を身につけているアメリカ政府首脳たちには、たとえ日本や東アジア情勢のエキスパートでなくともある程度は上記のような軍事的疑問は理解可能である。

 そのようなホワイトハウスに、軍事的に手ぶらな状態で乗り込んでも、TPPはともかく日本の安全保障にとって、そして同様にアメリカの東アジア軍事政策にとって、何らプラスになる成果が生み出せないのは自明の理である。その結果が、オバマ大統領による「無言」であり、中国による酷評なのである。

 遅ればせながら日本政府は、上記のような様々なかつ深刻な疑問に答える形で、具体的かつ実現可能な日本防衛方針の抜本的転換を急遽策定し内外に示す必要がある。

 このままでは、ワシントンで「冷遇」とまではいかずとも「さしたる関心を持たれなかった」安倍首相一行のように、日本自体がアメリカそして国際社会から何らの関心も(軍事的にはという意味であるが)持たれなくなってしまうことは必至と言えよう。


中国語を話す者は信用できない、に変化の兆し
いがみ合うモンゴル人と内モンゴル人、日本が仲介役に
2013年02月28日(Thu) 荒井 幸康
 あけましておめでとうございます。

 ・・・と言っても、いろいろ事情があって2週間遅れてしまったが、2月11日はモンゴルにとってツァガーン・サル、旧暦の正月である。

同じ旧暦でも中国とモンゴルでは正月が異なる


「300の中国にある優れた大学で学ぼう」 「(初級から上級)すべての段階の中国語教えます」と書かれた宣伝。後ろはモンゴル日本センター
 「あれ10日じゃなかったの?」と言う人もいるかもしれない。しかし、中国とは違うのだと、この際なのではっきりと言っておかなければならない。

 季節の風物詩として、爆竹が激しくなり、龍が舞い踊る中国の春節をテレビで見て知っているためか、「あのあれだろう・・・中国の暦で新年にやるやつだろう」とよく言われるが、モンゴルとチベットには別の暦があり、両国とも仲良く、中国とは別の暦で正月を迎える。

 場合によっては正月となる日が中国とは1カ月近く異なる日もある。

 ・・・と言っても、中国では自分の暦どおりに領内にいる少数民族にも祝わせているようで同じ民族なのに違う日にやるときがある。「お国の事情」というやつである。

 中国と言えば、西の端に行っても東の端に行っても同じ時間である。あれだけ巨大な国なのに、米国やロシアのように、様々な時間帯に分けられず1つの時間で運営されている不思議な国である。

 そういう国だから、チベットやモンゴルの正月まで「同化」しようとしているように見えなくもない。

 さて、それはさておき2月9日、板橋区役所近くのあるホールで様々な地域のモンゴル系の人々が一緒になって、独自の暦での正月を祝うイベントが行われた。

 中国の内モンゴルや、新疆などから来ている人々、モンゴル国のモンゴル人、ロシアのブリヤート人など総勢200人以上が参加した大きなイベントとなった。日本で内モンゴルや新疆とモンゴル国の人々が共同して、行うこのようなイベントが開かれたのは、大きな意義がある。

 と言うのも、民族が同じでも、国が違うと反目する部分も少なくなかったからである。

 モンゴル国、内モンゴル自治区(中国)、ブリヤート共和国(ロシア)などモンゴル系の人々はその多くが地続きのところに住みながら、国境により分断されている。

 この状況をどう名づけるのかは非常に難しい。ディアスポラ(離散)ということばで語ることもあるが、人は動かないのに、国境ができてしまった、それゆえ交流できないという状況は、決して離散している状況とは言えないだろう。

国が分けられモンゴル人の間にできた大きな溝


(右)2011年に出たモンゴル・ディアスポラに関する雑誌 (左)2013年2月に出たばかりの『モンゴル系諸民族の文学』
 しかし、そのような状況が20世紀になってモンゴル諸族のいる地域では作られてしまった。

 1960年代の中ソ対立の中でソ連側についたモンゴルは、中国との行き来はそれほど頻繁ではなく、またある程度管理された中でのものであった。

 そのため、お互いがどう変わってしまっているのか、それを明らかにさせる出来事はそれほど多くなかったと考えられる。

 しかし、ソ連ブロックと中国の間にあった門が再び開かれて以降、つまり1990年頃からここ20年間の交流の中で生じた文化的な衝突により、モンゴル国のモンゴル人と内モンゴル出身のモンゴル人の間にできた溝は非常に深いものになってしまった。

 何がその原因なのだろうか?

 もともと中国に対する警戒心は強いものがあった。一時期、ソ連に対する批判が高じ逆に中国に対する期待が高まった時期もあった。

 1990年代、国境が開き、人々の交流が盛んになってきた時期にすでに改革開放路線へと方針転換し、商売の経験がモンゴル人よりも長けていた中国出身者との交流で損失をこうむることが多かったため中国人は信用できないというイメージが復活する。

 それに伴い、中国とのビジネスを仲介していた内モンゴル出身者も、同じモンゴル語と言っても首都ウランバートルの話す方言とは違い、さらに、中国語も話せるため「中国化してしまった」モンゴル人で信用できないと考えるようになった。

 同じモンゴル人なのに中国出身というだけで、敵対心をむき出しにしているモンゴル人を何度も見ている。

 かく言う私も話すモンゴル語のアクセントが完璧ではないため、何度か中国の内モンゴル出身者と間違われ、かなりひどい差別を受けたことがある。

 内モンゴル出身者からすれば、モンゴルは、道端で行きかう人々から普通にモンゴル語が聞こえる憧れの国だった。そのような憧憬の念の返礼として、敵対心をむき出しにした仕打ちを受けると、自ずと複雑な感情が芽生えても不思議ではない。

 ケンブリッジ大学で教鞭を執る内モンゴル出身のウラディン・ボラグ氏は、モンゴル国へ行って生活する中で、その夢が破れていく体験を内省的に省察し、『モンゴル国におけるナショナリズムとハイブリッド性』という1冊の英語の本にして世に問うている。

中国人をパートナーに受け入れる機運

 しかし、最近はこのような状況には変化が生じ始めている。

 気を抜けばどうなるか分からないという気持ちは相変わらず抱いているものの、鉱山開発など、大きな経済的発展に結びつくプロジェクトに中国をパートナーとして、うまく受け入れていこうと考える人も多くなった。

 以前のモンゴルを知る人間からすると、あり得ないと言うだろうが、今、モンゴルにおいても中国語を学習する人が増えてきているという。モンゴルの日本大使館に勤める方から聞いた話である。

 また、まだ少数かもしれないが生活が安定し、余裕ができつつあるモンゴル国のモンゴル人自身も、ほかの国や地域にいるモンゴル系の人々への関心を持ち始めているように見える。

 他のモンゴル系の人々が住む地域に対して、冷静な声がモンゴルで聞こえるようになったことは、統計的な実数を示せるわけではないが、モンゴル国出身者と内モンゴル出身者の関係が変化しつつことを示しているようにも思える。

 その表れの1つとして、日本で今回、内モンゴル、モンゴル国の出身者が合同で旧正月を祝う宴が実現したという出来事を強調したいと思う。

 以前であれば、このようなイベントを開くことは困難であったし、両政府の目を気にして、ほとんど来る人はいなかっただろうとも想像できる。実際、このような企画に対する批判の声もあったらしい。

 それを乗り越えて開催され、最終的には、200人超という当初の予想を超えた人たちが訪れた。おかげで会場は立錐の余地がないほど混み合い、ぎゅうぎゅうだった。

 馬頭琴の演奏、踊り、モンゴルの長唄のほか、ボイスパーカッションなど両地域の才能が集まり、そのパフォーマンスに対し、両地域の参加者は拍手を送った。

 組織者として中心的役割を担った方は、内モンゴルとモンゴル国出身者の相互理解を深めるべしという、自分の父親が現状を憂いて語ったことばの意を汲みこのような会の実現に奔走したそうである。

世界中でつながり始めたモンゴル人ネットワーク

 ということで、モンゴル人同士仲良くなりましたね・・・で、この記事は終わりではない。以前、「英語や中国語より人生に役立つ言語を学ぼう」という記事の中で、世界さまざまなところでモンゴル人とつながりを持つことになったエピソードを書いた。

 モンゴル系の人々のネットワークにおいて内モンゴル出身者とモンゴル国出身者が、部分的に接点を持ち、場合によってはチベット人ディアスポラのネットワークも巻き込んで複雑な形で絡まり合い、世界中でつながっている。

 あくまで、人と人とのつながりであることを強調したいが、以前は薄かった内モンゴルとモンゴル国出身者のネットワークが強くなっていく。

 日本での動向は、もしかしたら日本だけの動きではなく、現代のモンゴル世界を変えていく、その兆候なのかもしれないということである。


04. 2013年3月01日 10:57:34 : xEBOc6ttRg
JBpress>海外>アジア [アジア]
中国は「レーダー包囲網」に監視されている
日本とアメリカ、台湾がミサイル情報を収集
2013年03月01日(Fri) 阿部 純一
 安倍晋三総理の訪米が成功裏に終わった。安倍総理は首脳会談後の共同記者会見で、「日米同盟の具体的な政策においても、方向性においても完全に一致することができた。日米同盟の信頼、強い絆は完全に復活したと自信を持って宣言したい」と述べ、日米同盟の復活と深化という懸案が達成されたことを明確にした。

 この日米首脳会談の成果の1つとして、京都府京丹後市の航空自衛隊・経ヶ岬分屯基地に米軍の早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を追加配備する方針が打ち出された。これが実現すれば、青森県つがる市の空自・車力分屯基地に次いで国内2カ所目となる。

 経ヶ岬へのレーダー配置は、北朝鮮がグアム方面にミサイルを飛翔させる場合の探知・追尾を主眼としているが、東京など首都圏をめがけたミサイル発射の警戒も担うことになる。車力分屯基地のレーダーは主に米本土を標的とするミサイルの探知・追尾を目的としており、経ヶ岬のレーダーと役割が分担される。

朝鮮半島をカバーし、中国の弾道ミサイルも探知

 実は、2カ所目のXバンドレーダーの設置を巡っては紆余曲折がある。2012年8月の「ウォールストリート・ジャーナル」の記事では、沖縄が候補に挙げられていた。9月にはパネッタ国防長官(当時)が来日し、米国から調査チームを派遣することが伝えられ、中国を刺激することを避ける意味合いを含め、「沖縄以外の日本の南部」ということで日本海側の適地を探っていた。

 パネッタ長官に同行した米高官は「レーダーは中国に対する防衛用のものではない」ことを指摘しつつ、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対抗するものであることを強調していた。経ヶ岬分屯基地は、北朝鮮を睨む位置としてまさに「適地」であろう。

 経ヶ岬に実際に配備されるレーダーは、車載移動式のXバンドレーダー「AN/TPY-2」で、車力分屯基地に配備されたものと同じとされる。その有効探知範囲は約1000キロメートルとされるが、1平方メートル級の目標なら、探知可能な範囲は約2300キロメートルにも及ぶ。ということは、1000キロメートルなら朝鮮半島全域がカバーされ、2300キロメートルなら中国の北部沿岸地帯もカバーされることになる。

 仮に1000キロメートルであるとしても、中朝国境の北部、吉林省・通化がギリギリ含まれる。通化には、中国が日本を標的に配備している「東風21」など中距離弾道ミサイルの基地がある。北朝鮮の弾道ミサイルに対する警戒が主眼であるとしても、経ヶ岬のレーダーは中国の弾道ミサイルも探知・補足し得るのである。

 このレーダーの情報は、イージス艦とデータリンクされており、イージス艦が日本海にいなくても、迎撃可能な場所にいさえすればスタンダードミサイル「SM-3」で迎撃が可能とされる。

 補足すれば、航空自衛隊も独自に早期警戒レーダーを展開している。通称「ガメラレーダー」と呼ばれるLバンドレーダー「J/FPS-5」が、新潟県・佐渡分屯基地、鹿児島県・下甑島分屯基地、沖縄県・与座岳分屯基地にそれぞれ配備されている。探知距離は約1200キロメートルで弾道ミサイル、巡航ミサイルの追尾が可能だという。

 言うなれば、日本海全域、東シナ海、黄海はこれらレーダーの守備範囲に入っているというわけである。

台湾が米国から購入した早期警戒レーダー

 ところで、経ヶ岬に配備されるXバンドレーダーは、レーダー施設としては輸送機で運搬可能な小規模なものである。それとは対照的な、大がかりなレーダーが台湾で2013年2月から稼働を開始している。それが台湾の北部、新竹県楽山の山頂(標高2660メートル)に設置された長距離早期警戒レーダーである。

 探知範囲は約5000キロメートルに及び、ほぼ中国全土をカバーするばかりか、南シナ海、朝鮮半島、日本全域をもカバーする。2012年12月の北朝鮮による「衛星打ち上げ」も、試験稼働中だったこのレーダーはしっかり探知・追尾に成功している。

 1995年夏と96年春に、中国が台湾近海に向けて弾道ミサイル演習を実施した。このとき、台湾はミサイルを探知・追尾できるレーダーを持っていなかった。そこで米国から早期警戒レーダーを購入するという話になった。

 だが、ここから話がややこしくなる。2000年代に入って、レイセオン社の「AN/FPS-115 Pave Paws型レーダー」か、それともロッキード・マーチン社の「LM デジタルUHF型レーダー」か、という選択肢が提示されたのだが、台湾がその選択を絞りこまないまま、2004年3月30日に米国防総省は議会に対し、総額18億ドルに上る早期警戒レーダー2基の売却計画を通知した。

 台湾が米国との契約締結をためらううちに、2005年春にはロッキード・マーチンが手を引き、結局2005年6月にレイセオンが台湾と総額7億5200万ドルで早期警戒レーダー1基を2009年9月までに建設する契約を結んだ(2007年には台湾が留保していた米国からの2基目のレーダー建設のオファーを拒絶している)。

 このレーダー建設は、その後の工事の遅延や機材の値上げ等、台湾と米国との間で摩擦が絶えなかったが、結局13億8000万ドルをかけて2013年2月、ようやく正式に稼働するところまで来た。当初の構想から数えれば10年以上かかったことになり、その間、中国の台湾向け弾道ミサイルの戦力規模は増強が続き、現在では1400基以上と見積もられている。

レーダー情報の共有が米台の「非公式同盟」を強化する

 中国の戦術弾道ミサイルが発射され台湾に到達するのに10分もかからない現実を考えれば、台湾の防衛にとって、このレーダーができたことによる防衛上のメリットは乏しいと言わざるを得ない。台湾有事の際に中国が真っ先に潰しにかかるのがこのレーダーだとすれば、台湾はただでさえ数の少ない「パトリオット PAC-3」迎撃ミサイルを、このレーダーを守るために振り向けなければならない。そうであるとするならば、台湾にとってこのレーダーは無用の長物のようにも見える。

 しかし、もちろん台湾側の了解が前提になるが、このレーダーの情報を米軍が共有するとなれば話は違ってくる。というよりも、これはもともと米国が台湾にパトリオットPAC-3を供与する時点から始まっている話であり、この早期警戒レーダーも同じ文脈にある。台湾のミサイル防衛も、米国の早期警戒衛星によるデータとリンクすることで機能する。台湾の早期警戒レーダーがそれを補完する位置づけであるとすれば、米軍とのデータリンクは織り込み済みとも言える。

 言うまでもないが、台湾と米国には国交がない。しかし、米国内法である「台湾関係法」で、米国は台湾の安全保障にコミットしている。早期警戒レーダーの情報共有は、国交のない米台の「非公式同盟」を強化するものとなる。そう考えれば、極めて高価な早期警戒レーダーも台湾にとって十分に引き合う投資と言えるだろう。

 中国海軍フリゲートによる海自護衛艦やヘリへの火器管制レーダー照射が注目されたが、中国自体が、周辺海域を含めて米国を中心に日本、台湾のレーダーで監視される状況になっていることをどこまで自覚しているのだろうか。

 中国の国防戦略の核心は「情報化条件下における局地戦争に勝利する」こととされている。だが、「情報化」については、中国が逆に「レーダー包囲網」に直面している事実を認識しなければならない。


 


 

安倍首相訪米をこき下ろす中国政府の意図
大いなる対「日米」警戒感の裏返し〜中国株式会社の研究(204)
2013年03月01日(Fri) 宮家 邦彦
 米東部時間2月22日、懸案だった日米首脳会談がホワイトハウスで行われた。24日付中国各紙は、「安倍は訪米で冷遇された」「冷淡に扱われた」「米国は中国に遠慮して低調にした」などの見出しを掲げ、一様に安倍晋三首相の訪米を扱(こ)き下ろしている。

 日本人にとって愉快な記事ではない。しかし、第三者の目から客観的に見ても、一連の中国側報道にはかなり違和感がある。そこで今回は、中国側の安倍訪米「冷遇」報道の内容を詳しく検証し、その真の理由を考えてみたい。

中国側の統一見解


日米首脳会談後に握手する安倍首相とオバマ大統領〔AFPBB News〕

 今回の一連の「冷遇」分析は決して偶然ではなく、中国政府の統一見解だと思う。人民日報、新華社から新京報まで、ほぼ同じ趣旨の記事が掲載される場合には何かがあるはず。恐らく2月23日の段階で国務院新聞弁公室あたりから「指示」が出たのだろう。

 「指示」自体は驚くにあたらない。興味深いのは、むしろその判断・分析の幼稚さだ。以下に、「安倍首相の訪米“冷遇”される」と中国側が判断した根拠を列挙してみよう。ご一読のうえ、どの程度説得力があるか考えてみてほしい。

 それぞれには筆者の反論も付記してある。ちなみに、以下のコメントは決して「独断と偏見」ではない。これらはすべて、外務省時代北米局と在米大使館で合計10年間、日米関係に関わった筆者の具体的経験に基づくものだ。

●意外なことに今回(の安倍首相訪米)は一国の政府首脳の公式訪問だというのに、米側は冷淡だった。会談時間は短く、共同記者会見や晩餐会もセットされなかった。

【安倍訪米が可能だったのは2月下旬の数日間だけ。日本の国会日程上、これ以外の選択肢はなかっただろう。「財政の崖」問題で極めてタイトな日程の中、ホワイトハウスは日本側要求を受け入れ、昼食も含め2時間近くを安倍首相の実務訪問のために割いた。これは「冷遇」どころか、「厚遇」の部類に属する】

●通常共同記者会見は生中継されるはずだが、今回は、あり得ないようなくらいに簡単に報道され、ホワイトハウスのホームページや米国のニュースチャンネルも生中継していない。

【共同記者会見は2国間の重要発表事項がある場合に開かれる。今回両首脳は初顔合わせでもあり、通常なら「首脳会談冒頭のカメラ取材」というのがワシントンでの相場観だ。今回ホワイトハウスが会談と昼食の間にメディア取材を認めたことの方がむしろ異例である】

●記者団との短い会見で質問は2つだけ、その1つは、米財政支出の自動的削減についてだった。米国では「日帰り旅行のようで慌しくて注目されていない」と評価された。

【米国のメディアは森羅万象を取材する。彼らは外国要人との共同会見でも平気で米国要人に内政問題を質問するし、それが失礼だとも考えない。これがワシントンの常識だ。中国側がそれを知らないはずはないのだが。もしかしたら、本当に知らないのかもしれない】

●現地時間の午後4時になってホワイトハウスがやっと短い声明を発表し、日本のTPP協定参加に関する協議で実際的な進展がこれまでないことを明らかにした。

【TPP日米共同声明のことを指しているのだろうが、報道関係者は昼食後既に内容を承知していた。声明は日米の主張をそれぞれ書き込んだもの。発表が夕方になったのも通常のスタイルだ。米側が「冷遇」した証拠はこれだと言われても、「それがどうした」と答えるほかない】

●安倍首相はオバマ大統領が公開の場で日本に支持を表明してほしいと願ったが、その願いは叶わなかった。

【そもそも日本側がそんなことを「願った」とは思えない。「願った」のはTPPに関する共同声明の方だろう。「願ってもいないこと」が「叶わなかった」から「冷遇」されたと主張することにはいささか無理がある】

 もうこれ以上付け加えることはないだろう。ワシントンの常識から考えても、少なくとも今回米側が日本側を「冷遇」したとは思えない。それでも、中国側が安倍訪米「冷遇」に強くこだわる理由は何なのだろうか。引き続きこの点を考えてみよう。

ワシントンを知らない中国人

 以上からまず浮かび上がるのは、「ワシントンを知らない中国人」だ。最高指導者が訪米する際、中国側がプロトコール(儀礼)を異常に気にすることは以前書いた覚えがある。中国にとって国家主席や国務院総理の訪米は絶対に「公式」「厚遇」でなければならないからだ。

 彼らは会談で話す内容よりも、空港に誰が迎えに来るか、誰が見送るかに関心がある。晩餐会に誰が来るか、記者会見で質問するのは誰か、記者会見に誰が参加するのかなど、およそ実質とは関係ないところで、中国側の関係者は驚くべき細かさでこだわりを見せる。

 そんな彼らが今回の米側の実務的態度を見れば、日本を「冷遇」していると感じても不思議はない。しかし、中国側がこの程度の話で安倍訪米「冷遇」説を大々的に宣伝するだろうか。彼らの真の意図はそんなものではないはずだ。これが今回の筆者の見立てである。

 ここからはいつもの通り、筆者の「独断と偏見」の世界だ。中国側が今回の安倍訪米をいかに見ているかは、中国側の公開情報を読むだけである程度理解できる。例によって、筆者が注目するのは環球時報の社説だ。

 特に、重要外交問題について書かれた環球時報社説は面白い。中でも、日本語と英語に翻訳されたものは必読だ。以前も書いたとおり、経験則上、これらの重要社説には中国側が日本と米国に知ってもらいた重要なメッセージが込められている可能性があるからだ。

根強い対日米警戒感

 というわけで、今回は2月25日の環球時報社説に注目した。原文は「社评:希望安倍访美的最大收获是清醒」だが、前日夜遅くネット上に英語版「Abe's visit shows cautious US stance」が出ている。


東シナ海で海上自衛隊の護衛艦にレーダー照射した中国のフリーゲート艦〔AFPBB News〕

 一方、日本語版は2月26日に人民日報日本版が「安倍氏訪米の最大の収穫が冷静になることを望む」として紹介している。内容的には3つともほぼ同一、注目すべき記述は次の通りだ。併せて筆者のコメントも付記しておく。

●オバマ政権に東アジア政策を大幅に調整する考えはなく、米国にとって中国抑え込みはこの地域における戦略上最重要の考えではない。米国は中日衝突がひとたびコントロール不能になった場合の結果を見通せずにいる。米国は日本の対中全面挑戦を利用することに対して、慎重かつ保守的な姿勢だ。

 奥巴马政府无意大幅调整东亚政策,遏制中国远非美国当前在该地区的首要战略考量。美对中日冲突一旦失控的后果看不透,它对利用日本全面挑战中国持谨慎和保守的态度。

【米国に中国を「封じ込める」意図がないこと、日中対立の拡大を懸念していることはその通りだが、同時に、米国が中国の行動に戦略的な懸念を持ち始めたことも確かだ。中国は米国を冷静に見ているのかと思っていたが、実はあまりよく見えていないのかもしれない】

●日本のみならず、フィリピンその他一部の国、および中国内外のいくつかの勢力が米国の対中戦略をしばしば読み間違え、「米国は中国抑え込みをますます優先しており、その方向に沿ってさえいれば米国からの支持は無条件だ」と考えている。

 不仅日本,菲律宾等其他个别国家,以及中国内外的一些力量都经常错估美国的对华战略,以为美国越来越以遏制中国为先,只要他们的行为符合这个方向,美国对其支持就会是无条件的。

【さあ、どうかなぁ。少なくとも日本は、米国からの支持が無条件とは思っていない。フィリピンやベトナムも同様だろう。今後中長期的に米国の意図を読み間違える可能性が高いのは、むしろ中国側の方ではないか】

●釣魚島問題で強硬姿勢を競うのは、日本政治の歪みを示している。日本外交の現実主義的選択では決してなく、国内政治が外交を手玉に取っていることの結果だ。・・・日本が安倍氏の訪問を「成功」と評価するのには、他者の意見に耳を貸さず、自らを励ます意味が自ずとある。

 在钓鱼岛问题上竞赛强硬是日本政治的一个怪胎,它决非日本外交的现实主义选择,而是日本国内政治绑架外交的结果。・・・日本舆论评价安倍访问“成功”,自有自说自话、自我鼓励的意思。

【いかにも中国らしいジコチュウ的論理だ。尖閣をめぐり日本の反中世論を煽り、中国側のいう「現実主義的選択」を日本にさせない真の原因は中国自身の態度にある。このことが、彼らにはどうしても理解できないのだろう】

●中国が安倍氏訪米に注目する理由の1つは、米国の東アジア政策づくりに我々がどの程度参与できるかをまだ把握していないことにある。釣魚島における日本の虚勢は米日の「共同陰謀」ではないかと多くの人が懸念している。

 中国关注安倍的美国之行,原因之一是我们对自己能在多大程度上参与塑造美国东亚政策还没有把握。很多人担心日本在钓鱼岛逞强是美日的“共同阴谋”。

【これが中国側の本音だろう。この行間からは、中国自身米国の東アジア政策が徐々に変化しつつあることを痛感しつつ、日本に比べ、中国がそれに十分な影響力を行使できていないことに対する強い焦燥感が見え隠れする】

●もし中国に中日衝突をエスカレートさせる意思がなく、かつ釣魚島における対日反撃をおおよそ「対等」な規模に定めるのなら、日本側の多くの細かい動きは軽視、さらには無視してもよい。

 如果中国无意升级中日冲突,并把在钓鱼岛的对日反制大体定在“对等”的规模上,我们就可以忽略日本方面的很多细节表现,甚至无视它们。

●日本は東アジアでどんどん「小さく」なっている。力が小さくなるにつれて、度量も狭くなっている。中国は日本のお供をして没落するわけにはいかない。中国は道を急ぎ、世界に目を向ける必要がある。

 日本在东亚越变越“小”,随着力量相对小了,气量也在萎缩,中国不能陪着它沉沦,中国需要ー路,放眼世界。

【ここも中国側の本音が見え隠れして面白い。小さな日本は無視せよと虚勢を張りつつ、中国側には尖閣問題をエスカレートする意思がないことを示唆する。そのうえで、中国は日米の罠に嵌まってはならないと締めくくる。中国側の焦りにも似た警戒心が行間から滲み出てくるようだ】

 さて、読者の皆様はどう感じただろうか。中国は今、日米首脳がワシントンで中国につき何を話したかが気になって仕方がないのだろう、と筆者は見る。そんな焦りが、安倍訪米「冷遇」という一連の記事に凝縮されているのだろう。

 されば、こんなもの当分放っておけばよい。日本がこの種の議論に巻き込まれる必要などないからだ。一方、中国側のこの焦燥感はいずれ具体的な動きとなっていくだろう。それが日中協調に向くか、対日報復に向くかは、いまだ分からない。


 

 

中国人はみんな知ってる温家宝一族の不正蓄財
中国にとって北朝鮮核兵器は尖閣諸島よりも目の前の脅威〜宮崎正弘氏
2013年03月01日(Fri) JBpress
 マット安川 日中関係をめぐる報道が相次ぐ中、ウオッチャー宮崎正弘さんを迎えて中国当局の内幕や新しい幹部の動向、経済状況や外交政策について、興味深いお話をたくさんご紹介いただきました。

中国から「アジア重視」へ。日本の外交に地殻変動


宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)氏
評論家、作家。国際政治・経済の舞台裏を解析する論評やルポルタージュを執筆。中国ウォッチャーとしての著作の他、三島由紀夫を論じた著書もある。近著に『オレ様国家 中国の常識』『2012年、中国の真実』『中国が世界経済を破綻させる』など。メールマガジン『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』を発行。(撮影:前田せいめい、以下同)
宮崎 中国は今、アジアはもとより、世界中で暴れています。特にアジアでは、勝手に自国の領土だと宣言して地図に書き込んだ上に、南シナ海の南沙など3諸島を管轄する行政区「三沙市」までつくった。

 このように好き勝手な振る舞いをしている中国に対して、領有権を争うフィリピンやベトナム、台湾などが反発している。逆に言うと、日本の主導でこれらの国・地域をうまくまとめることができます。

 実際、フィリピンの外務大臣が昨年、英フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、日本が防衛力を強化することはアジアの安定につながるので歓迎する、と話しています。

 そういう流れの中で、日本の外交姿勢もガラっと変わり、アジア重視になりました。1月、麻生(太郎)副総理がまっ先にミャンマーに行きました。次に岸田(文雄)外務大臣がフィリピン、ブルネイ、オーストラリア、シンガポールを訪問し、安倍(晋三)総理もベトナム、タイ、インドネシアを訪問した。

 これは、実は地殻変動にも似た大きな日本外交の姿勢の変化なんです。日本は昨年まで、中国、中国と言っていました。日本企業もチャイナ、チャイナと言っていた。

 しかし、昨年秋の反日暴動以降、財界の合言葉も変わりました。「チャイナ・プラス・ワン」。中国ともう1カ所かそれ以上ということで、今アジア諸国がブームになっています。

中国は日本とチキンゲームをやっているだけ

 尖閣諸島沖における中国の「ロックオン」については、あまり堅苦しく考えない方がいいと思います。

 というのも、習近平総書記が軍に対して最初に指示したのは、酒を飲むのをやめろということです。禁酒令を出した。次に、送り迎えに赤絨毯を敷くのをやめろと。

 さらに、戦争の準備をしろと言った。つまり、それまでダラけていた軍隊に、ちょっと緊張感を与えようというのが真意だったんです。


 ところが、現場の部隊とすれば、戦争の準備をしろと言われたわけだから、いろいろ考えますよ。例えば成績を上げて、部隊長ならばその上に行きたいというようなことを考えたのかもしれない。それでレーダーを照射してご覧にいれましたと。

 いずれにしろ、中国の軍隊だって軍人は戦争なんかしたいと思っていません。サラリーマン化していますからね。日本はその点も考慮しておかないといけません。

 今はお互いにチキンゲームをやっているだけです。ただ中国は、日本は絶対に出てこない、撃ってこないとナメてかかってますから、まだしばらく好きなことをやると思います。

 それでも本当に戦争をする気はない。だって日本の後ろにはアメリカがいますから。アメリカに勝てないことくらい中国も十分承知しています。

富裕層や高級官僚が不正蓄財を抱えてどんどん国外逃亡

 中国政府は国民に対しては、日本はけしからんなんて言っていますが、国民は納得していませんよ。

 だいたい中国の富裕層や高級官僚はどんどん海外に逃げていますからね。海外逃亡者の数は約1万8000人と言われ、持ち出されたカネは8000億元と言われています。それも氷山の一角だと思います。

 そのほかに、飛行場で逃亡寸前に捕まった人たちが、別に約1万8000人いる。結局、みんなカネを不正に集めて、それを中国に投資しないで、逃げ出している。こんな国は終わりじゃないですか。

 こうした事実を国民はもちろん知っています。想像以上に中国は言論の自由があるんです。インターネットが普及し、ブログの書き込みもスゴい。

 書き方も非常に高度なテクニックがあり、みんな暗号で書くんです。ユーザーたちはそれが誰を指しているのか分かる。例えば、ニューヨーク・タイムズが昨年、温家宝首相一族の蓄財が27億ドルあるとスッパ抜きましたが、私に言わせれば、中国国内ではみんな知っていたことです。

 中国の情報は、オフィシャルな情報と、ネット上の情報があります。日本のメディアはもう少しそういうことを報道した方がいいと思いますね。

中国の軍事的脅威になり始めた北朝鮮


 今回、北朝鮮が核爆弾の小型化に成功したことは、中国にとっては軍事的に現実の脅威になったと考えていいでしょう。

ただ、小型化した核弾頭を実際にミサイルに搭載できるかどうかなど技術的な課題がほかにもありますから、実際に脅威になるのは5〜10年先の話だと思います。

 興味深かったのは、中国国民の反応です。核実験に対して、北朝鮮大使館のある北京や、領事館のある瀋陽や広州などで抗議デモが起きました。北朝鮮大使館前には100人くらいのデモ隊が押しかけ、瀋陽の領事館前にも5人がプラカードを掲げて押しかけた。たった5人とはいえ、今までだったらあり得ないことです。

 彼らが訴えたのは、要するに汚染されるのは我われだということです。死の灰が飛んでくるのは、北朝鮮に一番近い遼寧省であるという論理です。

 日本で発行されている中国語新聞を読むと、北朝鮮の金正恩第一書記について、中国の忍耐の限界まで挑戦している、あの恩知らず、生意気な、というような論調です。

つまり北朝鮮は今まで自分たちの手のひらの上で踊ってきたはずなのに、言うことを聞かなくなったと。中国にとっては不愉快千万なわけです。

 核爆弾の小型化によって、北朝鮮はその爆弾を中国に手で持っていって仕掛けることもできます。北朝鮮が核兵器を持って鴨緑江を渡ってくるというのは、距離の感覚で言うと、尖閣などよりすぐ目の前の脅威です。

 過去1500年の中国と朝鮮の関係を見ても、そういうことはよくあります。

 中国が圧倒的軍事力を持っている時は、朝鮮はペコペコするけれども、王朝末期でガタガタ揺れ始めると、途端に威張りだす。北朝鮮はこれから中国に対し、核を脅しの材料に使ってくるでしょう。

「マット安川のずばり勝負」2013年2月22日放送


マット安川(本名:安川昌之)
(株)オフィスヤスカワ代表取締役。1973年1月10日生、神奈川県出身。O型。大学在学中から30種以上の仕事に携わり、のちに渡米。語学を学び、インターンシップ、のち現地法律事務所へ勤務、3年間マネジメントを担当する。帰国後、各界著名人のトレーナー兼マネジメントなどを手がけ、企業コンサルティング、事業マッチングのほか、TV・ラジオの番組DJ・企画制作など多方面に活躍中。


05. 2013年3月01日 11:59:09 : xEBOc6ttRg
中国軍に月14万回のサイバー攻撃、6割が米国から=国防省
2013年 03月 1日 09:57 JST

2月の中国PMIは50.1に低下、予想下回る
米フェイスブック、マイクロソフトから広告技術を取得
10─12月期設備投資額は5四半期ぶり減少、スマホ投資はく落などで
有効求人倍率は4年5カ月ぶり高水準、労働市場に明るい兆し

[北京 28日 ロイター] 中国国防省は28日、同省のウェブサイトなど2つの主要な軍機関サイトへのサイバー攻撃が、昨年は月平均で14万4000回あったと発表した。うち約63%が米国からだったとしている。

中国側が米国からとされるサイバー攻撃について明らかにしたのは初めて。耿雁生報道官は記者会見で、「国防省と中国軍ウェブサイトはハッカー攻撃の深刻な脅威に直面しており、攻撃は近年確実に増えている」と述べた。

会見には外国人記者は出席できず、内容は国防省のサイトに掲載された。

米コンピューターセキュリティー企業のマンディアントは今月、中国人民解放軍(PLA)の部隊が100以上の企業から情報を盗み出した可能性があると指摘したが、中国側はこの疑惑を否定している。

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06. 2013年3月01日 12:02:17 : xEBOc6ttRg
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[香港 26日 ロイター] 中国軍が、広域展開能力の強化を目指し、これまで取り組みが遅れていた補給艦や輸送機の拡充を進めている。海外での国益を保護するとともに、領有権の主張を強める狙いも見え隠れする。

軍事専門家らは、こうした補給・輸送能力の強化について、高性能戦闘機や長距離ミサイルなどの配備ほどは地域にさざ波を立てないものの、中国人民解放軍(PLA)の過去30年に及ぶ軍備増強にとっては非常に重要な要素だと指摘する。

航空支援と海上支援の増強は、世界第2位の規模を持つ中国海軍の広域展開能力を後押しし、PLAの遠方戦線補給能力を強化することにもつながる。

中国の軍事関連サイトやブログに掲載された報告書や写真を参考にすると、中国の国営造船所は昨年、排水量2万3000トンの「903型」補給艦を2隻建造した。軍事アナリストらは、この最新鋭の補給艦は現在試運転中で、年内には就役すると分析している。

また中国は先月、陝西省西安近くの空軍基地から、国産大型輸送機「運20(Y20)」の初試験飛行を実施したことを確認している。国営放送は、中国で製造された飛行機としては過去最大となる同機の離着陸の様子を映像を交えて伝えた。複数のメディアによると、同機の最大積載量は66トンだという。

<大国への野心>

こうした補給艦や輸送機の配備は、中国が陸上国境線の拡大や防御という伝統的な安全保障上の優先事項とはっきり決別し、より野心的な世界の軍事大国になろうとする意図を浮き彫りにするものだ。

中国の軍事情に詳しい米海軍大学のナン・リー教授は「彼らが戦力投射能力の強化に着手していることは疑いがない」と語る。

過去30年の急ピッチの軍備増強により、中国海軍は現在、米海軍に次ぐ世界第2位の規模を誇る。米国防総省の推計によると、中国海軍の艦艇数は、空母「遼寧」を含む主要水上戦闘艦が約80隻で、潜水艦が50隻以上、このほかに揚陸艦約50隻とミサイル艇80隻以上などを保有している。

一方、これまで支援艦や補給艦の建造は戦闘艦に比べて大幅に出遅れており、大型補給艦はわずか5隻しかない。これに対し、米海軍は主要水上戦闘艦約140隻に対し、大型補給艦34隻を保有している。

中国国防省は、ソマリア海賊対策の第14次艦隊として、今月16日にフリゲート「綿陽」、駆逐艦「ハルビン」、補給艦「微山湖」が青島を出港したと発表した。

補給艦の追加配備は中国海軍の広域展開能力を押し上げるが、中国政府の戦略的目標は今のところ、一部の周辺諸国と領有権をめぐって争う自国から比較的近い海域にとどまっている。前出のリー教授によれば、中国海軍は「シーレーンの確保や海賊対策、危機発生時の自国民の避難に意識を集中している」という。

複数の海軍アナリストは、中国軍の輸送能力強化が、尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる日本との緊張状態に直接影響する可能性は低いと指摘。日本の防衛政策に詳しい英ロンドン大学キングス・カレッジのアレッシオ・パタラーノ氏は「支援艦が東シナ海での作戦の性質を変えることはないだろう」とした上で、「中国海軍の海上作戦遂行能力には影響を与えるだろう」と語る。

<機動力の向上>

中国上層部にとって、大型輸送機「運20」の試験飛行は、大規模地上戦力が中心だったPLAの機動力を高めていく過程での重要な一里塚だった。

ジェーンズ・インフォメーション・グループの特派員でもある軍事アナリストのルーベン・ジョンソン氏は「大量の人員や装備を迅速に輸送する必要がある場合、こうした航空機は生命線になる」と語る。

アナリストらによれば、中国国防省は、米国など西側諸国の軍隊が人員や物資を遠隔地に素早く移動させることで圧倒的優位に立っていることを目の当たりにし、大型輸送機の重要性を学んできた。

米軍は、「ギャラクシー」や「グローブマスター」などの愛称で知られる大型輸送機は300機以上、それより小型の輸送機は400機以上保有しており、こうした機体の多くは短滑走路での離着陸が可能となっている。

米軍に比べると、中国空軍の輸送能力は大幅に劣る。現時点で配備しているのは、ロシア製の輸送機「Il─76(イリューシン76)」約20機のみであり、同機の最大積載量は約50トンと、グローブマスターの77トン、ギャラクシーの118トンに比べ大幅に少ない。

もし中国が今後10年で「運20」を大量に導入できれば、PLAの長距離輸送能力は飛躍的に向上することになる。

専門家はこうした長距離輸送能力について、中国が台湾進攻に踏み切った場合は特に重要になると指摘。一部には、「運20」の性能がある程度証明されれば、中国軍は向こう数十年で数百機を製造元に発注する可能性があるとの声も聞かれる。

中国軍の関与指摘した米セキュリティー会社、「企業は我慢の限界」
2013年 02月 25日 15:38 JST
[22日 ロイター] 米コンピューターセキュリティー会社マンディアントは、米企業に対する相次ぐサイバー攻撃に中国人民解放軍(PLA)の部隊が関与しているとの報告書を発表し、業界内で称賛を集め、世界中で新聞の一面を飾った。

一方、ハッカーは74ページから成る同報告書をウイルス感染させ、電子メールで企業などに送付。一躍有名になったマンディアントの名前を利用し、大混乱を生じさせようとした。

マンディアントは2004年、米空軍でサイバー犯罪捜査官を務めたケビン・マンディア氏(42)が設立し、コンピューターへの不正アクセスを調べる自動システムの開発で知名度を上げた。しかし同社の名前は、中国人民解放軍のサイバー攻撃関与を指摘するまで、業界以外ではほとんど知られていなかった。

マンディアントは18日、中国のハッカー組織「APT1」はPLAの「61398部隊」が主導している可能性が高いとする報告書を発表。中国国防省は報告書が「専門性に欠けている」としての内容を否定。しかし報告書は過去にないほど詳細にわたっていたことから、マンディアントは大きな称賛を得ることになった。

同社は報告書で、61398部隊が上海・浦東地区のビルを拠点とし、2006年ごろから少なくとも141の機関を標的に数百テラバイトのデータを盗んだと結論付けた。

これまでサイバー攻撃に関する報告書を発表してきたコンピューターセキュリティー企業は、攻撃元についてこれほど細かい情報を明らかにするのは避けてきた。

中央情報局(CIA)元長官のマイケル・ヘイデン氏は、報告書を「素晴らしい内容だ」と評価。中国のサイバー攻撃関与を「そろそろ公表する時だと皆が話している」と述べた。

マンディアントは報告書で、「APT1」の攻撃を受けた企業や機関、同社の顧客名も明らかにしていないが、米経済誌フォーチュンが選ぶトップ500社「フォーチュン500」の約4割は同社の顧客企業だとしている。

マンディア氏は報告書の公表について、「民間企業の不満は高まり、我慢も限界に近づいている」とし、「社内にもその不満を感じ取っている軍出身者がおり、『(中国のサイバー攻撃関与を)公表しよう』と決めた」と述べた。

同氏によると、マンディアントの昨年の売上高は前年比60%増の約1億ドルに達し、今年も同様の増収が見込まれるという。

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT.N)や米ニューズ・コープ(NWSA.O)傘下のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙も、サイバー攻撃の調査をマンディアントに依頼したと明らかにしている。


07. 2013年3月05日 01:39:21 : INx6gJLJ5g
 遠隔操作ウイルスだね。
立派なセキュリティ会社
威風堂々たるお役所
連邦捜査局との国際捜査

江ノ島の猫一件は再逮捕するも身柄釈放

この程度のお話です。そんなに中国怖いのかね。


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